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 Pia・キャロットへようこそ!!2 2018MIX・SPECIAL V






 PRESENTED BY じろ〜






 「あの、すいません・・・」

 「はい?」

 あずさが声のした方を見ると、みんなも釣られてそちらを向くとシンジが彼女を見ると同時に

 大きな声を上げた。

 「ああっ、マユミさん!?」

 「えっ、シンジ君?」

 数年ぶりの再会であった。

 何せシンジとマユミが同じ学校に居たのはたった一週間だけだった。

 でもシンジにとっては自分と似ているこの少女と過ごしたことは今でも鮮明に覚えていた。

 それになんと言っても彼女と居るときが一番リラックスできたのだった。

 「久しぶり、元気だった?」

 「はい、シンジ君も元気そう・・・」

 「マユミさん?」

 途中で言葉を切ったマユミの目からは涙が溢れてこぼれ落ちていた。

 「ご、ごめんなさい・・・シンジ君に会えたら・・・その、嬉しくて」

 「マユミさん」

 シンジは自分のハンカチを取り出すと、そっと涙をふき取ってあげた。

 「シ、シンジ君!?」

 ビックリして大きく目を開いてシンジを見つめると出会った時のように優しく微笑んでいた。

 「綺麗になったね、マユミさん」

 「あ、ありがとう・・・シンジ君も・・・その、素敵です」

 「そ、そう・・・ありがとう、マユミさん」

 ようやく笑顔に戻ったマユミとシンジはお互いに頬を染めて見つめ合っていた。

 そして二人だけの空間を作りだしていた。

 ここが何処だかすっかり忘れて・・・。

 「ねえ涼子・・・この二人ってなんかラブラブみたいねぇ〜♪」

 「そうね、お似合いの二人かもしれないわ」

 「あずさ、これは雇わないわけにはいかないな?」

 「うん、もし断ったらシンジ君に怒られちゃいそうね♪」

 「あ〜、お兄ちゃんとお姉ちゃんお顔が赤いよぉ〜」

 「こら、かおる・・・」

 「やっぱり碇君て女の子なら誰でもいいのかしら・・・」

 ここまで言われて、ようやく我に返ったシンジが周りを見回すと、みんながニコニコしながら

 二人を温かく見つめていたことに気がついた。

 「あ、あの、こ、これは」

 焦りまくるシンジをほっといてあずさはマユミに声を掛けた。

 「あなた、山岸マユミさんね?」

 「は、はいそうです」

 「明日からよろしくね♪」

 「は、はい、こちらこそよろしくお願いします」

 頭を下げてお辞儀をするマユミを見てあずさは、アスカ達とは違って本当に普通の女の子に

 出会えた気がしていた。

 確かに、アスカ達と比べると一番普通の女の子だったのは間違いなかった。

 「それじゃシンジ君、今日はもう上がっていいから」

 「え、でもいいんですか?」

 「アスカちゃん達もいるし、それにマユミさんと話も在るでしょうから」

 「あ、ありがとうございます」

 「マユミさんも明日少し早めに来てくれればいいから」

 「はい、解りました」

 「シンジ君は倉庫整理お願いね」

 「・・・はい」

 二人はお辞儀をして事務所から仲良く外に出ていった。

 もちろん休憩室でにらみ合っているアスカ達がその事に気づくことはあろう筈もなく、誰にも

 邪魔されずにシンジとマユミはキャロットを抜け出せたのだった。






 「でもマユミさんに会えて本当に嬉しかった」

 「はい、私もシンジ君に会えて良かったです」

 二人は端から見ても初々しい高校生の恋人達そのものであった。

 そして、再会を果たしたシンジとマユミは今までのことを話ながら歩いていた。

 「あらシンジ、バイト終わったの?」

 「あ、母さんと・・・父さん?」

 ちょうど商店街の側を通りかかった時、ユイと両手一杯に買い物袋を持ったゲンドウとばったり

 出会った。

 ユイはシンジの隣にいるマユミを見ると微笑みながら話しかけてきた。

 「シンジ、母さんに紹介してくれるかしら?」

 「うん、山岸マユミさん、昨日ここに引っ越してきたんだ」

 「は、初めまして、山岸マユミと言います」

 「はい、私がシンジの母の碇ユイと言います」

 改めてマユミはユイを見つめると、シンジに小声で呟いた。

 「シンジ君のお母さん、若くて綺麗ですね」

 「うん、まあ・・・」

 何せ外見はエヴァに取り込まれた時と変わんないし、おまけにわかく見られがちなのでよく

 シンジの姉に間違わられる事もあった。

 「そうだマユミさん、折角会ったんだから夕飯でも一緒にいかがかしら?」

 「え? でもご迷惑じゃありませんか?」

 「全然、賑やかの方が食事も美味しいでしょう♪ ねえシンジ?」

