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 Pia・キャロットへようこそ!!2 2018MIX・SPECIAL W






 PRESENTED BY じろ〜






 「大丈夫みんな?」

 シンジの目の前には顔に濡れタオルを載せたレイとアスカとマナが仲良くソファーで寝ていた。

 完全にのびていた三人は愛しいシンジの心配している声にも全く反応が無かった。

 「みなさん大丈夫でしょうか?」

 マユミも心配そうにシンジの横でみんなを見ていた。

 「うん、多分少し休んでいればその内起きるんじゃないかな?」

 三人の本当の姿を知っているので、意外にあっさりと答えるシンジ。

 「そうだといいんですけど・・・」

 「あのね、ちっとも良くはないんだけどね・・・キャロットとしては」

 二人の後ろでため息を付いて頭を押さえていたあずさが困ったように呟いた。

 「これじゃフロアの人手が足りなくなっちゃったわ」

 開店から満席状態が続いているキャロットではいまフロアにいるのは留美とともみだけだった。

 「そんな訳だからシンジ君は今日フロアの方に出て頂戴」

 「はい、解りました」

 「それからマユミさんは初めてだからシンジ君の手伝いをしてあげて」

 「は、はい」

 「じゃあマユミさん、一緒に来て」

 「それじゃシンジ君、また後で」

 「がんばろうマユミさん」

 「ほらほら早く来て」

 「は、はい」

 あずさ達に続いてシンジもロッカーで着替えると、急いでフロアの方に向かった。

 「あ〜やっと来た、遅いよシンジ君、留美待ちくたびれちゃった〜」

 「す、すいません、ちょっと大変なことがあったから・・・」

 「何があったの?」

 「実は・・・」

 シンジは留美に三人のことを告げるとその瞳はきらきらと輝きだした様だった。

 「ふふふ・・・」

 「あ、あの留美さん?」

 留美の表情を見たシンジはなぜか使徒と戦っている時と同じ戦慄が背中を走り抜けていった。

 三人も邪魔者がいなくなったので、どうシンジを攻略しようかその事で頭の中が一杯な留美だった。

 「もう留美さん、そこで笑ってないで手伝って下さいよ〜」

 一人てんてこ舞いのともみがお客さんからのオーダーに困り果てていた。

 「ほらほら留美さん、そこで油売ってないでお仕事して下さい」

 「ああ、あずささんよかった・・・あ、あれその格好は?」

 そこにマユミを連れたあずさの姿は、かつて二号店で最強の天使とまで言われた時の姿で現れた。

 「うん、今日だけ特別に私も手伝うから・・・そ・れ・よ・り、シンジ君は見る相手が違うでしょ?」

 そう言ったあずさが横に動くと後ろにいたマユミはもじもじして俯き加減にシンジのことを見ていた。

 「あ、あのシンジ君・・・」

 マユミのウェイトレス姿を初めて見たシンジはその何とも言えない感じを呆然と見つめていた。

 「可憐だ」

 「えっ?」

 「あっ、うん、そのよく似合っていると思うよ」

 「あ、ありがとうシンジ君」

 シンジに誉められてマユミは顔を真っ赤にしながらも微笑みを浮かべて喜んでいた。

 二人の回りには何とも微笑ましく暖かないい雰囲気が取り巻いていたが、約一名もの凄い視線で

 その空気を蹴散らそうとしていた。

 「むぅ〜っ、何よシンジ君たら〜でれでれしちゃって、もう!」

 「ほらほら留美さん、仕事の戻って下さいね」

 「あ〜ん、あずささんの意地悪ぅ!」

 ぶつぶつ言いながらも仕事を始めた留美を苦笑いで見たあと、今度はシンジ達に近づいた。

 「さあシンジ君、いつまでもマユミさんに見とれていないで仕事をしましょう♪」

 「は、はい、すいません」

 「マユミさんもシンジ君とは仕事が終わってからならいくらでもべたべたしても良いからね♪」

 「え、あ、その・・・」

 二人は視線を合わせると耳まで真っ赤になって照れていたの見て、あずさは一番似合って

