Chapter7 その他のプロトコルについて
■ IPX。Internet Packet Exchange。 初期のPCネットワークとして広く普及した、 Novell社のNetWareの基本ネットワークプロトコル。 IPXアドレスは、ネットワークアドレス部分とノードアドレス部分で構成される。 ノードアドレス部分には、通常MACアドレスを用いる。 イーサネット上でIPXを用いるときは、 IEEE802.3(Raw)フレーム、もしくはIEEE802.2(LLC)フレームを用いる。 NetWare3.11以前は、Raw形式のフレームが使われていたが、 NetWare3.12以降では、LLC形式のフレームがデフォルトである。 IPXネットワークでは、フレームタイプが異なる場合、 互いに異なるネットワークと認識され、通信できない。 したがって、物理的には同一ネットワーク上にあっても、 802.2で構成したマシンと802.3で構成したマシンは通信できない。 ■ SPX。Sequenced Packet Exchange。 SPXはデータ伝送を保証するためのIPXの上位層プロトコル。 誤り制御や再送要求などの機能を持つ。 クライアント/サーバ間で高い信頼性が必要な通信に用いる。 ■ RIP。Routing Information Protocol。 IPXネットワークで用いられる、 ディスタンスベクター型のルーティングプロトコル。 ルータ間での経路表の交換や、動的な経路制御を行なう機能を持つ。 TCP/IPにおけるRIPと名前が同じであるが、別物である。 ■ NLSP。NetWare Link Service Protocol。 IPXネットワークで使用する、 リンクステート型ルーティングプロトコル。RIPに代替するもの。 ■ SAP。Service Advertising Protocol。 IPX/SPXネットワーク上で提供されている サービスの種類(ファイルサーバ/プリンタサーバ)や サービスの所在(サーバ名/サーバのIPXアドレス)などの情報を、 ネットワーク全体に周知するためのプロトコル。 IPXパケットを用いて、通常60秒間隔でブロードキャストされる。 ■ NCP。NetWare Core Protocol。 NetWareサーバの基本機能である、 ファイルサーバ、プリントサーバ等の機能を使用するときに使う、 IPXの上位層プロトコル。 TCP/IPのUDPに相当するコネクションレス型プロトコルである。 ■ AppleTalk。 Apple社が開発したMacintosh用の通信プロトコルの総称。 OSI参照モデルのネットワーク層とトランスポート層にあたり、 ネットワーク層はDDP、トランスポート層はATPと呼ばれる また下位のデータリンク層には、シリアルポートに接続するLocalTalkや、 イーサネットポートに対応したEtherTalkが使われる。 AppleTalkのバージョンはPhaseで表される。 AppleTalk Phase1は、1985年に開発された。 Phase1ネットワークでは、254台のノードを接続可能である。 AppleTalk Phase2は、1989年に登場した。 Phase2ネットワークでは、1,600万台のノードを接続可能である。 AppleTalkのネットワーク情報(個々のAppleTalkアドレス等)は、 複数のMacintosh間で自動的に設定される。 このため、ネットワークケーブルにMacintoshを接続するだけで、 Macintosh間でのプリンタの共有やファイルの共有等が可能である。 ただし、ルータが存在するネットワークでは、 シードルータがネットワーク設定を提供する役割を担う。 ここでシードルータとは、AppleTalkネットワーク上での ネットワークアドレス等を維持しているルータを指す。 ■ ATP。AppleTalk Transaction Protocol。 AppleTalkのトランスポート層を担うプロトコル。 信頼性の高いデータ伝送を実現する。 TCP/IPのTCPと同様の役割を担う。 ■ AARP。AppleTalk Address Resolution Protocol。 AppleTalkアドレスからMACアドレスを発見、解決するためのプロトコル。 TCP/IPのARPと同様の役割を担う。 MACアドレスの発見にあたっては、 Phaseの場合はブロードキャスト、Phase2の場合はマルチキャストを用いる。 ■ AEP。AppleTalk Echo Protoocol。 AppleTalkネットワークの通信確認等に用いられるプロトコル。 TCP/IPのICMP Echoと同様の役割を担う。 ■ RTMP。Routing Table Maintenance Protocol。 AppleTalkネットワークで用いられる ディスタンスベクター型のルーティングプロトコル。 隣接するルータと10秒ごとに経路情報の交換を行なう。 ■ BSC。Binary Synchronous Communications。 1964年にIBM社が開発したキャラクタベースの伝送制御手順。 1対1の近距離の情報伝送(バッチ処理でのデータ転送等)に用いら れる。 物理媒体にはRS-232Cを使う。 WANリンクでは、2,400〜4,800bps程度の電話回線等を使う。 BISYNC、調歩同期式伝送手順とも呼ばれる。 ■ 無手順プロトコル。 パソコン通信等の直接接続通信で用いる制御信号の規定。 ノード間で特別な取り決め(アドレッシング、ダイヤリング、認証など) を行なわずに、物理層の規定のみで通信を実行する。 データ伝送制御手順を定めず、単純に送信する文字を連続して送る。 ただし、決め事が全く無いわけではなく、 データの開始ビットや停止ビット、データのビット長などは規定しておき、 あとの制御はモデムや通信アプリケーションに依存する。 以上。 2003/12/09 pm