5ボタン?親指トラックボール GM-520W 2010/1/9 最初のページに戻る |
待望の5ボタン親指トラボだったのに
この製品はかなり前から存在は知られていたのですが、やっと輸入されたので買ってみました。全く同じ製品をサンコーレアモノショップとサンワダイレクトで扱っている(あと上海問屋も)のですが、価格が2000円も違うのでいかにサンワマニアの自分でも安い方を選びます。あんまり評判が宜しくないというのも有りますし。
ちなみに、これはGloblink Technology Inc.という台湾のメーカーが製造してますが、今探したらサイトが見つからなくなってます。トラボはそれなりに製造してるメーカーなので大外しは無いかと思ってたのですが・・・
結論から書くと、このトラックボールはトラボ経験者の常用には耐えない、ややレベルの低い製品です。しかし不真面目な手抜きの結果というよりは、ノウハウ不足やちょっとした勘違いで損をしている部分が多いように感じます。つまり「もったいないなあ」ということです。
動作上の問題点は一にも二にも操球感が非常に悪い事です。後述しますが、自分が入手した個体は特にコンディションが悪いものだった可能性が有りますが、コンディションが良かったとしても大差無いと思われます。
操球感が悪いので他の部分を評価する気にもならないですが、4/5ボタンじゃなかったショートカット?ボタンの位置は置いておけば全体的な形状は悪くないと思います。
で、仕様上の問題点が4/5ボタンではなくてキーボードの機能キーを割り振ってる事で、トラボとしては3ボタンになっている事です。
しかし、普通に5ボタンにしておけば汎用性が高いものを、わざわざブラウザ起動のショートカットとか付けても誰も嬉しくないと思うのですが。5ボタンに追加してそれなら別に止めませんけど・・・
外観とかは三猫さんがやってくれると思う(この出来だと微妙かも知れませんが)ので、省略していきなり分解します。
裏のゴム足に隠れたネジ穴が5箇所有りますが、そのうちの3箇所しかネジで止まってませんでした・・・
まあ、強度不足は特に感じないので良いのですが。内部はシンプルですがスイッチは一応マイクロスイッチです。無線用の電池スペースが空いてます。
メインの基板は中央一点でネジ止めしてますが、強度が不足したのか、前方2点で接着剤で固定してます。光学センサは小型のトラボでも使われてる光源一体型のセンサです。デバイスのメーカーは良く判りません。 ボールは40mmと標準的(親指タイプとしては大きめ?)ですが、表面の平滑度はイマイチです。
それから、表面の透明な層が厚くて模様まで深いのが気になります。光学センサの挙動に影響しそうです。
この画像はボールの穴を裏から撮ったもの。
ボールは抜けない構造で、マウントの底のゴミ抜き穴?も有りませんが、ボールの穴の内側の周囲にはゴミ除け用なのかフェルトが貼ってあります。
・・・もちろん操球感には良い影響は有るはずもないのですが、もしかするとこれを設計した人はトラボのボールが抜けるのは必要悪なので、ゴミをシャットアウトすれば万事OKとでも思ったのでしょうか?抵抗が大きい原因の一つが判明。支持球が一個転がってました。2.5mmのステンレス球?ですが、マウントがかなり緩くて傾けると落ちるレベルです。
とりあえず、支持球を戻してボールを転がしてみますが、操球感はあまり改善しません。
良く見てみると、支持球の三点以外にセンサのレンズ付近がボールに接してます。クリアランスの設計をミスったのでしょうか?とりあえず三点支持に戻すべく、3mmのベアリング球に換装してみました。そのままだとマウントに嵌らないのでドリル歯で軽く抉ってます。
この状態でボールの動きは軽快にはなったのですが、新たなというか隠れていた問題が三つ顕在化しました。
問題その1:カーソルの挙動が悪化
数値化してないのですが、カーソルの挙動が悪くなりガサガサした感じに。センサからボールの距離が開いた(というか初期状態では正に接触してた)ので、ボールの模様が深い事の影響が出たのかと想像してストリームのボールに替えてみると、まあなんとか動くようにはなりました。
が、邪推するにセンサとボールの距離を離せない余裕の無さが、このクリアランスの無い設計を招いたのかなとか。
問題その2:支持球配置が水平なのでボールが跳ねる
センサと接する事で4点支持?だった時には判らなかったですが、三点支持にするとセンサが三点の外に有って、仮想床面と支持球の面がずれていてる為、特にボールを右に回すとボールが跳ねます。
重力方向との兼ね合いも有りますが、多分支持球の配置は仮想床面とあまりずれない方が良いと思われます。改善するには支持球の位置を移動する必要が有り、結構な大改造です。
問題その3:蓋を締めるとボールが押されて回らない
ボール周辺の余裕が無さ過ぎる為、0.5mm以下のボール位置の上昇で蓋から圧迫されて回転しません。まあ、改造した結果なので製品のせいにするのはアレなのですが、ボール周辺の設計に余裕が無さ過ぎる気がします。多分、ボールの穴を拡張して抜ける程度まですれば接触も無くなるのではと思われます。
もちろん、支持球位置をぎりぎり下げてセンサに接する直前まで近づける必要が有りますが、調整は面倒臭そうです。
で、改造して使うか?
以上の事から、改装・改造する項目としては、支持球の交換・ボールの交換・ボール穴の拡張・支持球位置の移動・5ボタンマウスのコントローラの移植による5ボタン化、といった事をすればかなり良い感じになりそうですが、そこまでする気にはならないですね、親指派では無いので。
それにしても、ボールの品質でどのくらいのコストアップになるのか知りませんが、それ以外の項目は最初の設計・仕様をちゃんとしてればコストは大差ないか、かえって安く造れたんじゃないかと思うのですが、多分トラボの事を中途半端にしか理解してない人が造ったんでしょうね・・・
ああ、もったいない。