トークンリング / Token Ring
■ トークンパッシング。Token Passing。 LANにおける媒体アクセス制御方式の一種。 トークンパッシング方式では、 トークン(Token)と呼ぶ特定のビット列を定義し、常に伝送路を周回させておく。 データを送信したいネットワークデバイスは、 このトークンを伝送路から取り込み、代わりに自分の送信したいデータを送出する。 ここでトークンは送信権を表している。 トークンパッシング方式は、CSMA/CD方式とは異なり、 伝送路上でのフレーム衝突は発生しない。 このため、伝送路が混雑している場合でも、 CSMA/CD方式と比較して、スループットの低下が少ない。 ■ トークンリング。Token Ring。 媒体アクセス制御方式として、トークンパッシング方式を使うLAN。 IBM社が開発し、米国で普及したもの。 その後、IEEE802.5として標準化されている。 トークンリングの物理的なトポロジはハブを中心としたスター型で、 伝送ケーブルにはツイストペアケーブル(STP)を使用する。 しかし、論理的なトポロジはトークンが周回するリング型である。 伝送速度は、4Mbpsまたは16Mbps。 16Mbpsの仕様では、伝送速度を改善するため アーリートークンリリースを採用した。 ■ アーリートークンリリース。Early Token Release。 トークンパッシング方式でのトークンの扱い方を表す用語。 データ送信動作を終わったノードが、受信ノードからの到達確認を待たずに、 一定時間後にトークンを解放するもの。 到達確認を待たない分だけ、通信効率が高くなる。 16Mbpsのトークンリングで採用されている。 ■ トークンバス。Token Bus。 媒体アクセス制御方式として、トークン・パッシング方式を使うLAN。 IEEE802.4として標準化されている。 トークンバスは、物理的なトポロジはバス型で、 伝送ケーブルには、同軸ケーブル(または光ファイバ)を使用する。 しかし、論理的なトポロジはトークンが周回するリング型である。 伝送速度は、最大10Mbps。 ファクトリーオートメーションに向いているが、今はほとんど使われない。 ■ FDDI。Fiber Distributed Data Interface。 媒体アクセス制御方式として、トークンパッシング方式を使うLAN。 ANSIがX3T9.5として標準化した。 FDDIの物理トポロジはリング型であり、 光ファイバ回線(SMF/MMF)での利用を前提に設計された。 二重リング構成で冗長性を持たせることもできる。 (のちに、STP/UTPにも拡張された。) 伝送速度は、最大100Mbps。 トークンリングやトークンパッシングに比較して非常に高速なため、 1990年代の中頃までは、基幹LAN向けに広く利用された。 しかし、その後はイーサネットが高速化したため、あまり利用されていない。 FDDIでは、同一のリングに1000台の端末を接続でき、 全体では200Kmの光ファイバを接続できる(区間距離は2km以下)。 結果、トークンがノードを周回するのに時間がかかってしまうため、 後述するアペンドトークン方式が採用された。 ■ アペンドトークン。Append Token。 トークンパッシング方式でのトークンの扱い方を表す用語。 ふつうのトークンパッシング方式では、送信を終了したノードは、 送信権の解放を表すトークンを、独立したフレームとして送信する。 しかしアペンドトークン方式では、 送信するフレームの最後にトークンを表すデータを付加しておく。 そして、そのフレームを受信したノードが、 その直後に自分のデータを追加することができるようにする。 このためリングが大きい場合には、 複数のトークンがリング上に存在することになる。 このアペンドトークン方式は、FDDIで採用されている。 以上。 2004/02/20 pm