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 Pia・キャロットへようこそ!!2 2018MIX・SPECIAL U






 PRESENTED BY じろ〜






 「ちっこく遅刻〜! バイト初日から遅刻ってかなりまずいって感じだよね〜!」






 白いワンピースを靡かせて元気に人混みの中をすり抜けていくのは、ショートカットの似合う

 女の子だった。

 夏休みの街中はかなりの人が歩いていたけど、見事な動きで誰にも当たらずに走っていた。

 「よし! 見えた!」

 そのまま店先を通過すると裏口に回ってそこにあるドアを開けて中に飛び込んだ。

 そしてその勢いのまま事務所のドアを開ける。



 ばぁ〜ん!



 「霧島マナただいま到着しました〜!」

 事務所の中に入ったマナは、全然悪びれた様子もなく元気よく大きな声で挨拶をした。

 「マナ!?」

 「ああっ!! シンジ!!」

 よく見るとマナの前には、愛しいシンジとおまけのアスカとレイとヒカリがあずさから仕事の

 説明を受けている途中だった。

 ちなみにここにいないトウジはバスケの試合があるので明日からになっていた。

 「シンジィ〜♪」

 「うわっ!?」

 マナは感激のあまりシンジの名前を叫んで、そのまま抱きついてしまった。

 「ちょ、ちょっと離れなさいよ!!」

 「碇君から離れて!」

 「碇君不潔よ!」

 しかしマナはシンジから離れず首だけ回してレイとアスカの方を見る。

 「あれ、アスカさんに綾波さんにヒカリさんお久しぶりです♪」

 「そ、そうね久しぶり・・・ってそうじゃないでしょ!」

 「離れて!」

 「不潔、不潔よ〜!」

 「なんで?」

 「なんでって・・・その・・・」

 「離れて!」

 「いやいやいやいや・・・」

 一名ほど話を聞いていない者が居るがお構いなしに話が進んでいく。

 さらにマナは見せつける様に自分の体をシンジにすりつける。

 「だって離れていた恋人同士が再会したんですよ、抱きつきたくなるのは当然じゃないですか♪」

 マナの言葉も態度もむかついたが、さらに好きにさせているシンジの赤くなった顔を見たら

 アスカの怒りのゲージは振り切れてしまった。

 「むぅっきぃ〜! 誰と誰が恋人同士なの?」

 「私とシンジ♪」

 「!!」

 その一言を聞いたレイの目が赤く光りだしたのに気づいたシンジは、レイを止めようとしたが

 マナがぴったりとくっついているので動けなかった。

 「はい! そこまでにしてね、昨日も言った通り喧嘩は駄目よ」

 あずさは諭すように女の子達の顔を見ながら言った。

 「マナさん、明日から遅刻は駄目ですよ」

 「はい、すいませんでした!」

 「シンジ君もでれでれしないでね」

 「は、はい」

 「アスカさんとレイさんもお店の中では喧嘩をしては駄目よ」

 「はぁい」

 「・・・はい」

 「ヒカリさんも落ち着いて」

 「あ、す、すいません」

 「ふふっ、それではロッカーに案内するから着いてきて」

 あずさはシンジ達を連れてロッカーまで案内すると着替えて事務所に戻ってくるように言った。

 「ふ〜ん・・・アスカさんもそうだけど、シンジ君も誰かさんにそっくりね♪」

 あずさは今頃倉庫で汗を流している耕治を思い出し、苦笑いを浮かべて事務所に戻った。






 そして、ロッカールームでは・・・。

 四人の美少女達が一言も話すことなく、静かに着替えをしていた。

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 「・・・あの、アスカさん?」

 一番最初に着替えたマナが、真剣な顔をして話した。

 「何よ?」

 「一つ提案があるのですが」

 「提案?」

 「綾波さんもいいですか?」

 「聞くわ」

 アスカとレイが着替えを終えて向かい合うと、マナが切り出した。

 「お店の中では仕事以外でシンジに付きまとうのは止めませんか?」

 「どう言うこと?」

 「なぜ?」

 三人はさらに顔をつきあわせて、マナにつられるようにアスカとレイも真剣な表情で話しをする。

 「だってすぐに喧嘩になるのがわかるし、それでお店首になったら困るじゃないですか」

 「まあ、たしかにね」

 「そうね」

 「それじゃそう言うことで」

 「わかったわ」

 「了解」

 一人かやの外のヒカリは、一体碇君の好きな人って誰なんだろうとふと考えていた。

 とりあえず停戦条約(?)を結んだ三人と一人は、事務所に戻ることにした。

 「うん、みんなよく似合うわ♪」

 あずさは自分の思ったとおりの結果に満足して、笑顔を浮かべて四人を見つめていた。

 ちなみに制服はキャロットで一番人気のメイドタイプで、まさにケンスケの思惑通りだった。

 ふと、マナは事務所の中を見回すとシンジが居ないことに気がついた。

 「あれ、シンジはどうしたんですか?」

 「シンジ君?」

 あずさは困ったように軽くため息をつくと、シンジのいる場所を教えた。

 「彼はフロアの方に先に連れて行かれたわ」

 「連れて行かれたって・・・誰にですか?」

 「フロアリーダーの木ノ下留美さんにね」



 ぴきん!