 いるんじゃないかしらと思いつつ微笑んでいた。






 そんなあずさの予想が当たったのかシンジとマユミの息はピッタリだった。

 シンジは仕事を教えながらマユミのサポートを受けてスムーズにこなしていった。

 マユミはシンジに教わりながら一生懸命手助けをして仕事を覚えていった。

 そしてその動きは次第に変わっていき、まるで優雅にダンスを踊っている錯覚に陥るぐらいの

 華麗な二人だった。

 また、それは見ているお客さん達もシンジとマユミの動きに見とれていた。

 「なんか凄いわねあの二人・・・これって新しい方式になるかもしれないわ」

 二人を見ていたあずさは一人感心して何度も頷いていたが、いつの間にかその横で留美とともみも

 一緒にその様子を窺っていた。

 しかしともみは微笑ましく見ていたが、隣にいる留美の表情は悔しさ一杯怒りが溢れ出ていた。

 「なんか良い感じですね、あの二人♪」

 悪気がないところがちっとも変わっていないともみの一言が留美の神経を逆なでする。

 「うう〜っ留美のシンジ君を独り占めした上にあんなにいちゃいちゃしてぇ〜!」

 抱えたトレイが次第に歪んでいくのをみたともみは冷や汗を流しながら、静かにそっと留美の側から

 逃げ出していった。

 「お〜いあずさ」

 ともみと入れ替わる様にフロアに来た耕治はあずさの姿を見て、ちょっと驚いたけどすぐに笑みを

 浮かべて近くに寄った。

 「どうしたの? 急にウェイトレスの姿をして・・・」

 「うん、それなんだけど三人とも気絶してるから人手が足りなくなっちゃってね」

 「なるほどね、でもあずさ」

 「なに?」

 「久しぶりに見たけど、やっぱりよく似合っているよ!」

 「そ、そう、ありがとう」

 耕治の優しい眼差しに見つめながら言われたので、嬉しいながらも赤面してしまうあずさだった。

 そんならぶらぶなカップル達をジト目で見ていた留美は、とうとう切れてしまって耕治に抱きついて

 甘え始めてしまった。

 「あ〜ん、耕治君ぅん、あの時みたいに留美に優しくしてよぉ〜」

 「ちょっと留美さん? 何言ってんですか!」

 上目使いになって目をうるうるさせながら耕治の顔を見つめながら爆弾を投下する。

 「耕治君、留美を一晩中抱きしめてくれたじゃない〜」

 「あ、あれは・・・」

 「それで、朝起きた時に留美に優しくキス・・・」

 「る、留美さん! そ、それはまず・・・」

 めきょ。

 「耕治」

 「は、はい?」

 何か潰れる音が聞こえたと思ったら、2オクターブぐらい下がった耕治を呼ぶ声にゆっくりと首だけ

 回すと、あずさは嬉しそうな微笑みを変わらずに浮かべてはいたがその目だけは違っていた。

 恐怖のあまり身体が硬直してしまってそこから動くことも出来なくなった耕治は何とか声だけを

 絞り出した。

 「あ、あずさ・・・あの」

 よく見るとあずさのこめかみに血管が浮き出ていたので、耕治は下を向いて視線をずらした。

 しかし視線をずらした先にさらにもの凄い物を見てしまった耕治は逃げ場がないと悟ることになった。

 視線の先・・・そこにはあずさが握りつぶしてくしゃくしゃになったトレイが床に転がっていた。

 「お、俺は別に・・・やましいことは・・・」

 確かにそうである。

 店長と喧嘩して雨に濡れて項垂れていた留美を一晩自分の部屋に泊めたことはあった。

 それで耕治は留美を安心させようとして一緒に寝ていただけだった。

 まあキスしたことは事実だったが・・・・。

 でも、その事はあずさと付き合う前の事だから、後ろめたくはないはずである。

 しかしそれでも冷や汗を流して怯える耕治をきっと睨んでから一息はくと、いつもの笑顔のあずさに戻った。

 「ま、そんなことより今は仕事しないとね」

 「ふぅ〜」

 「あぁ〜ん、つまんないよぉ〜」

 ホッとする耕治とそれを見て笑っているあずさを見た留美は唇をとがらせてブーイングをしていた。

 喧嘩が起こるかと思ったが、かえってお互いに信頼している所を見せつけられて大失敗の留美だった。






