夢と現の狭間に?
〜電かの外伝・・・・・・たぶん〜


※ご注意
秋子:「このSSは電波的かのんの外伝として書かれたそうなので、電波的かのんを読んだことがない方はそちらを読んでからこのSSを購読することをオススメします。」






「・・・ちさん、・・・いちさん、起きてください。朝ですよ。」

なんだ?身体が揺れてるぞ?もう朝か?俺は起きたくないから「もう・・・少し寝かせて。」と言うとさらに揺れが大きくなる。

「駄目ですよ。起きてください。」

あれ?一緒に寝てるのは佐祐理さんと舞じゃなかったけ?なんで声が一人分しか聞こえないんだ?なんか声が誰かに似てるなぁ。

「もう、今日はデートの約束ですよ。だから起きてください。」

へっ?デート?そんな約束したっけ?まぁ、いいや起きるか、なんか目も覚めてきたし。

俺が上半身を起こして目を開けるとそこにいたのは佐祐理さんでも舞でもなかった。もちろん、名雪やあゆ達でもなかった。そこに居たのは秋子お母さんだった。こともあろうか裸で。

「なっなっ・・・」

驚きで声が出す事が出来ない。そんな俺を見て秋子おかあさんは不思議そうに俺を見ている。もちろん、いつもの片手で頬を押さえるポーズでだ。

「どうしたんです?祐一さん?まるでお化けでも見たような顔をして?なにか見えるんですか?」

「なんで、秋子お母さんがここに居るんですか!」

「何を言ってるんですか?私は祐一さんの奥さんの一人ですもの。それでは理由にはなりませんか?それに昨晩は私の順番でしたでしょう・・・。」

顔を少しそむけ頬を赤くして、照れている秋子さんは超絶に可愛い・・・・・・それに触らなくても判る、きめ細かい白い肌に豊満な胸・・・プルンプルン揺れてるし、なんか鼻血出そう。

そうか秋子お母さんは俺の奥さんだったか・・・・・・・・・えっ、えっ!おっ・・・奥さんって、ちょっと待てい!俺と秋子お母さんには血のつながりが・・・もしかして、禁断の愛?・・・・・・それもそれで燃えるなぁ・・ってそうじゃないって、いったいどういう事なのか聞かなくては。俺はそう思い、秋子お母さんに話を聞くべく、秋子お母さんの顔を見ると、秋子お母さんはジト目で俺を見ているし。なんで?

「祐一さん、ところでお母さんってどういうことですか?確かに名雪は私の娘で祐一さんの奥さんですけども、だからと言って、お母さんはないんじゃないかしら?」

「へっ?ちょっ、ちょっと待ってください。俺と秋子お」

「秋子です。いつも通り、呼び捨てにしてください。」

「はっはい・・・・・・。」

秋子お母さんの迫力につい返事をしてしまう俺、でもなんか呼び捨てにすると変に意識してしまう・・・・・・なんか変な高揚感が。

「それでなんです?」

「えっと、たしか、俺と秋子お・・・・・・秋子には血のつながりが・・・。」

「祐一さん、もしかして、まだ寝ぼけてます?」

「へっ?」

俺は「寝ぼけてます?」という言葉に素っ頓狂な声をあげてしまう。ちょっと思考・・・・・・1+1は2。うん、大丈夫。俺の頭はしっかり覚醒しているように思えるのだが・・・。そんな俺の様子に気づかないのか、秋子お母さんは話を続ける。

「私と祐一さんには血のつながりはありませんよ。」

「はいぃぃぃ?」

「どうしたんです?突然素っ頓狂な声をあげて、どうやらまだ寝ぼけているようですね?」

そんな事言ったって、俺と秋子お母さんに血のつながりがないって?ほんとに俺は寝ぼけているのか?

「祐一さんは姉さんの子供ではないということです。つまり・・・。」

秋子お母さんは俺の出生について懇切丁寧に話してくれた。

つまり、俺は両親とはまったく、血がつながっておらず、まったく赤の他人って事だった。ただ、俺にはそれが現実のものとは思えなかった。俺の記憶では母さんが恥ずかしそうに父さんとの馴れ初めを語っている記憶があったからな・・・・・・でも、秋子お母さんの目は真剣そのものだし?新手のイタズラ?・・・・・・ではないようだけど。ちなみに関係ない事だが、俺の本当の両親は秋子お母さんや母さんたちが大変お世話になった人の忘れ形見だそうだ。

「すみません。祐一さんにとってはあまり気分の言い話ではなかったですね。」

そう言うと、秋子お母さんは俺の頭を抱えるように優しく包み込んでくれた。それはとても暖かく、不思議と落ち着いくものだった。

秋子お母さんの胸の心地よさに、なんかどうでも良くなってきたな。悩むのも馬鹿馬鹿しいし、今は状況に流されるままにしよう。そういえば、今、秋子(めんどくさいから呼び捨てすることにした。秋子お母さんならこっちの方にもつっこみを入れそうだしな。)に抱かれてるんだっけ?なんか豊満な胸がきもちいい〜。もっと味わいたい。そう思うと体は自然に反応してしまった。

俺は秋子の背中に手を回すと、秋子の胸に顔をさらに深く沈めた。そして、軽く顔を振ってみる。

「あっ、あん。駄目ですよ、朝からなんて。早く起きて着替えましょう。」

「え〜、もう少しこのままでいましょうよ。」

胸に顔を埋めたまま秋子の顔を見上げながら聞いた。なんか、ちょっと体勢が辛くなってきたな。秋子はいいとして、俺はなんだかつらい格好してるからな。でも、この感触には代え難い。

「甘えたって駄目です。きっと名雪達が朝食を用意して、待ってますよ。」

うっ、本当に辛くなってきたよ。そうだ!

