Active Directory
■ Active Directory Active Directoryとは、 いわゆる「ディレクトリ・サービス」を、 Windows 2000上で実装したものである。 従来、Windows NTで使われてきたユーザー管理システムを廃し、 Windows 2000に組み込んだ新しいディレクトリ・サービスである。 Active Directoryは,複数のサービスの集合体であり、 個別の構成要素としては、次のような業界標準プロトコルを使う。 (1) DNSのSRVレコード ユーザーがログオンするとき、 認証を行うコンピュータ(ドメイン・コントローラ)を検索する。 (2) Kerberos ユーザの認証を行う。 (3) LDAP 他のユーザーやコンピュータの情報を取得する場合に使用する。 また、Active Directoryの管理ツールが、 ディレクトリ・サービスの登録情報を変更する場合に使用する。 ■ ディレクトリサービス。Directory Service。 ディレクトリ・サービスとは、 ネットワーク上に存在するさまざまな資源や情報を 一括して登録・管理し、クライアントからの検索を受け付ける サービスのことを指す。 すなわち旧来のDNSや検索エンジンは、ディレクトリサービスに類する。 ディレクトリ・サービスを使うと、システム管理者は、 自分が管理すべき情報を全てディレクトリ・サービス上に置くことができる。 例えば、ユーザーのアカウント名、氏名、所属部署などはもちろん、 共有フォルダやプリンタ、あるいはネットワーク機器など、 ネットワーク上のあらゆるオブジェクトを統一的に管理できるようになる。 利用者にとっても、ディレクトリ・サービスの利点は大きい。 ディレクトリ・サービスでユーザー情報を一元管理しているため、 あらゆる環境下でのシングル・ログオンを実現できる。 つまり、ドメインへログオンするだけで、 あらゆるネットワーク・リソースにアクセスできるという利便性を得られる。 ディレクトリ・サービスは、 ITU-TでX.500規格として標準化されており、 Active Directoryを含む多くの製品がこれに準拠している。 ディレクトリ・サービス・プロトコルとしては、主にLDAPが使われる。 ■ ドメイン。Domain。 Active Directoryでは、 ドメインという単位で、自身が管理する範囲を定義する。 ドメインはすなわち、Active Directoryの論理構造の基本単位である。 システム管理者はあらかじめ、 ドメインを定義し、管理対象となるオブジェクトを登録しておく。 登録されたものだけがドメインの領域に含まれ、 登録されなかったものはドメインの領域に含まれない。 同じドメイン内のすべてのサーバは、 当該ドメイン内のすべてのユーザーを正しく識別し、 かつ自身が持つリソースへのアクセスを制御することができる。 Active Directoryにおけるドメインは、 物理的なネットワーク構造に依存しない、論理的な領域である。 たとえ同じセグメントに接続されていたとしても、 同じドメインに登録されていないものは、サービス範囲外の扱いになる。 なお、Active Directoryでドメインを図示する場合は、 三角形で描く習慣がある。 ■ OU。Organizational Unit。 ドメイン内に、 ユーザーやグループ、コンピュータなどの管理すべき情報が増えてくると、 管理にかかる負担が大きくなる。 そこでActive Directoryでは、 ドメイン内に「OU」という入れ物の役割をするオブジェクトを作成して、 ユーザーやグループ、コンピュータの個々のオブジェクトを、 管理しやすい小さな単位に束ねることができる。 さらに、OU単位で別の管理者を割り当て、管理を委任することもできる。 ■ ドメインツリー。Domain Tree。 Active Directoryでは、 単一の管理組織内において複数のドメインを定義し、 互いに階層構造を構築することが可能である。 この階層構造のことをドメイン・ツリーと呼ぶ。 例えば、同一の会社内で部署ごとにドメインを設ける場合がある。 ドメインの階層構造は、 DNSの階層と同様に、連続した名前空間として構成する。 すなわち、ドメイン・ツリー内に定義する子ドメインは、 必ず親ドメインのドメイン名を継承し、 それにサブドメイン名を付すことで識別される。 なおユーザーは、 同じドメイン・ツリーに所属するドメインであれば、 別のドメインの資源でも利用できる。 ■ フォレスト。Forest。 Active Directoryは、拡張性に優れており、 さらに大規模な組織にも対応できるようになっている。 すなわち、同じ組織でも、必要に応じて 複数のドメイン・ツリーを構成することができる。 こうして、複数のドメインツリーが存在する状態を、 「フォレスト(forest、森)」と呼ぶ。 Active Directory構造において、グループ化の最大の単位は、 このフォレストである。 ドメイン・ツリーを分けた場合でも ドメイン・ツリー同士で信頼関係を結べば、 同じフォレストに参加しているドメインのユーザーは、 互いの資源へのアクセスが可能になる。 ■ 推移する信頼関係。 Active Directoryにおいては、 ドメインAとドメインBが信頼関係を結び、 ドメインBとドメインCが信頼関係を結んでいると、 自動的にAとCも信頼関係が結ばれる、 このことを推移する信頼関係と呼ぶ。 ■ ドメインコントローラ Active Directoryにおいて、 ドメインを管理するコンピュータをドメイン・コントローラ(DC)という。 DCはドメインを制御するための中心的なシステムであり、 以下のような役割を持つ。 (1) 認可。Authorize。 ユーザーやコンピュータの情報を ディレクトリ・データベースに登録する作業。 (2) 認証。Authorization。 ログオン認証要求があったとき、ユーザー名やパスワードなどの情報が データベース内の情報と一致しているかどうかを調べ、 正当な利用者かどうかを判定する作業である。 ユーザーは認証を受けて初めて、ドメイン内のリソースを利用できる。 Active Directoryのドメイン・コントローラになれるのは Windows 2000 Server以上(もしくはWindows .NET Server以上)が動作する コンピュータである。 通常は、1台のDCが停止した場合でもディレクトリサービスを継続できるように、 1つのドメイン内に複数のDCを配置する。 DCが持っているディレクトリデータベースは、 自動的にほかのDCにも複製されるようになっており、 ユーザーの認証はドメイン内の任意のDCで行われる。 また、どのDCで認証された場合でも、ドメインの資源を利用できる。 ■ 参考URL アットマークIT http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/operation/adprimer001/adprimer001_01.html 以上。 2004/03/01 pm