ある夏の日(二部)

 

 

 

 

ゆさゆさ・・・ゆさゆさ・・・

 

「ねぇ、祐一君起きてよ、今日買い物に付き合ってくれるって言ったよね」

 

ゆさゆさ・・・ゆさゆさ・・・

 

「うぐぅー、起きてよー」

 

・・・ん、誰かに揺すられてる気がするな。

 

ゆっくりと目を開けてみると、目の前にあゆの顔があった。

 

「あ、やっと起きてくれたよ。今日は買い物に行くんだよ」

 

買い物?そっか昨日買い物に付き合えとか言ってたな。

 

「眠いからいかない、おやすみ」

 

「うぐぅ、おやすみじゃないよぉ、約束したんだから行こうよぉ」

 

「あーうるさいなぁ、お前が買いに行くの水着なんだろ?男の俺が一緒に行ってもしょうがないじゃんか。名雪にでも頼めばいいだろ?」

 

「え、名雪さん?もう起きてるよ。名雪さんも一緒に行くんだよ」

 

「そうなのか、じゃあやっぱり俺が行く必要はないみたいだな。おやすみ」

 

「うぐぅー、だから寝ないでよぉ」

 

「あれー、祐一まだ起きないの?」

 

「あっ、名雪さん」

 

「ん、名雪か?お前が行くんだから俺が行くことないだろ、二人で行けよ」

 

「祐一。約束したんだから行かないと駄目だよ。それに・・・」

 

「それに・・・何だよ?」

 

「今日お母さん、帰りが遅くなるんだよ。だから夕飯は私が作るの。・・・祐一、一緒に行くよね?」

 

「・・・お供します」

 

くそっ、俺は無力だ。

 

「ぼくも作るの手伝うんだよ」

 

「いらん」

 

「うぐぅ、酷いよ。ボクだって練習して上手くなったんだから」

 

「いいよ、あゆちゃんおいしいもの作って祐一びっくりさせちゃおう」

 

「うん、そうだね」

 

「じゃあ着替えたら、下に降りてきてね祐一」

 

「あぁ」

 

さて、起きるか。

 

着替えて、洗面所で顔を洗って、歯磨き、寝癖を直す。

 

よし、居間に行くか・・・とその前に部屋に戻って参考書取ってこないと、はぁ受験生は大変だな。

 

「あっ、祐一やっと来た、まっててねもうすぐ出来るから」

 

「あぁ、皿でも並べてるよ、ところで何作ってんだ?」

 

「スパゲティだよ」

 

ほらっ、と言ってスパゲティ用のパスタを見せてくれる。

 

・・・・・・見るからに手作りだった。

 

この家の食材はほとんどが手作りのようだ。

 

でも、いつどこで作ってるのだろう。

 

「名雪、秋子さんはいつ手作りの食べ物を作ってるんだ?場所だってこの台所じゃ狭いんじゃないのか?置く場所だってないし」

 

「それはねぇ、私もよく知らないんだけどお母さん専用の地下室があるらしいんだよ」

 

・・・地下室??そんな馬鹿な。

 

でも秋子さんだからな、ありうると言えばありうるな・・・あの人は本当に何者なんだ。

 

・・・深く考えるのはよそう、後が怖い。

 

「飯は後どれくらいで出来るんだ?」

 

「うん、あとちょっとだよ。もう少し待っててね」

 

「じゃあ、居間のソファにいるから出来たら呼んでくれ」

 

「うん、わかったよ」

 

さて、軽く問題でも解いてるか。

・・・・・・全然駄目だな、英語はやっぱり苦手だ。

 

世界史だけの受験ってどっかにないかな。

 

「祐一―出来たよ」

 

「おぉ、今行く」

 

「おぉ、上手そうだな。名雪は料理上手いからな」

 

「うん、料理は得意だよー♪♪」

 

「「「いただきます」」」

 

うん、やっぱり名雪の作った料理は上手い。

 

「祐一君、ボクの作ったのも食べてみてよ」

 

あゆの作ったのはミートソースだが、少し焦げていた。

 

でも最初の頃に比べれば格段の進歩だな。

 

「少し焦げてるけど上手いよ。やるじゃないか、あゆ」

 

「うん、秋子さんにたくさん教えてもらったから」

 

もしかして、あゆって結構器用なのかもしれないな・・・っ!!

 

「う!!何だこれ?」

 

口の中の物を出してみる・・・・・・木??

