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 Pia・キャロットへようこそ!!2 2018MIX・SPECIAL Y






 PRESENTED BY じろ〜






 さて、話はちょっとだけ前の日(詳しくは前作を参考♪)の夜に戻ります。






 キャロットで夜遅くまでアスカ達をしごいていたあずさは疲れた顔して家まで帰ってきた。

 「はぁ〜・・・耕治ったらさっさとミ〜ナとともみちゃん連れて帰っちゃうんだものなぁ・・・」

 ドアを開けようと手を伸ばした時、いきなり開いて中から耕治が迎えに出てきた。

 「おつかれあずさ、食事にする? それとも風呂がいいかな?」

 「こ、こ、耕治?」

 「う〜ん・・・その様子だとマッサージかな?」

 「耕治〜! ちょっとねぇ・・・」

 耕治は何か言いたそうなあずさの手を優しく握ると、そっと家の中に引き入れた。

 「まあまあ、話は後で聞くからまずは着替えてきなよ」

 「もうっ・・・ふん!」

 すねているあずさはそっぽを向いて自分の部屋にいくと、ラフな普段着に着替えてリビングの方にやって来た。

 「「お疲れさまでしたぁ〜」」

 「ミ〜ナ? ともみちゃん?」

 あずさを迎えた二人が横に退くとテーブルの上には沢山の料理とケーキが用意されていた。

 「どうしたのこれ?」

 「おいおいあずさ、今日が何の日か忘れてしまったのか?」

 「えっ今日って・・・ああっ!」

 耕治はあずさの横に立つと肩を優しく抱いて笑い掛けた。

 「そうだよ、俺達が初めて会った日でそして結婚記念日だろう」

 「そ、そうよね、ごめんなさい私・・・」

 みんなの温かさに思わず瞳が潤みだしたあずさは俯いてしまった。

 「あ〜あずさお姉ちゃん泣いてますぅ〜」

 ミーナに言われて慌ててあずさは自分の目尻をこすると誤魔化す様に話し出した。

 「何言ってるのよミーナ、こ、これは目にゴミが入っただけよ!」

 「え〜そうかなぁ・・・ね〜、ともみちゃん♪」

 「どう見ても泣いてますよね〜、ミーナさん♪」

 「もうっ、二人とも!」

 「あずさ」

 「きゃっ」

 からかわれたあずさが怒りだしたので、隣の耕治はあずさを自分の胸に抱きしめるとその長く綺麗な髪を

 そっと優しく撫でて落ち着かせ様とした。

 「ほら、怒るのはまた今度にして今は笑ってくれよ」

 「う、うん、耕治・・・」

 愛する耕治に優しく諭されるとあずさも笑顔になったので、耕治はその綺麗な顔に手を添えると

 二人が見ているのにかまわずキスをした。

 「可愛いよあずさ」

 「こ、耕治〜」

 「あ〜あずさお姉ちゃん、いいなぁ〜」

 「ちょっと羨ましいですぅ」

 瞳をうるうるさせてらぶらぶな二人を見ていた美奈とともみに、耕治はあずさを離すと側によって彼女達の

 おでこに素早くキスをしてあげた。

 「二人にはここまでね」

 「こ、耕治っ!」

 「えへへ、お兄ちゃん大好きですぅ〜♪」

 「うん、私もお兄さん大好きです〜♪」

 「あーっ二人とも! 耕治は私のものなんだから〜!」

 そう言って二人は耕治の両脇から抱きついてごろごろと甘えだしてしまったが、それを見ていたあずさは負けじと

 自分の腕を耕治の首に回して抱きついた。

 「ちょちょっと三人とも、苦しいってば・・・」

 「「「いや、絶対に離さない〜♪」」」

 などと悲鳴をあげていた耕治だったが、内心はまあみんなが喜んでいるならいいかな〜なんてお気楽に

 思っていた。

 それからみんなで賑やかに耕治とあずさの結婚記念パーティーをして、夜は更けていった。






