Tiger Airways 1st Flight Report


2004年9月。シンガポールに2つ目のバジェットキャリアが誕生しました。
シンガポール航空を親会社に持つ『Tiger Airways』です。
すでに、AirAsia, Valuariと2社のバジェットキャリアが就航している
SIN−BKK線に、1日3往復で就航。
そんなTiger Airwaysの1stフライトのレポートと
バジェットキャリアの今後について考えてみました。


※残念ながら私のデジカメが死亡。画像がほとんどありません。※



2004年9月15日水曜日。航空業界の歴史に新たな1ページが書き加えられようとしている。
Tiger Airwaysの就航だ。
BKK線は1日3往復なので、初日のファーストフライトと最終フライトを予約することにした。
8月31日に売り出したS$1の航空券は手に入らず、
往復で税込みS$159、約1万円の航空券となった。

ファーストフライトは8時45分発。チェックインカウンターは2時間前に開くとのことだったので、
パヤレバ駅から始発電車に乗り、6時25分ごろにシンガポール・チャンギ空港に到着すると、
チェックインはすでに始まっていた。列に並ぶこと十数分、航空券をゲット。
バジェットキャリアのTigerAirでは、コンピュータを一切使わない、アナログ方式を採用。
チェックインの作業は、あらかじめ打ち出された搭乗者リスト(予約者リスト)の中から、
名前を探し、あらかじめスタンプを押して作成済みの航空券が手渡される。
(もちろん機械読み取り式でない、ただの紙の航空券)
その搭乗券には、チェックインをした順番が記されており、チェックインした順に
搭乗できるようになっているらしい。ちなみに私は21番だった。

4ヶ月前のValuairの就航時は、チェックインカウンターの周辺に何台かのTVカメラがあり
報道陣の姿が見えたものだが、今日はマスコミ関係者らしき人は一人もいない。
今日は記念日ではなく、ただのオペレーションの1日に過ぎないようだ。
また、オープニングセレモニーは、まだ準備段階で、朝8時台という1stフライトに
あわせてではなく、午後の2ndフライトか3rdフライトにあわせて行われるらしい。
(おそらく、報道陣はそのときに現れていたのだろう。)

搭乗口に就航記念の垂れ幕のようなものもなく、
もちろんファーストフライトの記念品なんかもない。
普通のセキュリティチェックと、普通の搭乗エリアのシーンだ。
ちなみに、搭乗口では、普通機械に搭乗券を挿入して、搭乗の確認をするのだが、
TigerAirでは、升目に1番から180番まで番号が記載された1枚のシートがあり、
搭乗口を通過する客のチェックイン番号を確認していく完全アナログ式を取っていた。

8時25分、予定より10分遅れて搭乗開始。
まずは、子供連れのグループからの搭乗。その後、チェックイン順にボーディングに
なるのだが、初めが『1番から60番』だったので、おそらく、次が『61番から120番』
最後が『121番から180番』となるのだろう。
座席はFree Seatingだが、AirAsiaのように、搭乗口で早い者順みたいな感じで
先を争って列を作るのは見苦しいので、そういう意味ではこの方式はありだと思った。

8時40分ドアクローズ。搭乗率8割といったところか。
フライトアテンダントは、白のブラウスに、タイガー模様のスカーフをしている。
彼女たちの最初の仕事は、免税品カタログを搭乗者に手渡す作業だった。
8時48分プッシュバック開始。9時丁度にテイクオフ。
まだ上昇中に早々とベルトサインが消え、有料のドリンク・軽食販売と
免税品の販売が行われた。
フライトアテンダントのみなさんは、かなり積極的に免税品の販売を行っており、
もしかしたら、給料は歩合制か? と思わせる一面もあった。
免税品の販売はAirAsiaやValuairにはない、バックにSQがついている
TigerAirならではの行為といったところか。

2時間10分の飛行時間の後、バンコク・ドンムアン空港に到着。
もちろん、Valuairの時にはあった、到着ゲートでの歓迎セレモニーもなく、
普通の空港の1日であった。ただ、いつもとちがったのは、
イミグレーションで、係員がTigerAirの搭乗券を見て、
なんじゃこりゃ?って言っていたことぐらいだろうか。



半日をバンコク市内で過ごし、午後8時30分のラストフライトに乗るために空港に戻ってきた。
タクシーの窓からTigerAirの表示を探したが、どこにもまだ記されていなかった。
時刻は午後6時50分。行きとは打って変わってがらがら。
チェックインの番号は9番。60番以内に入れば、何番でも結局同じであることは、
行きのフライトで確認済み。
搭乗開始は午後8時5分とのこと。
タイでは、出入国の時に、フライトナンバーをパスポートに書き込む。
私のTigerAirの搭乗券をみた係員は、となりのスタッフに、
『TigerAirってやつのコードは、TRでいいのか?』
みたいなことを聞いていた。事前にちゃんと勉強しとけよ。

8時過ぎに搭乗口へ行くと、まだ飛行機は到着していない。本日3便目のBKK行きが
ゲートに到着したのは、8時15分だった。
その後、社内清掃が済んで、8時25分やっと搭乗開始。でも8時30分、定時にドアクローズ。
それはなぜか?乗客が私を含めて14名しかいないから。
就航初日のフライトで、搭乗率1割以下って・・・にわかに信じられない。
その後プッシュバック開始、テイクオフは8時48分。
時差が1時間あって、シンガポール到着が午後11時46分でした。





