■ ボリビアの警察官
ボリビアって警察官がとても多いんですよね。
たぶん職がないからだろう。 でも日本の警察官とはちょっと訳が違う。
威張ってないし、腰が低い。
金持ちは少なくとも警察官にはならなず、警察は育ちの貧しいインディオ系の人で構成されているから、
元々彼らは子供の時から裕福な家庭などの使用人として庭掃除、靴磨き、洗濯などのでっち奉公をして
生きてきたので、急に権力を与えられても腰が低い訳です。
ボリビアの警察官は一般の人でもお金さえ払えば雇えるため会社の守衛、家のガードマン、レストランの
ガードマン、コンサートの人員整理など何でも屋のようです。
さらに駐車場の管理人や、青空市場に出店されている店が夜に人がいなくなったら物が盗まれないように
番人をしたりもします。使いっ走りもさせられ、コピー屋に行ったり、金を両替しに行ったりと、私からすれば
警察にそんなことさせて良いのかという事も平気でしています。
しかし逆に、世間の目が警察だからといって厳しくありません。
仕事が終ってからだとは思いますが、警察の制服のままアイスクリームを歩きながら食べ、女の子と手をつな
いでデートをしています。
警察官だって普通の人間なんだから、別にそれは制服を着ているのが日本人の私にとって違和感があるだけで、
普通の事なのですよね。。
■ ボリビアの仕事と私生活
ボリビアって仕事と私生活の仕切りがないというか、とても自由なのです。
カップルなどは会社の入口まで手をつないで出社してきて、朝から熱いチューを交わしています。
ボリビアの昼休みは2時間あるので、みんな昼は家に帰るのだけど12時前になるとオフィスには奥さんや子供が
お父さんを迎えにきます。
ボリビア社会では家族が職場に来る事はタブーではなく、仕事中でも遊びにきたります。
極端な場合、職場は子供で保育園状態と化し、ものめずらしい日本人の私は子供達に囲まれるて質問攻めにあうって
こともあります。
あと、面白いのはタクシー。 週末などはタクシーの運転手は奥さんとか恋人とか子供を助手席に乗せて仕事をしています。
これってすごく合理的だと思いませんか?
話相手になるしデートしたり子供の面倒をみながら金も稼げるのだから、一石二鳥だよね。
客としても目的地へ移動できれば、それで良いわけだし、ボリビア社会ではそれを不愉快に思う人はいないみたいです。
でも、一回こんな事がありました。
タクシーに乗っていると、途中で運転手の彼女に道端で偶然あって、運転手は車を止め彼女を乗せて、何と私の行きたい
ところよりも先に彼女を送りに行ってしまったのです。
この時はちょっとカチンときましたが、一人の客を失って収入が減るよりも、恋人を家に送り届けたいって気持ちは素直な感情
だろうし、ボリビアではみんながそういった感じなので、持ちつ持たれつの関係がうまく釣り合っているのだと思います。
■ それぞれのクリスマス
私はボリビアに来てもう2回目のクリスマスを過ごしました。
最初の年はホームステーをしていたので、そこの家族と一緒でした。
12月に入ると家の中には大きなクリスマスツリーが飾られます。
その時はホームステー先の小さな3人の子供達と一緒に飾り付けをしました。
ボリビアではクリスマスイブの晩は、家族で祝うのが普通なで日本のように恋人同士のイベント的行事とは
明らかに異なります。
夜8時頃から教会で行われるミサに参加し、その後、家族そろって晩餐をします。
晩餐の前には、テーブルに座って横の人と手をつなぎあい、お祈りしてから食事を始めます。
そして恋人同士はこの家族の晩餐が終ってからお互いの家庭を訪問して挨拶をします。
2年目のクリスマスは一人暮らしを始めていたので、特に個人的にはクリスマスだからといって盛り上がることは
ありませんでした。
今いるコチャバンバの町はクリスマスのイルミネーションがボリビアで最も艶やかだそうです。
何故なら、イルミネーションコンテストのような物が政府主催であり、入賞した場合は税金がカットされるのだそうです。
普通の家では、家の淵や窓が飾られ、公園や通りの木には灯りが散りばめられ、警察の大きな建物までディズニー
ランドのようなメルヘンチックな飾り付けがされています。
このような艶やかな町でのボリビアで2回目のクリスマスは、さぞや盛り上がるだろうと夜の町に出かけましたが店や
レストランは閉められ、人々の姿はそこにはなく、静かな光景でした。
また、この時期町を歩いていて気づく事は、路上で物乞いをする人が多くなっている事です。