「さあ、ゆう・・・きゃっ!」

「ふぅ〜。」

あまりにも辛くなってきたので、秋子を押し倒したおした。秋子が『きゃ』っと可愛い悲鳴をあげる。なんか萌える・・・・・・。

「本当に駄目ですよ。」

秋子はなんとか俺を起こそうと、なんとか押しよけようとするが俺は秋子の両手を拘束し、組み伏せると、胸に埋めていた頭を上げる。もちろん、秋子の唇を塞ぐ為だ。

俺は秋子の目をじっと見つめると、キスをするために顔を近づける。秋子も観念したのか?目を伏せて、待ちの体勢をつくる。

後もう少しで唇が触れ合おうとした瞬間、部屋のドアが開いた。

「祐一、お母さん、早く起きなきゃ駄目だよ〜。」

ドアから顔を出したのは名雪だった。よく見ると後ろには俺の娘−香を抱いた香里も居る。なんか背中に冷たい汗が流れてたような気がする。

「なっ名雪。えっとこれはだな・・・・・・・」

俺は秋子の上から飛びのくと何とか、現状の言い訳を考えるが・・・・・・・な〜んも浮かばない。

「祐一、駄目だよ。朝からいちゃついていたら。どうせ今日一日はお母さんと一緒なんだから。」

「えっとだな、これはそ、その・・・・・・へっ?名雪?」

「どうしたの?狐に化かされたような顔をして?」

名雪は不思議なものを見たみたいな表情で俺をみている。

俺は真琴には化かされてないぞ・・・・・・・っとそれは今関係ないか。なんか名雪と名雪の後ろにいる香里にも今の現状を不思議に思ってないぞ。

「名雪、どうせ寝ぼけてるんでしょう」

ぐぁ、相変わらずきついな香里は。

「ほら、祐一早く起きてよ、お母さんも下にいっちゃったよ。」

なに!名雪に言われ、辺りを見回してみるといつの間にか秋子は居なくなっていた。

「あぁ、わかった。先に行っててくれ。」

名雪と香里は、俺が着替えるためにベットから離れるのを確認してから、名雪が「2度寝しちゃ駄目だよ」と言って、二人とも下に下りていった。俺は小学生か!

着替えをしながら、ぼんやりと思う。

俺の妻達は、名雪、あゆ、舞、佐祐理、香里、栞、美汐、真琴の8人だよな〜?

・・・・・・・あれ?いつの間に秋子は俺の妻になったんだ?全然記憶にないぞ?

名雪達のさっきの反応を見ても秋子も俺の妻の一人みたいだしなぁ。もしかして、みんなで俺をかついでいるのか?でも、そのために秋子はそこまで・・・・・・・するかもしれないな。あの人なら・・・・・・・。

なんか、考えるのもあほらしくなってきた。まぁ、かつがれているなら、それでいいし、よしんぼ、これが本当ならそれでいいし。でも、秋子の体気持ち良かった・・・・・・・。

結論

今は状況に流されるままでいい。決定!

なんか、結論を出したら腹が減ってきたな。飯を食いに行くか。

一階に降りて,リビングに入ると真っ先に目に入ってきたものは舞だった。しかも、命に母乳を飲ませている真っ最中だった。思わず見惚れてしまった。あまりにも舞がいい表情をしていたからだ。とても自愛に満ちた母親の表情だった。

それと、やっぱり胸でかいな・・・にへら。

「おはようございます。祐一さん。」

「おわぁ、さっ、佐祐理さんか、驚かせないでくれ。」

くっ、俺としたことが、舞に見惚れていたせいで後ろを取られてしまった。

「祐一さん、朝はおはようございますですよ。」

「あぁ、おはよう」

「祐一、おはよう」

舞が命に母乳をあたえながら挨拶してきた。

「おう、おはよう、舞」

しかし、舞は俺の挨拶を聞くと命に視線を戻した・・・・・・なんか、冷たくないその行動。無性に寂しさがこみあげてくる。

「まるで、命に舞を取られた気分ですか?祐一さん」

「あぁ、そうだな。最近かまってくれないからちょっと寂しいかな?・・・・・・って佐祐理さん、何てこと言わせるんだ。おれは決してそんなこと思ってなんかいないぞ。」

「あはは〜、そうなんですか?それじゃあそういうことしときますね。」

「そういうことにしておいてくれ。それはそうと、佐緒理は?」

「先程、お乳を飲ませて寝かしつけてきたところです。」

「そっか、それは惜しかったな。」

「はぇ、どうしてです?」

「そりゃあ、佐祐理さんが佐緒理にお乳を飲ませるところが見ることが出来なかったからな。」

「はぇ〜。そんなに見たかったんですか?それじゃあ、こんどじっくりと見せてあげますね〜♪」

佐祐理さんはそう言ってニッコリと笑うと俺が何か言う前に厨房の方に行ってしまった。

ちょっと佐祐理さんがお乳を飲ませてる所を想像してみる・・・・・・・・・にへら。いいなぁ。もの凄く絵になるよう気がするぞ。

ぽかっ

妄想に浸っていると舞にチョップされた。舞の腕の中にはもちろん命もいる。

「いてっ、なにするんだ舞。」

「祐一、すけべな顔してた。」

「なんだよ、やきもちか?」

ぽかっぽかっぽかっ

舞は無言で俺にチョップを連発してきた。このまま受け続けるのは危険だ。オペレーションC(キャッチ)を発動だ。

舞のチョップを頭にあたる瞬間に受け止める。

「あっ!」

そして、そのまま手首を掴み、俺の方に引き寄せる。そして、命ごと、舞を暖かく抱きしめ、耳元で囁く。

「医者からOKでたら、思いっきり可愛がってやるからな」

そして、離れぎわにほっぺたにキスをする。ここでほっぺたにするのがミソだな。

ぽかっ

離れたとたん、チョップされた。全然痛くなかったけどな。

「はちみつクマさん」

そう言うと、真っ赤になってしまった。いつの間に命は寝ていた。この騒ぎの中で寝ているのか?相変わらずマイペースだな。

舞も命が寝ているのに気がついたのか、「寝室の方に行って来る」と言って、寝室の方に行ってしまった。

なんか、今日は朝から騒動ばかりだな?・・・・・・まぁ、要因は全部俺なんだけどな。

食堂に入ると、栞とあゆ、真琴が食事をしており。厨房では香里と名雪が料理をしていた。美汐は出来上がった料理をテーブルの上に運んでいた。三人のチームワークは絶妙だった。

「あっ祐一くん、おはよう。」

あゆ、朝っぱらからたいやきか?

