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集英社JC 魔術師2 (1) 魔術師2 岡野 剛
2001年35号〜2001年51号(17週打ち切り) 前作:ツリッキーズピン太郎
 ごく普通の筋肉馬鹿「天台ムサシ」は、小さい頃に見たマジシャンの少女にずっと思いを寄せつづけ、 いつかその子に再び会う日を夢見て独学でマジックの練習に毎日あけくれていた。 そんなある日、ムサシの通う学校に、天才美少年マジシャン「クロード=ホーガン」が転校してくる。 最初は自分とは比べ物にならないテクニックを持つクロードに反感を感じていたムサシだったが、 火事になった教室からクロードの知識とムサシの体力を生かした脱出マジックで逃げ出したことを機に二人は意気投合、 マジシャンコンビを結成することに。 しかしそんなムサシに衝撃の事実が伝えられる。なんとムサシが長年思いつづけていたマジシャンの少女は、 女装した幼き日のクロードだったのだ……。
 前々作「地獄先生ぬ〜べ〜」がヒット、続く前作「ツリッキーズピン太郎」では行き過ぎたお色気シーンで話題となった岡野 剛の 今回のテーマはなんと「やおい」。女顔の美少年と純情な筋肉馬鹿が、ホホを赤らめたり、抱き合ったり、キスしたりと 完全にそっち系の描写が満載。 そのあまりにもストレートすぎる表現は男性はもちろん女性からも受け入れられず、あっけなくリタイアに。
 最終回では巨乳の美少女が登場、少年誌向け路線に戻ると思いきや、最後のコマはクロードがムサシをムチで叩くSMシーン。 最後まで基本を忘れない素敵な漫画だった。  フォローしておくと、マジックのパートは決していいかげんなものではなく、 本物のマジシャンが監修に付いて小学生が実際にできるような簡単なマジックを詳細に解説している、しっかりしたものである。
オススメ度:★★★★★☆☆☆☆☆
集英社JC I'm A Faker! (1) I'm A Faker やまもと かずや
2001年42号〜2001年52号(11週打ち切り) 前作:
 主人公「リュウノスケ」は先輩が怖くて部活には入っていないけれど、バスケットが大好きな高校生。 そんな彼の趣味は自分を有名校のエースと偽ってするチャット。 ある日、チャット仲間の「テツ」「トモヤ」と開いたオフ会で、リュウノスケは トモヤにストリートの大会(3 on 3)に誘われる。 本当はバスケがまったくできないリュウノスケはなんとか断ろうとするが、 リュウノスケを名選手だと信じ込んでいるトモヤに強引に押し切られてしまう。 自分が素人であることを告白できないリュウノスケは もう一人のチャット仲間でバスケ経験のあるテツにコーチを頼み、 秘密の特訓をはじめるが……。
 とにかく主人公がヘタレ。  練習方法をネットで調べてメニュー作ってトレーニングしてるあたりが、最強にヘタレ。 ヘタレた主人公は嫌いではないが、ほとんど長所が描かれていないので (最終回でやっと「卓越した洞察力」を持つ事が明らかに)、 「ただのバスケット好きのみえっぱりな少年」に過ぎず、 スポーツモノの重要な要素の一つである「主人公の成長」に期待できなかった。
 ばればれのフェイントとそれに引っかかる相手など打ち切りマンガとしての見所は多かったが、 話も絵もキャラの服装も地味な、いまいちインパクトに欠けた漫画でした。
関連サイト:
オススメ度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
集英社JC グラン・バガン (1) グラン・バガン 山田和重
2001年43号〜2002年01号(11週打ち切り) 前作:
 侍・馬眼は幼いころイギリス人商人からもらった「途中から空白の地図」を埋めるために 世界を巡る旅に出る。が、途中で密航がばれ、海に投げだされてイギリスへと漂流。 そんな彼を救ったのは、若かりしウイリアム・シェイクスピア。 実は彼はエリザベス女王直属の諜報員であった。 馬眼は命を救われた恩を返すため、英国諜報員となってシェイクスピアと共に イギリスと敵対するスペイン艦隊と戦う……。
