イタリア編D〜カプリ観光〜

 

2000年3月31日(金)
朝。7時少し前に目覚ましがなったが、ふかふかのベッドに吸い込まれ、つい2度寝をしてしまい、結局7時10分に起床。 お風呂に入り、荷物を減らすために、昨日まで着ていたよれよれTシャツを捨てる。
フロントで「朝食は11階」と言われていたので、エレベーターで上に行こうとするが、10階までしかない。おかしいと思いながらも10階で降りると、上に上がる階段が。何と、朝食をとるレストランは、 屋上にあった。それもガラス張りの室内で、ナポリの海はおろか、遠くソレントの街を一望できるすばらしい眺めだった。朝食の内容は特別素晴らしいものではなかったが、この朝焼けの景色を見ながらのブレックファストは、 自分をブルジョア気分にさせてくれた。

8時過ぎにチェックアウトする際に、「部屋のミニバーで何か飲みましたか?」と聞かれたので、シャンパンを1本開けたことを告げると、1万リラ取られた。(もしかして、これって完全自己申告制? 言わなかったら、無料?)と 心のどこかで思ったが、たかだか600円のために、後ろめたさを残したままホテルを去ることもないので、ちゃんと支払いをした。
チェックアウトが少し手間取り、フェリーの出発まであと15分になってしまった。信号の無い交差点に注意しながら、フェリー乗り場に着いたときには、5分前だった。
少し並んで17000リラのチケットを買う。フェリーの前には 100人くらいの人だかりができていて、ゲートオープンを待っている。8割方観光客っぽい。(右の写真が、今回乗ったフェリーです。)
船の中はわりと広く、前の方は、いわゆるフェリーの前を向いて横一列になっている座席だったが、後ろの方は10人掛けくらいのテーブル席っぽく、グループ旅行者向けの感じだった。 ローマやナポリの市街地よりも若い観光客が多く、東洋人のカップルもいた。さすがにターボジェットというだけあって、甲板で潮風を受けながら・・・ってわけにはいかないけど、一応上に出て外の景色を 堪能することはできた。後方に遠ざかっていくナポリの街が何とも素敵だ。
フェリーは40分ほどで、目的地、カプリ島のマリーナグランテに到着した。

ガイドブックには、「青の洞窟へは午前中にいくべし」と書いてあったので、フェリーを降り、早速青の洞窟を目指すことにした。島を1周しながら青の洞窟にも立ち寄るコースもあるそうだが、私は青の洞窟だけへ向かうコースにした。
看板を掲げたチケット売り場で、青の洞窟までのフェリーのチケットを購入。9000リラだった。これ以外に、洞窟の入場料と入場する際のボート代が必要で、それは後で払うらしい。(これらの料金案内は、ちゃんどボードに書いて掲示されている。)
30人くらい乗れそうな真新しいフェリーボートに、20人ほどの乗客をのせたところで出発。私以外にも一人旅の人が2人いた。チャイニーズ系の大家族と、カップルやファミリーが数組。
海から見上げるカプリの島は、白い家々と切り立った岩山、そこを通るバスなどが見えた。15分くらいしてようやく洞窟の前へ。
ここからは5人乗るのが精一杯って感じのボート(いわゆる普通の手漕ぎボート。)に乗りかえる。海上でボートを移るので、なかなか大変だった。ボートに船頭さんが1人乗っていて、その人に入場料7500リラを支払う。このとき、チップを上乗せして払うのかな?と思って、一応1万リラを渡してみたら、ちゃんとおつりをくれた。そして、見た後で、よかったらチップを下さいって言った。

あぐらをかいて船底にすわる。それでも洞窟の入口を通過するときは、頭を引っ込めた。(右写真参照)
洞窟の中は真っ暗で、どのくらい広いかも分からない。よ〜く目を凝らして前方を見ていると、船頭のおじさんが肩をたたき、後ろを見てご覧って言った。
振り返ると、そこには洞窟の入口から差し込む光が水面を照らし、本当に、本当に、青い色をしていた。絵の具のような色で、普通に考えられる水の、海の青さとは全然違った。
相変わらず、洞窟の奥の方では、カメラのフラッシュの光だけが見え、どこをどう通ったのかも分からないが、船頭さんが歌う「帰れソレントへ」などの唄がこだましていた。
どうやら洞窟を1周したらしく、10分ほど(いや、たったの5分くらいだったかも)で外へでた。その出入り口を通る瞬間、「少しでも波が高い場合は、入場禁止になる」っていうガイドブックのコメントは本当だと思った。
それだけに、初めてのイタリア旅行で青の洞窟に1回目で立ち入ることのできた私は非常にラッキーだったのかもしれない。
最後に船頭のおじさんにチップとして5000リラ払った。(払い過ぎ?って思ったけど、結局ボート代を払わずに終わってしまったので、まあ、その分も含めてと思って。)
帰りのフェリーボートの中で、隣にいた韓国人と思われるおばちゃんに、「Are you Japan?」とたずねられた。私は、文法の間違いが気になりながらも、そういった間違いを気にせずに話せるって、凄いなと思った。