残念ながら、SQというバックがついていながら、
用意周到のオープニングという訳にはいかず、スタッフ皆が手探り状態で
オペレーションを行っている・・という印象を受けた。
そして、帰りのフライトで直面した不安、それはTigerAirのマーケティングである。

今年2月にAirAsiaが、そして5月にValuairが小さな機体に格安価格で
SIN-BKK線に就航した。
この路線は、シンガポール、タイ、それぞれのナショナルフラッグである
SQ、TGが合計1日13往復している巨大マーケットである。
B747が4便、B777が7便、A300-600が2便、供給座席はざっと4000席以上。
ロードファクターが50%だったとしても毎日2000人以上が利用している路線である。
そこへAirAsiaはB737、ValuairはA320でどちらも1日2往復。供給座席は300席前後。
この2社の狙いは、TG、SQをはじめとする既存のキャリアの切り崩しではなく、
新たな需要の創出にあった。
この点で、成功しているのは、『格安』を前面に打ち出しているAirAsiaであろう。
Valuairが、『既存のサービスの簡素化』を考えているのに対し、
AirAsiaは、『バス旅行並みの運行上必要最低限のサービス』という視点で、
価格こそが最大のサービスである、という持論を持っている。(と思われる。)
そこで、本来だったら、BKK行くなんて考えなかったSingaporeの人々に対して、
「ゲンティンハイランドにバスで行く料金でバンコクに行かれるなら」と、
週末の過ごし方に新たな選択肢を与え、需要を創出してきた。
ここで、中途半端な立場に立たされたのがValuairである。
Valuairは分かり易い料金設定を売りにしており、超格安プロモーション料金
などは存在しない。基本的にいつ予約しても2種類の料金しかない。
『バジェットキャリア』としての料金のインパクトではAirAsiaにはかなわない。
そして、当初もくろんでいた、SQ,TG利用者の切り崩しも思うように進んでいない。
公にはロードファクターは75%を超えるといっているが、
私が先日乗ったBKK-SINの搭乗率13%は、あの時だけの偶然ではないと思われる。

ここに、バジェットキャリア3社目として参戦したTigerAir。
前の2社が、大々的なプロモーションなどせず、静かに就航を迎えたのに対し、
TigerAirは、S$1というプロモーションで話題づくりを行い、
日本のマスコミにも紹介されるに至っており、就航前の注目度という点では、
前の2社をはるかに凌いでいた。
ところが、である。S$1で完売したプロモーション料金のあと、S$60〜と設定した
料金では、ほとんど客が集まらなかったと見え、S$60に戻した1週間ほど
後になって、VISAカードとのタイアップでS$40というプロモーションを再度設定した。
これでも、十分に集客できなかったと見え、
就航前日の14日でさえ、1日6便のうち満席は1便もなかった。
しかも、私が搭乗した最終便の搭乗者数は14名、である。
Valuairではなく、AirAsiaとまったく同じ土俵に上がろうとしているが、
出足から躓いてしまった形ではないだろうか。
そして疑問なのが、TigerAirの機材の座席には、
ミュージックサービス用の機能がついているのである。(新造機のハズなのに。)
コストパフォーマンスを前面に出しておいて、このハードへの投資は疑問である。
(しかも、機能があるだけで、サービスは行われなかった。)
『格安』に徹しているAirAsiaと、ブランドイメージが邪魔しているのか、
格安に徹しきれていないTigerAir。差は歴然だ。

実は、このTigerAirの就航で、美味しい目を見たのがValuairである。
TigerAirが、AirAsiaと価格競争で真っ向からぶつかったのを見て、
Valuairは、『ワンランク上のバジェットキャリア』であることを前面に打ち出した
広告宣伝に切り替えてきたのである。
そもそも、「FreeSeat、ドリンクなし、ミールサービスなし」のAirAsiaと、
「FixedSeat、ドリンクサービス、ホットミールサービス」のValuairが、
おなじ「格安航空会社」という土俵で話をされては、Valuairが分が悪いに
決まっているのである。
なのに、今までValuairは、なぜかそういうAirAsiaとの違いについて、
広報をしてこなかった。
Valuairは、TigerAirが就航してくれたおかげで、自分自身の本来の立ち位置を
見つけられたのではないか、と思われる。
おそらく一般市民もAirAsiaとValuairのサービスの違いについて知る人は
ほとんどいなかったに違いない。
すでにマレーシアで19機を運行しているAirAsiaのイメージがあまりにも巨大なため、
おそらく、「Valuairも同じ系列の航空会社」と食わず嫌いを作ってしまっていた気がする。
ここで本来の、今までTG,SQを使っていた層2000人の中からたった300人を
切り崩すことができれば、Valuairの将来は明るいのである。

TigerAirは、年末までに現在2機の機材を4機体制とし、Singaporeからの
デスティネーションを10ヶ所としたいと言っているらしい。
まあ、財務体制は他の2社に比べたら磐石なのかもしれないが、
年末にはQF系のバジェットキャリアも参戦が予定されている。
航空会社の生き残り競争は、まさに始まったばかりなのでしょう。




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