「祐一さん、おはようございます。」

栞はアイス・・・・・・・・・。

「祐一、おはよう」

真琴に至っては言わなくてもわかるだろう・・・。

「おはよう。しかし、おまえら相変わらず、朝から濃いもの食べてるな。」

「うぐぅ、だって好きなんだもん」

「そんなこと言う、祐一さんは嫌いです」

「あうー、いいじゃない。祐一にはあげないからね。」

「はいはい」

おれはあゆ達を軽くあしらうと?、自分の席についた。それと同時に美汐が料理を運んできてくれた。

「はい、祐一さん。どうぞ。」

「おっ、今日は和食か。」

目の前にはご飯と豆腐の味噌汁にだしまき卵、アジの開き、漬物、それに定番の海苔と納豆が並んでいる。物凄く美味そうだ。まぁ、実際かなり美味いんだけどな。

「はい、最近はパン食が続きましたから。」

「そういえば、ここ2,3日はパンばかりだったな。それじゃ、いただきます。」

やっぱり定番通り味噌汁から飲む。うん、流石だな、うまい!やっぱり、美味しいものを食べると幸せだよなぁ〜。

「また腕が上がったんじゃないのか?物凄く美味いぜ」

「ありがとうございます。おかわりもありますから、いっぱい食べてくださいね。」

美汐は少し頬を赤くして満足そうに微笑むと、厨房の方に行き、残りの料理を運び始めた。多分、名雪達のぶんだろう。

次はだしまき卵にターゲットにして箸をのばそうとしたとき、リビングに秋子が入ってきた。そして、この場にいる全員に「おはよう」と言うと俺の目の前の席に座った。秋子の服装はいつもの奴だった。今日はデートじゃなかったけ?あれ?

秋子にデートのことについて聞こうと思った矢先、俺が言うより先に秋子が話しかけられた。しかも、ほんのり頬を紅く染めて微笑みながら。破壊力ありすぎだ・・・・・・・・はふぅ。

「祐一さん、今日のデートはあの場所で待ち合わせません?」

「えっ?あ・・の場所ですか?」

「はい。私と祐一さんの思いでの場所です・・・・・・・・・もしかして忘れてしまったんですか?」

急速に秋子の瞳に涙が溜まる。や、やばい。

はやく、なんか言わなければ。しかし、物事とはうまくいかないものだ、俺がなんか言おうとした時に話の出鼻をあゆの一言によって脆くも砕かれてしまった。

「祐一君、極悪だよ。」

あゆ・・・・話の出鼻を挫くな・・・・。

「祐一さん、そんなこと言う人は嫌いです。」

俺なんか言ったか?栞。

「あう〜、秋子お母さんかわいそう。祐一、謝んなきゃ駄目。」

なんで、おまえは秋子のことをお母さんとつけて呼ぶ?

「祐一〜。」

後ろから怒気の含んだ声が聞こえてくる。顔を後ろに向ける。なんか、首から「グギギギギ」と錆びた鉄が擦れるような音が聞こえた気がする。俺の後ろには瞳に涙を溜めた名雪と、いかにも視線だけで人が切れるような瞳をした香里、ジト目をしている美汐がいた。

いつの間にか、舞と佐祐理さんもいるし、しかも、舞はいつのまにか剣をだしてるし、佐祐理さんは佐祐理さんで顔全体で悲しみを表現してるし。

なんか、俺の背中にも冷や汗が流れてるし・・・・・・・。

ここは嘘でも切り抜けぬば、俺に明日はないかもしれん・・・・・・・・。

「そんなことあるわけじゃないだろう。あの場所って俺が秋子に告白したところだろう?」

俺は何を口走っているんだ?そんなあてずっぽうな事通じるわけが・・・。

「良かった、祐一さんも覚えてくれてたんですね。」

秋子が満面の笑みで言う。めちゃくちゃ可愛い・・・・・・・・・・・・・・・はっ、つい見惚れてしまった。

「流石に祐一君も忘れるわけないよね。心配して損しちゃった。」

「そうですね。祐一さんが忘れるわけないですよね。すみません、疑ったりして。」

「秋子お母さん良かったね。」

「祐一、こういう冗談はあまり良くないよ。」

「ほんと馬鹿なんだから。」

「祐一さん、あまり心配させるようなことを言わないでください」

「よかったですねぇ、秋子お母さん」

「はちみつクマさん。」

名雪達はそう言って満足すると朝食の続きを摂ったり、自分の子供たちの様子を見にいったり、洗濯しに行ったりと方々散り散りとなった。

なに?つまり嘘からでた真?棚からぼた餅?まぁ、俺の明日が助かったのは確かだな。さてと、残りの朝食をいただくか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっとまてよ?結局、あの場所がわかってない。何も問題が解決されてない。しかも、みんなの前でああ言ってしまった手前、聞けないし。どうする?

・・・・・・・・・・・・・・

まぁ、成るようになるか。考えたって仕方がない。飯食べるか♪

食事を終えたと同時に秋子の食事も終わっていた。席を立ち、デートの為の準備をするために自室に戻ろうとした時、秋子に呼び止められた。

「祐一さん」

「なんです、秋子?」

「待ち合わせ時間は11時でいいですか?」

「あっ、はい、11時でいいです。わかりました。」

「はい、遅刻しないでくださいね。」

「わかりました、30分前には居ますよ。」

「それじゃ、私はその前に待ってようかしら?」

いつもの頬に片手をあてる、いつものポーズをとりながら言う。

「ふふっ」

「ははっ」

二人で笑いあう。秋子は以外にもふにゃっとした笑顔をする。俺はちょっと引きつった笑顔だったような気が・・・・。

それから自室に戻るとデートの準備を始める。時計をみるとまだ9時にもなっていなかった。比較的余裕はあるかもしれないな。それでも、あの場所を探すために早く出ないと駄目だろうな?などと考えていると、ドアをノックする音に気づいた。そこに居たのは舞と佐祐理さんだった。両手には乾せて太陽の匂いを含んだ衣類が入ったカゴを持っていた。もちろん、二人ともだ。

「祐一さん、乾いた洗濯物、持って来ました。」

「おお、サンキューな、佐祐理さん、舞」

「それじゃ、失礼しますね。」

「失礼する。」

そう言うと部屋に入ってきてタンスに衣類を収納していく。それはとても手際が良い。しかし、なんであんなにあるんだ?考えないでおこう。

この際だから、あの場所について聞いてみるか?その方がいいよな・・・・・・・よし!

