File No.002 オオセミタケ
Cordyceps heteropoda
昨年は結局10個体以上のオオセミタケを採集でき、首尾よくオオセミタケ酒を作ることができたのだが、これだけ数があると泥を落としたりしてきれいにするのがえらくたいへんであった。ノビルの皮むきと同じ、「オオセミタケ地獄」である。
今年もまた、家の前の林で1時間たらずの間に3個発見でき、豊作となりそうな気配である。二年間続けて発生しているところをみると、本当にこの地にはオオセミタケが多いようだ。セミにとっては魔の地と言えよう。ふしぎなことに、こんな環境でも、無事に地上に出てくるセミがちゃんといて、天気のいい日はすでににぎやかに鳴き始めている。オオセミタケ禍をくぐり抜けた連中だけに、いっそう活きのいい気がするのは、私だけだろうか。
[データ]
肉眼的特徴 頭部は球形〜円筒形で径7〜10mm、褐色〜淡黄色の地に黒褐色の孔口を持つ子のう殻が密生する。柄は長さ5〜8cm、表面は繊維状で上部は淡褐色、下部は濃色となり茶褐色。基部はねじれ、株分かれして寄主に接合する。寄主は体長2cmのセミの幼虫(種は不明)。
顕微鏡的特徴 子のうは300?m×5?m、胞子は細長い糸状で、のちに(9.3±1.0)×1?mの二次胞子に分裂する。非アミロイド。
発生地 兵庫県新宮町。スギ林内地上。
採集日 1998年5月2日