私立遠野高等学校(課外授業2)
「あ〜よく寝た。あれ〜・・・志貴、なんかボロボロだけどどうしたの?」
「うるさい、馬鹿女・・・」
「む〜・・・何よ、人が折角心配してあげてるのに!!」
起きていきなり、文句も言われたら誰だって怒るだろう・・・しかし、俺は・・・アルクェイドのせいで・・・。
「アルクェイド・・・お前、寝てたときの夢の覚えているか?」
「え・・・夢? えっと〜・・・」
指を額に当てて考え込む・・・。
「うん、すっごい嬉しい夢だったよ・・・あのね、志貴がね・・・」
「あぁ・・・言わなくいい・・・」
あわててアルクェイドを止める。
それでさっきボコボコにされたんだから。
「でも、夢だけじゃなくて現実でもして欲しいなぁ・・・」
・・・アルクェイドが朝っぱらからとんでもないことを言ってくる。
しかし、この一言は俺を救う一言となってくれた。
「ほら・・・言っただろ、俺には覚えがないって・・・あれはアルクェイドが夢で見たことで実際に起きたことじゃないって・・・」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
「そうですよね・・・よく考えたら兄さんがそんなことするはずないですよね」
普段ならありがたい言葉だが、いつも言うように行動に移す前によく考えてください秋葉さん。
「あは〜・・・疑いが晴れてよかったですね志貴さん」
いかにも私は信じていましたよという発言だが・・・だったらみんなを止めてくれたって・・・。
「何のことかよくわからないけど・・・まっ、いっか。それより志貴・・・これから出かけるんでしょ」
「そうだな。でもお前朝ごはんはいいのか?」
「どうせ昨日と一緒でしょ。そこのカレー女と違うから・・・私はいいよ」
「何ですって馬鹿女」
食べる手を止めてシエル先輩はアルクェイドを睨みつける・・・というか貴方はまだ食べていたんですか。
「まぁ、志貴がまた私のために作ってくれるっていうのなら、喜んで食べるけど」
「作らないぞ」
そんな元気もない・・・。
「兄さん・・・1つお聞きしたいことがあるんですけど」
・・・・・・。
すさまじいオーラ・・・いや、実際にすさまじい熱気を放ちながら後ろから声がかかる。
「な・・・何だ」
さっきまで自分やアルクェイドが言っていた言葉を思い返してみる・・・特に秋葉が怒るような発言は見当たらないはずなのだが。
「兄さん・・・“また”って何ですか? またということは前にあったってことですよね。そこのところ説明を頂きたいのですが」
う・・・そこだったか。
別にアルクェイドにご飯作るなど当たり前のことだと思っていたから気付かなかった・・・。
だから、何故あそこまで秋葉が怒っているのかわからない。
「あぁ、どうせ遠野家の長男が台所にってやつだろ・・・秋葉はそういうけど、男とか家柄とか関係なく料理くらい作れた方がいいと思うんだが」
「そのことではありません。何故兄さんがアルクェイドさんにご飯を作っている・・・ということです」
「いや・・・だって作ってくれって言われたから。俺、料理するの嫌いじゃないし、自分の作った料理を美味しいって食べてくれるのは嬉しいって、秋葉だって昨日実感したじゃないか」
「それは・・・まぁそうなんですけど。いえ、私が聞きたいのはそこではなくてアルクェイドさんに料理を作っているということです」
「あぁ・・・でも、別にアルクェイドだけってわけじゃないぞ」
「・・・え」
予想だにしなかった返答だったのか・・・秋葉が固まっている。
「えぇ、私も作ってもらったこともありますし、一緒に作ったことありますよ」
「はい・・・私もです」
「志貴さんって包丁使うの上手いんですよね。ねっ、翡翠ちゃん♪」
「・・・はい」
これらの発言が次々と秋葉に突き刺さる。
「・・・私だけのけ者ということですか」
秋葉の繭がつりあがる・・・。
いや、のけ者とかそういう問題じゃないだろ。
「志貴さん・・・あぁなってしまった秋葉様は頑固ですから・・・優しい言葉でもかけてあげてくださいな」
琥珀さんがそっと耳打ちをしてくれる・・・。
優しい言葉って言ってもな・・・何て声かけたらいいんだ?
「あの・・・秋葉?」
「・・・何ですか?」
「その・・・何て言っていいのか・・・」
だいたい、秋葉が料理作るなとか言っていたからであって、俺が弁解する必要あるのか。
「何ですか。言いたいことがあるならおっしゃって下さいな」
何か納得がいかないので・・・。
「秋葉は俺にどうしてもらいたいんだ?」
逆に質問することにした。
「え・・・」
「だって、俺は秋葉が台所とかに立つなっていうから・・・でも、俺は料理を作るのは必要なことだと思ったし・・・だから他の人達に作ってあげたり、一緒に作ったりしただけなんだけど」
「・・・・・・」
「だから俺は、秋葉が作ってくれって言えば、ご飯くらい作るし一緒に作ろうって誘ってくれれば喜んで作るんだけど」
「・・・・・・」
黙ったままだ・・・説得力あまりなかったかな・・・。
「・・・わかりました。兄さんが作ってくれるというならばお願いします」
少しだけ顔を赤らめてこんなことを言った・・・みんなもいることだしやっぱり恥ずかしいのか・・・作ってくださいという言葉は出なかった。
俺としてはどちらにしろ秋葉の気持ちがわかったのでいいのだが。
「じゃあ、時間も時間だしそろそろ行こうか」
皆に声をかける・・・。
「そうですね・・・行きましょうか」
やっと・・・やっと普通に出かけることが出来る・・・。
「あの・・・アルクェイド様1つ宜しいでしょうか?」
「何〜?」
「アルクェイド様は一体どんな夢を見ていたのでしょうか?」
折角問題も解決し、出かけられると・・・と思った矢先だった。
「夢・・・えっとね〜・・・」
言うな・・・。
「志貴がね〜・・・」
やめろと言っているのに・・・。
「マッサージしてくれたの・・・」
・・・・・・。
「・・・え」
マッサージ?
