ビッグボディ VS ソルジャー (2)
レオパルドン VS ブルドーザーマン
「次鋒・レオパルドン、行きます!」
レオパルドンが、勢いよくリングに駆け上がる。
「残虐チーム次鋒・ブルドーザーマン、行くぜ!」
同じくブルドーザーマンも、ロープを飛び越えた余勢をかって、レオパルドンへと突進する。
ガッシャーン!
金属と金属がぶつかる、激しい音がする。
その轟音が、次鋒戦のゴング代わりとなった。
「グオゴゴゴ…!」
「ブロロロロ…!」
リングの中央で、力比べをする両次鋒。
見た目こそ地味だが、両者の背中から噴出す汗は、水面下で行われている攻防の熾烈さを証明している。
「グオゴ、こんな闘いをしたかった…」
「ブロロ、オレもだよ!」
──試合前、ビッグボディの陣営。
控え室でウォーミングアップをするレオパルドンに、ビッグボディが声をかける。
「レオパルドンよ、相手のブルドーザーマンは、開発工事の手伝いをしながら数々の惑星を流れ歩いた、荒くれ者の超人だ」
「ハイ」
「しかし、超重量級のブルドーザーの化身ではあっても、所詮は建設機械だ」
「ハイ」
「戦車が重機に負けたら赤っ恥だぞ」
「…ですが、マンモスには負けています」
レオパルドンの意外な返答に、ビッグボディは一瞬あっけにとられる。
「ふ、余裕だな」
「そんなことは、ありませんよ」
レオパルドンは静かに言葉をつづける。
「怖いですよ、リングに上がるのは。あんな酷い負け方をして、そんなに時間が経っていないんですから。…だけど」
「だけど?」
「ペンチマンの闘いを見て、わかりました。オレには猪突猛進で突撃するしかないんです。怖い怖くないは関係無い。オレはオレのやれることを信じて、全力でぶつかるだけです」
「レオパルドン…」
レオパルドンのさわやかな表情を見て、ビッグボディはぽんと肩に手を置いた。
「負けるな、レオパルドン」
「オス!」
リング上での力比べは、じりじりとレオパルドンが押し始めた。
「グオゴゴゴ…強力チームが、力で負けるもんか…!」
押されながら、ブルドーザーマンは笑う。
「フフフ、たしかに、こいつはたいしたパワーだな」
「何がおかしい? お前は自分の望んだ力比べで、負けそうになってるんだぞ」
「違うな。俺が望んだのは、俺の武器の射程距離内にお前を引き込むことだったんだよ!」
「何?」
「アイアンブレード、スタンバイ!」
ブルドーザーマンは体の正面に付いている排土板を、ゆっくりと足元に降ろした。
「力比べに熱中しすぎて、足元がお留守になってるぜ!」
ブルドーザーマンの排土板が、レオパルドンの足を掬う。
「ブレードアタック!」
「グアッ!」
足を掬われてバランスを崩したレオパルドンの体を、スープレックスに決める。
「これが本当のすくい投げだぜ!」
「レオパルドーンッ!」
ビッグボディは目を覆った。
しかし。
次の瞬間、ビッグボディが見たものは。
「ゲーッ、レオパルドンが、ブルドーザーマンのスープレックスを残しているー!」
ブルドーザーマンのブレードに掬われたはずのレオパルドンの足は、まるで大地に根を張っているかのように、頑としてキャンバスから動いていなかった。
「ブロロ、なんという足腰だ…」
「当たり前だ」
スープレックスを残されてうろたえるブルドーザーマンに、レオパルドンは言い放つ。
「オレは、超人相撲協会の関脇までいった、相撲超人なんだからな!」
「なるほど、レオパルドンが裸足だったのはそのせいだったのか!」
レオパルドンはブルドーザーマンの脇に腕を入れる。
「ブルドーザーマンよ、掬い投げとはこのようなものを言うんだ!」
そして、そのまま一気に投げへ。
「グオゴゴゴ…!」
ズドーンッ!
レオパルドンの強烈な投げに、ブルドーザーマンは一瞬昏倒する。
「ブ、ブオ…」
ブルドーザーマンが慌てて目を開くと、その眼前に映ったのは、蹲踞して片手をキャンバスについているレオパルドンであった。
「し、仕切り…?」
「違う、お前が自分の武器を使ったように、オレも自分の武器を使わせてもらうだけだ」
レオパルドンの背中の砲塔が伸びはじめる。
「なっ…」
砲身が赤く輝き出す。
「や、やめろーっ!」
「食らえ、地獄の砲弾ーッ!!」
レオパルドンの叫びと同時に、赤い火の玉がブルドーザーマンに向かって発射された。
「ウワァァァーッッ!」
ドッガーンッ!!
粉々になったブルドーザーマンを、審判員が確認する。
そして、高らかに宣言した。
「レオパルドン、一人抜き!」
「グオオオオオッ!!」
ホークマンやミスターVTRは知らなくても、
なぜかみんな覚えているレオパルドン。
いきなり妙な設定を付けて申し訳ないですが、
ホントに「地獄の砲弾」ってどんな技だったんでしょうか?