File No.044
オオゴムタケ
Galiella celebica (P.Henn.) Nannf.
(チャワンタケ目クロチャワンタケ科)
もうかなり昔のことになるが、東京港野鳥公園というところで、きのこ観察会が催され、
べにてんぐの会の何人かでこれに協力させていただいたことがあった。
企画じたいは野鳥公園のレンジャーが立てたもので、公園内の林地を歩いて出会ったきのこをスケッチし、
見たまま感じたままに名前をつけるというものである。
で、その後でほんとうのきのこの名前を教えるというのが、べにてんぐの面々に課された役割であった。
参加者のほとんどは親子連れである。
ササクレヒトヨタケの幼菌に「マイクタケ」、アカヤマタケの幼菌に「マッチタケ」など
膝を打ちたくなるような名作も生まれ、子供と一緒の観察会の楽しさをこのとき知った会員もいた。
参加者の中で、ひときわ元気で人なつっこい、小学生3,4年生の姉妹がいた。
もう記憶もはっきりしないが、もしかしたら双子の姉妹だったかもしれない。
その姉妹といっしょに歩いていた会員の一人が、観察会の後でびっくりしたように語ったところによれば、
オオゴムタケを見つけた姉妹が、「メープルシロップをかけて食べるとおいしいんだよね」と
言っていたのだそうだ。
実はこのフレーズは、山と渓谷社の図鑑『日本のきのこ』の「オオゴムタケ」の説明の項そのままなのである。
「どうやら相当に読み込んでいるらしい」ということなのであった。
三濃山の山の中でオオゴムタケを見つけて、思い出した話である。
[データ]
採集日:2000年11月7日
発生地:兵庫県相生市