「本当に良かったんでしょうか?」 かえでは心配顔で米田に問う。 「しょうがねぇだろ。織姫が自分で参加するっていうんだからな」 実験演習にはさくらのみの参加となっていたのだが、 どこからか話を聞きつけた織姫はなぜか物凄い剣幕で自分も参加すると言ってきたのだ。 「すまんな、米田はん、かえではん。バラしたんはウチやねん」 「紅蘭!いつここに?」 驚いたようにかえでが言った。 「ああ、ついさっきや。それより織姫はんのことカンニンな」 「…なんで織姫に教えたんだ?」米田が怪訝そうに聞く。 「そらあ、米田はんが一番よう知っとるんとちゃいますか?」 米田の表情に一瞬、鋭さが増す。 「軍の機密情報を見たのか?…まったく、紅蘭に掛かっちゃザルだな」 米田は苦笑しつつ頭を掻いた。 「まあ、あの情報端末の基本構造は紅蘭が考えたんだからしゃーねえんだが… 織姫に全部話したのか?」 「いいや、ただ実験演習のことを言うただけや。これはあの二人自身が解決せなあかんやろ」 紅蘭は少し暗い表情になって、 「…間接的とは言え、『ウチら』は鳴滝はんには『償いきれへん借り』があるよってな… 米田はんに黙って勝手な事したのはあやまらんといかんけど…」 「いや、いいんだ紅蘭。お前は間違っちゃいねえ。 本当は俺の口から『真実』を言わにゃあならかったんだが…」 「当事者の米田はんから言うたら、まとまるもんもまとまらんやろ? せやから言わなんだんやろ?」 「…いや、俺が臆病だったのさ…」苦い顔で米田は呟いた…
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