文化人類学的東西比較論

この研究にとりかかる際、わたくしは1つの仮説を打ち立てていた。
その仮説を立証するために、この研究を始めた、と言っても過言ではない。
それこそは、
「東日本かつおぶし文化」である。

かつおぶしの主産地は西日本、昆布の主産地は東日本にそれぞれある。しかし主たる消費地については逆転現象が起きている。関東のかつおだし、関西の昆布だし。日清「どん兵衛」ですら東西でかつおと昆布の配合を変えるというほどの繊細さが存在する。
逆転現象の起きた主たる要因は
「水」である、と言われる。関東の水は昆布の繊細さを引き出すには向かない、と言うのである。はたしてそうだろうか?それだけなのだろうか?
それならばうどん・そばの類ではなく、水に影響されにくい食べ物ではどのような結果が出るのか。
同名の2種類の食べ方が存在し、水の影響をあまり受けない(もちろん炊飯時には必要だが)食べ物として選ばれたのが「ネコまんま」であった。

研究室は西日本に存在する。
研究の開始に当たって、まず研究室に出入りする人たちを対象とした調査を行った。驚くべきことに、被験者の9割近くが「味噌汁ぶっかけご飯」を支持したのである。わたくしは自分の仮説に確証を抱きつつあった。そしてこの研究の最終到達点を
「『ネコまんま』における東西文化境界線の確定」
に置いたのである。

大々的に調査は開始された。
トータル数値については「概論」をご覧のとおりである。
ではこのデータを被験者の居所における東西で振り分けると、どのような結果になるのか?

なお、ここでは愛知県以東を「東日本」、愛知県より西を「西日本」と仮称する。最終的には「ネコまんまライン」を確定し、それにより東西日本を分割する。

では、ご覧いただこう。

東日本における「ネコまんま」

2002/05/11 現在

わたくしの仮説からすれば当然のごとく、「かつおぶし派」が多数のはずである。
結果は上図のとおり、過半数がかつおぶしを支持している。
これに対して

西日本における「ネコまんま」

2002/05/11 現在

こちらもほぼ予想どおり、「味噌汁派」が過半数を占めつつある。
東日本のほぼ逆の数字となっているあたりが興味深いところである。
わたくしの仮説は正しかったのか。

東西とも、「その他」の存在が気になるが、これについては項を改めてご説明する。

なお、データとして「かつおぶし派」「味噌汁派」それぞれの東西比率も
存在するが、被験者数が東西同数ではなく、データとしての意味を成
さないため、現在のところ割愛させていただく。

現時点において、わたくしが発表できることは
「『ネコまんま』はカルチャーである。」