 「ふう・・・」

 すっかり眠り込んでしまった美奈とともみを彼女達の部屋に運んで寝かせると耕治はリビングに戻ってきた。

 未成年のともみに美奈がお姉さんぽい所を見せようとしてワインを飲み干すと、負けじとともみも耕治とあずさ

 の制止を振り切って飲み干してしまった。

 おかげで二人は酔っぱらって耕治に抱きつくはキスしようとするは、その度にあずさが怒り出すと言う

 最後の方は大騒ぎだった。

 「はぁ・・・なんか疲れたけど、葵さん達と飲んでいた事を思い出して結構楽しかったな」

 散らかったビールの空き缶とかワインのボトルを片して、汚れた食器をキッチンのシンクに運んでから一人呟き

 ながら座ると、幸せそうに微笑みながら寝ているあずさの髪をそっと撫でた。

 「だいぶストレスが溜まっていたみたいだな、明日からは俺も手伝うとするか・・・」

 そう言ってからあずさを起こさない様に抱き上げると、そっと自分たちの寝室に運んでいった。

 大きなベッドに寝かせて離れようとしたらあずさが自分の腕を首に回してきたので、耕治はちょっと驚いた。

 「あれ、起こしちゃったかな?」

 「ううん、実は最初から起きてたわ」

 「そっか」

 「それに・・・このまま寝ちゃうのもなんかもったいなくて・・・」

 照れくさいのかお酒の所為なのか顔を真っ赤にして目を閉じて呟いたあずさに、耕治はキスをしてあげる。

 「耕治・・・」

 「あずさ・・・」

 そのままお互いの体を抱きしめると、深く長いキスをしながら今夜は眠れぬ夜になりそうだと耕治とあずさは思った。

 そして翌日。

 出勤してきたシンジ達は、妙に機嫌がよくおまけに肌がつやつやしているあずさを見てなんか良いことあったのか

 と思っていたが、留美だけは羨ましそうに唇を噛んでいた。

 「いいなぁ〜あずさちゃん・・・」

 やっぱり耕治も捨て難いな〜と、ちょっぴり思ってもう一回アタックしてみようなどと考えてしまう留美だった。



 「いらっしゃませ、Pia☆キャロットへようこそ!」



 今日もウェイトレスの制服に身を包んで、元気な声と爽やかな笑顔でお客様に挨拶をするあずさの姿が

 フロアにあった。

 ちなみに耕治は何をしているのかと言うと、事務所であずさの代わりにマネージャーの仕事を黙々とこなしていた。

 お互いを助け敬う良い夫婦の見本みたいな耕治とあずさだった。






 同じく前日の夜。

 あんまり時間が関係ないここ、ジオフロントに在る一室で男二人が顔を付き合わせて話していた。

 「あの先生、そろそろ家に帰りたいのですが・・・」

 「うむ、心配するな、ちゃんとユイ君には電話を入れといた、今日は徹夜でいくぞ」

 「むう・・・」

 渋い顔して俯くゲンドウに冬月の容赦ない言葉が降り注ぐ。

 「良いか碇、おまえに一番欠けているモノは何だか分かるか?」

 「別に有りませんが・・・」

 ばしっ。

 「この馬鹿者! それがいかんのだ!」

 「痛いぞ冬月」

 ばしっ。

 「先生と呼べと何度言ったら分かるんだ、碇?」

 「う、すみません先生」

 事有るごとにハリセンがゲンドウの頭にたたき込まれるが、その度に冬月はすっきりとした様な顔になっていった。

 逆にゲンドウはだんだんとそのつぶらな瞳に今にもこぼれ落ちそうなぐらい涙が溜まっていた。

 「良いか碇、お前の事をシンジ君がどう思っているか知っているか?」

 「ふっ・・・もちろん知っていますよ先生」

 「ならば言ってみろ」

 「NERV総司令で世界を救った男・・・」

 ばしぃっ!

