File No.003 ヒロヒダタケ
Oudemansiella platyphylla
(ハラタケ目キシメジ科)

ほんのひと抱えほどの切り株のまわりに、幼菌から老菌まで10本ばかり生えていた。そのうちの1本に手を伸ばそうとしてしゃがみこむと、何の変哲もないように見えた切り株の上に、実は様々な生き物が同居しているのが見えてきて、妙に感心してしまった。

いつ生えたのかも知れない古いカワラタケは黒っぽくなり、すでに苔むしている。その苔の間を這って行くのは細い巻貝だ。そばを歩いていく黒と黄色の対照が鮮やかな5mmくらいの小さな昆虫は、調べてみたらヨツモンクロツツハムシであった。小学館のハンディ図鑑「日本の甲虫」はなかなか優秀である。切り株の裂け目や枯れ枝の間など具合のよさそうなところには少なくとも2種類のクモが網を張る。そしてヒロヒダタケの幼菌が2本ならんで切り株にくっついている。

たぶんそれぞれ互いに無関係な何種類もの生き物たちに、生活の場所を提供している切り株。小粒ながらなかなか懐の深さを感じさせてくれる切り株なのであった。

[データ]
肉眼的特徴 傘はまんじゅう型から平らに開き、中心部はややくぼむ。径5〜8cm、表面は灰褐色で、黒褐色放射状繊維紋で覆われ、幼時はさらにすす状の鱗片をつけ、ややビロード状、粘性はない。肉は薄く、白色。

ひだは白色で幅広く、やや疎、柄に湾生し、ふちは灰色にふちどられ、老成すると褐色のしみを生じる。
柄は4〜10cm×8〜20mm、根元はやや太まり、表面は繊維状、灰褐色の繊維状鱗片を有する。粘性はない。中空。

顕微鏡的特徴 胞子は広楕円径で短い突起を持ち、突起以外の部分の大きさは(7.7±0.7)?m×(6.2±0.5)?m、油球を含む。担子器の大きさは40×10?m。縁シスチジアは洋梨形で40×15?m、側シスチジアは見つからない。

発生地 兵庫県新宮町。コナラの腐朽した切り株の周囲に散生。

採集日 1998年5月17日

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