痕SS千鶴さん騒動記
第1章
「お兄ちゃん、耕一お兄ちゃん朝だよ」
「んん?」ま眩しい。
「目を覚まして」この声は初音ちゃんか。
朝日が雪に反射して目が覚めるような眩しさ。そんな俺を見て初音ちゃんはクスクスと笑う。
「初音ちゃんおはよう。」
寝ぼけ顔で挨拶すると初音ちゃんは。
「おはようお兄ちゃん、頭ぼさぼさだよ。」
笑顔で答えてくれる、朝からこの天使の笑顔が見られるのも幸せだよな。
「朝ご飯ができたよ、梓お姉ちゃんが起こしてこいって。」
「早く来ないと、梓お姉ちゃんお玉を持ってくるよ。」
笑いながら初音ちゃんが言ったこの一言で一気に目が覚める。
「まずい、顔を洗ったらすぐ行くから。」朝から梓に殴られるなんて真っ平だ。
「うん、早く来てね。」パタパタと足をとをさせて初音ちゃんは居間に行った。
布団から出ると北国の冷気が体を包む。
「う〜寒」ぶるぶると震えると同時に尿意が・・・
寒さに震えながらトイレから出ると鬼の叫び声じゃなかった、
梓の怒鳴り声が居間から聞こえた。
やばい、早く行かないと本当にお玉が飛んでくるな。
俺はさっさと着替えて居間へ行った。
あの夏の日から3ヶ月たった冬休みを利用して俺は4姉妹の待つ柏木家へやってきた。
また来ることを、みんな喜んでくれたし、みんなの顔が見られるのがなにより嬉しいもんな。
だけど、一番喜んだのは千鶴さんかもしれない。
「う〜ん、ここもなにも変わらないな。」
「耕一さんが来るので、撮っておきの料理を用意しときましたからね。」
嬉しそうに話す、千鶴さんだったけど後ろで引きつった笑顔の3姉妹がいる。
俺もその瞬間背筋が寒くなった。
「そ、そう・・・・・・ハハハハハ。」
「耕一さんなにか不満でも?」
う、千鶴さん鋭い。
「いえ・・・・・・・・・楽しみにしてます・・・・・・・・・。」
その夜千鶴さんは、気分が悪いといって部屋で寝ていた。
そのことをもっと気にしていたらあの騒動は、なかったのかもしれない。
「おはようさん。」
「おそいぞ、こういち〜」う、悪寒が走る。
「ス、スマン」俺はこれを言うのが精一杯だ、梓の目が赤く光っている。
「梓お姉ちゃん、お兄ちゃんもう来たんだから許してあげなよ。」
苦笑気味に言う初音ちゃん。
ありがとう初音ちゃん、本当にやさしい子だな。
「耕一さんおはようございます。」にこっと笑う楓ちゃん。
「おはよう楓ちゃん、ところで千鶴さんは?」
「お姉ちゃん部屋にいるの」
「千鶴さん風邪でもひいたのかな、初音ちゃん?」
「気分が悪いんだって」
もう年末だと言うのにかわいそうに。
「じゃあとで、部屋に行ってみるよ。」
「うん、そうしてあげて。」そのとき、千鶴さんが居間に入ってきた。
「おはようございます。」なんか顔が青いな。
「千鶴さん、風邪だって?。」
「耕一さん。おはようございます。」千鶴さんの顔が緩む。
「千鶴姉、大丈夫か〜。」梓が台所からお味噌汁を抱えてやってきた。
「うん大丈夫よ、熱も無いし。ただ気分が悪くて吐きそうなの。」
「無理すんなよ今日は会社休むんだろ、耕一看病頼むな。」
「おう、任せとけ。」
「ちょっと梓、耕一さん昨日ついたばかりなんだし疲れているでしょ。」
「耕一も柏木家の一員なんだから、それにこっちは正月の準備で忙しいし。」
「そうだよ千鶴さん、俺が看病してあげるから。」
自然に顔が緩んでしまう、いかんいかん。
「そう、それじゃ・・・・うっ」手を口に当ててはきそうになる千鶴さん。
「千鶴さん!大丈夫?」そのまま、洗面所に走っていってしまった。
・・・・・・風邪なのかな?
「千鶴姉さん、おめでたなんじゃ?」
独り言のように楓ちゃんがつぶやいたとき、俺達3人は凍りついたかのように固まってしまった。
頭のなかがぐるぐる回転し出す。いま12月だろあれから3ヶ月じゃないか。
あってる、時期としてはぴったりかもしれない。
「おめでた?じゃ父親は誰だ?」梓が叫んだ時、3人の目が俺のほうに注がれる。
「ははは、・・・・う」俺はこう呟くのが精一杯だった。
視線が痛い。
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