 

よく見たら、菜箸の先っぽが折れたものだった。

 

「何で、こんなものが入ってるんだ?」

 

「え、えとそれは炒めていた時に菜箸が折れちゃって、探してたんだけど見つからなくて、うぐぅ、ごめんなさい」

 

「いやいいよ、こんなのは不可抗力だ。料理が上手かったことに変わりはないんだしな」

 

「うん、ありがとう祐一君」

 

ん、なんか名雪がこっち見てるな、感想を言ってもらいたいらしい。

 

「名雪のもおいしかったぞ」

 

「うん、嬉しいよ」

 

たったこれだけの言葉なのに名雪は満面の笑みを浮かべる、何がそんなに嬉しいんだか。

 

「「「ごちそうさま」」」

 

「よし、それじゃ飯も食ったし行くか、ってやっぱり俺も行かないと駄目か」

 

「うん、約束したもん」

 

「そうだな、でも俺が一緒にいく理由があるのか?」

 

「うん、帰りに夕食の買い物もあるから祐一には荷物持ってもらわないと、今日はごちそう作るんだよ」

 

「わかった、それじゃ行こうか」

 

「「うん」」

 

「ところで、どこまで行くんだ?」

 

「二駅先のデパートだよ」

 

「じゃあまずは駅に行かないとな」

 

「うん」

 

・・・駅か、まさか二人と駅に行くことになるとはな・・・やめよう、考えたって仕方のないことだな。

 

駅までの道のりを三人で歩く。

 

「祐一君はどこの大学に行こうと思ってるの?」

 

あゆがそんなことを聞いてきた。

 

「俺か、んなことわからん」

 

「うぐぅ、ちゃんと答えてよぉ」

 

「だから分からないんだって。俺みたいな頭の悪い奴は選ぶ余裕なんてないんだよ、自分の偏差値に相応する大学を受けるしかないんだ」

 

「ふーん、そうなんだ。じゃあ大学によってはこの街を出ちゃうの?」

 

「うーん、そうなるかもしれないな。この近くの大学に受かればそんなことは無くなるけどな」

 

「じゃあ、近くの大学受けてよ」

 

「近くの大学ってなぁ、一つは舞と佐祐理さんの通ってる大学だろ。あんなとこは二浪したって入れる自身がない。後の二つもちょっと今の偏差値からだとちょっと厳しいしな」

 

「じゃあ、頑張って勉強してよ」

 

「なんであゆにそんなこと言われないといけないんだ」

 

「うぐぅ、だって祐一君この街からいなくなっちゃうのやだよ。ねっ名雪さんもそう思うよね?」

 

「・・・・・・」

 

「名雪さん?」

 

「え・・・なに、ごめん聞いてなかったよ」

 

「だから、祐一君がこの街からいなくなっちゃうのは寂しいよね?」

 

「う、うんそうだね」

 

・・・??何ボォーッとしてるんだ名雪は。

 

「名雪さんはどうするの?」

 

「私もこの近くの大学に行ければいいなって思ってるよ」

 

「まぁ名雪は俺より頭がいいからな、多分受かるだろ。現代文と英語が得意科目だしな」

 

「祐一だって社会の成績凄いと思うよ。こないだの模試で成績上位者に名前乗ったんでしょ」

 

「すごいね、祐一君」

 

「社会だけだろ、英語は全然駄目だからな。総合的に見ると駄目駄目ってことだ。受験は英語が出来る奴が最後には勝つんだよ。社会は勉強すればすぐ結果につながるからな。知ってるものは知ってるし、知らないものは知らない、これが全てだからな」

 

「うん、でも私は暗記物苦手だよ」

 

「根気良くやればすぐ身に付くからな。英語はそうはいかないんだよ。ある程度テクニックが必要になってくるから」

 

「ふーん、大変なんだね受験って」

 

「なんか人事みたいでむかつくな」

 

「うぐぅ、そんなことないよ。ぼくだってやることになるんだから」

 

「そういう、あゆは勉強大丈夫なのか?」

 

「うん、分からない所は秋子さんに教えてもらってるの。秋子さんすごいんだよ、先生なんかよりも教え方が上手くて」

 

・・・流石は秋子さんというところか。

 

「ほら、駅についたよ」

 

・・・駅・・・思い出のベンチ・・・雪・・・

 

「どうしたの、祐一君、名雪さん」

 

「何でもないぞ、なぁ名雪?」

 

「うん、それよりも早く電車に乗ろうよ」

 

「あゆは子供料金で乗れるからいいよな」

 