 午後になってトウジとヒカリがやって来たので、耕治はトウジを連れて倉庫の方に行ってしまった。

 例に漏れず倉庫整理の洗礼を受けるトウジの背中にがんばってとヒカリが一声掛けた。

 「まかしとき! 力仕事は自信有るさかいに」

 腕を挙げて自慢するトウジにヒカリは笑っていた。

 そして残されたヒカリは再会したマユミとシンジを交えてアスカ達のことを話していた。

 「ねえ碇君、アスカ達はどうしたの?」

 「うん、実は熱射病にかかって休憩室で寝ているんだ」

 「なんで?」

 「う〜ん、よく解らないや・・・朝、マユミさんと一緒に来たらお店の前で三人が倒れていたんだ」

 「そうなんです、ちょっとビックリしました」

 ヒカリは相づちを打つマユミを見てふと思ったことを口に出した。

 「一緒に来たって・・・碇君、マユミさんを迎えに行ったの?」

 「いや、そうじゃなくて・・・」

 「どう言うこと?」

 シンジが説明しにくそうに苦笑いをしていたら、奥の方からどたどた力の入った足音が聞こえてきた。

 「ちょっとシンジ! 昨日はどこに泊まったのよ?」

 「碇君、教えて」

 「シンジの浮気者!」

 シンジの予想通り自分でサルベージ・・・もとい復活した三人はすぐにシンジの元に詰め寄った。

 「あ、良かった・・・倒れていたから心配したけどもう大丈夫みたいだね」

 にっこりと微笑みながら自分たちを心配してくれたシンジを見て、三人は怒りよりも嬉しさが勝って

 しまい急にふにゃぁ〜と喜んだと思ったらシンジに甘えだした。

 「シンジ、私のこと心配してくれたんだ・・・」

 「ありがとう碇君、とても嬉しい・・・」

 「シンジ、心配かけてごめんね・・・」

 「ちょ、ちょっとみんな!?」

 さすがに美少女達にお店の中で抱きつかれたシンジは、顔を真っ赤にして困っていた。

 「くすくす、シンジ君ってもてるんですね」

 「マ、マユミさん、笑ってないで助けてくれませんか?」

 「くすくす、どうしようかなぁ・・・」

 「もう、マユミさん!」

 マユミが自分をからかっている事に気がついたシンジは、ちょっと怒った様に拗ねた。

 でも二人が微笑み合って見つめていたのを目撃した三人は、再び怒りだしてもう一度聞いてきた。

 「まさかこの女の所に泊まったんじゃ無いでしょうね!?」

 「碇君、ホント?」

 「シンジィ〜、信じているけど教えてよ〜」

 「碇君! 不潔、不潔よ〜!」

 四人の何とも言えない視線にシンジは軽くため息をついて一言呟いた。

 「マユミさんの家はコンフォート17なんだ、そこでミサトさんに捕まって朝まで・・・」

 「「「「ミサト(さん)!!」」」」

 その一言を聞いて一瞬のうちに理解したアスカ、レイ、マナ、それにヒカリが納得したように肩を

 落として力を抜いていた。

 「全くあの酔っぱらいが・・・」

 「牛さん・・・」

 「あの人ひょっとしてショタコン?」

 三者三様酷い言いざまである、もちろんそれが事実なのはシンジにも分かっている。

 もちろんマユミはシンジから聞いていたので三人のミサトに対する言い方に思わず笑ってしまった。

 そのころ、とある場所で・・・。

 「へくちっ」

 「あらミサト、風邪?」

 「う〜ん、ちょ〜ち寒気がするような・・・」

 「ここに良いクスリが有るんだけど?」

 「いらない」

 「マヤ」

 がしっ。

 「ちょっとマヤ、何であたしを捕まえるのよ?」

 「すいません、葛城さん」

 「はい、お注射しましょうね〜♪」

 リツコはみょ〜な色した液体の入った注射器を持ってミサトに近づく。

 「や、やめてリツコ!」

 ぷす。

 「リ、リツコ・・・ぐぅ〜〜〜〜〜〜〜」

 「あら、失敗だわこれ・・・てへっ」

 舌を出して失敗を誤魔化そうとしたが、その姿はマヤにとって異常な行動に見えてしまった。

 「先輩が、先輩が壊れちゃった・・・しくしく」

