ある夏の日(三部)

 

 

「「「ただいまぁ」」」

 

やっと俺たちは家に着くことが出来た・・・というか何でほとんどの荷物を俺が持たなくちゃいけないんだ。

 

荷物持ちのために買い物に付き合ったわけだがなんかやるせない・・・三時間近くも待たされたしな。

 

「祐一、お疲れ様。イチゴのムースを作っておいたんだけど食べる?」

 

「おう、食べる食べる」

 

苦あれば楽あり・・・か、流石は名雪だな。

 

「はい、どうぞ」

 

「いただきます」

 

・・・美味い。

 

「美味しいよ、名雪」

 

「うん、嬉しいよ。そう言ってもらえると作ったかいがあったよ」

 

「これ作るために早起きしたのか?」

 

「うん、イチゴの果汁を絞るの結構時間かかるから」

 

「そっか、ありがとな名雪」

 

「うん」

 

「あゆはいいのか?」

 

「うん、ボクは夕食まで我慢するんだ」

 

「そっかじゃあ遠慮なくいただくな」

 

・・・・・・。

 

「ごちそうさまでした」

 

「おそまつさまでした」

 

「じゃあ、ごちそう作るね。楽しみにしててね、祐一」

 

「名雪さん、ボクも手伝うよ」

 

「お願いね、あゆちゃん」

 

「うん、ボク頑張るよ」

 

「んー、じゃあ俺は風呂でもいれておこうかな」

 

「うん」

 

さて、期待して待っておくか。

 

「おーい、風呂いれておいたぞー」

 

台所に行くとあゆと名雪が何やら悪戦苦闘してるみたいだった。

 

「あっ、祐一、ちょっと手伝ってくれないかな」

 

「手伝うったって俺は料理は全然駄目だぞ」

 

「そうじゃなくてね、このかぼちゃを切ってもらいたいの」

 

見るとまな板の上には普通のかぼちゃよりも2回りほど大きいかぼちゃが置いてあった。

 

「何でこのかぼちゃはこんなにでかいんだ?」

 

「うん、おいしそうだったから。ほら色とかもとってもいいんだよ」

 

「いや俺には分からんから」

 

「でもね、固くて切れないの。だから手伝ってくれないかな」

 

「まぁそのくらいなら俺にも手伝えそうだな、いいぞ」

 

「よし、じゃあちゃんと押さえとけよ」

 

と言って、名雪の手に自分の手をのせる。

 

「あ・・・・・・」

 

「せーの」

 

ザクッ!!

 

「やったー、切れたよ」

 

「ふぅ、結構固かったな・・・って名雪?」

 

「・・・・・・」

 

「あー・・・悪い」

 

名雪の手を握ったままだったな。

 

「じゃあ、俺は居間にいるからまた何か手伝うことがあったら呼んでくれ」

 

「う・・・うん、ありがとう祐一」

 

何となく居心地が悪くなって早々に退散することにした。

 

・・・くそっ、何でこんなことでドギドギしなきゃならないんだ。

 

二人きりならまだしもあゆがいる前で。

 

こんなんじゃ集中できないな、テレビでも見とくか。

 

プルルルルル プルルルルル・・・

 

ん、電話か・・・はいはい、今でますよ。

 

「はい、水瀬ですが」

 

「祐一さんですか、私です」

 

「あ、秋子さん、仕事の方はもういいんですか?」

 

「えぇ、一段落しましたので。でも今日は友人の所に泊まることになりましたので、電話を入れとこうと思いまして」

 

「そうですか」

 

「明日は何時に出発されるつもりなんですか?」

 

「えっと、みんなには8時に集まってもらうことになっていますけど」

 

「わかりました、私もそのくらいの時間に行くようにしますね」

 

「お願いします」

 

「では、戸締りに気をつけて、名雪とあゆちゃんをお願いしますね」

 

「わかりました、秋子さんもゆっくり休んでください」

 

「はい、お休みなさい」

 

「お休みなさい」

 

ガチャ

 

「お母さんから?」

 

「あぁ、今日は友達の所に泊まるそうだ」

 

「そっか」

 

「もし、ボクがいなかったら二人きりだったんだね」

 

「え・・・と・・・」

 

・・・あゆのやつまた余計なことを。

 

「今からでも帰るか?外はもう暗いけどな」

 

「うぐぅ、こわい・・・」

 

「ほら、早くご飯を作ってくれ、楽しみにしてるんだから」

 