「そうだ、佐祐理さん、ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいかい?」

「なんですか?」

「実は・・・あの」

「あっ、わかりました。今日のデートに着ていくものを見立ててほしいんですね?」

「えっ、あ、そう、そうなんだ。何を着て行っていいかちょっと悩んでね。」

つい勢いで変なことを口走ってしまう俺。とほほ。

「それなら、御協力させてもらいます。ねぇ、舞」

「はちみつクマさん。」

佐祐理さんと舞は楽しそうに服を選び始めた。

結局、あの場所について聞こうと思ったが上手くかわされた形になってしまった。

「佐祐理、これなんかどう?」

「そうですねぇ、いいんと思いますよ〜」

舞が選んだのは黒を基調としたズボンとジャケットだった。なかなか、良いセンスをしている。

「それなら、シャツはこれが良いかもしれませんね。」

佐祐理さんは白いシャツをタンスからだす。

「まず、この組み合わせでどうです、祐一さん?」

「悪くないんじゃないかな?ちょっと着てみるかな?」

「その方がいいですね。他にもまだ、候補がありますけど着てみますか?」

「それじゃ、せっかくだから着てみるよ。」

「わかりました。舞、祐一さんの着替え手伝ってあげて。」

「はちみつクマさん。」

佐祐理さんはタンスを漁り始め、舞は服を右手に持つと着替えを手伝うためにそばに寄ってきた。

舞の前できがえるのは少し恥ずかしいが今は一分一秒でも惜しいので構わず着替えを開始する。上半身裸になると舞が頬をほのかに赤く染める。
少し悪戯心が顔をもたげて出てきてしまいそうになり、舞をからかいたくなるが、今日は止めておく。朝もチョップされたし。

着替えを終えて鏡の前に立ち、どんな感じかチェックしてみる。まぁ、舞と佐祐理さんなら変な組み合わせは選ばないからな。流石だ舞。それに佐祐理さん。鏡の中の俺が2、3歳年上に見えるほどだ。

「なかなか、いい感じだな」

「似合ってますよ、祐一さん。」

「祐一、似合ってる。」

「祐一さん、それに決めますか?」

「いや、他の候補も着てみるよ。せっかく選んでくれたんだし。」

「わかりました。舞、次はこれね。」

「はちみつクマさん」

佐祐理さんは舞に別な服を渡す。

この後、名雪とあゆが乱入して、1時間近く服を選ぶ羽目になってしまった。まぁ、楽しかったからいいか。

ちなみに選んだのは最初に着たやつだぞ。

そんなこんなで準備が終わって家を出たのは10時をちょっと過ぎたあたりだった・・・・・・遅刻するかも。もちろん、秋子以外の全員に行ってきますのキスはしてきたぞ。秋子にしなかったのはただ単にその場に居なかったからだからな。俺は誰に言い訳してるんだ?

家から駅前まで実は30分くらいかかる。残りの30分であの場所を探し出すのか・・・・・・結構厳しいな。

駅までの30分間は短いようで長い。まぁ、あの場所を探さなきゃならないからちょっと早足で行くか。

そういえば、デートするのはいいがデートコースはどうするんだ?

う〜ん、名雪達とデートするなら大丈夫なんだが、秋子となるとなぁ・・・困った。

またもや問題点が発生するし・・・・・・。

とりあえず、あの場所を探すのが先か。

そんなこんなで考え事をしながら歩いていると駅前についてしまった。

「さて、どこかな?まぁ、考えても仕方がない。とりあえず歩くか。」

最初は当てもなく歩いているつもりだったが、俺の足は明かにある場所を目指して歩いている。しかも、俺の意思を離れて。

しばらく歩いていると人気のない並木通りに出た。そこは栞に初めて逢った場所であり、あゆにあげた天使の人形を埋めた場所でもある。しかし、俺の足はそこすら通り過ぎて別な場所を目指していた。

先ほどの場所から少し歩いた所に小さな公園があった。もちろん人気はない。

足は公園に入ったと同時に俺の意思のとおりに動くようになったが公園から出ることはできなかった。

この公園は見たことがなかった。初めての場所だ。でも、なぜか心はほのかな懐かしさを感じている。なぜだ?

あたりを見回すと小さな公園に似合わない大きな樹があった。その下まで歩いてみる。樹の下の日陰に入るとあたりから春の匂いをたくさん含んだ心地良い風が吹いてくる。

多分ここがあの場所なのだろう。俺と秋子にとっての思い出の場所。

でも。

俺にはその思い出はない。思いだそうにもそれは土台無理な話だった。俺は秋子を妻に迎えた記憶がなかったからだ。

もしかして、俺はなにかとんでもないことに巻き込まれたのだろうか?それとも夢?夢かどうかは確かめる方法はある。古典的だが頬を抓ってみれば。

そう思い、頬をつねろうとした瞬間。後ろから目隠しをされた。さっきまで考えていたことが吹っ飛んでしまった。

「だ〜れだ?」

しかし、急に目隠しをされたのに俺は慌てなかった。

俺には声の主が誰だかわかっているからだ。

「秋子だろ」

そう言うと、後ろに振り向きざまに目隠しをしている片方の手を掴み引き寄せると秋子を腕の中に収める。

秋子は「キャッ」っと小さく声をあげるがおとなしく俺のされるままになった。

上から秋子を見下ろすともの凄い違和感を感じた。

なぜなら、いつも綺麗な長い髪を三つ編みにして束ねているのに今日はそれを解いて後ろに流していたからだ。どうやら服装もいつもの大人っぽいものとも違うようだ。

そんな風に考えていたのはほんの数秒もないだろう。いつの間にか秋子も俺の顔を見つめて瞳が潤んでいた。

秋子の唇を少し強引に奪う。もちろん無意識の行動だ。

秋子とのディープキスを味わう。

「ん、うっ・・・・うん・・・・・ん」

少し秋子が苦しそうな声をあげる。俺はキスを中断し離れようとしたが、秋子は俺の腰にまわしていた腕に力を込め、より強くキスを求めた。

たっぷり5分はしていたかもしれない。

どちらかとなく唇をはなす。それと同時に腕の拘束を解く

「はふ〜〜。」

「ふ〜〜」

俺と秋子は感嘆のため息を漏らした。

秋子が離れて初めて服装に目がいく。それを見て少しくらくらしたものを感じる。

秋子は普段の大人っぽい服装ではなかった。先ほども述べたと思うが髪は三つ編みを解いて後ろに流している。服に関してはいつもの物ではなかった。例えるならゲーム中?の名雪の私服に近いものだった。ただ、名雪の服装と違うのは全体的に秋子のスタイルの良さを強調する感じがあるところである。

「祐一さん、似合いませんか?」

上目使いに聞いてくる。もちろん目は潤んでいる。・・・・・・この表情は威力がありすぎるぞ。しかし、この人本当にいくつだ?どう見ても20代前半にしか見えないぞ。下手した10代後半でも通用するんじゃ・・・・・・・。

「そんなことはないです。とても綺麗で、そ、その可愛いです。」

少し、しどろみどろになりつつ答えた。

「うふふ、ありがとうございます。」

「あっ、あの・・・・。」

「祐一さん、あの時の言葉覚えてます?」

・・・・・・答えられるわけがないだろう。やばいぞ・・・・。

俺が答えられずに黙っていると、秋子は黙っているのを肯定ととったのか話を続ける。

「私、うれしかったです。あなたに『秋子さんが一人の女性として好きだ』って言って貰えた時は。」

そんなこと言ったのか?俺は。なんだか恥ずかしいぞ・・・・・。

俺が恥ずかしくて顔を背けていると、頬に柔らかいものを押し付けられる感触がする。

ちゅっ。

ほっぺたにキスされてしまった。これはものすごく恥ずかしいぞ。顔が真っ赤になってるのがわかる。俺は思春期を迎えたばかりの中学生か!