「マッサージ・・・ですか?」
「うん、気持ちよかった〜♪♪ 肩揉みとか脚のツボとか押してくれたりね・・・あぁいうのって体験してみて初めてわかるんだね」
マッサージか・・・良かった、俺はてっきり・・・。
ってちょっと待て・・・。
「アルクェイド・・・それ夢の中だよな?」
「うん、そうだよ」
「何で、夢の中でそんな体験とかわかるんだ。その前に俺はお前にマッサージなんかしたことないぞ」
そんな実際にやったみたいに言われたら困る。
「いいじゃない、夢なんだから・・・。それにしても足の裏を揉む志貴ってなんか良かったな・・・」
「何が?」
「うん、私が足をさし出して・・・志貴が揉んでくれるの♪ 何か召使いというか奴隷みたいだった」
・・・・・・。
「何言って・・・」
シャキン
ドカッ!!
俺が叫ぼうとした瞬間・・・後ろから何かが飛んできて、壁に突き刺さった。
あれは・・・黒鍵!?
「あっぶないわね〜・・・何すんのよ、でか尻シエル!!」
「貴方こそ何考えているんですか。遠野君を奴隷だなんて・・・」
「あら〜壁に穴があいちゃいましたね」
「まぁ、あの人が弁償してくださるから構わないでしょう」
妙に冷めている2人もいたりする・・・。
シエル先輩とアルクェイド・・・こうなったら長いんだよなぁ。
「申し訳ありません。私が質問したばっかりに・・・」
「いや・・・いいよ、別に」
確かに、翡翠が質問しなければこのまま出かけられたかも知れないがいずれは質問された内容だろうから。
考えようによっては、外でこんなことが起きてしまったほうが困るし。
「とりあえず・・・どうしようか?」
「このままあの2人を置いて行くというのはどうでしょうか?」
「琥珀さん・・・冗談なのか本気なのかわからない表現は止めてください」
「いえ、このまま出かけてしまいましょう。そもそも最初の予定では私達4人だったのですから」
「秋葉まで。それはまずいだろ・・・あの2人をここに置いていくのか?」
「・・・そうですね」
何か・・・出かけようと思ったときに問題が生じる。
今日は出かけない方がいいのだろうか。
「あの・・・私がおふたりを止めてきましょうか?」
「翡翠が?」
「はい・・・こうなってしまったのも私の責任ですし」
「いや、だってあの2人を止めるのは大変だぞ?」
「大丈夫です」
翡翠にしては珍しい・・・秘策があるようだった。
「わかった・・・じゃあまかせてもいいかな」
「はい」
そう言って・・・翡翠はアルクェイドとシエル先輩の所に行く・・・。
翡翠が何やら話しているようだがここからでは何を言っているのか聞き取れない。
あ・・・喧嘩がおさまった。
そして、翡翠が2人を連れて戻ってくる。
「ごめんね。さっ、出かけよっか」
「すみませんでした。では、出かけましょうか」
・・・凄い、あの2人が自分から謝ってくるなんて。
「翡翠・・・どうやってあの2人を説得したんだ?」
「それは・・・」
秘策が明かされる。
「志貴さまがおふたりに実際にマッサージをするという約束で喧嘩をやめていただきました」
・・・・・・。
「す、すごい解決の仕方だね」
「はい、絶大な効果が得られました」
そうだな・・・絶大な効果かもしれない。
しかし、翡翠は気付いていないんだよな。
これは・・・一時の回避に過ぎないことに。
シエル先輩とアルクェイドにマッサージするということを秋葉や琥珀さんに知られたら・・・。
とんでもないリスクを背負いながら、ようやく出かけることが出来た。
「ねぇねぇ、妹〜私今度志貴にマッサージしてもらうんだ♪ いいでしょ〜♪」
続く
あとがき
やっと・・・出発までこぎつけることができました。志貴の授業がメインとはいえ、時間かかりすぎですね・・・。やはり登場人物がたくさんいるとみんな出すのは難しいですね。前回、前々回・・・確か翡翠がほとんどしゃべっていないなぁと思ったので今回少し出番を多くしました。しかし、結果としてトラブルメーカになってしまいましたね♪♪ こんなのは私の翡翠ではない!!(碇司令風に)と思う方もいらっしゃると思いますけど、こうでもしないとこの面子では翡翠しゃべれないので・・・。ではまた次の機会で・・・というか終われんだろうか・・・少し心配になってみたり。