 マナ、アスカ、レイ達はニュータイプ真っ青の感を閃かせ、早足で事務所を出ていった。

 残されたあずさとヒカリはお互いに顔を見合わせて笑いを浮かべていた。

 「さあ、私達もフロアの方に行きましょう」

 「そうですね」

 今頃大変なことになっているシンジ達の様子を心配しながら、二人もその場所に向かった。






 「それでね、これをこうすると落とさないんだよ♪」

 「さすが木ノ下さんですね」

 「う〜ん・・・ねえシンジ君?」

 「はい?」

 「私のことは”留美”って呼んでくれないかな?」

 「ええっ、でもそんな」

 「だって私達は同じ職場で働く仲間なんだよ」

 「そ、そうですけど」

 「それなのに他人行儀過ぎるのは嫌なんだけどなあ〜」

 必要以上にシンジにくっついて自分をアピールする留美にシンジの心臓は爆発寸前だった。

 「わ、わかりました、そ、それじゃ・・・留美さんでいいですか?」

 「うん、そうこなくっちゃ♪」

 お店の中だと言うのに留見目当てのお客達からは殺意の隠った目で睨み付けられているが、

 それに全く気がつかないで二人の中は進展していくようだった。

 しかし、そうは問屋が卸さない。

 他の場所に移動しようとしたシンジと留美の前に、バックに暗雲を背負ってジト目の美少女三人

 が二人の前に立ちふさがった。

 「あっ」

 「あら、やっと来たんだね」

 さすがにジト目で睨まれたシンジは留美の腕を解こうとしたが、意外な強さでガッチリと捕まれて

 どうすることもできなかった。

 「私、木ノ下留美よろしくね♪」

 ニコッと笑って自己紹介をするがマナ達はその笑顔よりもシンジの怯えた顔を睨み付けていた。

 「シンジの浮気者」

 「シンジ・・・」

 「碇君・・・」

 「え、そ、そんな誤解だよ」

 今度はその台詞を聞いた留美がシンジのことを潤んだ目で見つめた。

 「え〜っ、シンジ君、留美の事嫌いなんだ・・・留美悲しい〜」

 「あ、そ、そんなことないです!」

 「それじゃ留身のこと好きなのね〜! 留美嬉しい〜♪」



 ちゅっ♪



 ほっぺたにキスをされて”ボン!”と音を立てて真っ赤になってへにゃへにゃになったシンジ

 を見て、マナ達はついに切れた。

 「留美さん! シンジは私の恋人です!」

 「ちょっと美人だからって大きな顔しないで!」

 「目標を使徒に設定」

 いくら留美でもちょっとやり過ぎたかな〜と思ってはいたが、それでもシンジの腕を放さない。

 三人ともそれぞれ勝手なことを言って留美を滅殺しようとするが、やっぱり救いというか後から

 来たあずさに窘められた。

 「はいはい、何度も言ったけどお店の中では喧嘩をしてはいけません!」

 「あ〜、助かったわあずささん」

 「留美さんも過激に挑発しないで下さい」

 「は〜い、御免なさ〜い」

 「三人もいいですね」

 「はい」

 「はぁい」

 「・・・はい」

 さすがにあずさに言われてはおとなしくするしかなかった。

 「はぁ〜・・・なんかあたし最近こればっかり言っているような」

 あずさはこれから先の事をを考えると、ちょっと頭痛と目眩がしてきた。






 さてところ変わってここはとある一室。

 真っ暗な部屋で色眼鏡に髭面のおやぢがいつもの様にファイティングポーズをとり、机に肘を

 突いて一心不乱に目の前のモニターに釘付けになっていた。

 「ふっ・・・シンジの奴、すでに私を越えていたとはな」

 「さすがシンジ君ですね、これも計画の内ですか?碇指令」

 「例の少女はどうした?」

 「昨日こちらの方に着きました、今日にでも例の場所に」

 「そうか」

 「それで政府の方はどうしますか? こちらで手を打ちますか?」

 「いや、奴らには何もできんよ」

 「すべてはシナリオ通りというわけですか? 碇指令」

 加持が机の上に置かれたファイルを手に取る。



 ー碇家老後補完計画第一次第三回中間報告書ー



 「ふっ」

 ゲンドウは半角笑いをして再びモニターを見つめていた。

 ぱちっ。

 突然、部屋の電気がつくと入り口にお玉を持ってエプロンをした主婦、碇ユイがそこに立っていた。

 「あなた、何をしていたのですか?」

 「むぅ、いや何でもない」

 こんっ。

 ユイは笑顔を浮かべて近づくといきなり手に持ったお玉でゲンドウの頭を叩いた。

 「・・・痛いではないか、ユイ?」

 再び、こんっ。

 「また馬鹿なことをして」

 「むぅ、何を言うユイ、これは私達には必要なことだ」

 かんっ!

