痕SS千鶴さん騒動記
第2章
「それで耕一、思い当たる節でもあるのか?」
梓が落ち着いた声で言った。
楓ちゃんも初音ちゃんも息を飲んで俺を見つめている。
「ふ、節なんて思いつかんぞ。」
「こ、う、い、ち、く、ん、隠さず話そうね〜。」
その瞬間、居間の気温が3度下がったような気がした。
見事じゃないか、千鶴さんの十八番が出来るようになるとは。
なんて思っている状態じゃない。
「楓、初音!耕一を押さえるんだよ!」
「う、まてまて、俺はなにも悪いことはしてないぞ!」
むなしい、抗議の声をあげた俺だった。
「お兄ちゃん、ゴメンネ」と初音ちゃん。
楓ちゃんも申し訳なさそうな顔つきでやってくる。
「オイオイ、はやまるな、ナ、ナ。わ〜!」
1時間後、あの夏の夜の出来事を吐かされてしまった。
「すんだ事は仕方ない、耕一も千鶴姉もしょうがないな。」
「ありがとう、梓。」
おれは、息も絶え絶えの状態で言った。
「どうするお姉ちゃん。病院どこかやっているかな?」
「う〜ん、楓知ってる?」
「・・・・知りません。」
「救急病院が無いのか?」と俺。
「それがどこか分からないんじゃ無いか。」
あきれた、と言う顔で俺を見るな梓。
「ねね、千鶴お姉ちゃん悪阻じゃないかな。」
家庭の医学を抱えながら話す初音ちゃん。
「どれどれ、う〜んそうみたいだな。」
俺達4人がわーわーやっているところで
「何を騒いでいるの?」
そこへ千鶴さんがやってきた。
「もう、4時だけど・・・」
「そんなことを言ってる場合じゃないだろ、千鶴姉。」
「お姉ちゃん、病院行こう。」
「なんで、初音。寝ておけば大丈夫です。」
「千鶴姉さん、赤ちゃんを見てもらわなければ。」
心配そうな楓ちゃん。
「赤ちゃんて何?」きょとんとした千鶴さん。
「悪阻だろ千鶴姉。」
「俺が連れて行くよ。」
「ちょっとちょっとみんな待って。違うわよ。」
「違うって、千鶴さん!」
「おめでたじゃ無いのか?」
「あの、・・・・・」顔を赤くして言いにくそうな千鶴さんだった。
「昨日ね会社でお正月料理の会議があって、おもち食べ過ぎちゃって・・・・・・・」
「そ、それじゃ本当に気分が悪いだけ?・・・・・・・・・」
「はい。・・・・・・」
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「俺はなんで殴られたんだろう」みんながずっこけているなかでこう呟くのがやっとだった。
「みんな大丈夫?しっかりして!」
千鶴さんだけが、わけもわからずおろおろとしていた。
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