第7章 Ciscoインターネットワークを管理する
■ コンフィグレーションレジスタ
コンフィグレーションレジスタ。
ルータの起動方法や動作環境を規定する16ビットのレジスタ情報。
NVRAMに保存されている。
コンフィグレーションレジスタは、
通常は4桁の16進数(0x****)で表示する。
デフォルト値は、0x2102である。
2進表記に直すと、0010:0001:0000:0010である。
ルータが起動しなくなった場合や、
パスワードを忘れてルータにログインできない場合、
このコンフィグレーションレジスタ値を変更すれば復旧できる場合がある。
また、コンソールの通信速度の変更も可能である。
コンフィグレーションレジスタを表示する。
Router>sh version
またはRouter#sh version
コンフィグレーションレジスタの値を変更する。
Router(config)#config-register 0x0101
■ ブートフィールド
コンフィグレジスタの最後の桁をブートフィールドと呼ぶ。
このブートフィールドの値を変更することにより、
ルータのIOSイメージの起動方法を変更できる。
(1) 0x2100 ROMモニターモードで起動。
ROMからROMモニタープログラムを起動する。
このモードでは、プロンプトはrommon>になる。
製品テストや障害対応のときに使用される。
ROMモニターモードの状態IOSを起動するには、bootコマンドを使用する。
(2) 0x2101 小型IOSモードで起動。
ROMから小型IOS(RXBOOT)を起動する。
このモードでは、プロンプトはRouter(boot)>になる。
フラッシュメモリ内のIOSを入れ替える際に使用する。
(3) 0x2102-F 通常の起動法。
フラッシュメモリからIOSを起動する。
起動するIOSイメージは、NVRAM上のboot systemコマンドを参照して決める。
さらに、startup-configの設定をロードする。
(4) 0x2142 NVRAMを無視して起動。
フラッシュメモリからIOSを起動する。
ただし、起動の際にNVRAMの内容は無視される。
このため、初期セットアップモードで起動することとなる。
パスワードの復旧などに用いる。
■ パスワードの復旧
レジスタ値を0x2142に変更すれば、
ルータはNVRAM(startup-config)を無視して起動するため、
パスワード設定は効いていない状態で起動する。
このことを利用して、パスワードの忘失を救済することができる。
以下に手順を記す。
(1) ルータ起動中に Ctrl+Break。
(2) コンフィグレジスタを2142に変更する。
この設定をすると、ルータはNVRAMを無視して初期状態で起動する。
> confreg 0x2142 (2600シリーズ)
> o/r 0x2142 (2500シリーズ)
(3) ルータを再起動する。
> reset (2600シリーズ)
> I (2500シリーズ)
(4) 特権モードに入ってstartup-configを呼び出す。
Router>enable
Router#copy start run
(5) パスワードの再設定を行う。
Router(config)#enable secret ***。
(6) レジスタ値を元に戻す
Router(config)#config-register 0x2102。
■ IOSイメージのバックアップ
IOSイメージのバックアップの際は、
まず、フラッシュメモリの全容量/使用容量/空き容量と、
フラッシュメモリに格納されているIOSファイル名を確認する。
Router#sh flash
ルータのIOSイメージのバックアップデータは、
TFTPサーバを設置して一元的に管理するのが普通である。
バックアップする時は、copy flash tftpコマンドを使う。
Router#copy flash tftp
後はプロンプトに従って回答していけばよい。
Address of remote host [255.255.255.255]?
Source file name [c2500-js-l.112-18.bin]?
Destination file name [c2500-js-l… ]?