「「うん」」

 

・・・もしかしたら俺たちが二人きりにならないようにあゆを呼んだのかな?まさかな、それは考えすぎか。

 

「祐一できたよー」

 

「おぉ、今行く」

 

テーブルの上にはすごい料理が並んでいた。

 

「すごいな」

 

「うん、がんばったから。ねっあゆちゃん」

 

「うん、がんばったよ」

 

「でも、ちょっと多いな」

 

「食べ切れなかったら明日の朝とかお昼のお弁当に詰めるから」

 

「そうか、じゃあ食べるか」

 

「「「いただきます」」」

 

・・・上手い、すごく上手いそ。

 

こんなにおいしいのが家でたべれるんだったら、外に食べに行く必要はないよな。

 

ん・・・何か変なものが置いてあるな・・・まさか、鯛焼きか?

 

「あゆ」

 

「何?」

 

「何で鯛焼きがあるんだ?」

 

「作ったから」

 

「何で名雪も止めないんだ?」

 

「だって、デザートにいいかなと思ったし、鯛焼きにイチゴジャム入れるとおいしいよってあゆちゃんが教えてくれたから」

 

「名雪さん、それは内緒・・・」

 

「やっぱり、原因はお前かあゆ。今は夏だぞ」

 

「おいしいものはいつ食べたっておいしいよ」

 

開き直りやがった。

 

はぁ、まぁいいか・・あゆならやりそうだったし。

 

あゆにはこれが一番のご馳走かもしれないしな。

 

さて、俺も食べるか・・・・・・。

 

「「「ごちそうさま」」」

 

「流石にもう食べられないな」

 

「うぐぅ、動けない」

 

「祐一お風呂はどうするの?」

 

「今食べたばっかりだからな、もうちょっとしてから入るよ」

 

というか。俺も食べすぎで動けん。

 

「うん、じゃあ私洗いものしちゃうね」

 

「うぐぅ、食べ過ぎたよー」

 

「あゆちゃんもゆっくりしてていいよ」

 

「うん、ごめんね」

 

「んじゃ、居間の方に移動するか」

 

「うん」

 

俺たちは居間のソファに座った。

 

あゆの言いたいことは何となく・・・いや、八割方わかるのだが。

 

「何か話しがあるみたいだな」

 

「えっ、何でわかったの?」

 

あんなあからさまな態度すぐわかるんだが。

 

「で、何?」

 

「うん、祐一君は名雪さんのことどう思ってるのかなって」

 

結構ストレートに聞いてくるな。

 

からかってやろうとしたが、あゆが真剣な顔をしていたので俺も真面目に答えることにした。

 

「どうだろう、一緒にいたいという気持ちがあるけどそれが好きという感情なのかはわからない」

 

「でも、名雪さんは・・・」

 

「わかってる、でも俺がこんなあいまいな気持ちじゃ名雪にも失礼だ。ちゃんとこの引っかかってる気持ちがとれたら答えを出すから。それまで見守ってくれると嬉しい、勝手な言い草だけど」

 

俺がこう答えると、あゆはにこっと笑った。

 

「うん、祐一君が真剣に考えてるならいいんだ。ボクは祐一君が真面目に考えてるかどうかを聞きたかっただけだから」

 

「ありがとな、あゆ」

 

「ううん、気にしないで」

 

「じゃ、俺は風呂入ってくるな。あゆも動けるなら名雪を手伝ってくれ」

 

「うん、わかったよ」

 

ザバァー

 

・・・まさかあゆからあんなこと聞かれるとは思わなかったな。

 

俺は逃げていたのかもしれない、今の関係が崩れるの怖くて。

 

あゆが名雪のことを聞いてきた時茶化そうと思った、それが逃げてる証拠だ。

 

追求されるのが怖くて、話しをそらして、核心に迫られるのを避けていたんだ。

 

あゆにちゃんと答えた以上真剣に考えないとな。

 

さて、そろそろ上がるか。

 

「ふぅー、さっぱりした」

 

「祐一上がったの?」

 

「あぁ」

 

「じゃあ私たちもはいろっか?」

 

「うん」

 

「名雪、今日も勉強するだろ?」

 

「うん、勿論だよ。今日も出かけたし、明日も遊びに行くから」

 

「そうか、じゃ一緒にやるか?あゆも一緒に」

 

「ボクもいいの?」

 

「あぁ、あゆがどのくらい出来るかみてやる」

 

「ボク結構出来るんだよ」

 