でも、こんな秋子を見るのは初めてだ。

「かわいいですよ、祐一さん。」

「秋子さん・・・・・・。」

「ごめんなさい、男の人にかわいいはなかったわね。でも、たまにはあんな祐一さんもいいわね。」

「そりゃないよ・・・・。」

俺と秋子は顔を見合うと『ぷっ』っと吹き出し、少しの間笑いあった。

公園の時計を見ると11時半ちょっと前だった。

「そろそろ、行きません?」

「そうですね。今日は約束通り、私のデートプランで行きますけどいいですよね?」

「えっ?あっ、う、うん。それでいいです。」

渡りに船とはこのことだな。助かった・・・・・・。

「さっ、行きましょう。祐一さん。」

秋子はそう言うと俺の返事も聞かずに、腕を掴むと強引に引っ張って歩き出してしまった。最初は引っ張られるままだったかが、流石にこのままじゃいけないよな。なんとか早歩きで歩き、秋子の横に並ぶと掴んでいた腕を放すと、今度は腕を組んできた。

今日の秋子はいつもよりも強引だが、なんだかそれがとてもほほえましく思える。たまにはこんな感じの秋子もいいかなって思ってしまう。

「まず、どこに行くんです?」

「着くまでの秘密ではいけませんか?」

「それじゃ、着くまでの楽しみにとっておきますよ。」

こんな感じの他愛のない会話を電車に乗り、目的に着くまで続けた。

秋子に連れられて来た場所は俺達が住んでいる町から5つほど先にある、せつ市だった。この辺では一番大きな街で、最近では駅ビルが建築され、多くの人が出入りしている。まぁ、ショッピングとかデートには最適な場所だろう・・・たぶん。

そういえば、まだ名雪達を連れてきた事はなかったな。

「祐一さん、レストランを予約しているんですが、予約の時間までしばらくありますけど、どうしますか?」

「秋子はどうしたい?」

「私は時間までウィンドウショッピングしたいですね。」

「なら、そうしましょうか?」

「はい。」

俺と秋子は予約の時間までウィンドウショッピングで時間を潰したが、そのウィンドウショッピングでも秋子の意外な面を見れたの新鮮だった。

秋子が予約したレストランは駅ビルの最上階にあった。俺達が給仕に通されたテーブルにはご丁寧に予約席と書いた札がのっていた。しかも、ご丁寧に水瀬祐一、秋子様って書いてあった・・・・・・・なんだか恥ずかしいぞ。

「では、前菜からお持ちします。」

「お願いします。」

秋子は給仕がテーブルを一定距離、離れたのを確認すると、俺に訳を話してくれた。

「すみません、メニューは私が予約の電話を入れたときにすでに決めてしまいました。ご迷惑でしたか?」

「えっ!いえ、そんなことないです。始めて来た店ですし、どれが美味しいか、わからなかったですから、かえって気が楽になりました。」

「そう言ってもらえると、うれしいです。」

「ところで、何を頼んだんです?」

「このお店で一番人気の高いシェフのお勧め料理です。」

「珍しいですね、お勧め料理が一番人気になるとは。」

「そうですね、なんでも、その日に入荷した最高食材を使って料理するために、毎日メニューが変わるそうですよ。」

「へぇ〜。そうなんですか。」

軽く談笑していると先程とは違った給仕が前菜をお盆にのせて持ってきた。

一応、料理名を聞いたが俺にはよくわからなかった・・・・・・日本語で言ってないんだからしかたないだろう。ちなみに秋子は判ったみたいだけど・・・流石と言うべきなのだろうか?

前菜を食べてみての感想ははっきり言ってめちゃくちゃ美味かった。下手したら、秋子や名雪達が作るより美味いぞ。やるなシェフ!

その後に出てきた料理もすべてが美味しかった。

ちなみにデザートはイチゴムースだった・・・・・・名雪がいないのが残念だ。

すべての料理を食べ終わり、食後のコーヒーを飲んでいると秋子が一枚のカードをテーブルの上に置いた。

秋子が置いたのはクレジットカードだった。しかもゴールド。なぜか名義は俺の名前・・・・・・いつの間に。

「祐一さん、今日の支払いはこれを使ってください。」

「突然どうしたんです?」

「今日のデートを約束したとき、私のおごりだと言ったじゃないですか。さすがに女の私が会計を済ませてしまっては、祐一さんがヒモだと思われてしまいますから・・・。」

今でもヒモみたいなものなんだけど・・・・まぁ、俺の男としての面子を潰さない様にするための配慮だしいいか。せっかくの秋子の好意だし、カードを使わさせてもらうか。それに、ここ高そうだし・・・・・・。

「すみません、俺の為に。本当なら俺が支払わないといけないのに」

本当は俺が支払うべきなのだが、ここ最近では名雪達が俺に甘えに甘えてしまって財布の中身は軽くなっていく一方だったし(まぁ、あいつらの喜ぶ顔を見るのがうれしいからかまわないんだけどな)、渡りに船か。

「いいんですよ。私が勝手にやってることですから。それに祐一さんのお財布を軽くした原因の一端は担っていますし・・・・・・せめてもの罪滅ぼしです。是非とも使ってください。」

「わかりました。ありがたく使わせてもらいます。」

秋子からクレジットカードを受け取り、胸ポケットに入れ、残っていてコーヒーを一気に飲み込んだ。

「この後はどこに行くんですか?」

「そうですね・・・まずはウィンドウショッピングの続きですね。その後は・・・・・・秘密です。」

「秘密ですか?」

「はい。秘密です。」

にっこりと微笑んでかわされてしまった。まぁ、秋子なら変な場所は行かないと思うし大丈夫だろう・・・たぶん。

「祐一さん、そろそろ行きましょうか。」

「そうですね。それじゃ、会計してきますね。」

「はい、よろしくお願いしますね。」

会計をすませると、ウィンドウショッピングを開始した。しかし、いつのまにかウィンドウショッピングは本当のショッピングに変わってしまった。

秋子の連れて行かれた店はブランド中心の高級店からノンブランドの量販店まで多種多様だった。主に買ったものというと俺と名雪達の物、それに娘達の物だった。秋子はほとんどと言っていい程、自分の物を買わなかった。唯一買ったものは、俺が思わず「似合うなぁ」と言ってしまった物だけだった。