 「この馬鹿者がぁ! だからお前はシンジ君に嫌われるのだ!」

 「嘘ではないぞ・・・」

 「嘘どころか大きな勘違いではないか、それに世界を救ったのはシンジ君だぞ」

 「ですからシンジに命令を出したのは司令である私が・・・」

 「それもちがう! シンジ君を奮い立たせたのは葛城君だ」

 「そ、それじゃ私は?」

 本当の事をおそるおそる冬月に聞こうとしたら、哀れむような目で見られた事にゲンドウは嫌な予感が頭の中に

 渦巻き始まりだした。

 そして軽くため息を着いてから冬月は死刑執行人の様に淡々と話し始めた。

 「あの時お前は発令所に居なかったな・・・それに通信してきたシンジ君が気がついてな、おまえが一人で逃げたと

 思ってものすごい怒っていたな、見つけたら殺してやるなどと言っていたがな」

 「そ、それでもシンジは私に何もしなかったところを見るとやはり・・・」

 と、いつもならここで冬月のハリセンが飛ぶのだが待てど暮らせど一向に来なかった。

 気になったゲンドウは冬月を見ると額に手を当てて頭を振っていた。

 「ど、どうしたんですか先生?」

 今度こそ冬月の目はあからさまに可哀想な人を見る目つきでゲンドウの肩を軽く叩くと、ゆっくりと口を開いた。

 「お前があんまりにも不幸すぎて最早怒る気も失せてしまった・・・」

 「そ、それはどう言う意味だ冬月?」

 逆にゲンドウは冬月に詰め寄ったが、彼から目を反らして呟いた。

 「お前の狡賢い頭で考えれば分かるだろう・・・すべてはユイ君のおかげだとな」

 「ユ、ユイの?」

 「そうだろう、ユイ君がシンジ君を説得してなければ今頃お前はエヴァの腹の中だ、第十四使徒と同じにな」

 「ぐっ・・・」

 「もしくは渚君の様に手で握りつぶされて首がもげていただろう」

 「なっ・・・」

 ゲンドウの膝下ががくがくと震えていた事を目にした冬月は、子供に話しかける様に優しく言ってあげた。

 「いいか、この次シンジ君を怒らせる様な事をした時はどうなるかよく考えて見るのだな」

 「ど、どうなる?」

 「知らんな」

 それだけ言うとハリセンを片づけるとゲンドウを一人残して冬月は帰っていってしまった。

 後に残った髭おやぢは一人膝を抱えて蹲るとぶつぶつ壁に向かって話し出した。

 「私は碇ゲンドウ・・・NERV総司令で一番偉いんだ、それなのに・・・」

 「シンジのお情けで生きているのか私は・・・」

 「もしかしてユイもそうなのか・・・」

 「しかし、今更無しだなんて言ったら私の立場が・・・」

 「すでに明日には国会中継が全国放送に流れてしまう・・・」

 「ううっ、私は自分の為にやっただけなのにどこが悪いんだ・・・」

 昔とちっとも変わらないゲンドウはやはり自分の事しか考えていなかった。

 しかもこの様子は最初からマギに記録されており、後にNERV内ケーブルネットワークにノーカット版で

 流したのは誰かは言うまでもなかった。