物乞いをしている人の多くはインディオ系の先住民で、母親が小さな子供を連れた家族が一番多いのです。
中にはまだ生まれて間もない子供を日本のフロシキのような布に包んでいる人もいます。
このような小さな子供達が親から最初に教わる事は、通りすがる人に手を上げて金をせがんだり、レストランで食事して
いる人に食べ物を恵んでくれとねだる事なのです。
元々、アンデスの奥地で自給自足の生活をしていた彼らは、そこで暮らす事よりも都会に出て物乞いをする事を選ぶよう
になっています。
確かに、町中には食べ物があふれ、わずかではありますが金を恵まれ、物乞いの人達が生きて行ける環境にあります。
アンデスの奥地での生活よりも安定し、楽なのかもしれません。
クリスマスの時期は、さらに山の奥地からこういった人々が物乞いに出てきます。
彼らにとっては、クリスマスシーズンは、かきいれ時なのです。
私は、日ごろ町中で物乞いをしている子供にお金をあげるような事はあまりしないのですが、クリスマスイブの夜は50Bs
札を全部1Bs(25円)のコインに代えて、町中の物乞いの子供達に一枚ずつ配りました。
これは全く意味がない事であると思っています。
ただの自己満足と何もしてあげられない事からの現実逃避の何事でもありません。
しかし、ボランティアとして日本の税金を使ってボリビアに来ているのに、町中で物乞いをしている子供達を尻目に、うまい物
を食べ、酒を飲み、裕福なエリート階級の人々と働き、優雅な暮らしをしているのが現実です。彼らにお金を与えた所で、何
の解決にもならないのに、手を差し出してくる子供達を無視できない時に気まぐれにあげているだけです。
クリスマスぐらい彼らにもサンタクロースが来ても良いではないかと思いお金を配りましたが、同じように沢山の人が私のよう
にサンタクロースになった気分で、お金を与えるので彼らはまた物乞いで生きて行ける手段を見つけてしまうのです。
クリスマスの時期にアンデスの奥地から、多くの家族が町におりて来るのはこうして簡単にお金が手に入るからなのです。
キリストも自分の誕生日がここまで社会に影響を及ぼすとは思ってはいなかったでしょう。
今は、宗教的意味合いよりも、経済的意味の方が大きいのではなかろうか?
別の視点でみれば、一年で一番金が出入りする日であり、クリスマスとは物乞いが一年で一番儲かる日なのである。
■ 学歴による身分社会について
日本における語学研修中に自己紹介として「私はインヘニエロです。」と言うように習った。
インヘニエロとはスペイン語で英語のエンジニアに相当する単語である。
しかし、ボリビア社会のみならず南米社会において、このインヘニエロ(エンジニア)という単語の意味は自分が理解して
いた意味とは非常に大きな違いがあると感じている。
協力隊員では技術系のエンジニアであれば、みんなインヘニエロと紹介するように教えられたのですが、南米諸国におい
ては、このインヘニエロとは学歴的な資格を意味し、少なくとも大学を卒業しバチュラー(学士)を有し、さらに企業で働きな
がら、その後技術学会において論文を発表し、タイトルを獲得して始めてインヘニエロという資格が与えられます。
それ以外の技術者は一般にテクニコと呼ばれ、ボリビアにおいて一流企業とされる現在配属されている企業においてですら、
インヘニエロは700人の従業員の中で50名程度の存在で、各部署の中心的役割を果しています。
この両者の職場における違いは、インヘニエロはネクタイを締め、パソコンに向い企画などデスクワークを行い、テクニコはジー
パンTシャツ姿で作業員として現場で働くといった具合に学歴によって与えられる仕事がはっきりと区別されています。
更に仕事以外の関係をみると、極端な例としてインヘニエロは現場に顔を出した時に、作業員であるテクニコにお金を手渡し、
ジュースや食べ物をおごったりし、そういった金銭的な上下関係もはっきりしています。
他には職場内の物を運ぶ、コピーといった個人的なことでも、インヘニエロはテクニコを使用人的に扱う傾向があります。
参考までに、収入的違いのイメージを下記に示す。
現配属先:C電話会社 月収
テクニコ(現場作業員) 4万円〜8万円
インヘニエロ(技師) 12万円〜18万円
管理者クラス 20万円〜30万円
現配属先は、コチャバンバ州で1、2を争う優良企業なので、収入はかなり高めであると思われる。
ボリビアの一般的な平均は不明であるが、他の協力隊員の配属先における平均月収は5000円〜2万円程度と聞く。