文化人類学的かつおぶし論

 


白い御飯に鰹節と醤油をまぶしたものと認識してるけど、違う?

匿名希望(デパガ・34歳)

いつまでも悲嘆にくれているわけにもいかぬ。
「かつおぶし派」・「味噌汁派」それぞれの見地からの研究を進めていこう。

まずは、かつおぶし派から寄せられたコメントを
いくつか紹介しよう。

故事にいわく
「ネコにカツブシ、馬にニンジン、山下真司にはとりあえず大盛り」。
これにならい、ネコの好物であるところのカツオブシを白飯の上にトッピングし、醤油をかけてオカズとするしくみの、日本食物史上に名だたる簡易ディナーです。
ただし、実際にネコのエサとする場合は、醤油をかけません。
辛い味はネコの体によくないそうなので。

なかむら治彦氏(漫画家)

 

うーむ。
私にとっての「ネコまんま」はかつをぶし(パックになった細かいヤツがよい)に濃い口醤油をちょいと垂らして,まぜまぜしたものを冷えたごはんにかけてよく混ぜて食べるものでございます。
はい。

VTEC氏(こーむ員)

 

「ネコまんま」とは、「鰹節かけご飯」である。
鰹節(けずりぶし)に醤油をたっぷり染み込ませ、それをあつあつのご飯の上にのっける。
これぞ、ネコまんまである。
子どものころ、わたしはネコまんまの大ファンであった。
おかずはおかずだけで食べて、ご飯を残してしまう「食べ方の汚い」子どもだったわたしにとって、最後に残ったご飯のかっこみ方が、ネコまんま。
で、祖母と同居だったわたしの家では、「ネコまんまはお行儀が悪い食べ方」として、なかなか許してもらえなんだ。
それと対照的だったのが、「レオご飯」。
といっても、これは全く一般的ではないが、「みそ汁をご飯にぶっかけて、お茶漬け状態にして食べる」ものである。
ちなみに、「レオご飯」の「レオ」とは、当時、わたしの家の前の家で飼っていた犬(コリー)の名前であって、つまりは「ネコまんま」に対応するところの「犬ご飯」なのですね。
わたし自身は、犬の方が好きながら、食べ物では「レオご飯」より「ネコまんま」の方が好きであった。

さはこ氏(新聞記者)

「ネコまんま」に対して「犬ご飯」・・・・
これについては後述する。

続いて非常に穏健な意見。

猫のえさになり得るシンプルでかつお節が関係している水分の多い米飯

と云う認識をしています。

単純に猫のえさとは言わないところに、優しさ「米」に対する敬意を感じます。

栗原氏(商社マン)

優しい。

わし的にはおかかぶっかけめしだ。
かつおぶしめしだと言っている。
ひめまるかつおぶしめし。

日高トモキチ氏(漫画家)

日高氏の最後の一言の言わんとする意味はやや不明ではあるが、ここで問題とすべきはそれではない。
実は「かつおぶし派」の中に派閥があることが判明したのだ。
次のグラフをご覧いただきたい。

2002/05/11現在

「醤油をかけるか、かけないか」
アームストロング船長であれば、こう言ったに違いない。
「かける醤油の量は少しだが、ネコまんまにとっては大きな違いである。」

さらに、このようなコメントもいただいた。

 

私にとってのネコマンマは「カツオブシかけご飯」です。
食し方は、1・ご飯にカツオブシをかける2・醤油をかける、なのですが、
ウチの親がやっていたものは、1・小鉢に入れたカツオブシに醤油をかける2・醤油の染み込んだカツオブシをご飯にかける、でした。
後者の方法ならば確かにお茶碗の汚れが少なく、かつカツオブシをかける際に(ご飯の湯気で カツオブシが飛んで)食卓を汚す心配が無いようでした。
静岡県伊東市よりレポーターの東海林がお伝えしました!(←バカ)

S@m-chi氏(YT同盟)

 

同一家庭内にあっても「こだわり」の存在する「ネコまんま」!
もしや、ここまでパーソナライズされたものを「地域」で分類することは間違いだったのではないか?

 


ところで

先日、某所において「おにぎりの具のあるべき姿」について論じた。
ここでわたくしは「おかか入りおにぎり」を強く推したのたが、これに端を発し、次のような活発な議論が展開された。

 

<モノリス(S@m-chi改め)氏>
私は「ご飯のヘビー・ユーザー」なのですが、おかかのおにぎりは苦手です。
おかかの部分だけ食品密度(注)が違うので、何か引っ掛かりを感じてしまいます。ご飯と同じ柔らかさのおかかなら、おっけーでしょう。

