第11話 「鞄を持った女」 (監督:出目昌伸 脚本:鎌田敏夫)
看護婦の真弓は、事故って病院に運ばれてきた銀行強盗の隠していた強奪金を横取りした。真弓は口封じのため銀行強盗を薬殺し、奪った金を実家にいる兄の元へ送っていった。しかし、院長の知る所となり山分けを要求されたので、中野刑事から奪った銃で彼女は院長を射殺する。
やがて、真弓の犯行は発覚し、五十嵐刑事は金の送り先である真弓の兄を訪れた。そこに待っていたのは、工場の事故で身体が不自由になっていた兄の姿であった。
第12話 「海を撃った日」 (監督:出目昌伸 脚本:鎌田敏夫)
ヘロインの密造屋・矢野を護送中の中野と五十嵐は、次々に正体不明の殺し屋におそわれた。はじめは反目し合っていた彼らだったが、幾多の困難を協力して乗り切るうちに、固い絆が芽生えてきた。
何とか追っ手を振りきった3人は、バスに乗り込む。バスの中では殺し屋のひとりが矢野にこっそり拳銃を渡したが、矢野は「せっかくだが俺はもう逃げる気はないんだ!」と殺し屋に銃を向けが、別の殺し屋に背後を撃たれてしまう
警察病院へと向かう救急車の中で矢野は、息も絶え絶えに自分たちをねらった連中の正体を話そうとする。しかし「死ぬな〜!」という中野達の絶叫の中、矢野は絶命する。
第14話 「雨に消えた・・・・・」 (監督:斎藤光正 脚本:畑嶺明)
家具店勤務の香は、自分の勤める店に強盗の手引きをして、盗んだ金を独り占めするために、他の仲間3人を皆殺しにした。彼女がそこまでして金に執着している理由は、自分の婚約者が車で人を轢いて、たくさんの金を必要としているからであった。
だが、物語の最後で、この婚約者がすでに何十人もの女を引っかけている結婚詐欺師であることが判明してしまう。
第16話 「儀式の終わりに」 (監督:澤田幸弘 脚本:播磨幸治)
代議士の息子との結婚が決まり幸せの絶頂を迎えていた秋子は、逃走中の宝石強盗に強姦されてしまった。その後も宝石強盗に何かとつきまとわれた秋子は、ついにその男を殺害してしまい、やっと手に入れた幸せは微塵になってしまった
第18話 「狂乱のロック」 (監督:澤田幸弘 脚本:畑嶺明)
中野刑事の友人・吉本は、来年出産予定の奥さんを抱え、やっぱり幸せな生活を送っていた。そんな彼が自宅でクラシックを聴いていると、近所のバンド野郎が、騒音をまき散らしながら練習を始めた。
キレた吉本は練習をやめさせるべく怒鳴り込んだが、逆の彼等に袋叩きにされ死んでしまった。残された奥さんは絶望し、お腹の中の子どもをおろしてしまった。
最終話 「わかれ」 (監督:降旗康男 脚本:鎌田敏夫)
覚醒剤の卸しをやっている竹中の女・知恵は、竹中のことを聞き出すために接近してきた五十嵐刑事にメロメロになり始め、竹中のことを警察に密告した。
自分の男を警察に売ってしまった知恵は、その後どんどん墜ちて行き、売春業に手を染める。一方で知恵に深い恨みを持つ竹中は刑務所を脱走し、彼女を射殺する。
かねがね知恵を不幸にしたのは自分だと思ってきた五十嵐は、この一件が痛恨の一撃となり刑事を辞めてしまう。一方で中野刑事は通行人を巻き込んだ銃撃戦の責任をとらされ、地方に飛ばされてしまった。
刑事を辞めた五十嵐は、悲惨な思い出しかない街を電車で離れる。ちょうどそのころ中野は、射撃場でM29を撃ち続けていた。
最初は黙々と撃っていた中野であったが、次第に感情が高まってきて、「うわはっはっはっは」と笑い出す。やがて笑いは狂ったような泣き笑いへと変わっていった。
結び
数多くの悲惨なエピソードを生み出し、鬱屈した生活を送っていた人々の心を大いに満たしてきた70年代型刑事ドラマは、『大都会・闘いの日々』('76)で暗い絶頂期を迎えた。しかし、それを境にして、刑事ドラマは急速にその内容を薄めていき、やがて「考えることをやめてしまった刑事ドラマ」こと『西部警察』('79〜'86)を時代は生み出すことになる。それは、憎むべき軽薄さに満ちあふれた80年代の始まりでもあった。
更新履歴