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石井義人発　中野栄一行
突然ですが，連想コラム． 
スタートは石井義人．ゴールは中野栄一．
いったいどんな経路で中野栄一までたどりつくのか，推理してみてください．

2000年シーズン終了後，ローズ，駒田が抜けたベイスターズ野手陣はまさに変革期だ．
金城に続けとばかりに，多村，相川ら若手がレギュラーの座をねらっている．
その若手のなかでもとくに注目したいのが石井義人（いしいよしひと）だ．

石井義人は5年目23歳，左打ちの内野手．
3塁手だが，昨年はおもに代打での出場．
ミート力は非凡で，代打で4割をこえる打率を残した．
課題の守備が上達すれば，金城に続く4年連続ベイスターズからの首位打者も夢ではない．

石井義人の年度別打撃成績は以下のとおり．
上の表が一軍成績で，下がファーム成績．

氏名	年度	試合	打数	本塁打	打点	盗塁	四球	三振	打率
石井　義人	1997	10	17	0	0	0	0	2	0.235
石井　義人	1998	試合出場なし
石井　義人	1999	試合出場なし
石井　義人	2000	41	58	1	6	1	3	9	0.328
一軍通算		51	75	1	6	1	3	11	0.307
ファーム成績
石井　義人	1997	78	223	2	30	4	28	35	0.274
石井　義人	1998	84	244	5	22	5	38	36	0.221
石井　義人	1999	34	134	6	17	8	18	22	0.373
石井　義人	2000	63	237	4	42	1	33	37	0.329
ファーム通算		259	838	17	111	18	117	130	0.290

さて，石井義人は浦和学院の出身で，1996年のドラフトで4位指名されたのだが，
というと，「あいつはどうしているのだろう？」と思い出してしまう選手がいる．

それは同じ年に3位指名された，
同じく高卒，同じく埼玉出身（所沢商），同じく左打ち，同じく内野手の大野貴洋（おおのたかひろ）だ．
大野は，高校通算71本塁打のスラッガーとして入団したが，いままで一軍出場はない．

というのも，大野のポジションは2塁手だからだ．
あれだけ偉大な前任者がいては，それを押しのけて出場するのは容易なことではないだろう．
しかし，ローズは去った．
今季はチャンスだ．
ファームで研鑚しつづけた打撃をきっと我々に見せてくれるだろう．

もうおわかりでしょうが，石井義人，大野貴洋ときたら，もうひとりにふれないわけにはいかない．
もちろん神田大介（かんだだいすけ）だ．

神田大介は同じく1996年のドラフトで5位指名の投手．
またまた同じく埼玉県の花咲徳栄出身．（高卒）
（ついでに同じく右投げ左打ち）

神田は長身（184センチ）を生かした150キロ近い速球とナックルが武器だ．
ファームでの経験もじゅうぶん．
昨年はシーズン終盤の2試合に先発し，ともに5回を被安打4と好投した．
故障さえなければ一軍ローテーション入りは確実だろう．
もう「甘いマスクで女性に人気」と選手名鑑で紹介されるのなんてごめんだ．
実力でオッサンファンの人気もつかめ！

以上の3人がドラフトで指名されたときは，
埼玉出身の高卒トリオとしてインパクトが強かった．
しかし，このドラフトにはもっと印象深いできごとがあった．

突然だが私はベイスターズファンだ．
しかも神奈川県出身でもある．
やはり，高校野球では神奈川県の高校を応援してしまう．
甲子園で応援していたふるさと選手が，
ベイスターズに入団して活躍するとうれしいというちょっと狭量な？郷土愛ももっている．

だからといってべつに埼玉県出身者を獲得しちゃいけないとは言わない．
しかし，同じドラフトで，神奈川県出身者が3人，別のチームに指名されていたらどうだろうか．

そう実はこのドラフトで横浜が埼玉の3人をとっている隙に，
中日ドラゴンズがこっそりと神奈川県出身者を3人，略奪していったのだ．

それを知った私はくやしくてたまらなかった．
まるで，ちょっと浮気心をおこしてほかの女性にちょっかいをだしているうちに，
学生時代から付き合っていた気心の知れた最高の彼女を別の男に奪われてしまったかのようなくやしさを感じた．

「どうしてベイスターズはふるさとの3人をとらなかったんだ」
できることなら埼玉の3人と神奈川の3人をそっくり取りかえたいとさえ思った．

では怒りと涙とともに，中日に略奪されたふるさとの若武者たちを紹介しよう．

ドラフト2位で指名されたのが，東海大相模の森野将彦（もりのまさひこ）．
入団1年目には初スタメンの試合で見事初アーチをかけた．
ポジションはショートで，昨年は福留の故障で2年ぶりの1軍出場を果たした．
しかし，福留が復活し，井端が台頭してきた今年は厳しい年になりそうだ．

続いて3位は幕田賢治（まくたけんじ）．横浜出身，右打ちの外野手．
遠投110メートルの強肩，100メートル11秒3の俊足，
さらにやや粗いがパワーある打撃と三拍子そろった好選手だ．
ファームではレギュラーだが，ここ3年1軍からお呼びがかかっていない．

そして4位指名されたのが捕手の中野栄一（なかのえいいち）．
横浜から亜細亜大へ進学．大学屈指の強打強肩の大型捕手と評価された．
しかし4年間でわずか28試合出場と期待を裏切っている．

こうして神奈川の3人と埼玉の3人をくらべてみると，どうも埼玉のほうが活躍しているようだ．
「くやしい」だの「略奪」だのといろいろひどいことを言ったが，
私はベイスターズの選手が活躍さえすれば，
どこ出身だろうとかまわないので，この結果には満足している．
ファン心理とはかくも理不尽なものなのだ．

最後に，偏狭な郷土愛，チーム愛から離れてひとこと．
出身地や所属チームを問わず，才能あふれる選手を見るのはうれしいものだ．
ここにあげた6選手は入団5年目とまだまだ若い．
これからの活躍を楽しみにしたい．

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