 「そうだね、マユミさんが良ければどうかな?」

 ちょっと考える仕草の後、顔を上げて笑うとシンジとユイを見て答えた。

 「それじゃお言葉に甘えてお邪魔します」

 「う〜ん、今日は腕によりを掛けて美味しい物作っちゃおうかしら♪」

 一人ご機嫌になって軽やかな足取りで家に向かうユイの後を、ゲンドウはふらふらと後に

 付いていった。

 「あの、シンジくん・・・」

 「なに、マユミさん?」

 「あのおばさまの後ろを歩いている人は誰ですか?」

 マユミの視線はゲンドウの背中に注がれていた。

 「・・・あれ、僕の父さん」

 「シンジ君のお父さん!?」

 マユミは目を大きくして驚いていた。

 身長は高く顔は髭とメガネで全く表情が掴めなかったそんな姿を見て、呟いた。

 「なんか失礼な言い方かもしれませんが、可愛いお父さんですね」

 「はは、母さんと同じ事言ってるよ」

 「ええっ!?」

 「僕には良く分かんないけどそこが良いんだって」

 「やっぱり凄い人ですね、碇君のお母さんて」

 「う〜ん、そうかな・・・」

 今でもゲンドウのことが良く分かんないシンジだが、マユミには何となく解った様で

 ユイを見る目は尊敬の眼差しだった。






 四人は連れだって大きな一軒家に来ると、ユイが扉を開けてマユミを招き入れた。

 「あの、お邪魔します」

 家の大きさにちょっと圧倒されながらも挨拶をして、靴を脱ぐとスリッパに足を入れた。

 「はいどうぞ、今用意するからちょっと待っててね♪ シンジ、後はお願い」

 「うん、それじゃ僕の部屋に行こう」

 「はい」

 ユイはゲンドウを連れてキッチンの方に、シンジはマユミを自分の部屋に連れていった。

 「さあ、どうぞ」

 「し、失礼します」

 ちょっと緊張しながらマユミはシンジの部屋に入ると、彼が差し出したクッションの上に腰を

 下ろした。

 「ここがシンジ君の部屋ですか・・・私男の子の部屋に入ったの初めてなんです」

 「そ、そう・・・僕もその、女の子だとマユミさんが初めてかな?」

 「え、アスカさんとか綾波さんとかは・・・」

 「ううん、いつも母さんがリビングに連れて行っちゃうんだ」

 「そうですか・・・」

 それを聞いて、シンジの部屋の中を見回しているマユミはちょっとだけ嬉しそうな顔をした。

 「マユミさん、紅茶でいいかな?」

 「あ、はい」

 「ちょっと待っててね、今用意してくるから」

 マユミに確認を取った後、シンジは美味しい紅茶を入れにキッチンに行った。

 程なくティーポットとカップにお菓子を盛った皿を持って、シンジが戻ってきた。

 「どうぞ」

 「頂きます」

 こく。

 「あ、凄く美味しいです」

 「良かった、一応紅茶を入れるのは得意なんだ」

 「そうなんだ・・・あのシンジ君、今度教えてくれませんか? 美味しい紅茶の入れ方」

 「うん、僕で良ければいつでも良いよ」

 「ありがとう、シンジ君」

 食事が出来るまでの間、二人は今までの事や楽しく盛り上がってあっという間に時間は過ぎていった。

 「凄い・・・」

 「さあどうぞ、遠慮しないでね♪」

 「は、はい」

 シンジとマユミがダイニングに来ると、テーブルの上には所狭しと料理が並べられていた。

 どれも、美味しいそうに綺麗に盛りつけされておりユイの張り切りさが現れていた。

 「母さん、ちょっとこれ・・・多くない?」

 さすがにシンジもマユミと同じように驚いてしまった。

 「ごめんね、シンジのガールフレンドがいるからついがんばっちゃって」

 「ええっ、わ、私そんな・・・」

 顔を赤くして口では否定しても、満更そうでもない表情のマユミを見て、ユイはにっこり笑うと

 その顔を見つめていた。

 「か、かあさん、マユミさんに失礼だよ」

 シンジもほっぺたを赤くしてユイに抗議する。

 「そうかしらマユミさん?」

 「あ、いえ、そんなことないです!」

 「マ、マユミさん?」

 「ああっ!?」

 思わず本音が出てしまい口を押さえたがすでに遅く、シンジと目があったらそのまま二人とも俯いて

 少しだけ動けなかった。

 そんな二人を楽しく見守るユイの横で、テーブルにいつものようにファイティングポーズを取って、

 あおずけを食らって一人涎を垂らしていたゲンドウはニヤリと笑っていた。

 『シンジ、さすがは私の息子だ、上手くいっているようだな・・・ふっ』

 明日早速日本政府に圧力を掛けて、計画の早期実現を進めようと心の中で一人思っていた。

 『シンジ、もうすぐだ、もうすぐで望みが叶う・・・約束の時はもう目の前だ」

 「ふっ」

 「あなた」

 「なんだ、ユイ?」

 がん!