 「・・・・・・・!?」

 力と技が見事に合った攻撃で頭を思い切り叩かれたゲンドウは、声も挙げられずに頭を押さえて

 ユイの前でごろごろと床の上をのたうち回っていた。

 「馬鹿な事してないでさっさと帰りますよ!」

 涙目になっているゲンドウを引きずりながら、部屋の隅で我関せずで詰め将棋をしていた冬月に

 微笑みながら声をかける。

 「冬月先生も夕御飯にいらして下さいね♪」

 「うむ、せっかくだからご相伴に預かるとするかな」

 「はい、もちろん加持さんもどうぞ♪」

 「これはどうも」

 どうやら冬月と加持はゲンドウよりもユイの方に実権が有ると身に感じていたらしい。

 「でも、こんなところも可愛いんだから困っちゃうわ♪」

 ”碇ユイ”、彼女は何でもお見通しなのかもしれない・・・。






 再びキャロットに。

 これ以上もめないようにシンジを耕治に任せて、あずさは美奈にマナ達の面倒を任せた。

 「どうですか〜解らないことがありますか〜?」

 すっかり大人っぽくなった美奈は、かつてのあずさと同じくらいの美人になっていた。

 それになんと言っても洗練された動きと笑顔はマナ達も見とれるくらい綺麗だった。

 事実、オープン二日目だというのにすでにファンクラブまで有るらしい・・・。

 「特にはないです」

 「あたしも」

 「・・・ない」

 「そうですか〜解らないことがあったら遠慮無く聞いて下さいね〜」

 ほにゃんと笑う美奈を見ていると、どことなく力が抜けるようでマナ達はおとなしく美奈の言う

 事に耳を傾けて聞いていた。

 もちろんこれはあずさのねらい通りだったのは言うまでもない。

 「それでは三人とも休憩室の方で一休みして下さい〜」

 三人は素直に美奈の言うことを聞いて、静かに店の奥に歩いて行った。

 そのころシンジは耕治と一緒に伝統(笑)の倉庫整理をしていた。

 「本当に助かったよ、何せ男手は俺一人だったから」

 「そうなんですか?」

 「バイトの募集をしても来るのは全部女の子だからね」

 シンジの質問に耕治は困ったような顔をして答えた。

 「大変なんですね」

 「まあ、でもシンジ君もいるし明日から来る鈴原君がいるから当分は何とかなるかな?」

 「トウジも今日試合がなければ来たんですけど」

 「ははっ、明日からに期待しているよ」

 すっかりかたずけられた倉庫を見て二人は汗を拭うと笑いあった。

 「さて、シンジ君も休憩を取っていいから休憩室に行っていいよ」

 「はい、解りました」

 「ああ、それからその部屋の冷蔵庫の中にある飲み物は好きな物飲んでいいから」

 「ありがとうございます」

 耕治は事務所に戻り、シンジは休憩室に行く途中で一人の女性とすれ違った。

 「あ、新しいバイトの人ですか?」

 「はい、碇シンジです、よろしくお願いします」

 「私は愛沢ともみって言います、こちらこそよろしくね♪」

 初めてキャロットに来た頃よりもさらに髪の毛がふさふさして可愛さ大爆発なともみに

 見つめられて、留美に続いて真っ赤になっていた。

 「ん? どうしたの、顔が真っ赤だよ」

 「い、いえ、何でもないです!」

 「ふふっ」

 「な、なにか?」

 シンジに謝りながらも、ともみの瞳はどこか懐かしいものを見る目だった。

 「あ、ごめんなさい、耕治お兄さんみたいにやさしい目をしてたから、つい」

 「店長さんですか?」

 「うん、とっても優しくて頼りになるお兄さんだよ♪」

 どうやら耕治のことを”お兄さん”と呼ぶ癖が直らず、美奈と同じく今でもそう呼んでいるらしい。

 「それじゃまたね、シンジ君♪」

 「はい、失礼しますともみさん」

 シンジは気分が良くて、珍しくニコニコしながらスキップして鼻歌混じりに休憩室のドアを開けた。

 「失礼しま〜す♪」

 しかしその笑顔も部屋の中に入った瞬間、凍り付いたようになりその場で固まってしまった。

 なぜに?

 入ってきたのがシンジと気づいたマナ、アスカ、レイの三人はユニゾンよろしくジト目になって

 シンジを睨んでいたのである。

 「ど、どうしたのみんな?」

 「別に」

 「なんでも」

 「ないわ」

 「?」

 「あんまり気にしないで碇君」

 一人関係ないヒカリは苦笑いをしていた。

 訳が分からず首を捻りながらも冷蔵庫からジュースを取り出して椅子に座ると、美味しそうに

 のどを鳴らして飲み始めた。

 「はぁ〜おいしかった!」

 そんなシンジを見ながらマナ達の頭の中には、これからのことをそれぞれ考えていた。

 『アスカさんや綾波さんだけじゃなくて他にも危険分子がいるとはね・・・』

 『冗談じゃないわよ! これじゃあたし達の条約なんて意味がないわよ!』

 『碇君と一緒に働けるのは嬉しい・・・でも、使徒ばっかりで危険だわ・・・』

 シンジが好きな気持ちは乙女らしいのだが、育った環境の所為かその考えがみな物騒であることに

 気づくことはもちろん無い。

 しかし、彼女たちは知らなかった。

 髭おやぢの陰謀でさらにライバルが増えることに。

 自分の幸せのためなら手段を選ばないやり方は、使徒を撲滅してからも衰えることなくさらに暇に

 なったことが拍車を掛けてエキサイトしていた。

 人類最大の失敗は、この髭おやぢに最強の権力と地位を与えたことだが、それに気がついたのは

 今は亡き同じく怪しいおやぢ達だけだった。

 しかし、こんな事をして後で解ったらシンジに怒られるとはちっとも考えてはいないらしい。

 全く困った髭おやぢである。






 がちゃっ。

 ドアが開いたのでそっちを見ると、二人の綺麗な女性が中に入ってきた。

 「あら〜、さすがにいいネタそろっているじゃない♪」

 「葵、お寿司じゃないんだから止めなさい!」

 シンジ達を見渡してさらっと言う葵だったが、横にいた涼子に頭を叩かれていた。

 「あ、あの」

 「ああ、ごめんなさい私は双葉涼子、こっちは皆瀬葵って言います」

 「私達、キャロットの2号店のスタッフなの♪」

 「そうなんですか」

 「今日は三号店のお祝いに来たのよ♪」

 「でも、大勢お客さんも来ているし良かったわ」

 シンジはこのお店の人達って綺麗な人ばっかりだな〜と考えていたらしくて少しほっぺたが

 赤くなっていた。

 そんなシンジを葵と涼子がおもしろそうに見つめていた。

 「あ、あのなんでしょうか?」

 「うん! 耕治君の言った通り格好いいわね〜♪」

 「そうね、ちょっと彼に似てるかしら」

 「あの、どこが似てるんでしょうか?」

 葵と涼子はお互いに微笑み合うとシンジに向かって同じ事を言った。

 「「そうね、女性に人気があるところなんてそっくりだわ♪」」

 「ええっ!?」

 さらに葵は昔耕治にやっていたように自分の胸にシンジの頭を抱き寄せると、小さな声で囁いた。

 「それで本命は誰なの? お姉〜さんに教えてくれないかしら♪」

 「え、あ、あの、その、ええっ〜」

 耕治よりもさらに純情なシンジは、葵の胸の感触に顔が真っ赤になり活動限界まで後少しだった。



 めきっ!



