OSI参照モデル / OSI Reference Model
■ OSI。Open Systems Interconnection。 ISOとITU-Tが推進する国際標準化プログラム。 ネットワークの機能を7つの階層に分けたOSI基本参照モデルを作成し、 ベンダーが相互運用性のある機器を作れるようにした。 さらにOSIは、 この枠組みに基づく各レイヤーの具体的なプロトコルも標準化したが、 このプロトコルはあまり普及しなかった。 ■ OSI参照モデル。OSI Reference Model。 OSIが1970年代後半に開発したネットワーク階層モデル。 標準的なネットワーク機能を、7つの階層に分けて定義したもの。 OSIモデルに準拠すれば、プロトコルの開発や実装にあたり、 上位層プロトコルや下位層プロトコルの詳細にとらわれずに済む。 OSI参照モデルは7つの層から構成される。すなわち、 物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、 セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層である。 この7階層モデルは、ネットワーク機能を体系的に説明及び理解する ためのモデルとして世界的に採用されている。 ただし実際のプロトコルは、 厳密にOSIモデルに準拠して作られているわけではない。 たとえば、TCP/IPプロトコル群は、OSIとは別に開発が進められ、 またOSI参照モデルの策定よりも前に標準化されていた。 今日、IPプロトコルはネットワーク層であると説明されるが、 これは後でOSIモデルに当てはめた結果である。 また実際のプロトコルでは、あるプロトコルが OSI参照モデルの複数のレイヤにまたがって対応することもあれば、 複数のプロトコルが1つのレイヤ内で通信することもある。 このためOSIモデルは、「プロトコルのものさし」と言って良い。 異なるプロトコル体系を比較対照する場合の 世界共通の「ものさし」として、今日も重要な意味を持っている。 ■ 物理層。Physical Layer。 OSI参照モデルの第1層。 ケーブルで直接つながる隣接機器間のビット列の移動を保証するレイヤ。 具体的には、ケーブルの種類や、コネクタの形状とピンの配置、 電圧など信号の電気特性、符号化方式や変調方式等の手順、 伝送速度を規定している。 物理層をサポートするネットワーク機器はハブ、リピータである。 ハブ、リピータは、複数の物理ポートを持ち、 電気信号が入力されるとこれをビット列として認識し、 電気的に増幅・整形した上で、他のすべての物理ポートから送出する。 物理層に対応するプロトコル仕様は、 ケーブルでは10BASE-T、RJ-45等、電気信号ではRS-232C等がある。 ■ データリンク層。Data Link Layer。 OSI参照モデルの第2層。 同一ネットワーク内の端末機器同士のフレーム交換を保証するレイヤ。 具体的には、次のような機能を提供する。 (1) ビットストリームを幾つかの固まりに区切って フレームを生成する。 (2) 個々のホスト(実際にはネットワークカード)を識別するための ハードウェアアドレスを規定する。 さらにフレームごとに宛先を付加して、混乱しないようにする。 (3) 物理層が提供するビット移動を監視し、その信頼性を保証する。 たとえばフレームごとにFCSによる誤り検知を行なう。 データリンク層をサポートするネットワーク機器は、スイッチ、ブリッジである。 スイッチ、ブリッジは、複数のポートを持ち、 電気信号が入力されると、これをフレームとして認識し、 ヘッダ情報(宛先アドレスなど)を読み取った上で、 フレームの内容を変えることなく適切な物理ポートから送出する。 データリンク層に対応するプロトコルとしては、 Ethernet、ATM、FDDI、PPPなどがある。 ■ ネットワーク層。Network Layer。 OSI参照モデルの第3層。 複数のネットワークをまたぐ端末機器同士のパケット交換を保証するレイヤ。 具体的には、次のような機能を提供する。 (1) データリンク層が生成したフレームにヘッダをつけて、 パケットを生成する。 (2) 個々のネットワーク、個々のホストを識別するための、 論理アドレスを提供する。 さらにパケットごとに宛先を付加して、混乱しないようにする。 (3) データリンク層以下のプロトコル違いを吸収し、 上位層に対して単一のネットワークインターフェースを提供する。 ネットワーク層をサポートするネットワーク機器は、ルータ、レイヤ3スイッチである。 ルータ、レイヤ3スイッチは、複数のポートを持ち、 電気信号が入力されると、これをパケットとして認識し、 ヘッダ情報(宛先アドレスなど)を読み取った上で、 その内容を変えることなく適切なポートから送出する。 ネットワーク層に対応するプロトコルとしては、 IP、IPX、ICMP、ARP、AppleTalk、NetBEUIなどがある。 ■ トランスポート層。Transport Layer。 OSI参照モデルの第4層。 2つのエンドホスト間で仮想的な通信路を生成し、、 個々のアプリケーション間の通信をバックアップするレイヤ。 具体的には、下記のような機能を提供する。 (1) バーチャルサーキットの確立・管理・切断を行う。 また、伝送エラーの検知と修復を行う。 (2) 上位アプリケーションから受け取ったデータを分割して、 セグメントを生成する。 (3) 個々のアプリケーションの識別方法を規定する。 セグメントごとに宛先を負荷して、混乱しないようにする。 トランスポート層以上はソフトウェアに実装されるので、 対応する機器や製品はない。強いて言えば、OSが該当する。 トランスポート層に対応するプロトコルとしては、 TCP、UDP、RSVPなどがある。 ■ セッション層。Session Layer。 OSI参照モデルの第5層。 アプリケーション同士の通信を制御する方法を規定するレイヤ。 具体的には、セッションと呼ばれる アプリケーション同士の通信の開始から終了までの手順、 セッションの開始・終了時に交換するメッセージ(コマンド)の形式。 アプリケーションが取扱うデータの内容(宛先、本文等)を規定する。 セッション層以上は、 ふつう1つのプロトコルが複数のレイヤに対応している。 1つのプロトコルが1つのレイヤに収まることは少ない。 たとえば、HTTP、SMTP、POP、FTPなどが挙げられる。 ■ プレゼンテーション層。Presentation Layer。 OSI参照モデルの第6層。 アプリケーションが交換するデータの構造を規定するとともに、 その表現形式を統一するための変換機能を提供するレイヤ。 具体的には、テキスト、グラフィック、音声、ビデオなどのデータについて、 アプリケーション独自のフォーマットから標準フォーマットへの翻訳をする。 また、符号化・暗号化、変換などの処理を行う。 プレゼンテーション層に対応するプロトコルとしては、 ASCII、JPEG、MPEG、MIDIなどがある。 ■ アプリケーション層。Application Layer。 OSI参照モデルの第7層。 マンマシンインターフェース、すなわち ユーザの入出力やGUI部分の機能や仕様を規定するレイヤ。 アプリケーション層に対応するサービスとしては、 各種CLIプログラムの標準入出力や、UNIXのシェル環境、 Webブラウザ等のGUI環境などがある。 以上。 2004/0223/ am