本来なら、俺が荷物持ちを請負うはずだったが、秋子はある程度荷物が溜まると、配送してしまった。おかげで俺は手ぶらのままだった。

今日はショッピングだけで終わるのかな?と思ったら秋子が複雑な表情をしながら「次は映画を見ようと思ってるんですけどいいですか?」と言ってきた。

なぜ、そんな複雑な表情をするのかわからなかったが「いいですよ」と軽く答えた。

映画館に着くと複雑な表情の謎が解けた。秋子が見ようとしていた映画は最近流行っているハリウッド映画でもホ○イ○ア○トでもなかった。その映画は10年くらい前に流行っていた恋愛映画だった。リバイタルなのだろう。

そういえば、まだ俺が秋子さんの元に遊びに来ていた頃、秋子さんが新聞の映画の紹介を見て、「この映画、見てみたいわね」と呟いていた事をふと思い出した。

多分、この映画のことなのだろう。あの時は俺も名雪もまだ小さく、滅多な事では見に行くことは出来なかったのだろう。

「やっぱり、最近の流行りの映画の方がいいですか?」

「いえ、これを見ましょう。」

「ありがとうございます。」

俺達はチケットを買い(ちなみに俺が払ったんだぞ。これぐらい払わないとな)、上映ホールに入ると、それなりに人は入っていた。結構人気のあった映画だからな。

運が良かったのか、一番良い席は残っていた。

5分ほど談笑をしているとホールが暗くなり、映画館お決まりの他の映画の宣伝が始まった。そして、それらが終わるとお目当ての映画が上映された。



「さすがに長時間椅子に座っていると疲れますね。運動不足かな?」

「そうですね。でも、運動不足は関係ないんじゃないですか?」

「相変わらずキツイなぁ。」

「くすくす」

俺と秋子は今映画館の近くにあった公園に居る。映画はなかなか面白かった。ただ、内容は凄まじかった・・・・・・内容は三角関係を題材としたラブストーリーだった。ただ、純粋なものではなく結構ドロドロしたものだった(三角関係に純粋なものなんかあるのか?)。もちろん濃厚なベッドシーンもあったぞ。俺的には人事とは思えない内容だっただけに変な共感を感じてしまった。俺も一つ間違ったら物凄い事になっていたんだな・・・・・一夫多妻制に感謝感謝大感謝だな。

「次はどこに行くんですか?」

「次はですね・・・・・・・。」

秋子は赤くなって俯いてしまった。なんで?

「あっ、あの私の後をついて来てもらえますか・・・。」

「いいですけど。言い難い場所なんですか?」

「えっ、はい。」

耳まで真っ赤になってしまった。

「それじゃ、行きましょう。秋子。」

「はい、こっちです。」

秋子が歩き出そうとするのを手を握って止める。秋子が「どうしたんですか?」って表情で見てる。

「こっちの方がはぐれなくていいんじゃないですか?」

秋子の手をほんの少し力をこめて握る。秋子は頬を先程のように赤くすると、小さな声で「はい」と答えた。

俺達は目的地まで手を握って歩いて行った。

しばらく歩いていると周りには見慣れた光景が見え始めた。そして、駅前を通り過ぎると次は、少し道幅の狭い道に入った。100m先には怪しいネオンの光が灯っている・・・・・・つまり、ラブホテル街ってやつだ。

秋子は一際大きいラブホテルの前に止まると小さな声で言った。

「ここです・・・・・・。」

そのホテルは有名な深夜番組ト○ナ○トで紹介していたラブホテルだった。

ここから先はやっぱり俺がリードしないと駄目だろうな。

「腕組みません?」

「えっ?あっ、はい。」

俺が握っていた手を離すと、秋子はおずおずと腕を絡ませ体を軽く預けてきた。

「さあ、行きましょうか。」

「・・・・・・はい。」

ラブホテルに入ると内装はシックでいかにも大人の雰囲気って感じだった。この手のラブホテルは受付で部屋はとらない。自販機みたいな奴で部屋を選びキーを受け取る。支払いの時だけ受付を使うけどな。

キーを受け取り、部屋に移った。秋子が選んだのは普通のホテルの一室みたいな部屋だった。つまり普通の部屋ね。ただ、普通みたいな部屋であってラブホテルの特徴的な大きなベッドはあるけどな。ちなみにあゆ、栞、真琴を連れてこういう所は来た事はないぞ。理由は言わなくてもわかるだろう。秋子も追加な。

「祐一さん、先程はありがとうございます。こういう所は来たことがないので・・・・・・。」

「別に構いませんよ。逆に可愛い秋子を見れて、楽しかったかな?」

「相変わらずイジワルですね。でも、祐一さんらしいですね。」

「秋子にそう言われるとなんだか背中がむず痒くなるな。」

「うふふふっ。私、シャワー浴びて来ますね。」

「あっ、はい。俺もその後使わせて貰います。」

秋子が備え付けのバスタオルとガウン?を持って浴室に入ろうとした時「あっ」っと言って振り向いた。

「祐一さん、シャワーが終わったら重大な事をお話したいですけどいいですか?」

「はい、いいですよ?でも、今じゃ駄目ですか?」

「ちょっと、心の準備がしたいので・・・・・・。すみません。」

「謝る必要はないですよ。それじゃ、秋子がシャワー終わるまで待ちます。」

「ありがとうございます。」

そう言うと浴室に入っていった。俺は何もすることがないのでベッドに横になった。

発表したいこと?なんだろう?まぁ、すぐにわかるからいいか。

なんだか眠くなってきたな?うとうとしてきた。



「祐一さん、寝てしまったのですか?」

誰かに呼ばれてる・・・・・・・この声は秋子。

目を開けると秋子が呆れたような表情をして、俺を除き込んでいた。

「ごめん、ちょっとうとうとしちゃって、何時の間にか寝てた。」

何とか身体を起こすと秋子と向かい合うようにベットの上に座る。

「別に構いませんよ。それにしても、祐一さんは相変わらず大物ぶりを発揮してますね。私が重大なお話があるって言ったのに寝てるなんて。」

「うっ、ごめんなさい。」

平身低頭。こういう時は謝る。

「祐一さん、頭を上げてください。別に起こってませんから。ただ、少し呆れましたけど」

「いじめないでください。」

「うふふふっ。ごめんなさい。ところでどうしますか?」

「えっ?ああっ、さっきの話ね。今、聞くよ。このままシャワー浴びたら、秋子を襲っちゃいそうだし。」

「くすくす。わりました。」

そう言うと秋子の顔が笑顔から真顔に変わる。ほんの少しあたりに沈黙が支配する。

俺は待つしかない。秋子が口を開くのを。

秋子は決心したのか俺の顔を真直ぐと見ると口を開いた。ただ、その口から放たれた言葉は衝撃の一言だった。

「二ヶ月です。」

「えっ?」

「祐一さんと私の赤ちゃんです。」

「おっ、俺と秋子の?」

「はい。」

俺はしばらくの間、言葉が出なかった。でも、それと同時に物凄く嬉しかった。俺が感慨に耽っていると秋子はガウンの帯をほどいた。秋子の均整のとれた身体が俺の前にあらわにされる。

