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斎藤隆の後半戦

6月22日に掲載したコラム「ハマの一発病魔神」で、
今季から横浜の抑え投手になった斎藤隆を冷静、かつ的確に分析し、好評を博した。
では、その後の彼の投球はどうだったのだろう。
再び冷静、かつ的確な分析を試みることにしよう。

試合日 敵チーム 成否   
6/22 巨人 9回、4点差でセーブがつかない場面で登板。高橋由、仁志、松井ヒットで一打同点のピンチを招く。なんとか後続を断ち、チーム3連勝。
6/26 ヤクルト 3-1の9回。ペタジーニと岩村から三振を奪うなど危なげなく11セーブ目。岩村から奪った三振で通算1000奪三振を達成。
6/30 中日 6-3の8回から登板。柳沢の二塁打で、5/31以来の失点。その裏横浜が1点追加し、9回は三者凡退でセーブ。チームの連敗を3で止める。
7/3 広島 5-3の8回から登板。9回井上のソロなどで2点の援護をもらった斎藤は、2回を3三振無失点でセーブ。これで横浜は1分けをはさんで広島戦7連勝。
7/6 巨人 6-3の9回。二死後、仁志に二塁打を許すも代打マルティネスを打ち取りセーブ。来日2試合目のアルモンテに1敗目がついた。
7/8 巨人 5-2の9回。無難に抑えてセーブ。巨人を3タテ。小宮山の通算100勝をアシストした斎藤は、19セーブポイントで岡島を抜いてリーグトップに。
7/10 阪神 6-2の9回無死1、2塁で登板。いきなり矢野に四球で満塁。続く代打八木にも四球で押し出し。沖原三直、赤星左飛でツーアウト。浜中に粘られフルカウントになるもスライダーで見逃し三振。斎藤は6試合連続のセーブ。横浜は今季初の4連勝。
7/14 ヤクルト 4-4の延長12回。三者凡退。しかしその裏横浜も得点できず引き分け。両チーム計16投手が登板し、延長試合でのセリーグ新記録になった。
7/27 阪神 3-0の9回1死1,3塁で小宮山を救援。桧山に二塁打を打たれ、1点差に。続く八木遊飛、エバンス三振でセーブ。オールスター後の初戦を白星で飾った。
7/28 阪神 5-4の9回。1点差を守りきりセーブ。チームは今季初の5連勝。中継ぎの米は5年ぶりの勝利。
7/31 広島 × 5-4の8回。ロペスにソロ本塁打打たれ同点。9回は瀬戸、新井、木村拓を三者連続三振。延長10回表、味方打線が爆発。谷繁の満塁弾などで一挙6点。その裏は木塚が締めて斎藤に勝ち星がついた。横浜は7連勝で3位に浮上。
8/2 広島 11-7とセーブがつかない8回から登板。1死後、東出二塁打、続く緒方本塁打で2失点。9回は三者凡退。横浜は9連勝で貯金1。
8/11 広島 8-10の8回1死1塁。初めてリードされた場面で登板。ロペス、野村を打ち取りチェンジ。その裏横浜は1点追加。9回は2死から被安打も無失点に抑える。その裏谷繁が佐々岡から今季5本目となるサヨナラ2ラン。この試合横浜は8点差を大逆転勝利。斎藤は6勝目
8/16 ヤクルト 0-0の延長10回。2四球(うち1つは敬遠)を与えるも無失点に。11回は2死から連打されるがラミレス三振でチェンジ。この回のアウト3つはすべて三振。12回表横浜の攻撃、佐伯の左翼ライナーの判定を巡り、森監督が退場。試合は引き分けで後味の悪さが残った。
8/19 阪神 4-5とリードされた9回1死2塁で杉山を救援。浜中,星野を打ち取りチェンジ。そのままチームも敗れ、貯金ゼロに。
8/26 ヤクルト × 1-3とリードされた7回1死1、2塁で杉山を救援。古田、岩村を打ち取り無失点で切り抜ける。しかし8回、先頭のラミレスに本塁打を許す。斎藤はこの回を抑えて交代。チームはこのまま敗れ6連敗。
8/30 広島 3-2の8回から登板。広島の3、4、5番を打ち取る。9回横浜は1点追加。その裏も三者凡退のパーフェクトピッチングで1ヶ月ぶりのセーブ。横浜は連敗を7で止め、広島戦5年連続の勝ち越しを決めた。
8/31 中日 2-1の8回1死1塁で小宮山を救援。いきなりティモンズに安打を許し、1、2塁のピンチ。打者は苦手の福留。しかし、三振に切って取り、走っていた二走大西も三塁でタッチアウト。9回は三者凡退で今季20セーブ目
9/1 中日 4-2の9回。1死後、波留、福留に連打されるも、続く2者を打ち取りセーブ。横浜は3連勝。この試合で、野口のプロ野球記録となる、5試合連続無四球完投を阻止。
9/8 中日 6-4の8回。1死後、苦手の福留に安打を許すも無失点。9回も無失点でセーブ。天敵野口を攻略し勝利。
9/13 巨人 木塚が松井に2ランを浴び、6-5の1点差になった8回2死で登場。いきなり清原に安打も、続く江藤三振でチェンジ。9回は代打マルティネスに死球を与えるが、後続を断ち23セーブ目
9/21 ヤクルト 4-2の8回無死1、2塁で木塚を救援。ペタジーニはすべて直球で攻め、今季最高の154キロで空振り三振。岩村にはストレートを完璧に捉えられるがファーストライナー。ラミレスには変化球を交え、最後は直球で中飛に打ち取りピンチを切り抜ける。9回は先頭の代打度会に被安打も、後続を断ちセーブ。横浜はヤクルト戦の連敗を7で止めた。
9/22 広島 5-3の8回2死2、3塁で小宮山を救援。ロペスを投ゴロでチェンジ。9回は三者凡退で、今季最長の7試合連続セーブ。先発の小宮山は3年ぶりの2ケタ勝利。
9/24 広島 3-3と同点の9回。安打、失策、敬遠などでピンチを招くも無失点。10回は三者凡退。その裏に代打を出される。試合は延長11回に細見が2失点して敗戦。
9/26 阪神 1-1と同点の9回。いきなり連打を許すも後続を断つ。その裏、谷繁のサヨナラ打で勝利投手に。
9/27 阪神 3-3と同点の延長10回。この回は2安打1四球でピンチを招くがなんとか無失点に抑える。11回は無難で、その裏代打を出されてお役御免。横浜は15安打、6四球も5併殺を喫するなど14残塁の拙攻。結局延長12回、3-3で引き分け。
10/4 広島 8-6の9回。先頭の金本に四球を与えるも後続を断ち、4試合ぶりのセーブ。両チーム合計4失策の乱戦を制した横浜は5割復帰。
10/5 阪神 4-1の9回。1死後、桧山、今岡に連打。しかし、吉田浩、山田連続三振でセーブ。横浜は8月18日以来の貯金。先発小宮山は自己最多タイの12勝目。
10/11 中日 1-6と大差をつけられた9回2死で後藤を救援。井端を三ゴロに打ち取りチェンジ。横浜の今季最終戦、しかもホームということで顔見せ登板だろう。試合はこのまま横浜が敗れ、白星で締めくくれなかった。

