マルチレイヤスイッチ
■ マルチレイヤスイッチ
OSI参照モデルのネットワーク層(第3層)以上のデータを認識し、
そのデータを元にパケットの行き先を制御するルーティング装置。
サポートするOSI参照モデルの層ごとに、
レイヤ3スイッチ、レイヤ4スイッチ、レイヤ7スイッチがある。
以下、レイヤ4スイッチ、レイヤ7スイッチについて記述する。
■ レイヤ4スイッチ。Layer 4 Switch。
レイヤ4ヘッダ、すなわちトランスポート層ヘッダを参照して
情報を中継するスイッチのこと。
レイヤ4スイッチを導入する場合、
外部へはL4スイッチのIPアドレスのみを公開し、
各種のサーバのアドレスは公開しない。
つまりDNSにはL4スイッチのIPアドレスのみを登録する。
こうすると、当然のことながら、
全てのサーバへのアクセスはL4スイッチに届くことになる。
これをバーチャルIPアドレスという。
レイヤ4スイッチはこうした環境で、
サービスの識別転送とサーバの負荷分散の2つの機能を提供する。
(1) サービスの識別転送。
L4スイッチは、パケットを受け取ると、
ポート番号を参照してサービス種別を認識し、
適切なサーバへ転送(スイッチング)する。
TCP80番ならWebサーバへ、23番ならTelnetサーバへ、という具合である。
またパケットを転送する際は、
宛先IPアドレスをそのサーバのものに書き換える。
(2) サーバの負荷分散。
レイヤ4スイッチは、
サーバの負荷状況を認識する機能を持っており、
Webサーバ等の負荷分散を効率的に行なうことができる。
そのときそのときで、
より負荷の低いサーバに優先的にパケットを転送することができるため、
効率の良いミラーサーバの運用を実現できる。
■ レイヤ7スイッチ。Layer 7 Switch。
アプリケーションヘッダを参照して情報を中継するスイッチのこと。
アプリケーションレベルの情報を参照するため、
下位層で複数セッションにわたるやり取りでも、
一連のやり取りとして認識し、適切な負荷分散を行うことができる。
たとえば登録制サービスやネットショッピングでの商品注文等、
SSLやCookieを利用するWebアクセスの場合、
複数のセッションにまたがって同じサーバとパケットをやり取りする必要がある。
こんなとき、レイヤ4スイッチによる負荷分散を行うと、
セッションの途中で他のサーバに処理が切り替えられ、
障害が発生することがある。
しかしレイヤ7スイッチは、セッション管理の機能を持っているので、
こうした場合も、問題は発生しない。
同じCookieであれば同じサーバにアクセスするようにコントロールできる。
以上。
2004/03/16 pm