「レーシングラグーン」とは、スクウェアから99年に発売されたプレイステーション専用ゲームソフトです。 画面を見る限りは単なるレースゲームなのですが、実はレーシングRPGという珍しいジャンルのゲームです。 PCエンジン「ファイナルラップツイン」のクエストモードと言われて思い出せる人ならば理解も早いでしょう。 具体的にどの辺りがRPGなのかというと、まずゲームはフィールドと戦闘に分かれています。 市街地をクルマでうろつくフィールド画面で、他のクルマにパッシングをすると戦闘に突入。戦闘は一対一でレースをし、勝てばエンジン、シャシー、ボディといったパーツに経験値が入ります。 更にRP(RewardsPoint)というお金みたいなものが貰え、それを使って負かしたクルマからパーツを奪い取る事もできます。 そうして手に入れたパーツを自由に組み合わせて愛車をカスタマイズするのですが、これがなかなか楽しい作業です。 特に外観はレース中のポリゴンモデルで忠実に再現されるので、性能重視も良し、センス良くまとめるも良し、RRシャシー+トラックボディ+Cカーエアロでウケを狙っても良し。この辺りがシステムの要でしょうか。
また、シナリオ面では神奈川県横浜市をモデルにした架空都市YOKOHAMAを舞台に、10年前の「横浜最速伝説」の謎を巡る走り屋達の物語が展開されます。 で、その走り屋達のキャラが濃いというか凄いというか…とにかく個性的です。また、キャラに合わせて(?)台詞も弾けています。 「不敗記録だかなんだかしらねえが、てめえのレジェンドはここでTheEndってわけだ」 「ケッ!てめえグッドラックだな」 「あんなお祭りRACE程度でうぬぼれるなよ。祭りで踊れるのは、しょせんMONKEY DANCE……」 …まあ、そんな感じのテキストがてんこ盛りなのです。
ここまで読み進めて嬉しくなってきた貴方は、即ショップに走るべし。新品で買っても後悔する事はないでしょう。 逆に嫌な予感がしてきた貴方は、今すぐ電源を落として寝てしまうが吉です。今読んだ文章は忘れてください。 はっきり言っておきますが、「レーシングラグーン」は一般的に見ればバカゲーです。真面目にレースゲームをしようとして手を出してはいけません。 褒められない所はたくさんあります。ディスクの読み込みにかなりのストレスを感じる点や、レース部分の操作感が独特なので慣れを要する点などなど。 人によってはクソだと言い切ってしまう事も多分にあるでしょう。 しかし、良質でも没個性なゲームが多い中、これだけ強烈なセンスを発揮し、しかもそれなりに遊べるものは貴重です。アクが強い分、ツボにはまれば大受け間違いなし。それは保証します。 また、この作品はRPGかRCGかでゲーム雑誌とスクウェアがモメたとか、ゲーム中に登場する怪物GT-Rを実際に作っちゃったとか、本編以外の話題が豊富だった事も忘れてはなりません。 ありきたりのゲームに満足できない貴方、お一つ如何でしょうか? |