「台湾ポップス認知度向上委員会委員長報告書」

 廢物楽隊(Feiwu)「跳火圏(ring of fire)」


 最初に言っておきます。これは「ポップス」ではありません。パンクです。パンク。そう、セックス・ピストルズとか、そういうやつ。ギターをかき鳴らし、ドラムを叩きまくり、ベースをブリブリいわせ、ヴォーカルはただひたすら怒鳴り散らす。「世の中なんてクズだぜ!大人は皆嘘つきだ!こんな世の中ぶっつぶしちまおうぜ!うおりゃああああああ!!!」という(?)パンク・ロック。懐かしいという方もいらっしゃるかもしれません。が、最近はそんな不満たらたら主義主張を怒鳴り散らすのはあんまり流行りません。この「廢物楽隊(Feiwu)」もそんなバンド。音楽的にはいわゆるアンダーグラウンド・ロックとでも言えばいいでしょうか、オルタナティブロックの現在進行形。低音のエフェクトをかけ、うねるようにかき鳴らされる重低音ギターに、ぶりぶり太い音で弾かれるベース、打ちまくりドラムス、怒鳴るようなヴォーカル。でも、社会への不満などは特に歌ってはいないとの事です。

 メンバーはアメリカ華僑を含むアメリカ(もしくは在米)人3人と台湾人1人からなっています。うち1人はこのアルバムが出る前にバンドを脱けてアメリカに帰っちゃったそうです。パンクだなぁ(笑)。で、曲紹介。

 全12曲中、中国語と英語詞が半分ずつです。
 1曲目(中)「又在一起」は、うねるようなギターと太いベース、ドラムと上手くないコーラス(笑)。典型的な勢いで押しまくるパンクロックサウンド。

 2曲目(中)「Cuckoo For Coco」は台湾の女性歌手Cocoこと「李(王文)」に捧げる曲。カナダのロックバンド、Barenaked Ladiesのような冒頭から、突如ハードな音に変わる。「Coco、どうか僕のものになって」という切ない中盤の語りがなぜか笑えます。

 3曲目(英)「Not The Way」は切ない感じのスローバラード。マーチングバンドのようなリズムを刻むドラムが印象的。

 4曲目(中)「宿醉的時候」は1曲目のようなうねるようなリズムとギターが特徴。

 5曲目(中)「(父/巴)(父/巴)別打我」は快速テンポが気持ちいい曲。途中シンセやテープの逆回転を利用するなどお遊び的要素もあり。でも歌詞の内容は重いかも。

 6曲目(英)「Flight of the Parrot」は初期のブルーハーツにも通じるハネるようなドラムとギターのリズムが特徴。

 この7曲目から最後の12曲目まではライブ録音。
 7曲目(英)「Clique Girl」、8曲目(英)「Hey Buddy」、9曲目(英)「Booty Call」までは音質悪し。7曲目ではハウリングも頻繁に聞こえます。ドラムとベースしか聞こえません。会場のあちこちから叫び声も聞こえる狂乱のライブ。

 10曲目(中)「這不是一首芭樂歌」は優しいギターソロで始まり、突然ノイジーなギターが活躍する疾走パンクロックへ。

 11曲目(中)「我愛台湾(口卑)酒」、冒頭はのどかな曲調ですが突然、一転してやっぱり疾走パンクロックへ。会場はまたもや狂乱状態。

 12曲目(英)「Push Cart」。冒頭から疾走パンクロックで突っ走ります。何がなんだか分からないうちに曲は終了。メンバーの「謝謝 very much!」の挨拶で幕。

 と、いう風に従来の台湾の大衆音楽のイメージから大きく外れた本格的アンダーグラウンドロックを聞かせてくれるこのバンド。音造りがほとんどアメリカンなので、台湾ポップスの特徴である歌謡性を期待すると大外しするでしょう。どちらかというと、中華ポップスを聞きたい人よりも英米のアンダーグラウンドロックやパンクロックが好きな人にお薦め。台湾ではおそらく売れないでしょうが、こういうバンドがCDを出せるという事はとっても大事な事だと思います。この音造りでもうちょっとポップさというか、歌謡性があれば受けるんじゃないでしょうか。


廢物楽隊(Feiwu)のwebサイト(BIG5フォントが必要)

http://www.hsiung.net/feiwu/index.html
〜オフィシャルサイト。メンバーのメールアドレスなんかもあります。


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