「うぐぅ、酷いよ。ボク高校生だもん」

 

「見た目は小学生でも通じるぞ」

 

「うぐぅ、名雪さぁん、祐一君がいじめる」

 

「祐一!!」

 

「冗談だ、さっ早く乗るぞ」

 

・・・どうやら名雪も同じことを考えてみたいだな。

 

で、デパートに着いたわけだが、結局こうなるんだよな。

 

待たされてからかれこれ二時間か。

 

問題集を解いてるからいいんだが、周りを見渡せばカップルばっかり・・・なんかむかつく。

 

しっかし遅いなぁなにやってんだよ。

 

水着コーナーの側まで行ってる見るか・・・駄目だ、これ以上は入れん。

 

とぼとぼ引き返す・・・はぁ。

 

こうなることを予想してたから、行くのやだったんだ。

 

教訓その壱・・・女の買い物は時間がかかる。

 

「祐一、お待たせ」

 

「祐一君、待った?」

 

俺はジトっと二人を睨んでやる。

 

「そうでもないぞ、たったの二時間四七分だからな」

 

「うぅ、ごめんなさい」

 

「うぐぅ、ごめんね」

 

「まぁいいや、でお目当てのものは買えたのか?」

 

「うん、バッチリだよね、あゆちゃん」

 

「うん、バッチリだよ」

 

「じゃあ、とっとと買い物して帰るぞ、もう疲れた」

 

「じゃあ荷物持ちお願いね、祐一♪♪」

 

「あぁ、しょうがないな」

 

「ボク、鯛焼き食べたいな」

 

「うるさい」

 

「うぐぅ、酷いよ」

 

「今は夏だ、鯛焼きなんか売ってるわけないだろ。食べたかったら自分で作って食べろ」

 

「うぐぅ、いいもん。いつか自分で作れるようになるもん」

 

「分かった分かった。ところで名雪、何買うんだ?」

 

「うん、ごちそうの材料だよ」

 

「いや、それは分かるが具体的に」

 

「うーん、いろいろだよ」

 

「分かった、それじゃ行こうか」

 

「「うん」」

 

デパートの地下食品売り場にやってきた。

 

「じゃあ買い物は任せるぞ、名雪。俺は一緒に並んで行くから」

 

「うん」

 

「なんか、二人並んでると新婚さんみたいだね」

 

・・・・・・あゆのやつ。

 

「さしずめお前は小学生の子供といったところだな」

 

「うぐぅ、酷いよ。ボク子供じゃないもん」

 

「・・・・・・」

 

隣では名雪が真っ赤になってうつむいていた。

 

・・・はぁ。

 

「こんなとこ突っ立てたら他のお客さんに迷惑だろ。とっとと買い物済ませるぞ名雪」

 

「う・・・うん、そうだね。じゃついてきて」

 

「あぁ。あゆ、お菓子を勝手に持ってきて入れるなよ」

 

「えっ」

 

・・・既に持ってきていたのか。

 

「二つまでだぞ、あゆ」

 

「うん♪♪」

 

こんな仕草が子供ってことがわからんのか、こいつは。

 

・・・手際よく買い物をしていく。

 

流石は名雪だ、慣れたもんだ。

 

しかし、重いのには変わりない。

 

「祐一大丈夫?」

 

「あぁ気にするな。さっさと帰るぞ」

 

「「うん」」

 

「今日は楽しかったね、あゆちゃん」

 

「うん、明日も楽しみだよ」

 

「俺は今日は散々だったけどな」

 

「祐一、今日はまだ終わりじゃないよ。ごちそう頑張って作るから楽しみにしててね♪♪」

 

「あぁ」

 

こうして、買い物も済ませ俺たちは家に帰っていった。

 

ごちそうか・・・楽しみだな。

 

 

 

 

あとがき

すいません本当は次で終わりにするつもりだったんですけど。終わりにすることが出来ませんでした。思いのほかあゆと名雪と祐一の会話がおもしろくて、書いていたらこんなに長くなってしまいました。とりあえず、予定変更ということで四部編成にします。次は夕食編ですね。最後は少しながくなろうとも、完結できるように頑張ります。相変わらずというか、名雪の性格を少しずつ変えたいなとは思ってるのですがあまり変わりばえしないですね。恥ずかしがり屋で少しだけ嫉妬深い、こんな名雪が好きですからあまり変わらないんでしょうか。最後に祐一の考えてる大学受験と成績は私の浪人時代に似せてあります。私も英語でかなり苦労したんですよね。

 

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