目指せ!3割ピッチャー?
両リーグで最低勝率だったのは、日本ハム。
その勝率は.387。
去年も一昨年も勝率3割台のチームはなかった。
ちょっと恥ずかしい数字だ。
ところが、26試合に先発しながら、勝率が3割にさえも届かない投手がいた。
日本ハムよりも恥ずかしいその投手の名はハンセル(阪神)とバワーズ(横浜)。
ハンセルの勝率はわずか.278。
バワーズにいたっては.188と2割にも満たない。
まるで打率のような勝率のふたりの成績を見てみることにしよう。
名前 | 試 | 勝 | 敗 | 勝率 | 防御率 | 投球回 | 安打 | HR | 三振 | 四球 |
ハンセル | 27 | 5 | 13 | 0.278 | 3.49 | 162 1/3 | 145 | 14 | 123 | 75 |
バワーズ | 26 | 3 | 13 | 0.188 | 4.39 | 127 | 129 | 9 | 95 | 48 |
(ハンセルは1試合だけ救援登板をした。ふたりとも完投、セーブは0)
ともに13敗。
13敗は、山本昌(中日)、井川(阪神)と並ぶリーグ最多敗戦。
しかし、その割に防御率は悪くない。
ハンセルは3.49でリーグ9位とベストテン入りもしている。
ではなぜ勝てなかったのか。
それを探るために、ふたりの成績を、セ・リーグで100イニング以上投げた投手25人と比較してみた。
名前 | 被安打率 | 本塁打 | 奪三振 | 四球 | 安+四死 | |||||
ハンセル | 0.245 | 7 | 12.07 | 9 | 6.82 | 15 | 4.16 | 22 | 12.64 | 19 |
バワーズ | 0.265 | 18 | 9.92 | 5 | 6.73 | 16 | 3.40 | 17 | 12.83 | 24 |
右の数字が25人中の順位。
本塁打は140投球回あたりの被本塁打。
奪三振、四球は9投球回あたり。
安+四死は、9投球回あたりの被安打、与四死球の合計。
ハンセルの被安打率.245は25人中7位と見事。
12勝を挙げた黒田(広島)の.244と遜色ない。
となると弱点はやはり四球の多さだ。
そこを改善すれば、大ブレイクする可能性大だ。
面白いのが、ハンセルと同僚井川のデータが似ていること。
井川のデータは、被安打率 .249(10位)、四球 4.17(23位)、安+四死 12.47(18位)。
利き腕こそ違えど、同じような一人相撲タイプだ。
ただ、被本塁打と奪三振では、井川がぐっと優れている。
井川の被本塁打は8.02(3位)、奪三振は8.02(5位)。
それでも9勝どまりというのが、弱いチームの哀しいところだ。
ハンセルに比べるとバワーズは地味だ。
被安打率は.265でまあまあ。
同僚の小宮山はバワーズより悪い.270ながら12勝を挙げた。
もちろん、小宮山の四球はリーグ2位のわずか1.82個。
いっぽうバワーズの四球は3.40とまあまあ。
被安打もまあまあ、与四球もまあまあで、合計すると25人中24位と冴えなくなった。
どうも特徴が感じられない。
しかし物は言いようで、まとまっているタイプだとも言える。
報道によると、来期も横浜のユニフォームを着るらしい。
1割台だった今シーズンよりも勝率が悪くなることはないと開き直って、好投してほしい。
中日の前田幸も4勝10敗で.286というかなり恥ずかしい勝率だった。
しかし前田は、36試合登板のうち、先発は13試合だけだったので、
ハンセル、バワーズとはちょっと意味が違うとみなし、俎上に上すのは勘弁してあげた。