 すでにNERVで彼を恐れる者は誰も居なかったが、誰でも気軽に声を掛けられ得る只のおじさんになってしまった

 ゲンドウの事をユイはちょっとだけ嬉しく思ったのは別の話である。

 そして朝日が昇って明るくなってから家に帰るとそのまま部屋に入ってそのまま死んだように眠り込んでしまった。

 その時、玄関でシンジとユイと誰か女の子に会った様な気がしたが気にせずただ夢の中に逃避行してしまった。

 なぜか耳にはDATウォークマンのヘッドホンをしながら・・・かつてのシンジみたいに。

 NERV総司令碇ゲンドウ、その実は息子のお情けで生きている哀れな髭おやぢだった。






 そして翌日。

 朝から仲良く一緒にキャロットにやって来たシンジとマユミに、朝早くから仕事をしていたアスカ達が気がついて

 二人の周りに集まりだした。

 「おはようみんな、朝からご苦労様」

 「みなさんおはようございます」

 「シ、シンジッ! あんたねぇ・・・」

 アスカはシンジとマユミに何か言おうとした時、留美がそれを大きな声で遮った。

 「あーっ!! 何でマユミちゃん昨日と同じ服来ているの〜!?」

 「「「ええっ!?」」」

 留美の言葉にアスカとレイとマナはまじまじとマユミの服を穴があきそうなぐらい見つめた。

 「あ、あの・・・」

 みんなに見つめられてもじもじして赤くなったマユミに合わせたかのシンジも顔を赤くしていたのに気がつくと、

 彼女達の頭の中には同じ想像が浮かび上がった。

 「「「「まさか!? 同伴出勤!!」」」」

 キャロットが誇る美人四大怪獣はその考えに固まってしまい、微動だにしなかった。

 アスカ達に事情を説明しようとしたら、店の中からシンジを呼ぶ声に振り向くとそこにはカオルが立っていた。

 「シンジ君!」

 「あ、カオル君おはよう」

 いつもの様に挨拶を返したシンジだが、カオルは早足で近づいてきたと思ったらシンジの肩を掴んで揺すりながら

 聞いてきた。

 「シンジ君、僕は信じているけど・・・でも、あえて教えて欲しいんだ」

 「な、何?」

 普段のシリアル・・・もといシニカルな笑いが消えて、そこには目が血走ったカオルの顔が今にもキスしそうなぐらい

 シンジの顔に近づいて見つめていた。

 「なぜ、山岸さんは昨日と同じ服装なのか・・・答えてくれシンジ君!」

 「えっ、そ、それは昨日家に泊まったから・・・」

 あまりの迫力につい素直に答えてしまったシンジの言葉にマユミは黙ったまま赤くなって俯いてしまった。

 だがその言葉を聞いてしまったモーホーと四大怪獣の面々は、いろんな反応でストリートパフォーマンスを

 始めてしまった。

 「シンジ君!! 裏切ったなっ、僕の心を裏切ったんだ! 碇ゲンドウと同じ様にぃ〜!」

 「カオル君、それ僕のセリフ・・・」

 涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔で叫びながら、もの凄い勢いで朝日に向かって走り出してしまったカオルの背中に、