 女性を中心に微妙に人気があった漫画。 「日本刀」「侍」「異国」「からくり兵器」と典型的な「和月組系マンガ」。 (でも特に足経験があるわけではないらしいです。) ストーリーは対象年齢低めだけど、特に問題点も無く「見せ場が無いまま終わった」 というよりも「見せ場になる前に打ち切られた」という感じ。 ジャンプでなければ地味に続いたかも知れない。 女の子は可愛い。今後に期待。
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オススメ度:★★★★★☆☆☆☆☆
集英社JC もののけ!にゃんタロー (1) もののけ!にゃんタロー 小栗かずまた
2001年51号〜2002年11号(11週打ち切り) 前作:花さか天使テンテンくん
 ごく普通の小学五年生「猫田リュウイチ」は、常に妖怪から命を狙われていた。 彼はその昔数多くの妖怪たちを退治した僧侶「竜念」の生まれ変わりであり、 妖怪たちは前世の恨みを晴らそうとしていたのだ。 あやうく殺されそうになったリュウイチを一匹の猫が救う。 彼(?)の名は「にゃんタロー」。幼いころのリュウイチに命を助けられた恩を返すため、 にゃんタローはリュウイチのボディーガードを買って出るが・……。
 前作「花咲天使テンテンくん」がヒット、アニメ化までされたことがある小栗かずまたの新作。 「別に面白くもつまらなくも」という作風は相変わらず。 完全に子供向けな印象だが、同じく子供向けの「世紀末リーダー伝たけし」と路線がかぶっていたのが致命傷か。
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オススメ度:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
集英社JC サクラテツ対話篇 (1) サクラテツ対話篇 藤崎竜
2002年01号〜2002年21号(19週打ち切り) 前作:封神演義
 東京のど真ん中に広大な家を持つ桜家は、家にかかる莫大な税金のせいで常にど貧乏。 一家の長男、「桜鉄」(サクラテツ)は病弱な姉やボケた祖父を食わすために 朝から晩まで人間離れしたアルバイト三昧の涙ぐましい生活を送っている。 少し世間ずれしたお嬢様の「出井富良兎」はそんなテツを観察することに生きがいを感じていた。 そんなある日、未来人と地底人と宇宙人がいっぺんに襲来、桜家を狙って戦争を開始する。 テツは自分の家と家族と財産を守るため、たった一人で未知の生命体たちと戦う羽目に。 そしてそこには一人ほくそえむ富良兎の影が……。
 前作「封神演義」では女性を中心に絶大な人気を誇りジャンプの暗黒期を支えた藤崎竜の、初のギャグ漫画。 天才スクリーントーン師としての実力はまったく衰えず、第一話から萌えキャラを 大量投入、男女問わず人気をつかむが肝心のギャグは微妙な感じ。 また序盤からキャラを出しすぎたことが裏目になり、ストーリーがごちゃごちゃに。 完全なギャグ漫画ではなく、ギャグを交えたSF学園モノだったら面白かったかもなーとか 思うと少し残念。
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オススメ度:★★★★★☆☆☆☆☆
集英社JC あっけら貫刃帖 (1) あっけら貫刃帖 小林ゆき
2001年11号〜2002年01号(12週打ち切り) 前作:
 江戸時代、町には「刀魔」と呼ばれる妖刀が人に取り付き人をあやめるという事件が続発していた。 幕府はこれに対抗するため、「刀狩衆」と呼ばれる武士集団を組織する。 そして、父を刀魔に殺された「山本青葉」はひょんな事から 見た目は子供の最強刀狩り「裂鬼助」と出会う。 父親のかたきをとるために青葉は裂鬼助に刀狩衆へ入隊したいと請うが……。
 ありがちなストーリーではあったがキャラの個性が出ていた良作。 話の展開がやや遅いのが難か。まだストーリーがほとんど進んでいない段階だったので あまりつっこんだことはいえないけど……。普通に面白いのだが飛びぬけて面白いわけではなかったか。
関連サイト:
Google 検索: あっけら貫刃帖
意外と多いぞファンサイト。なんと即売会まで開催。
オススメ度:★★★★★★★☆☆☆
集英社JC ソワカ (1) ソワカ 東直輝
2001年52号〜2002年24号(22週打ち切り) 前作:CHILDRAGON