 ゲンドウは頭にフライパンを載せて、少し凹んだ状態で涙目にユイに語りかけた。

 「・・・ゆい、痛いではないか?」

 「また変なこと考えていたんでしょ? 全くいくつになっても変わらないんですから」

 「ユイ、すべては心の中だ・・・今はそれで良い」

 「はいはい、馬鹿なこと考えていないで食事にしますよ」

 「む、ユイこれは真面目なことだ」

 その後、二、三回フライパンでゲンドウの頭を叩いてから、自分も椅子に座った。

 何度やっても懲りないゲンドウなのはユイは百も承知だった。

 その様子を見ていたシンジは何時もの事だと思ったがマユミは楽しそうに見つめていた。

 「マユミさん?」

 「ふふっ、ごめんなさい、やっぱりおじさまって可愛いですね」

 「そ、そう・・・僕にはわかんないや」

 「くすくすっ」

 怪訝な表情でマユミを見ていたシンジだが、楽しそうに微笑んでいる顔を見たら自分も

 楽しくなっていつの間にか笑っていた。

 「さあ二人とも、冷めないうちに食べましょう♪」

 「「はい」」

 返事の後、食べ始めたみんなはいつもよりずいぶん楽しく会話が弾み、楽しい時を過ごした。






 みんなで食後のお茶を飲んで一休みしていたら、外には綺麗な星空が浮かんでいた。

 さすがに泊まっていかないとのユイの誘いを丁寧に断ると、玄関までやって来た。

 「今日はごちそうさまでした」

 「い〜え、大したお構いも出来なくて・・・」

 「夕食、本当に美味しかったです」

 「そう? またいつでもきてね♪」

 「はい」

 いつになく元気に返事をするマユミは食事の時からずっと笑顔でだった。

 靴に履き替えて振り返ると軽く頭を下げてお辞儀をした。

 「おじさま、おばさま、今日はとっても楽しかったです」

 「ああ・・・」

 「気をつけてね」

 「はい」

 「それじゃ僕マユミさん家まで送ってくるから」

 シンジも靴を履くと、マユミの横に立ってユイにそう告げた。

 「しっかり送るのよ、シンジ」

 「解ってるよ、母さん」

 「ふっ・・・出撃」

 「何を言ってるのか解らないよ、父さん」

 ユイに頭を後ろからスリッパで叩かれると、メガネがずり落ちてその下にあるつぶらな目が

 可愛くてマユミは思わず笑ってしまった。

 「くすっ、失礼しました」

 ユイとゲンドウに挨拶をしてマユミはシンジと一緒に自分の家に向かって歩き出した。

 残された二人はリビングに戻ると、ユイが入れたお茶を飲みながらマユミのことを話していた。

 「どうやらシンジが今一番気になっているのはあの子みたいですね」

 「ああ」

 ずず〜。

 「そうそう、あの子があなたのこと可愛いって言ってましたわ」

 「ふっ」

 ずずず〜。

 「アスカちゃん達、ちょっと可哀想かな・・・」

 「問題ない」

 ずずず〜。

 「後でばれたらアスカちゃんやレイちゃんにどんな目にあう事やら・・・ね、あなた?」

 ずっ・・・ごっほげほがはぐはぁっ。

 「さてと、お風呂の用意でもしてきましょう」

 一人むせて苦しんでいるゲンドウをほっといて、ユイはシンジの心を掴むのは誰かしら

 などと考えながら風呂場に行ってしまった。

 ゲンドウは一人残されたリビングで、苦しみながらも頭の中には可愛い孫を抱いている自分の

 姿を浮かべるとニヤリと笑いながら酔っていた。

 「シンジ・・・おまえには期待してるぞ・・・ぐふっ」

 さて、シンジ達はそんなゲンドウの考えなどに全く気がつかず、仲良く二人で夜道を歩いていた。

 「今日はとても楽しい食事でした」

 「そう、僕も楽しかった」

 少し顔を上げて星を見ながらマユミは呟いた。

 「いつもは一人で食べている事が多いから・・・」

 「えっ、?」

 「お父さんと二人で住んでるけど時間が合わないから」

 「マユミさん」

 「だから・・・だから本当に楽しかった、ありがとうシンジ君!」

 月明かりに照らされたマユミのその笑顔は本当に綺麗で、シンジの心に染みいる様に焼き付いた。

 そしてシンジの口から無意識に言葉が零れた。

 「綺麗だ・・・」

 「え?」

 「ああっ、ご、ごめん、その・・・マユミさんの笑顔が綺麗だったからつい・・・」

 「あ、ありがとう」

 シンジの言葉に赤くなりながらも、心の中では綺麗と言って貰えて凄く幸せな気分のマユミだった。

 そして二人は無言のまま歩き出したが、その顔は赤くなりながらも微笑みが浮かんでいた。

 そらから十五分ぐらい歩いたらマユミの家の前に着いた。

 「あれ? ここって・・・」

 そこはコンフォート17、かつてシンジが住んでいたミサトの部屋があるマンションだった。

 「どうかしました?」

 「え、ううん」

 「それじゃお休みなさい、シンジ君」

 「うん、お休みマユミさん」

 軽く手を振ってエレベーターの中に入ったマユミを見送って帰ろうと振り向いたそこに、ビールの

 箱を担いだ加持とつまみの入った袋をぶら下げてニヤニヤしているミサトが立っていた。

 「は〜いシンちゃん、こ・ん・ば・ん・わ♪」

 「こ、今晩わミサトさん、加持さん」

 今、この状況で一番会いたくなかった人は誰かと聞かれたら、間違いなくミサトと答えるだろう。

 「やるなぁシンジ君」

 「な、何言ってるんですか加持さん!?」

 「またまたとぼけちゃって〜お姉さんに隠し事はだめよん♪」

 と言いながらシンジの首を抱え込むと、そのまま部屋まで引きずって行こうとした。

 「は、放して下さいミサトさん、ぼ、僕明日もバイトが・・・」

 「まあまあシンちゃん、いろいろじっくり詳しく正確に話して貰いましょうか〜♪」

 「か、加持さん助けて下さい」

 「すまんシンジ君、俺もちょっと興味があるから」

 「そ、そんな〜!」

 加持もミサトに悲鳴を残して連れて行かれたシンジの後を、苦笑いしながら着いていった。

 そしてこの夜、シンジはミサトに一晩中酒の肴にされ続け朝まで付き合わされてしまった。






 翌日、シンジの朝は久しぶりに早かった、いやほとんど寝てないと言った方が良さそうだ。

 何にもない冷蔵庫の中を見てがっくりと肩を落としながらも、朝からコンビニまで行って

 食料を買ってくると、手早く朝食の準備をした。

 「ふぁ〜あおふぁようシンちゃん」

 「おはようございます、ミサトさん」

 相変わらずあられもない姿でテーブルに座ると、昔のように朝からビールを飲み始めた。

 「くぅ〜この一杯のために今日も生きているのね〜♪」

 「全然変わってないんですね、ミサトさん・・・」

 「ほえ?」

 シンジはミサトの姿を見て額に手を当てて軽く頭を横に振ると、大きくため息を付いた。

 「おはようシンジ君」

 「おはようございます、加持さん」

 加持はテーブルに着くとシンジが用意した朝食を堪能した。

 「済まないなシンジ君、朝食まで用意して貰って」

 「いえ、別に大した物出来ませんでしたから」

 「そんなことないわシンちゃん! いつでもお嫁にいけるわ〜」

 シンジの作ったみそ汁を飲んで上機嫌のミサトであった。

 「ここんとこ、家でまともな食事なんて食べたことなかったなぁ・・・」

 「がんばって下さい、加持さん!」

 シンジは加持が今でも命がけの生活をしていると理解して、思わず応援したくなった。