 何の音かと思い葵は音のした方を見ると、三人の女の子達が肩を震わせ俯いたまま手に持った

 ジュースの缶を同時に握りつぶした音だった。

 三人同時に立ち上がり、葵に向かって殺気を込めた視線で睨みながら近づいていった。

 しかし、葵はシンジを離すとマナ達が話す前に自分から謝った。

 「ごめんなさい、昔を思い出してつい懐かしくなっちゃって♪」

 正面を向いてマナ達に向かい合うと、なぜか三人の動きが止まった。

 しかも、その視線は葵の顔ではなくてその下の見事な胸に釘付けだった。

 『な、なんて見事な胸してるの・・・反則よ・・・』

 『ミサトより大きくて形がいい胸があるとは・・・』

 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・牛』

 三人は座っていた椅子に戻ると、もう一回葵の胸を見てそれからそれぞれの胸を見て大きな

 ため息をつくとがっくりと肩を落とした。

 「あり、どうしたの?」

 「葵・・・それは聞いてはいけない事よ」

 「??」

 マナ達は俯いて、葵は首を捻って、涼子は苦笑いをして、シンジはぼーっとして、残されたヒカリ

 はみんなを見ないように目を閉じて静かにジュースを飲んでいた。

 特に葵の胸だけは同じ女としては、見ることを断固拒否することを一人心に誓った。

 皆瀬葵・・・Pia・キャロットにおいてその”せくしいだいなまいつ”の体は今も健在だった。

 そんな妙な雰囲気の部屋に一人の可愛い天使が入ってきた。

 「こんにちわ〜♪」

 「あら、かおるちゃん、お母さんは?」

 「ママはこうじおにいちゃんとお話してるよ〜」

 大きくなったら美人になることが間違いなしのかおるは部屋の中を見回すと、シンジの側に行った。

 「おにいちゃん?」

 「ん、ああ、なに?」

 我に返ったシンジは目の前の小さな女の子を見た。

 「おにいちゃんおなまえは?」

 「ぼくはシンジ、えっと君は?」

 「えへへ、かおるだよ♪」

 「かおるちゃんか・・・僕の友達にも同じ名前の人がいるよ」

 「じゃあかおるともお友達になってくれる?」

 「うん、いいよ♪」

 「えへへ〜しんじおにいちゃん♪」

 そう言って嬉しそうにかおるはシンジに抱きついた。

 シンジもかおるの笑顔を見てそれに釣られるように微笑んでいた。

 「あら〜、やっぱりかおるちゃんにも解るのね〜♪」

 「そうね・・・今の笑った顔なんてそっくりだわ」

 二人の会話を聞いたマナ、アスカ、レイの三人はまたしてもライバル(笑)になりそうなかおるを

 見て、そろってため息をついた。

 一方、ヒカリはシンジがそおゆう趣味があると思い内心ドキドキしてシンジとかおるを見ていた。

 そこに休憩時間になった留美が来た。

 「あ〜っ、涼子さんに葵さん、お久しぶり〜♪」

 「ふふっ、留美さんは相変わらず元気ね」

 「そうね、また綺麗になったみたいだし♪」

 「えへへ〜、解ります?」

 留美はてれてれしながらほっぺたを赤く染めて笑ってシンジの方に視線を動かした。

 「ふ〜ん、やっぱり彼?」

 「だって、耕治君はあずささんに取られちゃったから〜」

 「でも、大変みたいよ」

 「留美負けません! 必ずシンジ君のハートをげっちゅ〜してみせます♪」



 がたん。



 「ふっふっふっふっふ・・・」

 「ふっふっふっふっふ・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 マナ、アスカ、レイは不気味な笑い声をしながらゆっくりと立ち上がると留美と向かい合った。