 侍にあこがれる少年「俊輔」の村では鬼が出現していた。 そこへ鬼退治を生業とする一族「稚武一族」の「彰炎」と「大吾」が現れる。 彼らは鬼を次々に倒していくが、自身を殺したものを鬼に変えてしまう「大鬼」の前に苦戦する。 母を守りたい一身で飛び出した俊輔は大鬼を殺す事に成功する。 大鬼の魂は呪いとなって俊輔を鬼へと変えようとするが、鬼の魂は逆に俊輔に取り込まれてしまう。 実は俊輔は鬼を自分の力に買える能力、「鬼封じ」の持ち主だったのだ……。 家へ戻った俊輔は母がいないことに気が付く。鬼にさらわれてしまったのだ。 母を取り戻すため、俊輔は稚武一族と共に鬼と戦うことを決意する。
 やたらと説明口調でどこかずれた台詞回し、コマとコマのつながりがよくわからない、 常に口が半開きの表情など、マンガとして致命的に読みにくい。 戦闘の場面は勢いがあって面白かったのに。 打ち切り漫画史的には、幼馴染の少女の「豆粒大のチンコならついてる」発言、 やたらとハァハァしてる忍者をチェック。
関連サイト:
オススメ度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
集英社JC 少年エスパーねじめ (1) 少年エスパーねじめ 尾玉なみえ
2002年13号〜2002年33号(20週打ち切り) 前作:純情パイン
 古来より続く白エスパー(秩序)と黒エスパー(混沌)との戦い……。 街角で行われる白エスパー「ねじめ」と飼い猫「すぱな」と週代わりの 「暗黒エスパー」とのはちゃめちゃではた迷惑な小戦争。 のはずが後半ではほとんど暗黒エスパーと戦わず……。
 昭和を彷彿とさせる独特の絵柄や古臭い擬音と、ブラックと下ネタを含んだ マニアックなギャグで読み手を選ぶ癖の強い作品であったが、ジャンプのメイン購読層である 小・中学生はほとんど受け入れられなかったようで、惜しまれながらも打ち切りに。
関連サイト:
尾玉なみえはん
尾玉なみえのファンサイト。「パロリズム大辞典」片手に女史の作品を読み返すのも一興。
オススメ度:★★★★★★★★☆☆
集英社JC NUMBER10 (1) NUMBER10 キユ
2002年24号〜2002年34号(10週打ち切り) 前作:ロケットでつきぬけろ!
 親の転勤でアルゼンチンへ転校した少年「テンマ」。 日本人という理由で差別を受け友達のできない彼は、毎日たった一人でサッカーをしていた。 だが引退したかつての名選手「ピエトロ」との出会いがテンマの運命を大きく変える。 はたしてテンマの持つ「ファンタジー」とは?
 前作「Live Like A Rocket!」でのその電波な巻末コメントで一部で有名になった 「打ち切りの神様」キユ氏の連載第二段はワールドカップブームに便乗したサッカーモノ。
 特徴的な太い枠線や変なアイキャッチ(?)は無くなり、巻末コメントも至極まともな ものばかりと、大幅なキャラチェンジを果たしたキユ氏だが、 大方の期待通りにふたたびロケットでつきぬける結果となった。 前作とまったく同じ10週打ち切り、前作と同じ キングクリムゾンな展開 などある意味見ごたえのあるラストではあった。
関連サイト:
Kiyu Link
少年漫画板で一時期猛威を振るった「キユスレ」への全リンクや業績をたたえるFlashなど。
オススメ度:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
集英社JC SWORD BREAKER (1) SWORD BREAKER 梅澤春人
2002年35号〜2002年51号(16週打ち切り) 前作:無頼男
 伝説の勇者の生まれ変わりである「ミコト」はどんな剣でも破壊できる 「無敵の盾」を手に、全ての人類を生贄にささげて魔法使い「アバル」の 復活をもくろむ「アバル信徒」、そしてその最高幹部「六剣邪」と戦う……。
 「デストローイ!」でおなじみのロックな作家 梅澤先生の伝説的作品。 オリジナリティあふれる梅澤ワールドはさらに高まり、第一話から「俺達は無敵の未成年様だぜ!」等 歴史的セリフを連発、そして伝説の「魔城ガッテム」。 敵キャラ達の独特すぎるデザインもあいまって一部のマニアの間では神格化されるものの、 やはり一般読者には受け入れられなかった……。 最終回では感動的にまとめて涙を誘った。
関連サイト:
アバル信徒と魔城「ガッデム」
連載終了にも関わらず衰えの気配を見せないアバル信者の布教活動の軌跡と奇跡がここに。

日々是好日 天からカジメ!