…
ただし、バックアップする際には、以下の点に注意すること。
(1) TFTPサーバにアクセス可能かどうか。
(2) TFTPサーバに空き容量があるかどうか。
IOSは1個で10MB以上ある。これを複数保存することになる。
(3) サーバのOSがロングファイル名に対応しているか。
IOSファイル名を構成する各パートには意味があり、
ファイル名は変更できない。
(4) UNIXサーバの場合、サーバ上にあらかじめアップロードを
受け取るファイルを作成しておくこと。
なお、バックアップしたIOSイメージを
フラッシュメモリに再格納するには、下記のコマンドを使う。
Router#copy tftp flash
また、シスコルータ自身をTFTPサーバホストにする場合には、
下記のコマンドを使う。
Router(config)#tftp-server tftp:
■ コンフィグレーションのバックアップ
現在のコンフィグレーションを、TFTPホストにコピーする。
Router#copy run tftp
保存されているコンフィグレーションを、TFTPホストにコピーする。
Router#copy start tftp
TFTPサーバ上のコンフィグレーションを、RAMに格納する。
Router#copy tftp run
TFTPサーバ上のコンフィグレーションを、NVRAMに格納する。
Router#copy tftp start
※ コンフィグレーションは、ASCIIテキストで保存されており、
テキストエディタ等で任意に変更が可能である。
■ CDPの起動
Ciscoルータでは、
CDPがデフォルトで有効になっているので、特別な設定は必要ない。
もし、何らかの理由でオフにした場合には、
以下のコマンドを使って再び有効にすることができる。
ルータのCDP機能を有効にする。
Router(config)#cdp run
インターフェースのCDP機能を有効にする。
Router(config-if)#cdp enable
■ CDPタイマーの設定
CDPタイマーを設定する。
CDP情報が全アクティブインターフェースに配信される間隔を指す。
デフォルト設定は60秒になっている。
Router(config)#cdp timer 90
CDPホールドタイムを設定する。
隣接デバイスから受信したCDP情報を保持する期間を指す。
デフォルト設定は180秒になっている。
Router(config)#cdp holdtime 240
■ CDP情報の参照
自身のCDP設定を確認する。
例えば、CDPタイマー値やCDPホールドタイマー値が確認できる。
Router#sh cdp
CDP通信の統計情報を表示する。
CDPの送受信パケット数やエラー数が表示される。
Router#show cdp traffic
CDPが動作しているインターフェースを一覧表示する。
Router#show cdp interface
隣接デバイスのCDP情報を表示する。
隣接デバイスのホスト名やインターフェース名が表示される。
Router#sh cdp neighbor (nei)
隣接デバイスの詳細なCDP情報を表示する。
ネットワーク層の各プロトコルごとに、最大1個の論理アドレスが表示される。
Router#sh cdp neighbor detail (nei de)
[sh cdp entry *]
■ Telnet接続
Telnetセッションを張る。
Local# telnet 172.16.30.1
このセッションを維持したまま自身のコンソールに戻るには、
Ctrl+Shift+6 を押してから、X を押下する。
この操作を繰り返すことにより、
最大5台の端末と、同時にTelnetセッションを張ることができる。
■ Telnet接続の一覧表示
(1) show sessionsコマンド
現在維持されている全てのTelnetセッションを表示するには、
show sessionコマンドを使用する。
Local#sh sessions
Conn Host Address Byte Idle Conn Name
1 172.16.11.1 0 1
2 172.16.20.2 0 1
* 3 172.16.40.2 0 1
ここで*は、最後のセッションであることを表す。
最後のセッションに戻るには、Enterを2度押下する。
Enter+Enter [または resume]
Remote>
また、任意のセッションに戻るには、セッション番号を入力する。
Local#3 [または resume 3]
Remote>
(2) show usersコマンド
現在生きている全てのConsoleポートとVTYポートを表示するには、
show usersコマンドを使用する。
Local#sh users
Line User Host(s) Idle Location
*0 con 0 idle 00:00:00
2 vty 0 idle 00:01:18 172.16.11.2
ここで左端の0は、Consoleポート0が使われていることを表している。
また、左端の2は、VTYポート2が使われていることを表している。
■ Telnetの切断
ローカルルータからのTelnetセッションを、リモートデバイス側から切断する。
Remote>exit
ローカルルータからのTelnetセッションを、ローカルデバイス側から切断する。
Local#disconnect 3
リモートルータからのTelnetセッションを、ローカルルータ側から切断する。
Local#clear line 2
■ ホストテーブルの作成
ホストテーブルを作成し、
IPアドレスとホスト名の関連付けを登録するには、
ip hostコマンドを使用する。
1つのホスト名に対してIPアドレスを8個まで列記できる。
Router(config)#ip host 2501A 172.16.20.1 172.16.30.1 …
こうしてホストテーブルを作成すれば、
pingやtelnet等のコマンドを、ホスト名で実行できるようになる。
Router#telnet 2501A
Router#ping 2501A
作成したホストテーブルを確認する。
Router#sh hosts
特定のホスト名をホストテーブルから削除する。
Router(config)#no ip host 2501A
■ DNSの利用
DNSを使えば、ホストテーブルの作成はいらない。
シスコルータでは、DNSがデフォルトで有効になっている。
何らかの理由でDNSを停止するには、以下のコマンドを用いる。
Router(config)#no ip domain-lookup
あとで、DNSを再び有効にする場合には、
ip domain-lookupコマンドを使用する。
さらに、DNSサーバのIPアドレスと、所属するドメイン名を指定する。
Router(config)#ip domain-lookup
Router(config)#ip name-server 172.16.10.6
Router(config)#ip domain-name sales.com
DNSキャッシュを表示する場合には、
ホストテーブルを確認するのと同じコマンドを用いる。
Router#sh hosts
以上。
2004/01/05 pm