 「ふっふっふっふっふ・・・」

 それに応えるように留美も笑顔を崩さずに笑っていたが、瞳はマジだった。

 「しんじおにいちゃん、かおるこわい」

 「う、うん、そうだね、ぼくもこわいかな・・・はは」






 シンジはかおるを連れてそっと抜け出し、続いてヒカリと涼子と葵も静かに部屋を後にした。

 とりあえず事務所に行くとかおるのお母さんの春恵さんと耕治が話していた。

 「あら、かおる」

 「まま〜、ただいま〜」

 シンジに抱かれているかおるを見て春恵は微笑んで呟いた。

 「本当に前田さんに似ていますわ」

 「そうですか? 俺は彼みたいに格好良くないですよ」

 ふふっと上品に笑う春恵は嬉しそうだった。

 「かおるね〜しんじおにいちゃんとお友達になったんだよ〜えへへ♪」

 「まそうなの、よかったわね」

 「うん♪」

 春恵はシンジを見つめると軽くお辞儀をして挨拶をした。

 「初めまして、かおるの母の山名春恵と言います」

 「あ、どうも碇シンジです」

 「かおるがご迷惑をお掛けしてすいません」

 「そ、そんなこと無いです、妹が出来たみたいで嬉しかったから・・・」

 「そうですか、ありがとうございます」

 春恵の丁寧な物腰にシンジの顔はなぜか赤くなって、胸の鼓動もなんだか早くなっていた。

 「あれ〜おにいちゃんかお赤いよ〜?」

 「ええっ、そ、そうかな」

 「うん、トマトみたい♪」

 「あ、あははは・・・」

 シンジは春恵の仕草になんとなく自分の母のユイを感じていた。

 『なんか母さんと感じが似ているけど、やっぱりお母さんてこんな感じなのかな・・・』

 そんなシンジをさっきから黙ってみていたヒカリは、思っていたことを聞いてみた。

 「碇君」

 「何、洞木さん?」

 「碇君て女性なら誰でもいいの?」

 「ええっ?」

 冗談かなと思っていたシンジだが、ヒカリの目はマジだったので背中に冷や汗をかいていた。

 「そうね・・・まるで誰かさんにそっくりだわ〜♪」

 「確かに良く似ているわ・・・」

 みんなの視線がシンジではなく、だんだんとなぜか耕治に集中していった。

 「何で俺を見るんですか?」

 「なんでかな〜♪」

 「あずさまで何言ってんだよ!?」

 「さ〜てね♪」

 訳が分からない男達をほっといて綺麗な女性達は同時に笑い出した。






 そしてまた一人の少女もこの街に戻ってきた。



 「元気かな? シンジ君・・・」



 その少女も導かれるようにPia・キャロットのドアを開けた・・・。

 2018年夏・・・お祭りは始まったばかりである。






 To Be Continue


 どうも〜、じろ〜です。

 早くも5000HITしましたので続きを書いてみましたけど、いかがなもんでしょうか?

 まだまだ登場キャラクター増えそうで段々頭が痛くなって来ちゃった・・・。

 でも、この話の落ちはマルチエンディングなのか、果たして真のヒロインはだれ?

 私的にはかおるちゃんかな?(笑)

 今のところ留美が一歩リードしている感じかな・・・。

 意外なところでユイさんだったりして♪(爆)

 さて、いけるところまでとことん進むこのお話・・・、明日はどっちかな?

 それでは、また。


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