 「んん? なんか引っかかるんだけど今のセリフ」

 「そ、そんなこと無いですよミサトさん」

 「そうさ、ミサトの考えすぎさ」

 シンジと加持はミサトの質問を誤魔化すように喋らずに朝食を食べた。

 食べ終わった食器をきれいに洗うと、シンジはタオルで濡れた手を拭くと帰るために

 玄関に向かった。

 「それじゃ失礼します」

 「ああ、ありがとうシンジ君」

 「またね〜シンちゃん」

 「もう付き合いませんからね、ミサトさん!」

 「はは、ごみん」

 シンジはミサトの謝る姿を見て、小さくため息を付くと扉を開けて外に出た。

 そしてそのまま閉まったドアに寄り掛かると、シンジは大きくあくびをして目を擦った。

 「ふあぁ〜、やっぱり眠いな」

 「シンジ君?」

 「あ、おはようマユミさん」

 ぼーっとしていたシンジの前を買い物袋を下げたマユミが通りかかった。

 「おはよう、でもどうして朝からここに?」

 「話せば長くなるんだけど・・・」

 マユミはちょっと考える素振りを見せると、シンジにお願いをしてみた。

 「もし良かったら、話のついでで良いんですけど昨日言ってた紅茶の入れ方教えてくれますか?」

 「え? う、うん、別に良いけど」

 マユミに誘われてシンジは彼女の家にお邪魔することになった。

 「あの、お邪魔します」

 「どうぞ」

 マユミに案内されてキッチンに来るとシンジは早速準備を始めた。

 「ところでお父さんは?」

 「昨日の夜に電話があって二、三日泊まり込みだそうです」

 「そう・・・よし、じゃあ教えるね♪」

 「はい」

 シンジは明るく振る舞って楽しく教え始めた。

 マユミもシンジが教えてくれたことをしっかりと覚えて、自分で入れられるようにがんばった。

 そして今、教えられた通りにシンジと飲むために紅茶を入れていた。

 「はい、どうぞシンジ君」

 「ありがとう、マユミさん」

 マユミが入れてくれた紅茶を少し口に含んで、味わってから飲んだ。

 「あの、どうですか?」

 「うん、凄く美味しいよ! マユミさんも飲んでみなよ」

 自分の入れた紅茶を息でそっと吹いてから、一口飲んでみた。

 「わぁ・・・美味しい・・・美味しいです!」

 「良かった、これでマユミさんもいつでも美味しい紅茶が飲めるね」

 「ありがとうシンジ君」

 「ううん、大したことじゃないから気にしないで」

 シンジと見つめ合ったマユミの顔には自然と笑顔が浮かんでいた。

 それから紅茶を飲みながら、シンジの話を聞いていたマユミだったがいつの間にかシンジは

 テーブルに顔を着けて眠り込んでいた。

 マユミは時計を見るとバイトの時間まではまだ少しだけ時間が有ったので、その間だけでも

 眠らせてあげようと思い、自分の部屋から本を持ってくると静かに読み始めた。

 時折シンジを見つめるマユミの顔は楽しそうに微笑むと、また本に視線を戻して読み始めた。

 二人を邪魔するものは無く穏やかな朝がゆっくりと過ぎていった。






 「えっ、帰ってない?」

 抜け駆けを防ぐためにアスカ、レイ、マナの三人は一緒にシンジを迎えに来ていた。

 もちろん昨日先に帰ったことを聞きにも来たのだったが・・・。

 「そうなのよアスカちゃん、マユミちゃんを送ってくるからと行ったきり音沙汰無いのよ」

 シンジの心配と言うよりどちらかと言えば楽しそうに微笑んでいるユイだった。

 「マユミ・・・その子山岸マユミって言うんですか?」

 「そうだけど、アスカちゃん知っているの?」

 「レイ、覚えている? 中学の時確か一週間ぐらいしか同じクラスに居なかった女の子!」