 「マヤ、何か言った?」

 「ひっ! い、い、いえ、な、なにも・・・」

 「そ、残念だわ・・・」

 その手にはさっきとは違う色した液体の入った新しい注射器が用意されていた。

 以上、ライブ中継でした。






 嫉妬に燃えた三人がマユミに食ってかかるのをシンジが間に入って止めたのでとりあえず

 普通に挨拶をした。

 「とにかくマユミ! シンジの事は絶対に負けないからね!」

 腰に手を当てて、さらにびしっと指をマユミに突き付けてポーズを取るアスカ。

 「私も負けない」

 エヴァに乗っていた時と同じ真剣な目でマユミを見ながら、小さいけどハッキリと宣言するレイ。

 「フェアにいきましょう、マユミさん!」

 微笑みながらも、その綺麗な指をバキバキと鳴らしているマナ。

 「みんな何言ってるんだよ、マユミさんに迷惑じゃないか?」

 「そ、そんなこと無いです、私がんばります!」

 声のした方を向くとそこで小さくガッツポーズするマユミを見てシンジはつい口を滑らせてしまった。

 「可愛い・・・」

 「え、シ、シンジ君・・・」

 マユミは今のセリフが嬉しくて瞳を潤ませたが、逆にアスカ達は目をつり上げてシンジに掴みかかろうと

 したら、そこに急に留美が現れたかと思ったらいきなりシンジの胸に抱きついてみんなに宣言した。

 「みんな! シンジ君は留美が心に決めたん人だから諦めてね♪」

 「る、留美さん?」

 「あ、あんた何してんのよ!?」

 「あなた邪魔」

 「私のシンジに触らないで!」

 マユミとヒカリを除いて睨み合う四人だが、一つ肝心なことを忘れていた・・・ここはお店の中でしかも

 お客さん達もいつの間にか興味津々の顔でこの騒ぎを眺めていた。

 「あなた達、いい加減にしないと本当に怒りますよ!」

 すでに同じ様な事を何回も注意してきたあずさがとうとう切れた、しかも本気と書いてマジと読むぐらいに。

 「全く何回も同じ事ばっかりして!」

 腕を組んで仁王立ちしているあずさの表情にお店にいた人全員が注目して静まり返った事に気がついたあずさは

 、恥ずかしながらも何とか笑顔を浮かべてお店の中を見回した後頭を下げてお辞儀をした。

 「ん、んんっ、そ、それではみんなも仕事に戻って下さい・・・」

 いくら笑顔を浮かべてもさっきの表情を見てしまったシンジ達は、この人だけには逆らっちゃいけないと

 心に刻み込んだ。

 「う〜ん、相変わらず怒ったあずさは恐ろしい」

 「苦労してるんですね、お兄さん」

 「まあね、さてこっちにまで飛び火しない内に逃げようか?」

 「そうですね」

 観葉植物の影からそっと見ていた耕治とともみは呟きとともに事務所の方に避難していった。

 「あ、シンジ君とマユミさんは今日はもうあがって良いから」

 「あ、はい」

 「解りました」

 「「「えーっ(・・・)!?」」」

 まだ仕事をさせられるとぶーたれて抗議の声をあげるアスカ達だが、本音はシンジとマユミが

 二人っきりになるのが分かり切った事だから嫌だったのである。

 「アスカさんとレイさんとマナさんは最後までがんばってね♪」

 「「「は、はい」」」

 しかし有無を言わせないあずさの笑顔に三人は大きくため息をつくと渋々仕事を始めた。

 「あ、あずささん、ひょっとして留美も・・・」

 さっきのあずさが怒った事で内心びくびくしながら控えめに留美も窺ってみた。

 「留美さんは社員なんだからもっとがんばって下さいね♪」

 「とほほ〜」

 留美は涙をるるる〜と流しながら背中に哀愁を漂わせてこれまた仕事に戻っていった。

 「あ、あの私は?」

 「うん、ヒカリさんも今日はあがっていいわよ、それから・・・」

 「はい?」

 「鈴原君も終わっているんじゃないかしら?」

 「え、あ、そ、そうですか」

 顔を真っ赤にして照れまくっているヒカリにあずさは微笑むとそっと耳打ちをした。

 「一応、鈴原君と同じシフトにしておきましたから♪」

 「あ、あずささん!?」