スキャン画像も交えたわかりやすい全話レビュー有。初心者はここへ。
オススメ度:★★★★☆☆☆☆☆☆
集英社JC A・O・N (1) A・O・N 道元 宗紀
2002年44号〜2003年1号(10週打ち切り) 前作:大好王
 最大手プロレス団体「赤鴉」の看板選手は小さな体で巨大な相手を投げ飛ばす 覆面レスラー「アオン」。しかしアオンは交通事故を起こし逮捕されてしまう。 これをもみ消すために赤鴉は15歳の少年「ギュン」に覆面をかぶせ、 一時的なアオンの代理としてリングに上がらせる。 しかしアオン(中身はギュン)は赤鴉を裏切り、 「日本中のレスラーと戦い、もしアオンが負ければ覆面を脱いで引退する」 と宣言。さらに自分の首に6億円の賞金をかける。 これを機にレスラー達はアオンを狙って彼のもとに集まりはじめる……。
 過去数回の打ち切りを食らい、ジリ貧で迎えた道元宗紀入魂の作品。 無闇に熱い展開となかなか中身のある主人公の主張(というか説教)は良かったのだが、 肝心の格闘パートが見づらくて何がなんだか。個人的には好きだったのに……。 そして最終回欄外には「道元宗紀先生の次回作にご期待ください。」の文字は無かった。
関連サイト:
A.O.N同盟
コミックだけではほとんど意味不明なアオンの必殺技を解説したTECHNIQUEは必見。
オススメ度:★★★★★★★☆☆☆
集英社JC グラナダ-究極科学探検隊- (1) グラナダ -究極科学探検隊- いとう みきお
2003年01号〜2003年16号(14週打ち切り) 前作:ノルマンディーひみつ倶楽部
 昔、地球には現代科学の限界を超えた究極の科学を持つ超古代文明「グラナダ」が存在した。 分子を原子単位に分解・構築するグラナダの遺産「アトムリング」をもつ「二神ジュゲム」と 天才的頭脳の持ち主である「森太郎」の二人の少年は、 かつてジュゲムを救おうとその身をアトムリングで分解されるまで戦った「バカフェッサー」 ことワイリー フィリッポ博士に再び会うために、彼が残した研究成果を元に グラナダの科学のすべてが記された「グラナダの正典」を探して今日も世界を駆け回る……。
 「科学」をテーマにした漫画の主人公としては、このジュゲム君はちょっとひどい。 普通そういう漫画では、ドラえもんよろしく、 「私欲のためだけにオーバーテクノロジーを使えば結局自分が痛い目にあう」というオチで終わるのが定番だが、 この漫画の主人公といえば、人前で能力使い放題だわ、相棒のアドバイスはまったく聞かないわ、 挙句の果てには「人類を滅ぼす」といわれたスイッチを平気で押して万里の長城を壊滅させるわと やりたい放題。その上本人はまったく悪びれる様子もなく、別段それが悪いこととも描かれていない。 こんな主人公が毎週暴れまわる漫画なのだから、人気が出なかったのも当然といえば当然かもしれない。
 また、頻繁に挿入される回想シーンでは、枠外を黒くするなどの対応が施されていないので どこまでが回想でどこまでが現在なのか非常にわかりにくくて、 そのせいで第一話から「バカフェッサーは今はいない」という大事な情報が十分に伝わってこない。 このことが よりストーリー全体をわかりづらいものにしてしまっているように思える。
 ところで、あらすじの後のストーリーでは、力を使い果たしたジュゲムの心の走馬灯、 という形で過去への回想が始まるのだが、この回想シーンが異様に長い。 14週間の連載のうち、なんと8週間がこの回想シーンに費やされているのである。 さらに驚くべきことに、この回想は最後の最後、最終回の最終ページ6P手前まで続くのだ。 打ち切られる前にネタを出し尽くしたかった気持ちはわかるが、もう少し何とかならなかったのか…。 が、この8週間分の回想シーンは無理してまで入れただけあって、なかなか面白い。 貶してばっかりなのにこの漫画のオススメ度が高いのは、この回想シーンの存在と いとうみきおのセンスが個人的に好き、という理由によるものだ。
関連サイト:
いとうみきおデータベース
漫画作家としてはパッとしないが、脇役としては引っ張りだこのいとうみきおの芸暦を掲載。
オススメ度:★★★★★☆☆☆☆☆
集英社JC TATOO HEARTS (1) TATOO HEARTS 加治佐 修
2003年02号〜2003年17号(14週打ち切り) 前作:
 少女「花音」は 父親から受け継いだつぶれかけの刺青屋「花彫」を切り盛りする若い彫り師。 ある日、彼女がオークションに出した、倉庫から出てきた古い墨に3000万玄もの値がつく。 店の借金を返せると喜ぶ花音は、落札した「マスクの男」の背中にその墨で刺青を彫ることを約束する。 その時、「粋な男」を目指す体力馬鹿「莫山」が針治療と間違えて花彫を訪れる。風邪用のマスクをかけて。 そんな莫山のことをマスクの男と思い込んだ花音は、彼の背中に例の墨でタトゥーを彫り込んでしまう。 そこへ覆面マスクをかぶった本物の「マスクの男」が現れる。 戸惑う花音をよそに「タトゥーハーツの回収」と称して莫山と花音を殺そうとするマスクの男。 しかし、彼が花音に襲い掛かったその瞬間、莫山の背中のタトゥーが光り、タトゥーハーツの力が解放される。 タトゥーによる人外の怪力でマスクの男を倒した莫山だが、その衝撃で花彫の店を壊滅させてしまう。 店と家を失った花音は、店の修理費とタトゥーの施術代の3000万玄を取り立てるため、 この不思議な男莫山についていくことに……。
 「NARUTO」の岸本斉史のアシスタントを務めていたという加治佐修の初の連載作品。 絵に関してはキャラクターがよく動いてる感じがして楽しいし (特に第2,3話のトラクターを投げたり電信柱をぶん回すページはがんばってると思う) 背景も丁寧で好感が持てるのだが、 ストーリーにはオリジナリティがまったく感じられないのが悲しい。 四週目になるまで まともな敵キャラが登場しなかったのもマズかった。 さらに後半に入ると、ハンターハンターの「幻影旅団」の劣化コピーと言われている ブラックキャットの「星の使途」のさらにパクリというどうしようもない集団が登場。 そのままずるずると何の個性のないフツーの超能力バトル漫画と化し、 結局「最初だけ面白かった漫画」という印象のまま打ち切りに。 連載化される前の「TATOOHEARTS」(読みきり版)も、その後本誌に掲載された読み切り「NOW AND ZEN!」も 面白かったので、長期にその面白さを持続できるようにさえなれば人気が出るかもしれない。
関連サイト:
オススメ度:★★★★★★☆☆☆☆
集英社JC SANTA! (1) ★SANTA!★ 蔵人 健吾
2003年19号〜2003年31号(12週打ち切り) 前作:
 世界の半分を滅ぼした魔人が倒されてから五年、人々は魔人によって生み出された動物の進化系である「獣人」と、 魔人の108の能力「魔呪力」の一部を受け継いだ獣人「魔呪力の後継者」の脅威にいまだに脅かされ続けてれていた。 そんななか、人間でありながら魔呪力"No.0 魔人の口"を持つ少年「サンタ」は、生き別れになった兄と交わした、 「獣人に奪われた村を奪い返して自分たちの物にし、世界征服をする」という約束を果たすため、一人獣人と戦う 日々を送っていた……。
 打ち切り漫画の重要な法則のひとつに「新連載は××に似てると思われたら大体アウト」というものがある。 これは当たり前の話で、マンガ家がどんなにその漫画が好きでこんな漫画が書きたいと願ったとしても、 読み手は、有名で人気のある作品とマイナーな模造品を並べられれば、当然有名なほうを選ぶのである。 そしてこの「SANTA!」の場合は「ONE PIECE」に似ていると判断されて消えていったわけだが、 各地を旅して泣ける話をやる、という話の骨組が同じで、そのほかに個性を感じさせるような部分が希薄だった以上、 そう思われてしまうのも仕方がないのかもしれない。
 ではなぜ、主人公の目標が世界制服であったり、腹にもうひとつ口があったりと、目新しいものを出そうと 努力しているにもかかわらず、それまでの漫画との差別化ができなかったのだろうか。 それは、蔵人健吾がそれらのアイディアを、なんのひねりや意味づけも行わずにそのまま漫画に出してしまっているからだ。 それが一番良く見て取れるのが、敵キャラの造形である。「SANTA!」の敵キャラは、昔の鳥山明を意識してか、 動物が二本足で歩く奴なのだが、なんと牛のキャラなら鎧の肩に「猛牛」、豚のキャラクターなら額に「piggy」と書いてあるのだ! これならまだ裸のほうがましなくらいだ。