マリーナグランテに戻り、ケーブルカーで上に登る。ケーブルカー+アナカプリ行きのバスが往復で7200リラ。(セットで買っても割引なし。)ちょっと高い。ナポリのバスは1日券で4500リラだったのに。まあ、物価が観光地プライスなだけあって、治安は良く、観光客は安心して観光できるようだった。いわば、観光地プライスってことは、安全料ってことか。それならよしとしよう。
ケーブルカーの中で、日本人カップルに話し掛けられる。彼はローマでイタリア語の勉強をしていて、彼女が春休みに遊びに来たらしい。そこで、今晩、初めて夜行列車に乗るので、少し緊張していると話すと、「暖房が効きすぎていて喉が渇くので、水は絶対に必要」とか、いろいろアドバイスをもらった。

ケーブルカーが昇った場所が「カプリ地区」と呼ばれるところ。ケーブルカーの発着所の上にある展望台のようなところへ出て、島の景色を眺める。

ひゃ〜〜〜!!

絵葉書のような風景とは、まさにこの事!! 絶景、絶景に感激。来て良かった。ちょうど天気も良く、空気が奇麗で、景色が輝いて見えた。
気分良く街をぶらつくと、その絵葉書のような景色に魅せられた観光客であふれ、その観光客を相手にするブランドショップもまた溢れていた。フェラガモ・ヴィトン・サンローラン…なぜわざわざこんな所に? と私的には思うのだが。でも、観光客が多いっていうことは良いこともあり、トイレが奇麗だったり、バスの停留所などが本当に分かりやすく親切な作りになっていたりする。私はこの島が好きになった。

映画のワンシーンのようにすべてが真っ白の小道(迷路のようだった!!)を進み、アウグスト公園に向かった。途中、欧米人の熟年グループと一緒になり、歩くこと数分で着いた。(一人で歩いていたら、気付かずに通り過ぎてしまうところだった。少し分かり難い。)
そこからの眺めもまた絵葉書のようで、岩石と青い海のコントラストがとてもきれいで、岩場の合間に咲き乱れる色とりどりの花がまたその景色に彩りを添えていた。
眼下の海岸まで降りる道があり、その先にはマリーナピッコラが見える。歩いて降りようかとも思ったが、帰りの登りを考えると、断念せざるを得なかった。(後でマリーナピッコラからはバスで戻ってこれることに気付いた。)
カプリの中心地へもどり、アナカプリ行きのバスにのる。ガイドブックに右側の座席に座るべしと書いてあったので、1台のバスに4席しかない貴重な右側の席に座り、断崖絶壁の恐怖と大パノラマを楽しんだ。アナカプリまではあっという間だった。
お腹がへったところでレストランに入り、ラザニアを注文。観光地プライスでやや高かったが、概ね満足。
お腹が満ちたところで、リフトに乗ってソラーノ山の頂上へ向かうことに。「リフト」とは、本当に一昔前のスキー場にあるようなシングルのリフトだった。(一応、安全バーのようなものはついていた。)景色を背にしながら登っていくので、ほとんど後ろをむきっぱなしだった。風があり、さっきまで汗ばんでいたが少し涼しさを感じた。
頂上からの眺めは、これまた「絵葉書」のよう。島に点在する建物はほとんどが真っ白で、海と空は真っ青で、遠くに島々やイタリア本土が見え、リフト代9000リラの高さも納得できる。

頂上をおり、土産物屋をぶらぶらしながら、カプリ地区へ戻る。もう一度あの感動の眺めを・・・と期待して行った展望台は、さっきとは打って変わって、感動がなかった。それは、それ以上の素晴らしい景色を堪能してしまったからなのか、午前中と太陽光線の当たり方が違ったからなのか、私には分からなかった。でも、午前中の眺めの方が断然良かったことは確かだと思う。
ケーブルカーを降り、帰りのフェリーの時刻を調べると、あと1時間くらいあるので、土産物屋を物色し、カプリ島の写真集兼ガイドブックと、バイオリンの形をした容器に入ったレモンリキュールを買った。(ああ、荷物が増えてしまった!!)
フェリーの時間までまだ30分あるので、海岸線を散歩する。ナポリの学生と思われる若者の集団が、ビーチマットを敷き、ラジカセをかけながら楽しんでいた。(水着は着てなかった。)
フェリーに乗ると、突然睡魔に襲われ、帰りの船の中はずっと熟睡していた。(って、別に何者かに襲われたわけじゃないですよ。)
帰りのフェリーがついたのは、行きの「ベヴェレッロ港」ではなく、「メルジェリーナ港」だった。
ここからナポリ中央駅までバスを乗り継ぎ、ナポリからローマのテルミニ駅まで電車で戻った。
もう、外は暗かったが、「ただいま、ローマ。」って気分だった。

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