 ビックリしているヒカリにウインクして三人に帰るように促した。

 「さあ、シンジ君達は気をつけて帰ってね」

 「「「お疲れさまでした」」」

 「明日もよろしくね」

 「「「はい」」」

 三人がロッカーに行くのを見送ったら、あずさは一人事務所に向かいながらため息をして呟いていた。

 「これじゃ楽しいどころか気苦労が絶えないわ、はぁ〜・・・」

 今日一日で思いっきり疲れたあずさだった。






 着替え終わった三人が出口から出てくるとそこにヒカリを待っていたトウジが手持ちぶたさに立っていた。

 「お疲れトウジ、どうだった?」

 「結構力いる仕事やな」

 ちょっと肩を回す仕草をしてシンジに答えた。

 「お疲れさま鈴原」

 「おう、ヒカリの方はどないやった?」

 「う、うん、結構大変かな?」

 「そ、そっか・・・」

 初々しいカップルのトウジとヒカリはほっぺたを赤くして見つめ合っていた。

 そんな二人を見ていたシンジのシャツの裾をマユミが引っ張っていたので、振り向いたシンジはその顔を見て

 マユミが言いたいことが解ったので頷くとトウジ達に言った。

 「じゃあトウジ、僕マユミさん送って行くから・・・」

 「お先に失礼します」

 慌てた二人がシンジ達の方を向くとすでに歩き始めていたので、その背中に声を掛けた。

 「シンジ、山岸、ほな明日な」

 「碇君、マユミさんお休みなさい」

 振り返ったシンジとマユミは手を振るとまた歩き出した。

 「なんかええ雰囲気やな、あいつら・・・」

 「そうね、アスカには悪いけど結構お似合いだわ、碇君とマユミさんって」

 そんな二人の呟きはシンジ達に聞こえることなく夜に消えていった。

 言葉は少ないけど会話をしながら歩くシンジとマユミの歩調はどことなくゆっくりだった。

 「・・・あのシンジ君?」

 「何、マユミさん」

 「シンジ君て将来何になりたいですか?」

 「う〜ん・・・そうだなぁ」

 腕を組んで考え込むシンジをマユミは横目で見ながらその答えを待っていた。

 「うん、このアルバイト始めて思ったんだけどこういうのも良いかなって・・・」

 「それって・・・」

 「小さくても良いから喫茶店をやってみたいかな・・・まあ料理作るの好きだしね」

 「それにちょっと前まで僕の作った料理を喜んで食べてくれる人がいたし・・・」

 「その気持ちがこのアルバイトをしてみてさらに強くなったて言うか、うん、そんな感じかな」

 いつの間にか足を止めて熱弁を振るっていたシンジをマユミは潤んだ目で見つめていた。

 「・・・どうしたのマユミさん?」

 「えっ、あ、ごめんなさい、つい聞き入っちゃって・・・」

 「そう、でもこんな話したのってマユミさんが初めてだよ」

 「ふふ、なんか嬉しいです」

 マユミの笑顔に合わせるようにシンジも照れながらも微笑んでいた。

 「じゃあ今度はマユミさんの事が聞きたいな?」

 「あ、私ですか・・・う〜ん」

 ちょっと頬を赤く染めて俯いたマユミを見て聞いちゃいけなかったかなとシンジは思った。

 「いや、別に言いたくなければ・・・」

 そこまで言ったシンジの言葉を遮ると、マユミはさらに赤くなった顔でシンジを見つめた。

 「わ、私はその・・・そう、シンジ君のお母さんみたいになりたいです!」

 「母さん?」

 「は、はい、ユイおばさまの様に素敵なお母さんに・・・」

 「うん、良いと思うよ、マユミさんて案外主婦が似合っているかもしれないね」

 「あ、ありがとうシンジ君・・・」

 「う、うん」

 今更ながら凄く恥ずかしい事をさらりと言ってしまったのに気がついたシンジはマユミと同じ

 耳まで真っ赤になった。

 暫くお互いに顔を合わせられなくて、たまに視線が合うとすぐに顔を伏せるとその事を繰り返していた。

 「あの、か、帰ろうか」

 「は、はい」

 「あっ」

 ぎこちなく歩き出したその一歩目でマユミが転びそうになったので、シンジは慌てて腕を掴んで

