File No.057
アシボソトマヤタケ
Inocybe calospora Quel.
(ハラタケ目フウセンタケ科)
「トマヤタケ」というのは「苫屋茸」の意味で、アセタケ属(Inocybe)のきのこにこの名を持つものは多い。
傘が開いても必ず中央部が突出し、表面が繊維状の紋で覆われるアセタケの仲間を、
苫葺きの小屋に見たてた命名は秀逸で風流であると思う。
このように特徴が比較的はっきりしているので、属までの同定は容易である。
が、種類数が多いうえ、互いに似たものが多いので、属の先、種の見分けが非常に難しい。
また、ほとんどの種類が毒きのこであることがわかっており、食用にされるものが一つもない。
そういうわけで、野外では見なかったことにされてしまうことが多い。
せっかくいい名前を持ちながら、観察の対象にされにくい、やや不遇なきのこである。
[データ]
採集日:2001年6月16日
発生地:兵庫県新宮町