 こく。

 「ねえアスカさん、そのマユミっていったい誰なんですか?」

 「あんたと同じで転校生だったんだけど、妙にシンジが気にしていた女の子だったわ!」

 「それに、シンジと良く似ていたのよ、雰囲気とか考え方とかなんかね」

 「それじゃあ・・・」

 三人の頭の中は見事なまでにシンクロして一つの答えを導き出していた。

 『『『シンジとマユミは昨日の夜何かあった!?』』』

 その時、家の電話が鳴ったのでユイは受話器を取り上げてボタンを押した。

 ぴっ。

 「はい、碇です・・・シンジ? 今どこにいるの? え、マユミさんの家って・・・」

 ちょっとわざとらしく大きな声で話していたユイの言葉を聞いた三人は電話の側に我先にと群がった。

 「ええ、解ったわ詳しくは帰ってからね、はい、バイトがんばって」

 ぴっ。

 「今、マユミさん家に居るけどこらからバイトに行くって言ってたわ」

 「レイ、マナ、行くわよ!」

 三人は頷くと一目散にバイト先のキャロット目がけて全力疾走していった。

 その後ろ姿を見ていたユイは、くすっと笑うと呟きながらキッチンに戻ってきた。

 「お赤飯用意しとこうかしら?」

 鼻歌を歌いながら、洗い物をかたしているユイの背中を見つめながら、ゲンドウは考えていた。

 『シンジの行動・・・イレギュラーだったがすべて修正可能範囲内だ』

 意外なシンジの行動力に驚いているゲンドウは、さらに約束の日が近づいたと一人ほくそ笑んでいた。

 そのころアスカ達は、すでに到着してキャロットの前でシンジが来るのを待ちかまえていた。

 「シンジの奴、きっちりと説明させて貰うわよ!」

 こくこく。

 「シンジィ〜私はシンジの事信じているからね」

 ハッキリ言って怖かった、今の彼女達は。

 キャロットの前を通る人達が皆、彼女たちを避けて大きく遠回りしたりして誰も近づけなかった。

 「ちょっとあなた達! 何しているのお店の前で?」

 お客さんが一人も入ってこないので様子を見に来たあずさはその原因が何かようやく解った。

 「なにって・・・・」

 くらっ。

 「あれ? 空がぐるぐる回ってる〜」

 どさどさどさ。

 アスカ、レイ、マナの三人は同時に倒れ始めた。

 「ちょっとみんな!? 耕治ーっちょっとこっちに来て!」

 当たり前である・・・日射病だった。

 今夏真っ盛りの炎天下でずっと頭に血が登っていたため、あっという間に熱が高くなってしまった。

 その三人を懐抱していると、そこに丁度シンジとマユミが楽しそうに話ながらやって来た。

 「ああっ、いいところに来てくれたわシンジ君!」

 「どうしたんですかあずささんってみんな!? 何でこんな所に寝てるんですか?」

 「とにかく休憩室の方へ運びましょう、説明はそれから!」

 「そうですね」

 「マユミさんもお願い」

 「は、はい」

 後からやって来た耕治の手も借りて、とにかくアスカとレイとマナを運び込んだ。






 To Be Continue


 お待たせしました、祝10.000HIT記念SS第三弾!

 うう、カウンターはすでに13.000HITしそうな勢いで回っているから

 このまま行けば次は15.000HITかなぁ〜。

 今回はマユミが大活躍のお話でした。

 これでもうアスカ達はうかうかしていられなくなった。

 シンジにあの手この手で迫りまくること必至。

 さらにゲストキャラクターはあの人が・・・。

 次は怒濤のらう゛らう゛アタックだ〜♪


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