 自分の胸に引き寄せた。

 「大丈夫、マユミさん?」

 「は、はい大丈夫・・・」

 シンジの顔がすぐ側にあったので、そこでマユミはやっと自分がどうなっているのか認識できた。

 そして目があって息をするのも忘れてお互いに見つめ合った。

 「綺麗だ・・・」

 月明かりが映し出すマユミの顔は幻想的でとても綺麗だったので、思った事をそのまま口に出てしまった。

 「シンジ君・・・」

 だんだんと早く大きく高鳴る鼓動以外、二人の耳には聞こえなかった。

 マユミがすっと瞼を閉じたのを見てシンジは自分も瞼を閉じながらそっとマユミの唇にキスをした。

 シンジがキスした中ではアスカともマナともましてやミサトとも違う頭の中が真っ白になるぐらいのキスだった。

 マユミもまたなんにも考えることが出来なくなっていた。

 そしてキスが終わってからもお互いの身体を抱きしめ合ったまま動くことはなかった。






 「むぅ、良くやったシンジ」

 自分の部屋で監査部からの映像を見ていたゲンドウは満足そうに頷くと、側にあった湯飲みを掴むと

 お茶をすすって喉を潤した。

 なにせシンジとマユミがキスをするまで息ももらさずにモニターに釘付けだったので、さすがに喉も

 乾いていた。

 「ふっ、これで今日政府に圧力を掛けたことが間違いでなくなったぞ」

 横目でしっかりと画像の録画を確認すると再びモニターに食いついた。

 「さあシンジ、後はお前次第だ・・・期待しているぞ」

 ゲンドウは自分のシナリオ通りに事が進んでいるように確信すると、頭の中は未来の幻想で今にも

 溢れだしそうで、その顔はだらしなく歪んでいた。

 「シンジ、早く孫の顔が見たいぞ・・・出来れば女の子がいい」

 今の状態をみて誰が最強実行部隊の組織の司令だと思うだろうか・・・いるわけがない。

 だから部屋にユイが入ってきても全然解らずに妄想に浸っていた。

 「シンジも大人になったのね、でもアスカちゃん達がちょっと可哀想かしら?」

 ユイは思いだした様に手に持っていた急須からお茶を湯飲みに入れると静かに部屋から出ていった。

 「うん? 誰かいたのか?」

 しかしあんまり気にすることなく湯飲みを持つと、嬉しさのあまり一気に飲み込んだ。

 ごっくん。

 「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 熱湯を一気に飲み込んでのた打ち回る男、碇ゲンドウ。

 ただの髭おやぢで充分だった。

 そんなおやぢに見られているとはちっとも解らないシンジとマユミはもう歩き出していた。

 二人とも無口で顔を真っ赤にして俯いていたが、お互いの手をしっかりと握っていた事でシンジもマユミも

 ドキドキしていたけど、手から伝わる温もりが心に安心感を与えていた。

 一歩一歩ゆっくりと、だけどしっかりとした足取りで二人は月明かりの夜道を歩いていった。

 「シンジ君・・・」

 「なに、マユミさん?」

 「ううん、ただ呼んでみたかっただけ・・・」

 シンジは答える代わりにマユミの手をぎゅっと力を少しだけ入れて握ると、マユミの顔には嬉しくて

 幸せそうな微笑みが浮かんだ。






 『シンジ君・・・・・・大好きです』






 心の中でマユミはいつかハッキリと告白したいと思っていた。






 2018年、祭りは最高潮に盛り上がっていた。



 To Be Continue



 遅れに遅れた第4弾です。

 すでにカウンターは20.000OVER・・・。

 早速第5弾に取りかからないと(笑)

 マユミは良い娘ですね〜、エヴァワールドの中で一番普通の女の子です♪

 何せエヴァのキャラ達はみんな濃いですから。

 とうとうキスまでしてしまったシンジに襲いかかる使徒・・・もといアスカ達に

 どう対処するのか?

 がんばれシンジ君、未来は君の手の中だ!


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