File No.043
Melanoleuca stridula (Fr.) Sing. ss. Metr., Kuhn
(ハラタケ目キシメジ科)
私の自宅のあるアパートの共同スペースには、すべり台やブランコが設置してあるちいさな公園があって、
子供の遊び場になっている。
下は芝生が敷いてあるのだが、ここにけっこう小物のきのこが出るのである。
こういう身近な場所で、しかも1歳になったばかりの下の子は何でも口に入れたがる年頃だ。
毒きのこでもまちがって食べてしまったらたいへんというのが母親の心配で、それももっともなのだが、
そこらにはタケニグサとかヨウシュヤマゴボウとか、きのこ顔負けの毒を持つ種子植物が生えている。
それなのになぜか真っ先に警戒されてしまうのがきのこであるところに、何か、きのこの悲哀を感じてしまう。
さて、その公園に群生したこのきのこも、一見、コザラミノシメジかと思ったが、
念のため、胞子を確認してみることにした。
「ザラミ」というのは、「胞子(実)の表面が粗面(ざらざらしている)」という意味である。
顕微鏡をのぞいてみると、確かに胞子は粗面である。が、おや?
ひだにシスチジアが見当たらない。
『日本のきのこ』には「フラスコ形で先のとがったシスチジアがある」と書いてあるのに。
結局、いろんな図鑑を調べてみたところ、コザラミノシメジ
Melanoleuca melaleucaより
やや小型で、柄がより暗い色(暗褐灰色)のM.
stridulaにもっとも近いようである。
コザラミノシメジは食用だそうだし、M. stridulaも毒とは書いていないので、
こいつに関しては、万が一まちがって食べたとしても大丈夫そうである。
[データ]
採集日:2000年11月6日
発生地:兵庫県新宮町