成否とは、ぼく独自の判断で、
・リードしている時の登板・・・(たとえ失点しても)リードを守りきれた時、
・同点時の登板・・・
同点を維持できた時、
・負けている時の登板・・・相手の得点を許さなかった時
、をそれぞれ○とした。

上記のとおり、斎藤は6月22日からシーズン終了までに29試合に登板し、3勝17セーブを挙げた。
前回のコラムでは、開幕から6月20日までの21試合についてとりあげたので、
便宜的にその21試合を前半戦と呼び、29試合のほうを後半戦と呼ぶことにして、
斎藤の前半戦と後半戦の投球を比較してみたい。

 

S

防御率   投球回 安打 HR 三振 四球
前半 21 4 1 10 2.59 24 1/3 17 3 21 4
後半 29 3 0 17 1.12 40 1/3 34 3 39 10
全登板 50 7 1 27 1.67 64 2/3 51 6 60 14

上の表をわかりやすくするために、9投球回あたりの値に換算したのが下の表だ。
ただし、被本塁打は140投球回あたり。
安+四は、9投球回あたりの被安打+与四球。

   安打  HR  三振  四球 安+四
前半 6.29 17.26 7.77 1.48 7.77
後半 7.59 10.41 8.70 2.23 9.82
全登板 7.10 12.99 8.35 1.95 9.05

後半では奪三振が約1ポイントの増加。
本塁打も打たれにくくなった。
しかし、被安打、与四球ともに悪化している。
9.82でさえ素晴らしい数字だが、なぜ後半は走者を許しやすくなったのだろうか。
次の表を見ていただこう。

 

救援登板 救援成否 成功率 セーブ機会 セーブ成否 成功率
前半 21 16-5 0.762 14 10-4 0.714
後半 29 27-2 0.931 18 17-1 0.944
全登板 50 43-7 0.860 32 27-5 0.844

救援成否とは、ぼく独自の判断で、
・リードしている時の登板・・・(たとえ失点しても)リードを守りきれた時、
・同点時の登板・・・同点を維持できた時、
・負けている時の登板・・・相手の得点を許さなかった時、をそれぞれ成功とした。

前半、斎藤は14のセーブ機会に登場して、成功10、失敗4だった。
成功率70%では抑えとしてちょっと不安だ。
それが一転、後半のセーブ機会失敗は18回中たった1回。
7月31日の広島戦だけである。
1点差で登板したのだが、ロペスに本塁打を浴び、同点に追いつかれた試合だ。
(結局、延長で横浜が勝ち、斎藤が勝利投手になったが・・・)

また、後半の29試合を救援成功か失敗かに分別すると、失敗は2試合だけ。
前述の7月31日の試合と、8月26日のヤクルト戦だ。
8月26日は2点リードされた場面で救援登板した。
しかしラミレスにソロホームランを打たれ、点差が広がった。
ぼくは、この試合も救援失敗と判断した。

その他の27試合はすべて救援成功。
27試合の内訳は、リード時の登板が19試合、同点時が5試合、負けている時が3試合であるが、
そのすべてで救援投手の役割を果たした。
見事というほかはない。

 

後半は走者を許しやすくなったはずなのに、この見事な結果。
それはおそらく斎藤がメリハリを覚えたためではないか。
抑えに不慣れなシーズン当初は、がむしゃらな全力投球が裏目に出て、大事なところで痛打された。
新しい任務に慣れてきた後半は、駆け引きする余裕ができた。
単打はともかく、長打は決して許さない投球。
危険な打者は無理に勝負せず、四球でもいいという開き直り。
それらの結果が、多少走者は許したが、1.12という防御率になったのではないだろうか。

 

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