SNMP / Simple Network Management Protocol
■ SNMP。Simple Network Management Protocol。 IPネットワーク上で、 ネットワーク管理システムを構築するための標準プロトコル。 遠隔地からネットワーク経由で 中継機器(ルータやスイッチ)やサーバ機器の稼働状態を監視したり、 設定をコントロールしたりすることができる。 最初のSNMP仕様はSNMPv1という。 1990年にIETFによってRFC1157として標準化され、広く普及した。 その後1992年にはSNMPv2が標準化されたが、これは普及していない。 最新版はSNMPv3。セキュリティとユーザ認証などの機能を強化している。 SNMPは、OSI参照モデルではセッション層のプロトコルにあたり、 UDP上で動作。ポート番号は161〜162番を使用する。 プログラムはコンパクトで実装も容易である。 ■ SNMPマネージャ。 SNMPの管理ステーション。 SNMPマネージャは、 一定間隔またはランダムな時間間隔でネットワーク上のデバイスをポーリングし、 それらのデバイスについての情報を収集する。 全てが順調の場合、 SNMPマネージャはベースラインと呼ばれる情報を受け取っている。 ■ SNMPエージェント。 SNMPが管理対象とするシステム。 具体的には、ネットワーク上のLANスイッチやルーター、サーバなど。 SNMPエージェントは、 自身のシステム情報を後述するMIBに保持しており、 マネージャ側の要求に従って該当する情報を返す。 また、障害などの異常(イベント)が発生すると、 トラップ(Trap)と呼ばれるアラートをSNMPマネージャに送信する。 ■ SNMPコミュニティ。 SNMPで管理するネットワークの範囲のこと。 上述のSNMPエージェントとSNMPマネージャが含まれる。 コミュニティ名としては、一般に"public"や"private"が用いられる。 "public"はグローバルな環境で使うコミュニティ名、 "private"はローカル環境で使うコミュニティ名に使うのが慣例である。 ただしおコミュニティ名は、 SNMPマネージャ/エージェント間のパスワードの意味もあるため、 セキュリティ上は、分かりにくい文字列を使用した方がよい。 ■ MIB。Management Information Base。ミブ。 SNMPエージェントが、 自機の動作状況などの管理情報を保持するためのデータベース。 SNMPマネージャから照会や設定を行うことができる。 MIBはツリー構造になっており、 具体的には、インターフェース状態、スループット統計、 トラフィック負荷、エラーパケット量などの項目(オブジェクト)からなる。 最初に策定されたMIB仕様はMIB1。RFC1156に規定されている。 いま最も一般的に使われているMIB仕様は、MIB2である。 これはRFC1213として標準化されている。 MIBにはこのほかにも、 各ベンダが機能強化のため独自に搭載する項目がある。 これらは拡張MIB(プライベートMIB)と呼ばれる。 ■ OID。Object Identifier。 オブジェクト識別子。 MIBが保持している個々の管理情項目(オブジェクト)に割当てられた 一意の識別子。 SNMPにおいて、 システムの特定の情報(オブジェクト)を取り出す場合には、 例えば".1.3.6.1.2.1.1"のように、 ピリオドで区切られた数字で表されるOIDを指定する。 ■ SNMPのメッセージ SNMPのメッセージには、次の5種類がある。 (1) get-request。 SNMP要求メッセージ。 SNMPマネージャから監視対象のSNMPエージェントに対して、 1つないし複数のオブジェクトをOIDで指定し、 その情報の通知を要求するもの。 (2) get-next-request。 SNMP要求メッセージの拡張タイプ。 SNMPマネージャから監視対象のSNMPエージェントに対して、 1つないし複数のオブジェクトをOIDで指定し、 (階層的に)その次の情報の通知を要求するもの。 (3) set-request。 SNMPマネージャから監視対象のSNMPエージェントに対して、 1つないし複数のオブジェクトをOIDで指定し、 その項目の内容を新しく設定したり、変更したりするもの。 あまり頻繁には使われない。 (4) get-response。 SNMPエージェントが、SNMPマネージャからの 上記3つのコマンドに応答するときに使用するもの。 (5) trap。 SNMPエージャントが ローカルシステム上で特定種類のイベントを検出したときに、 SNMPマネージャに対して自発的に送信するもの。 エラーが発生したとき、一定の閾値を超えたときなどに用いる。 ■ SNMPのメッセージフォーマット ■ RMON。Remote Network Monitoring。アールモン。 遠隔地にあるLAN上の通信状況 (転送トラフィック量や障害)に関する情報を 一元管理するための標準仕様。 SNMPは元々、システムの故障情報だけを管理の対象としていた。 このためRMONはこれを拡張し、 ネットワークに関する情報を扱えるようにしたものであり、 RMONの仕様は、SNMPの拡張MIBとして定義されている。 したがってRMONの仕組みはSNMPと同じ。 RMONエージェント(SNMPエージェント)が、 LAN情報を収集してRMON-MIBとして保存。 遠隔地のRMONマネージャ(SNMPマネージャ)が、これを一元管理する。 RMONには、RMON1とRMON2の2種類がある。 RMON1は、RFC1271/1757として標準化されており、 データリンク層以下の監視情報を扱う。 レイヤー2スイッチでサポートできるのはRMON1のみである。 RMON2は、RFC2021として標準化されており、 ネットワーク層からアプリケーション層の稼働状況を監視する。 アプリケーションの稼働状況もモニタできる。 ■ MRTG。Multi Router Traffic Grapher。 ルータ機器を対象としたネットワーク負荷の監視ツール。 公式サイトはこちら。 ほとんどのUNIX、Windows上で動作するほか、 無償で入手できるため、幅広く利用されている。 MRTGは、SNMPのマネージャの機能を持ち、 SNMPエージェントから定期的に トラフィック情報などのSNMP管理数値を取得する。 さらに日・週・月・年ごとに最大値・最小値・平均値を計算するなどの 統計処理を施した上で、GIFやPNG形式を使って視覚的にグラフ化し、 Webページを生成、表示する機能を持っている。 このためMRTGを使えば、 管理者はいつでも視覚的に ルータを経由するトラフィック量を把握することができる。 なおMRTGは、 CPU使用率やメモリ使用率などのシステム負荷や、 ハードディスクの空き容量、モデムの空き容量などを 監視することもできる。 以上。 2004/01/16 am