モノローグ3rd

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主人公「赤碕翔」のモノローグです。
役得なのか、文章は質、量ともに圧倒的。芸術の域に達しています。

冗談にしか見えねえが……
シナリオライターは本気のようさ……

ゲーム界の極北に燦然と輝くモノローグを、ここに一挙掲載!




……夢を見てたんだ……

俺は炎の中を走ってた
どこまでも……
熱さも感じねえ

……出口のない道を……
……走り続けて……

……朝なんてこなけりゃいい……

……そんなことを
願ってたんだ……

沢木の事故が起きたのは
現実のことだった……

醒めちまった夜の現実に
……俺たちは……
……戻された………

一人の走り屋の……
いないこの夜に……

コーナーにかかる重力……
重くてステアもまともに切れやしねえ

……重いのは、生命……
つなぎとめるのも
手放すのも……

……生命の重力……

気付いてなかったわけじゃないけど
俺たちは、そんなもんまで乗せて
走ってる……

−−−−−−−−−−−−−−−−−

………俺の感情………
自分でもぼんやりとしか
つかめねえ…この想い

ぶつけられるとしたら
ただひとりさ……

……藤沢先輩……

この街のどこかで……
今夜も走ってる

−−−−−−−−−−−−−−−−−

忘れられる……
走ってさえいれば……

いらだちにも似た焦燥感………
誰もが、まぎらわせてた

鋭角に刻む……
えぐるように回るエンジンの咆哮の中に……

−−−−−−−−−−−−−−−−−

ここで鈴木がさらわれた……
あの夜から
歯車が狂っちまった

RevengeNight……
復讐のレース……
いまは…どこにぶつけたらいい?

糸がぷっつり切れちまった
俺たちの思いを……

どこかにつながってた……

ただ感じるままに走る……
それだけなのかもしれねえけど

俺たちは…………
たったひとつのことを……
おいかけてたんだ……

−−−−−−−−−−−−−−−−−

ひんまがっちまった
ガードレールのようさ……

……今の俺たちは……

沢木のSil-14Qのガラス片……
ふみにじる靴……

そうさ……あれは
夢のかけらさ……

スピードに賭けた
沢木の……
俺たちの……

……夢のかけら……

……俺たち、走り屋の……

……誰もが持ってる夢……

『……なあ、オレたちはよう!
速くなりてえ
それだけで走ってる……
……自分より速いやつにあこがれて
いつかよう、そいつより
速くなれればそれでいい……
……負けたら負けたで
ガキの喧嘩みたいに
笑いあってよう……』

そうさ……沢木……
走るのは、簡単なことだって
思ってたよな……

−−−−−−−−−−−−−−−−−

沢木の事故ったコーナー……
BLTowerのサーチライトが
照らしてる……

いつもと変わらず……
虚しい光に
何の意味なんてありゃしねえ

……街の神話ってやつさ……

このタワーが着工停止になったのには
理由があるっていう……

沢木の事故が……
この街の大多数の人間にとって
そうであるように……

とるにたらない理由なんて
覚えちゃいられねえのさ

−−−−−−−−−−−−−−−−−

「沢木の事故ったコーナー……
BLTowerのサーチライトが
照らしてる
いつもと変わらず虚しい光に
何の意味なんてありゃしねえ」

−−−−−−−−−−−−−−−−−

昨日はここで海を見てた……

偽りの街なら
壊れちまえばいい

……昨日の海も……
昨日の……夜も……

海に揺れる……
虚構の現実だとしたなら……

壊すのは
簡単なことだったはずさ……


「………暗い海に
俺の言葉は吸い込まれて
消えちまう……
そうさ……
海はなにもかも飲み込んで
返るものはない
だけど……
それが海の優しさってやつ
なのかもしれねえ
今夜は、特に
そんな風に思えるのさ」

−−−−−−−−−−−−−−−−−

…………昨日の夜…………

……この外国人墓地の辺りに……

……石川たちの車が停まってた……

…あいつらはこんな風に言ってた…

石川弟
「うまくいったのかよ?」


石川兄
「レディ・ゴーだぜ
まかせとけって
アイツは、単純
熱血バカだからな……
今夜のリベンジレースは
ショータイムになるぜ……」


石川の言った言葉……
今度は茶番なんかじゃなかった

俺に聞かせるために……
俺が近づいているのを
知りながら……

あいつは言った……
……『ショータイム』……

……意味のない言葉なのか……

あいつのSHOWの観客になるのは
まっぴらさ

踊らされる……
道化になるのも

−−−−−−−−−−−−−−−−−

「JOHNNY’Sの三原……
無料の笑顔も今夜は
オーダーストップさ
店の雰囲気が暗いのは
照明のせいじゃない
笑顔の値打ちも
それなりにあるってことか……」

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HARVORVIEW PARK……
俺がBayLagoonRACINGに入るって決めた時
藤沢先輩が話してくれたことがある


藤沢
「走りを追うことは
いつだって死を意識する
そういうことだ


だけど……それを……
走りの恐怖を……
忘れることもな、あるんだ


スピードの中に自分が消えちまって
どこまでもいける……そんな気になる


シグナルRED……
夜の闇にぼんやりと明滅する
赤い光…………


そんなとき、オレは……
HARVORVIEW PARKに来て
高速の車の流れを見つめるんだ


高速に列をなす光の中に
……オレが走ってる……


そんな気がしたら、オレは
……また走り出す……」



藤沢先輩でも走りをこわいなんて
思うことがあるのか……

……オレは漠然とそんな風に思ったんだ……

(原文まま)
−−−−−−−−−−−−−−−−−

……そうさ……
俺は……
何も言えなかった

……藤沢先輩の
でっけえ背中……

シートにこすれて
すりきれちまった
BLRの皮ジャン……

……どこまでも
行けるところまで……

追いかけて、走る……

追いつけるかなんて
わからねえ……

それに意味があるかなんて
わからねえさ……

誰にもな……

だけど………………

……たったひとつ
わかったことがある……

……走るのに……
理由なんていらねえんだ

そんなもんはあとから
ついてくる……

それだけで十分さ……

……どこかでエンジンの音が
聞こえてた……

俺の身体のどこか奥深くで……
静かに脈打ってる……
鼓動の音に混じりながら……

…………確かに…………
聞こえた気がするんだ……

−−−−−−−−−−−−−−−−−


























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