 詰めの甘さは絵だけの問題ではない。 話の根幹を担う「魔呪力」という超能力にしたって、 「世界を滅ぼした魔人の力」とたいそうなことをいっておきながら、その攻撃力が異常にしょぼい。 「世界を火の海に変えた炎」は服を焦がしてやけどさせる程度、「万物を切り裂く最強のつめ」は家を真っ二つにするも、 人に使えばカッターナイフみたいな切り傷しか付かないなどの平凡な威力を見せられると、 「魔人の力」という設定は思いつきだったのではないかと思えてくる。 中でも主人公の魔呪力「魔人の口」は特にひどい。主人公は腹に大きな口がくっついているのだが、 口でありながらしゃべるわけでもなく、「あらゆる武器を吐き出す能力」であるにもかかわらず、 連載を通して出した武器は剣を一本だけ。これなら最初から「スゴく強い剣を一本手に入れた」でかまわないはずだ。
 ただ、この漫画には良いところもある。見せたいところをはっきりと見せる力量はあるし、 話もベタなお涙頂戴だがまずまずの出来だ。ねずみの「チュー太」もキャラとしておいしい。 もし上記の点を克服できれば、今よりも評価は上がるかもしれない。 たとえ超人気漫画家とまではいかずとも、であるが。
 ちなみに、この漫画の第一話では、主人公とその義理の兄が「愛してるぜ!」「ボクも!」とか言ってて若干引いたが、 そっち系のお姉さんたちにもイマイチだったのか、あまり盛り上がることはなかった。
関連サイト:
蔵人健吾作品データ
初期の読みきりについて言及してる貴重なサイト。
オススメ度:★★★★☆☆☆☆☆☆
集英社JC 闇神コウ -暗闇にドッキリ!- (1) 闇神コウ -暗闇にドッキリ!- 加地 君也
2003年18号〜2003年35号(17週打ち切り) 前作:
 まがったコトが大嫌いな高校生「コウ」は突如現れた鬼から幼馴染の少女 「茜」をかばって命を落としてしまうが、「骸錬師」を名乗る少女「路陰」によって、 骸錬師の使役する鬼「闇神」として復活する。鬼を百匹倒しその魂を吸収すれば 再び人間に戻ることができると聞かされたコウは路陰の僕として鬼と戦うことを決意するが…。
 連載は初めての加地 君也だが、読みきりでのデビューは1997年と実はその漫画家歴は長い。 その読み切りから数年後にジャンプ本誌に掲載され「ここ数年で一番つまらない読みきり」 とまで言われた「暗闇にドッキリ」が、どこで道を間違ったのか連載化。舞台がなぜか平安(?)から現代へ移るが、 読み切りから連載までのたった数ヶ月の間に漫画が上手くなるはずもなく、 結局そのまま「ここ数年で一番つまらない連載漫画」としてスタートしてしまう。 しかし「両目の焦点が合わせられない」という素人目にもあきらかにヤバすぎる画力、 ゲームか漫画でも参考資料にしてるんじゃないだろうかと疑いたくなるような設定の薄っぺらさ、 ギャグにしか見えない圧倒的ボリュームを誇る説明口調などなど、 漫画家としてのすべての技能が商業誌に乗せられるレベルに達していない…… というか「落書きのうまい中学生」レベル、という悲しいまでのとりえのなさから 連載2週目にして早くもだれもが10週打ち切りを確信していた………。


 が、奇跡は起きた。
 ジョジョ、ヒカルの碁の突然の終了、プリティフェイス、UltraRed等の中堅の打ち切り、 ルーキーズの休載などが重なり、なんと「暗闇にドッキリ!」は10週の壁を越えて生き残ったのだ。 その後ドッキリは風馬小太郎や織田信長が登場して「あいかわらず」に話を展開、 最後の四神 朱雀などの複線を順調に消化し、ついに17週目に「途中経過を省かずにハッピーエンド」 という打ち切りマンガではめったにお目にかかれない見事な着陸を遂げて終了した。
 だが連載が終わってからがこの漫画の真骨頂である。 連載中からすでに、「 (笑) 」などを使いまくり,打ち切り寸前なのにほかの漫画家をがんばれと励ます などの 巻末コメントのあまりの痛さから「リアルハマー」の称号を得ていた加地君也だが、コミックではその超絶センスがさらに濃縮。 カバー裏のコメントからオマケのキャラクター解説にいたるまで1Pも余すところなくその激痛文章で埋め尽くされ (特に2巻末の作者プロフィール〜オマケ漫画の寒さは壮絶。ぜひ一度その目で確かめてほしい)、 「暗闇にドッキリ!」は一介の打ち切り漫画から 鳥肌と変な汗 なしには読むことのできない伝説の迷作へと昇華されたのである。
関連サイト:
暗闇にドッキリ!
用語集、巻末コメント一覧、2ちゃんねるでの過去ログ倉庫など。裏ページあり。
オススメ度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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