File No.058
ミドリニガイグチ
Tylopilus virens (Chiu) Hongo
(ハラタケ目イグチ科)


日本文化のルーツのひとつに、照葉樹林文化があることはよく知られている。
東北地方南部以南の平地および低山一帯は、縄文時代、シイ・カシの森林だった。
中国南部、台湾、東南アジア山岳部をも含む、そのような環境で育まれた文化のことである。
たとえば、餅を作る習慣は、サトイモみたいな野生いもをすりつぶして食べていた
照葉樹林文化の食生活に起源があると言われているし、
日本酒の並行複発酵(麹カビによるでんぷんの糖化・酵母によるアルコール化を同時におこなう)は、
泡盛・老酒などにも見られる、東アジア独特の製法である。

残念ながら日本では、シイやカシの森林は、燃料として、かなり昔にほとんど伐採しつくされている。
そういうわけで大規模な照葉樹林はあまり目にする機会がないのだが、
専門家の話によると、宮崎駿のアニメ「もののけ姫」に出てくる森がかなり正確な照葉樹林の描写になっているらしい。

そんなロマンチックな照葉樹林の面影は、しかし、ヒサカキなどの低木や、ランの仲間などの下草として、
今の雑木林や植林地などに残っているようだ。
きのこにもその手合いがあって、ミドリニガイグチがその一例ではないかと思っている。
「新菌類図鑑」によれば、本州以南の日本・韓国・中国雲南省・ボルネオに分布するというから、照葉樹林の分布そのものだ。
たぶん本来はシイ・カシ林のきのこなのだが、菌根を作る相手を柔軟に広げることによって、
二次林であるコナラ・アカマツ林にも生き延びていると思われる。
他に、モエギアミアシイグチ・ホオベニシロアシイグチなどもその系列だろう。

[データ]
採集日: 2001年7月5日
発生地:兵庫県上郡町(コナラ・アカマツ林内地上)

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