File No.018
ヒトヨタケ
Coprinus atramentarius (Bull.:Fr.) Fr.
(ハラタケ目ヒトヨタケ科)

岡山県久米町での敗北が悔しくて、あきらめきれずに今度は兵庫県相生市の隣町、御津町の梅林公園に出かけた。しかし、ここで出会ったのは、ヒトヨタケの大群生であった。指の先ほどの幼菌から溶けて柄だけになった老菌まで、見事に群がっている。中ぐらいのかたまりは絵のモデルによさそうだし、幼菌は食べごろの感じだ。

そうと決まったら事は急を要する。直ちにハルシメジの捜索は中止し、ヒトヨタケを紙袋につめて帰り支度を始める。急がないと溶けてしまう。

1時間半ほどで自宅に着いた。ヒトヨタケは溶けずに無事であった。大きさもそこそこで、まだひだも白いままの、たべごろなもの2本を厳選して食用とする。さっとゆでて、三杯酢であえるとたいへんおいしい。同じヒトヨタケ科のイタチタケとは大違いで、歯切れも非常にいいし、ほんのりかすかな甘味さえある。

と、ここで、恐ろしいことを思い出してしまった。考えてみたら、前日、ノビルとイタドリを食べたとき、ビールを一本飲んでいたのだった。ヒトヨタケはホテイシメジなどと同様、酒といっしょに食べると毒とされている。しかも、ホテイシメジの場合はその作用があまり安定しないらしいが、ヒトヨタケの場合は「酒を飲んだ前後数日」でも中毒すると図鑑には書いてあるくらい、その効果は確実とされている。さらには、ヒトヨタケからは「コプリン」という物質が分離・解析されており、酒といっしょに食べたときの毒性がいわば化学的にもお墨付きを与えられているのである。

しまったと思ったがもう後の祭。こうなったらビールをもう一本飲んで様子を見てみることにしよう。ついでに昨年の秋につけた木瓜酒の試飲もしてみる。香りが出てはいるけれどまだカタイ味だな、あと数ヶ月熟成させるか。

そうこうするうち、激しい頭痛・吐き気・めまいといった悪酔い症状が現われるかと思いきや、結果としてなんともなかった。飲んだ直後、たしかにいつもより酔いの回りが早いような気もしないではなかったが、一日野外を歩き回ったことを考えれば、こんなもののようにも思える。少なくとも、当日・翌朝とも、不快感はなかった。

というわけで、幼菌2本にたいしビール1本くらいのアルコールは、(私の場合)許容範囲みたいである。

[データ]
採集日:1999年4月25日
発生地:兵庫県御津町
庭園内地上に群生。

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