おーふなコラム

アニメなKanon

総論 「あの橋は遠すぎましたな」
 最終回のエンディングに、アニメ版のエンディング曲じゃなくて、「風の辿り着く場所」が流れた時に、嬉しいような寂しいような気がしませんでしたか?
 「おお、やっぱKanonはこれだよ、これ」って思う反面、「なにもそこまで、ゲーム版を意識しなくったっていいのに」とも思っちゃって。
 もう少し、ゲーム版から離れても良かったんじゃないかなあ……。

−*−*−*−

 ……というわけで、私にとって実に久々に、全話視聴したTVアニメが完結したわけですが……。

 一言で感想を言ってしまうと、「ファン向けグッズ以上のものになることはできなかった」ってとこですかね。ちょっと厳しい見方で申し訳ないけど。

−*−*−*−

 何度も書いてるように、私はミステリファンで落語ファンですが、この2つには共通点があります。
 それは、「良いネタフリがあってこそオチが活きる」という点です。
 で、Kanonというゲームのストーリーも、そうなんですね。前半の、楽しい日常描写というネタフリがあるからこそ、後半のそれぞれに劇的な急展開が活きてくるわけで。

 じゃあアニメ版はどうだったか、というと……
 どうも、前半のネタフリが分量少なすぎたんじゃないか、という気がしますね。各ヒロインたちの運命の急展開に、視聴者がついていけない。一昔前に流行った「ジェットコースタードラマ」のパロディにさえ見えました。

 それなら、ストーリー構成が悪かったのか? というと……
 各シナリオごとに見てみれば、ダイジェストとしては良くできてるんですな、これが。

 考えるにこれは、戦略的な間違いによる敗退ではないかと。

 だいたいこのアニメね、ターゲットは誰なんでしょう?

想定対象1:ゲーム版Kanonのファン。
 ……この場合、キャラクターデザインだけでもう負けが決まってます。(笑)
 「アゴ」としか呼ばれてないもんなー。もっと原作の絵に近づける努力をする必要があったはず。

想定対象2:一般のアニメファン。
 ……この場合、全体をダイジェストしようと決めた時点でほぼ負けでしょう。
 前半の日常描写が少なすぎて、各ヒロインに思い入れられませんから、彼女たちが過酷な運命に遭遇すればするだけ、視聴者は引いてしまいます。

 どっちにしても、かなり早い時点で、戦略的に負けが見えていて……
 制作スタッフは、奇跡を願って作ってたような気がひしひしと。
 でもなー。作品中で奇跡バンバン起こしちゃったら、作品外にまで奇跡が回ってくるわけないよなー。(笑)

−*−*−*−

 それじゃもし「勝とう!」と思ったら、どうすればよかったのか?

第1案:2クールで構成し直す。
 ネタフリが少ないのが敗因ですから、そこに時間を掛けるわけですね。たぶん無理なのはわかってるけど。

第2案:舞、栞、真琴を切り捨てる。
 分量がそのままなら、この際、完全にあゆと名雪をメインにして再構成するという手もあったはずです。
 ……もっともこれだと、作品の質としては向上するだろうけど、3人のファンは離れただろうからなー。

 なんかね、最前線の兵士たち(脚本家とか、声優さんとか、アニメーターのみなさんとか)がいくら頑張っても、将軍(プロデューサー)レベルで戦略的に失敗してるから、絶対に勝ちようが無かったんだな……と、しみじみしてしまいました。マーケットガーデン作戦みたい。

−*−*−*−

 というわけで、一応「アニメなKanon」はこれでおしまい。またいずれ、何かの企画で。
07-Apr-2002  By おーふな

トップページに戻る   前に戻る   コラム総目次へ

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル