File No.019
コテングタケモドキ
Amanita pseudoporphyria (Hongo)
(ハラタケ目テングタケ科)
きのこの絵を描くとき、創作意欲というか、チャレンジ精神というか、なんとかものにしてやろうという気にさせるポイントというのがいくつかある。
まず第一に、白くないこと。白い紙に白いきのこを描いてみても、どうにもぱっとしないからである。ドクツルタケなどはこの点からは最低である。
なんとも言えない魅力を感じるのは、たとえばフウセンタケの類の柄のくもの巣膜やささくれの感じだ。野外でフウセンタケに出会ったときには、細い面相筆でこの模様を一刻も早く描き込んでみたくてうずうずする。
さて、ここに掲げたコテングタケモドキも、本家コテングタケとともにそそられる対象のひとつである。その要因は、傘に見られる内生繊維紋というやつだ。ささくれのようでいてしかし表面はつるつるしているという、とらえどころのない質感を表現してみたくて手を出してみたが、画力のほうがまだ追いつかなかった。そんなに珍しい種類ではないので、たぶんまた挑戦することになるだろう。
[データ]
採集日:1999年7月4日
発生地:兵庫県新宮町。
コナラ・クリの混じる広葉樹林内地上に単生。