<kaoru氏>
おかか入り(笑顔)。ゴハンに混ぜ込んでおけばモノリスさまもおっけーかしら。

<モノリス氏>
それなら、おっけーでしょう♪>kaoru様
しかし、おかかをご飯にかけた瞬間、醤油を追加して思わず「ねこ(以下略)。

<kaoru氏>
醤油をかけ、混ぜ、鑑賞した後、おもむろに握るのでございます!
「ネコむすび」と呼んでもよろしくってよ♪

<vtec氏>
私はおにぎりの具では「かつおぶし」と「シャケ」が大好きです。
但し,かつおぶしはコンビニおにぎりの様な入れ方ではなく,kaoru様ご推奨の醤油掛けまぜまぜおにぎりに限ります♪ うにゃ〜ん。

 

そう、「ネコむすび」の誕生である。
味噌汁系ネコまんまでは実現不可能な、かつおぶし系ネコまんまの新たな形態!携帯も可能なそのハンディさは、ネコをつれての旅行にも最適。ネコと一緒に森で迷っても、ネコとボクとで半分こ♪
ネコまんまの進化の過程を我々は今、目にしたのである。

ではここに、
焼津 宮島 健氏からいただいた
「かつおぶし派ネコまんま」
あるべき姿の1つをお見せしよう。

うむ!うむ!


ここでまた、ひとつの投稿をご紹介せねばなるまい。
ふと、わたくしは、椎名誠氏の著書を思い出してしまった・・・・

うちのお父さんに、
「こっちで(九州です)ねこまんまって言ったら鰹節?味噌汁?」
って聞いたら、
「俺は鰹節でその上にバターを乗せて食べる」

・・・・・やっぱり邪道でしょうか??
でも鰹節派の方、どうか怒らないでください(笑)

でも、当時はバターが貴重品だったらしく(戦後、冷蔵庫がなくて)高級食だった様です。
ねこまんま(鰹節)バター乗せ・・・。
美味しいらしいです。

そして、重大な事を忘れていました。
ご飯は温かくした方が良いらしいです。
ねこまんまのご飯は冷たい方が良いということでありますが、ご飯をあったくしたほうがバターが溶けて、よくご飯に絡まるらしいとのこと。
そして醤油はちょっとで良いらしいです(父談)でもお好みでどうぞ。

エリ氏

温度については「光熱論」をまたご覧いただくとして。
バター&しょうゆ!
その極楽を、かつおぶしとともに。
しかもそれを「ネコまんま」上で、再構築とは!

エリ氏の報告はこれだけではない。

何回も、何回もごめんなさい(涙)
というのも、さっきねこまんま(鰹節)バター乗せを行動に移してみたんです。
そしたら、そしたら・・・・。
めちゃめちゃおーいしーい!!!!
なんというか、見た目はぐちゃぐちゃで良いとは言えないんですが、口入れた瞬間、バターの繊細な風味と醤油がハーモニーになって(以下省略)
もうなんかあまりに美味しかったので、笑ってしまいました。
あれは多分きっとねこまんまとしては邪道なので、「最近、ねこまんま(鰹節)とはマンネリだわ」な方にオススメでございます。
正式?な作り方としてはいつものねこまんまを作って頂いて、その上にお好みにバターを乗せます(私的に3×3cm角くらい)、バターが全体に絡まるようご飯を混ぜます。
十分にバターが溶けたらお召し上がりください♪
ただ、二杯食べると気分悪くなります(笑)かなりヘビーです。
一杯で楽しむのがベストです。
もしかしたら好き好きがあるかもしれませんが、美味しいので是非お試し下さい。

エリ氏

まず行動。それが正しい研究である。

札幌ラーメン系でおなじみの「バターラーメン」。
スパゲッティでもしょうゆバターの美味は
各方面から賞賛されている。

ましてネコまんまにおいてをや!
 

「バターネコまんま」についてはさまざまな意見が寄せられている。

解釈が分かれるところかもしれませんが、バターがのった時点でネコまんまではなくなるのでは。やはりバターならイヌまんまの方に分類すべきではないかと?

猫が好きなかつおぶしと犬が好きなバターだから喧嘩丼

BISON氏(アメリカ在住)

思うに、バターからイヌを連想するのは、
「ネコの舌はザラザラしているから向かない」
という通説によるからに違いない。

私の実家で「ねこまんま」と言えば「バター入りごはんにしょうゆをまぶした鰹節を混ぜたもの」です。
作り方は、

1.炊きたてご飯をお茶碗によそい、ご飯の真ん中に箸で穴を開けてバターを一かけ埋める
2.バターがご飯の熱で溶けている間に、小皿に鰹節を好きな量開け、しょうゆをたらす
3.2を1に混ぜる。
4.かきこんで食べる。

ポイントは「暖かいご飯を使うこと」と「バターを使うこと」です。
レンジでチンのご飯よりは炊きたてを推奨します。また、間違ってもマーガリンを使ってはなりません。
家では「あまりお代わりすると便秘になる」という言い伝え(?)がありました。

たかこ氏

このレポートには注目すべき点がある。
「マーガリンではダメ」も「便秘」も重要に思えるが、
なにより「ごはんにかつおぶしとバターを混ぜる」ではなく
「バターライスにかつおぶしを混ぜる」ということ。
これはネコまんま海外進出への大きなヒントとなるであろう。