File No.010
ノウタケ
Calvatia claniiformis
(ホコリタケ目ホコリタケ科)

地中から突き出したげんこつ、というよりはドラえもんの手といったところだ。こんなのが生えているから、森の地面の下には何が住みついているのかわかったものではないのである。
見つけたのはまだ幼菌で、はじのほうを少し割ってみると中が白い。食べごろかと思うと、キャンプのときなどにやる炭焼きパンのふくらんだところのようにも見えてくる。
が、よくよく見たら側面に直径5mmくらいの穴があいていた。どうやら先客がいたらしい。真っ二つに切ってみたところ、中にはハエの幼虫のような虫さんがいて、しっかりと食しておられた。成虫が穴をあけて入り込み、卵を産んで出ていったあとで中で孵ったという仕掛けだろうか。
私にとってはドラえもんの手や炭焼きパンに見えたノウタケだが、この虫は生まれたときからノウタケしか知らないわけである。
ノウタケ、イコール全世界という世界観もちょっとすごいものがあるような気がする。

[データ]}
採集日:1998年10月3日
発生地:兵庫県新宮町

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