だけど俺の視線は秋子の下腹部に集中した。俺と秋子の愛の結晶が宿っているだろう場所に。

俺の視線に気づいたのか、秋子は俺の手を取ると、自分の下腹部に俺の手をあてながら言った。

「ここにいるんですよ。私と祐一さんの赤ちゃん。」

なんか俺、物凄く感動している。名雪達の時はドタバタしていたからこんな風に言われると余計に・・・・・・。

身体が勝手に動いた。俺は当然の成行きのように秋子の下腹部に抱き、耳をすませる。何も聞こえない。でも、そこには確かに命が宿っているのを感じる。いつの間に秋子は俺の頭を慈しむように抱いてくれていた。

しばらくそんな風に抱き合っていた。どのくらい抱き合っていたのかわからないがそれはとても幸せな時間だった。

ずっとこうしていたいが、俺の下半身が自己主張をはじめてしまった。我慢しようと思ったが俺の頭の上にある秋子のたわわな胸の感触が俺の下半身を完全に火を点けてしまった。下腹部を抱きしめたまま秋子を押し倒す。

「秋子・・・・・・。」

「祐一さんの望むままに。」

秋子にキスするべく、顔を近づけようとした時、俺の視界にとんでもない物が映った。それは某アニメのシ○ィ○ン○ーの相棒が持っている最強の武器○0○tハ○マ○だった。しかも、片手で持ってるし。

「秋子、それは一体?」

「祐一さん、もう、朝なんですから起きないと駄目ですよ。」

「えっ?朝ってど・・・・・・・。」

俺は最後まで言うことが出来なかった。なぜなら○0○tハ○マ○が振り下ろされたからだ。この世の物とは思えない痛みと共に意識が闇のそこに沈んでいく・・・・・・。

・・・・・・・・・・・

「香里、乱暴だよ。」

「名雪、甘いわよ。それに祐一の寝言聞いてたんでしょ。」

「うん、そうだけど・・・・・・。」

騒がしいなぁ、なんか頭がズキズキするぞ。名雪と香里がすぐ近くにいるようだな

「祐一さんが気がついたようですけど?」

「えっ!」

名雪達の声が見事にハモってる。俺が重たい瞼を開け、その視界に飛びこんできたのは妻達全員の怒った顔だった(名雪だけはほんの少し複雑な表情をしているけど)。めちゃくちゃ、恐い・・・・・・ってなんで怒ってるの?しかも全員集合して?

「みっ、みんな、どうしたんだ、こんな朝っぱらから。しかも、そんな顔して?」

「白々しいわね。私達がこんな朝早くから全員集合しているのも、そして、こんな顔してるのも全部あなたのせいでしょう。」

みんなを代表して香里が怒気を含んだ声で言う。

「俺のせい?なんのことだ?」

「しらばっくれるつもり?祐一はどんな夢を見たのかしらね?寝言で秋子お母さんのことを散々呟いていたわよ。しかも、呼び捨てで!」

「はい?俺はそんな夢見てないぞ?へんな事を言わないでくれ」

「祐一、そんな嘘は通じないわよ。証人はいっぱいいるんだから。ねぇみんな。」

香里は勝ち誇ったような声でみんな聞く。もしかして、俺って形成が不利?

「祐一、確かにお母さんのこと寝言で言ってたよ。でも・・・・・・。」

「祐一君って、鬼畜?」

でもの後はなんだ名雪?それとあゆ、なっ、なんて事を言うんだ。

「祐一って、外道だね」

「よりによって秋子お母さんとは、そんな酷な事はないでしょう。」

真琴、外道って・・・・・・・な○し○からか?それと美汐、そのフレーズ懐かしいぞ。

「ぐしゅ、ぐしゅ。」

「舞泣かないで。祐一さん、私達では満足できませんか?」

おい、舞。何泣いてるんだよ。それに佐祐理さん、満足してるってば、そりゃあ、秋子お母さんにはぐらってくることはあるけど・・・・・・・何言ってるだ俺?

「祐一さん、起こらないから奇跡って言うんですよ。」

何の事だか、俺にはさっぱりわからないぞ。それに奇跡って何のことだ?