「ほう、それは楽しみだ」

 

「じゃあ、入ってきちゃうね」

 

「あぁ用意して待ってるから」

 

「「うん」」

 

さて、準備するか、でも明日も早いしな何やろう・・・やっぱり短時間なら問題集かな、分からない所を教えあうことも出来るしな。

 

暗記物は一人で集中した方が捗るし。

 

飲み物も用意しとくか・・・麦茶でいいかな。

 

・・・・・・。

 

「上がったよー」

 

「よし、じゃあはじめるか」

 

「「うん」」

 

と、それぞれ勉強をはじめる。

 

・・・・・・。

 

「祐一、これ・・・」

 

名雪の出してきたのは世界史の問題だった。

 

「世界史は教えるとかそういうもんじゃないぞ。暗記するしかないんだから」

 

「うん、そうなんだけど私暗記物苦手だし、カタカナってどうも覚えられないから」

 

「カタカナ覚えられないならやめとけっていったのに。いまさら言ってもしょうがないな。名雪はどういう風に勉強してる・・・まさか年代順か?」

 

「え・・・うん、そうだけど」

 

「今からでも遅くない、年代を区切って地域別に覚えた方が絶対にいい」

 

「でも、それだと時代がさかのぼったりして嫌にならない?」

 

「最初はそれが苦痛かもしれないけど長い目でみたら絶対にこっちの方がいいし、一つの年代が終わった時に地域別で覚えたのが全部繋がるから」

 

「本当に、本当に大丈夫?」

 

「俺の世界史の成績、知ってるだろ?」

 

「うん、分かったよ。じゃあ覚えるやり方教えてね」

 

「あぁ、まかせとけ、世界史だけならいつでも教えてやる。自分の復習にもなるしな」

 

「あゆちゃんは何やってるの?」

 

「ボク?ボクは自由研究だよ♪♪夏休みの宿題終わったから」

 

「そうか」

 

なかなか侮れんやつだな、成績もいいらしいし。

 

「そうだ、一つ分からないところがあったんだ、祐一君教えてくれる?」

 

「科目によるぞ」

 

「えっと、国語の現代文なんだけど」

 

これ・・・と問題文を見せてくれる。

 

「えっと登場人物の心情・・・小説か」

 

「うん、分からないというか小説の登場人物に出てくる人の心情なんて読んでる人がどう感じたかによって変わるでしょ、なんか納得がいかなくて」

 

まぁ正論だな、誰もが思ってることだろう。

 

しかし、この問題は現代文にとって触れちゃいけない禁断の世界だ。

 

「それはそうなんだが、そこ追求してもしょうがないだろ、実際あるんだから」

 

「うぐぅ、そうなんだけど」

 

・・・聞いてくるのは構わないが何で教えにくいことばっかり聞いて来るんだこの二人は。

 

なんか、疲れたな・・・今日はお開きにしたくなってきた。

 

時間は・・・十一時くらいか。

 

「そろそろお開きにしないか、明日起きれなくなったら困るだろ」

 

「うん、そうだね。じゃ寝よっか」

 

「うん」

 

「名雪さん」

 

「何?」

 

「今日は一緒に寝たいな・・・駄目?」

 

「うん、いいよ。一緒に寝ようね」

 

「祐一お休みなさい」

 

「祐一君お休み」

 

「あぁお休み」

 

部屋に戻りベッドに横になる・・・今日は疲れたな余計なこと考えずに寝るか。

 

明日になれば何かが分かる気がする、勿論これは予感でしかないのだけれど。

 

目を瞑ると休息に眠気がやってきた。

 

 

 

 

あとがき

少しシリアス部分が多い今回・・・というか第三部まで書いて今回が一番駄目駄目な作品になってしまったと自分でもかなり後悔してます。読んだ方、誰もが感じかもしれませんがどの話しも中途半端ですよね、すいませんもうちょっと進展させようとも思ったのですけどあまり名雪と祐一との距離を縮めてしまうと第四部を書く意味がなくなってしまうような気がしてしまいまして。いよいよ次は最後ですね、待ちに待った海水浴です。オール出演になるわけですけど何しろヒロイン全員登場させるのははじめてのかとなので、結構苦労しそうです。上手く書けるといいのですけど。最後にお馴染みですが世界史の勉強の仕方は私の持論です。某予備校が時代順にやってましたけど絶対にそのやり方だと失敗しますね。では次回をお楽しみに。

 

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