IPv6 / Internet Protocol Version 6


■ IPv6。Internet Protocol Version 6。 

  開発後20年を経過したIPv4の持つアドレス枯渇問題や
  経路情報の肥大化などの問題を解決するために開発された、
  次世代インターネットプロトコル。 

  128bitアドレスを使用してアドレス空間を大幅に拡張したほか、
  3階層のアドレス構造により経路情報の集約を実現した。
  またセキュリティ機能を標準サポートするなどの特長を持つ。

  IPv6は、IETFが標準化を進めており、
  1995年、最初の標準仕様(RFC1752)が登場。
  改訂を重ね、1998年12月、最新版のRFC2460に至る。 現在はこれが基本仕様。

  すでにISPが採用するルータ製品や、
  インターネットサーバソフトウェアの多くがIPv6に対応しており、
  WindowsなどのクライアントOSもIPv6のサポートを開始した。

  そして将来的には、PCだけでなく、
  センサや白物家電、AV機器などが、インターネットに接続し、
  サーバとして情報を発信する仕組みが期待されている。 

  ※ IPv5は、ST2(RFC1819)という
     リアルタイム通信用の実験プロトコルを指す。

■ IPv6登場の背景。

  (1) IPアドレスの枯渇。

    インターネット人口の増加に伴い、
    IPアドレスが急激に消費されることとなり、
    1991年には、研究者がIPアドレス枯渇の可能性を指摘するに至った。

    IPアドレス消費傾向の急増は、1990年以降、
    IP技術(IPv4)がビジネスになるとの認識が固まったことと
    ブロードバンドによる常時接続ユーザが増えたことに起因する。

    こうしたインターネットの危機に対し、
    サブネットマスクの導入したり、NATを導入することにより、
    IPアドレスを有効利用する工夫がなされてきた。

    しかしそれでも、IPアドレスの消費量は激しく増えつづけている。
    こうしたIPv4アドレスの枯渇を解決する為に、
    IPv6が考えられるようになった。

  (2) 経路情報の爆発的増加。
 
    IPv4のアドレス構造では、経路情報が増加しすぎて、
    ISPのルータの処理能力が追いつかなくなり、
    インターネット自体が不安定になる事態が起こった。
  
    ISPのルータは、障害があるごとに全経路を再検索するが、
    経路情報が10万件を超えて20万件に届きつつある状況では、
    非常に高性能なルータが必要であり、金銭的な負担も大きい。

    こうした状況に対処するため、
    CIDRが導入され、連続する経路情報を集約することにより、
    経路情報の増加を抑制するなどの工夫がなされてきた。

    それでも経路情報は、どんどん増え続けている。
    こうした経路情報の増大という問題を解決する為に、
    新しいプロトコル(IPv6)が必要だった。

  (3) IPv6の検討の開始。
 
    こうした状況を受けて、IETFが1992年から次世代IPの検討を開始。
    1993年には「IPng」の名称で機能要求定義を行った。
    その後、1995年に名称を「IPv6」に改称。現在も開発が続けられている。

■ IPv6の特長。

  IPv6の最大の特長は、
  使い切れないほど広大なIPアドレス空間と、
  構造化アドレッシングによる経路情報の集約にある。

  しかしIPv6は、そのほかにも、
  IPアドレスの自動設定(プラグアンドプレイ)
  セキュリティ技術の標準装備(IPsec)などの特長を持つ。

  (1) 広大なIPアドレス空間。
 
    IPv4では32bitアドレスにより43億個のアドレスであったのに対し、
    IPv6では128bitアドレスを使用し、その4乗倍のアドレスを使える。
    これは地球上で使い切ることができないほど多い。
 
    このためIPv6では、NATを使う必要がない。
    すなわち、従来のクライアント・サーバ型の片方向通信ではなく、
    エンドツーエンド型の双方向通信が可能となる。

  (2) 経路情報が少なくてすむ。

    128bitのアドレス空間は、単純にフラットに使うのではなく、
    頭から数bitずつまとめて階層的なアドレス空間を形成する。
    とくに上位13ビットはTLAといい、全世界規模のISPに割り当てられる。

    そして、世界規模のルーティングは
    このTLA部だけを元にして行うことになっているので、
    経路表に必要なエントリ数は最大でも8,192個までに抑えられている。

  (3) IPアドレスの自動設定。

    IPv6では、IPアドレスの自動設定機能が標準装備されている。
    すなわち、各ホストにIPアドレスの設定を行わなくても、
    ホスト自身が自動的に生成する機能を持っている。

    最も一般的な場合には、
    後半64bitのホストアドレスは、自身のMACアドレスから生成し、
    前半64bitのネットワークアドレスだけを、ルータから教えてもらう。

  (4) セキュリティ機能の標準サポート。
 
    IPv6では、暗号化や認証などのセキュリティ機能を提供する
    IPsecが標準装備となった。
    IPv6をしゃべるホストであれば、IPsecも使えるということになる。

    IPsecでは、IPレイヤでセキュリティを掛けてしまうので
    これまでの様にアプリケーションごとに暗号化等を工夫する必要はなくなる。

  (5) その他。

    IPv6には上記以外にも、
    簡素な固定長ヘッダを採用してパケットの転送処理を効率化するなど、
    さまざまな工夫が盛り込まれている。

[ つづきはこちら ]

2004/03/24 pm


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