辺りには重い空気が漂っている。俺がそんな空気に耐えられなくなりドアの方に視線を向けるとそこには秋子お母さんが立っていた。

「あっ、秋子お母さん。こいつらに何とか言ってくださいよ。」

秋子お母さんの出現と俺の言動に全員の怒気がさらに膨れ上がったような気がする・・・・・・気がするじゃなくて、膨れ上がってるよな実際。

「祐一さん。」

「はっ、はい。なんでしょう?」

「私はいつでもOKですよ。もし、祐一さんが望むなら今すぐでも・・・・・・。」

そう言うなり、秋子お母さんは頬を赤くしてほんの少し俯いた。

「へっ?」

「祐一やっぱり、あなたって人は・・・・・・・。」

香里が夜叉のような表情で俺に迫ってくる。

「誰が夜叉ですって!」

「うおっ、しまった。つい口から・・・・・・・ぐるしぃぃぃぃ。」

香里に首を極められてしまった・・・・・・・マジで死ぬって。俺が助けを求めるべくドアの方を見るとそこには秋子お母さんはいなかった。

「香里、本気で絞めたら駄目だよ、祐一が落ちちゃうよ。それに栞ちゃんがいいお仕置きがあるって。」

「いいお仕置き?」

「うん、そうだよね栞ちゃん。」

「はい、ですからお姉ちゃん、まず、祐一さんを離してあげてください。それと、耳を貸してください」

「わかったわ。」

ひとまず開放された俺は空気を貪るように吸った。なんか、涙目になってきた。

「祐一、お仕置きを発表するわよ。」

「ちょっとまて、俺は・・・」

「お黙り、これに関しては祐一に拒否権はないわよ。」

「なっ!」

なんか理不尽な気がする・・・・・・それに覚えてもいない夢の内容でこんなに怒られるのも。

「それで、お仕置きの内容は・・・・・・今日から始まる3連休、トイレとお風呂以外でこの部屋から出ることを禁じます。」

「なっ、なにぃ!」

「それと・・・・・・。」

「まだ、あるのか!」

「3日間、ずっと私達の相手をすること。この部屋でね。もちろん、祐一のしてほしいことは出来るだけしてあげるわよ。」

「へっ・・・・・・・?」

それって部屋を出れない事を除けばいつもと変わらないんじゃ?まてよ、たしか香里は「ずっと」って言ったよな。

「香里さん、質問があります。」

「何かしら祐一。」

「俺に休憩時間はあるのか?」

「それは祐一次第ね。」

ぐぁ、やっぱり。一日中相手することだったのか・・・・・・下手したら、俺死ぬかも。

とりあえず、生き残る事を考えて行動せぬば。

妻達はそんな俺の思いを無視するかのように順番と組み合わせを決めための話し合いをはじめた。




俺って不幸?それとも幸せ?














「やっぱり、血のつながりは最大のネックになるわね。うふふふっ。」

「ちょっと、あの娘達がちょっと羨ましいわね。でも、今度は男の子が抱けるかもしれないわね」




雑談というなのあとがき・・・?

名雪「どうも、最後までお読みいただいてありがとうございます。」
あゆ「作者逃亡の為、僕達が水瀬家のみんなであとがきを進めます。」
全員「よろしくお願いします。」
佐祐理「ところでどうしてTOSさんは逃亡なんかしたんですか?」
名雪「なんでも、『自分を見つめなおす旅に出る』って書置きあったんだって。」
舞「佐祐理、名雪。あそこに頭から血を流して倒れている男はTOSではないのか?」
名雪・佐祐理「舞(さん)!」
佐祐理「きっと大人の事情なんですよ。舞。」
舞「・・・・・わかった。あれは忘れる。」
真琴「あ〜あ、可哀想にTOSも、死んだね。」
美汐「真琴!それは言ってはいけません。TOSさんは旅に出たんですから。」
真琴「そうだった。」
香里「みんな、あんな作者のことはどうでもいいから、そろそろ、本題に入らない?」
全員「そうだね。」
名雪「まず、お詫びを。じろ〜さん、すみませんでした。作者のビックマウスによれば昨年中には差し上げられるはず、こんなに遅れてしまって。申し訳ありませんでした。私達の方でキツクお仕置きしとくので勘弁してあげてください。」
あゆ「ばかだよね。ところで名雪さん、なんでこんなに執筆が遅れたの?」
香里「それは私が答えるわ、あゆちゃん。」
あゆ「香里さんが?」
香里「まず、TOSがじろ〜さんにSS贈りますよと言い出したのが11月の頭頃よ。しかも、その時のTOSの頭の中の構想はかおりんSSになる予定だったのよ。それが本人の能力不足から本人が書きやすいと睨んだらしい、電かのの執筆をはじめたの。このSSの内容を見てもらえればわかる通り秋子さんSS。しかし、そこで思わぬ落とし穴があったの。」
あゆ「落とし穴?」
香里「オチと出だしは決まったもの肝心の中身が全然書けなかったの?」
舞「バカ・・・。」
香里「それでも、なんとか毎日少しずつ書いたんだけど、TOSの大学の課題やら、新作のゲームプレイや、年末のイベントやらで全然進まなかったのよ。それでやっと出来たのが自分の誕生日なんだからマヌケよね。」
真琴「マヌケ〜(笑)」
佐祐理「香里さん、どうしてそんなに詳しいですか?」
香里「それはここにTOSのネタ帳があるから・・・・・・・・・・。」
全員「・・・・・・・・・・・・・」
栞「ネタと言えば、このSSのオチって夢オチですよね?」
名雪「一応ね。栞ちゃん。でも、落ちてないような気がするけどね。」
香里「ネタ帳によると、夢って書いてあるわ。それと、ここに変なことが書いてあるわ。」
佐祐理「変なことですか?」
香里「なんか、殴り書きだけど、汚い字ね。なんでも、今回の話は一応、パラレルワールドとのクロスオーバー?物らしいわよ。」
美汐「クロスオーバーなんですか?」
佐祐理「そういえば、夢の中らしき世界では秋子お母さんと祐一さんの間に血のつながりがありませね。」
あゆ「うぐぅ、よくわからない」
真琴「あう〜、私もわからない」
名雪「つまり、夢の中の世界はパラレルワールドとして存在していて、そこでも私達は家族なんだよ。ただ、それにお母さんが加わってるだけだよ。でも、話のつながりができないんじゃなの?香里」
香里「ネタ帳によると、夢の中の祐一はあの世界の住人で、精神だけが入れ替わったって書いてあるわ。ちなみに私達の世界の戻ってきたのは祐一がラブホテルで居眠りしたときみたいよ。」
佐祐理「だから、約束の場所に行けたんですね。」
美汐「つまり、痕のエルクゥネタみたいなものですね。」
香里「そういうことになるわね。」
真琴「美汐、痕って何?」
美汐「後で教えてあげますよ。」
佐祐理「それじゃ、秋子お母さんの最後のセリフって?」
香里「秋子お母さんだから・・・・・・・・・。」
全員「なっとく。」
名雪「あれ?へ〜そうなんだ。」
あゆ「名雪さんどうしたの?」
名雪「このネタ帳見てたんだけど、kanonネタでは私のネタが多いなぁっと思って。」
香里「そうよ、TOSは秋子お母さんと名雪、舞&佐祐理さん萌えだから。」
美汐「もしかして・・・・・。」
香里「そうよ、それ以外のネタは載ってなかったわ。」
栞・真琴・美汐・あゆ「お仕置きだね。」
香里「うふふふふふ。」
名雪「あ〜あ、いっちゃったよ。」
佐祐理「行ってしまいましたね。」
舞「みぐみぐ」
佐祐理「あれ、舞、おなかすいちゃった?」
舞「はちみつクマさん。」
名雪「あれ?」
佐祐理「どうしたんですか?」
名雪「変なこと書いてあるよ。『電波が届いた・・・・・・・・でも電波が俺を・・・・・・・・。』だって・・・・・。」
佐祐理「ご愁傷様です。」
舞「みぐみぐ」















秋子「私もあるんですね。楽しみです。」





 
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