File No.015
マツカサキノコモドキ
Strobilurus stephanocystis (Hora) Sing.
(ハラタケ目キシメジ科)
2月初め、西はりまの町では、久しぶりにまとまった量の降雪があった。さすがに西の国のことだけあって、道路につもった雪は2日足らずでなくなってしまったが、発行日直前の今も、近所の家の軒下には、子供が作ったらしい雪だるまがまだ残っているし、日陰がちの北向きの山の斜面はほとんど一面白いままである。
そんな状況の林の中に踏み込んでみた。ところどころに残っている雪から融けた水がしみだしていて、かなり湿っぽい感じだ。ヒノキ・タケがほとんどの林ということもあり、きのこはまるで期待していなかったのだが、そんな環境のせいか、思いがけず初対面のきのこに出会ってしまった。
最初、落ち葉の間から傘だけがのぞいているのを見たときは、ただの雑タケのようだったので、無視しようかと一瞬は思った。だが雪に埋もれた中からせっかく生えてきたのだからとまわりを掘っていったところ、とうとうまつぼっくりが現われた。やりぃ、てな感じである。
ところでこのきのこには謎がある。「マツカサキノコモドキ」はあるのに、「マツカサキノコ」が図鑑には載っていないのである。本家のほうはいったいどういうきのこなのだろうか。
[データ]
採集日:1999年2月7日
発生地:兵庫県新宮町。
ヒノキ・アカマツ・タケの林内地上に落ちていたまつかさ上に発生。