File No.048
スギエダタケ
Strobilurus oshimae (Hongo et Matsuda) Hongo
(ハラタケ目キシメジ科)
スギ林にはきのこが少ないとされている。
実際、スギはきのこ様の子実体を作る外生菌根菌と共生しない。
スギ材上に生える木材腐朽菌は少ないわけではないのだが、スギヒラタケのような限定された種類か、
ニガクリタケのような節操のない種類か、クヌギタケのような限定された人にしか相手にされない種類かの
いずれかを生やすのが通例であるため、やっぱり「きのこが少ない」という印象を与えてしまうことになっている。
ところが、1年のうちで晩秋から初冬にかけては、スギ林の中でも、きのこがそこかしこにいっぱいの
不思議な光景を体験することができる場合がある。
スギエダタケの季節である。
食用にできるそうだが、私はまだ食べたことはない。
なにぶんひとつひとつが小さいので、「きのこ狩り」というよりは「きのこ摘み」という感じである。
しかも冬の気が忍び寄る時節に、量を確保するのはけっこうな労働になってしまう。
よく見ると傘の表面には細かい毛が生えていて、顕微鏡で見ると、特徴ある形の傘シスチジアであることがわかる。
ひだのシスチジアもだるまのような変わった形をしており、顕微鏡的にはけっこう遊べる種類である。
[データ]
採集日:2000年11月25日
発生地:兵庫県山崎町