フラクタル

フラクタルという概念は、1975年にフランス人のマンデルブロによって初めて生み出されました。
彼は理論経済学、統計物理学の研究を経て乱流の研究をしているうちに、いたるところにある「自然界のフラクタル現象」に気づき、その数理を研究するようになりました。
はじめのうちは周囲の興味をひかず苦労したようですが、その後、著書「自然界のフラクタル幾何学」(The Fractal Geometry of Nature) (1983)をきっかけに一躍フラクタルは日の目を見るようになりました。
そしてコンピューター・グラフィックスの進歩と相まって、それ以後、世界中の各分野で研究され始めました。
"フラクタル (fractal)" という言葉は、彼がラテン語の「fractus」(断片的)から創った言葉です。
フラクタル図形は普通の図形と異なり整数でないハウスドルフ次元(フラクタル次元)と呼ばれる次元の図形であり、また「自己相似」とよばれる性質をもっています。
「自己相似」とはある図形の部分が全図形の縮小された像になっているもので自然をはじめ複雑なものにはこの性質をもったものが数多く存在します。

フラクタル物体は自己相似で、遠くから見ても、近くから見ても、同じように見えます。
接近して拡大して見ると、遠くからは構造がなく思えた部分が全体を概観した形と同じになるのです。
山や木、海岸線や雪の結晶などの自然構造は不規則で自己相似形で、全体の一部分をどんどん拡大してみても最初のものとほとんど同じものが現われます。
そのほかシダ、ブロッコリー、カリフラワーなど自然界にはフラクタルの例が多く見うけられます
最近フラクタルは様々な分野の人々から注目されていますが、これは観測技術の進歩などで自然の中にあるフラクタル図形をとりだすのに成功したこと、また、なによりもコンピュータの発達により多くの人が美しいフラクタル図形を楽しむことができるようになったことが要因として考えられます。
上段の図形の全体構図をそれぞれに枝に置き換えてみると下段図形のようになっていきます。
さらにその小枝に全体の構図を置き換えるといった具合に何回か繰り返すと、下図のような生物的デザインが完成します。

フラクタル幾何
三陸地方のリアス式海岸やノルウェーのフィヨルドなどの海岸線を地図の縮尺を変えながら見ても、そこには類似の構造が再帰的に現れます。
すなわち、地図上のスケールはこのような海岸線の特徴を表現するためには役に立ちません。

一方で、フラクタル図形の例として知られるコッホ曲線(von Koch curve) は、どこかしらこうした海岸線の特徴をよくとらえているように思われます。
下図のように、コッホ曲線は線分のそれぞれの部分を1/3倍の長さの4つの線分で置き換えていく操作を繰り返すことによって得られる図形で、いたるところ微分不可能で、しかもトポロジカルには曲線のままでありながら、その全長が発散するような、一見常識的ではない性質を持ちます。
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