 シンジの突っ込みが聞こえたかどうかは本人に聞こえたかどうかは分からなかった。

 「殺してやる殺してやる殺してやる・・・」

 アスカの心は再び狂気の中の狂気に支配されて、側にあった電柱に必殺の拳を繰り返し叩き込んでいた。

 「私の望みは・・・無に帰ること、でも出来ない・・・どうしたら無に帰れるの?」

 レイは膝を抱えて蹲ると、A・Tフィールドを自分の周りに張り巡らして半径一メートル以内に誰も近づけない

 様にして呆然とぶつぶつと呟いていた。

 「ムサシ、ケイタ、私もそっちに行くかもしれないわ・・・でも、安心して! シンジも一緒に連れて行くから・・・」

 マナは今は見えない星に向かって両手を胸の前に組んで、かつての仲間だった少年達に祈るように呟いたかと

 思ったら、どこから出したのかプラスチック爆弾をこねくりまわして器用に自分とシンジに似た人形を作って

 嬉しそうに頬ずりをして微笑んでいた。

 「ううっ・・・やっぱり駄目なのかしら・・・こうなったらあの時と同じ様に耕治君に慰めて貰ってそのまま・・・」

 留美はキャロットの壁を指でのの字にほじくりながらすでに耕治に慰めて貰い、あわよくばそのまま良い関係に

 進んでしまおうなどと妄想に浸りながら悶えて体をくねらせていた。

 そして本来ならそんな状態のみんなに注意を促したりするあずさだったが、耕治といちゃいちゃして全然気にして無く

 二人の世界に没頭して幸せに浸っていた。

 何時終わるのか分からないそれぞれの大道芸に固まっていたシンジにマユミが控えめに声を掛けた。

 「あ、あのシンジ君」

 「どうしたの?」

 「その・・・遅刻しちゃうからそろそろ・・・」

 「そ、そうだね、とにかく行こうか・・・マユミ」

 「あっ・・・はいっ、シンジ君」

 シンジが赤くなりながらも自分の事を呼び捨てで呼んでくれて、昨日の夜の事が嘘じゃなかったと分かると

 嬉しくて返事の声も元気で大きな声がマユミの口からこぼれた。

 二人は寄り添うようにキャロットに入っていくと、後に残った者達のパフォーマンスにお客さんが集まりだして

 今日も満員御礼に成るのは間違いなかった。

 そして開店してからますます絶好調のPia・キャロット第三新東京市店に更なる災い・・・もとい、騒ぎのネタを

 持ってやって来た人が現れたのは午後のピークを過ぎて一息着いていた時だった。






 「いらっしゃいませ、ピア・キャロットへようこそ♪」

 マユミに案内されて、サングラスをした女性が席に着くと注文を聞こうとする彼女をそっと手で制して自分から

 オーダーした。

 「店長の前田耕治一つお願い」

 「は、はい?」

 びっくりしているマユミにそのお客さんはニコッと微笑む。

 「潤が会いに来たって伝えて貰えれば分かるからお願いします」

 「あ、はい・・・」

 取り合えずお冷やをテーブルに置いてマユミは今頃シンジと一緒に倉庫整理している店長の耕治を足早に

 呼びに行った。

 「ふ〜ん・・・相変わらず耕治って可愛い女の子に優しいのかな・・・」

 サングラスを外してぐるっと店内を見回した彼女、神楽坂潤は軽くため息を着いてコップのお水を一口飲んで

 耕治が来るのを待った。

 すぐに奥の方から耕治は店内に来ると、マユミに教えて貰ったテーブルに歩み寄りながら座っている女性に

 声を掛けた。

 「久しぶりだな潤!」

 「うん、耕治も元気な様で安心したわ」

 今や演技に定評も有り若手ナンバーワンの大人気で舞台女優になった彼女は、演技じゃなくまるで恋人に会ったような

 温かく優しさに満ち溢れている笑顔で耕治に挨拶した。

 「そっちもがんばっているな、すっかり女らしくなって・・・」

 「それって酷くない?」

 「バイトしていた時はどう見ても可愛い男の子だったからなぁ・・・」

 「もう耕治ったら、でもそれは誉め言葉として受け取っておくわ♪」

 「ははは・・・」

 「ふふふ・・・」

 久しぶりの再会に和やかな二人の間に、あずさに言われて休憩室で正座させられていた留美がよれよれに

 成りながらも割ってはいると耕治の体に抱きついた。

 「あ〜ん耕治くぅ〜ん、留美を慰めてよ〜・・・」

 「ちょっと留美さん? ここはお店だから止めてくださいっ」

 心なしかポニーテールも元気が無いみたいに下に垂れ下がっている留美は、さっきの考えを早速実践していた。

 「ぶ〜耕治君のいじわるぅ〜」

 「はぁ〜」

 「くすくすっ、相変わらずですね留美さん♪」

 「えっ、あなた・・・」

 自分の名前を呼ばれてそっちの方を見て留美は自分の記憶を探ると頭の中に目の前の人物の名前が浮かんだ。

 「潤君!? ホントに潤君なの?」

 「もちろん、お久しぶりです留美さん」

 「ホント久しぶりだね〜うん、ずいぶんと綺麗になって留美ビックリだよ」

 「ありがとう留美さん、今でも耕治の事好きなんですか?」

 「え〜っと、今はシンジ君て年下の男の子も好きだよ♪」

 「気が多いんですね」

 「潤君も見てみると分かるよ、だって耕治君と同じで笑顔がとっても素敵なの!」

 「ふ〜ん、一度見て見てみるのも悪くないかな?」

 「あの留美さん、特別に休憩して良いから潤の相手お願いします、俺は仕事に戻るんで・・・」

 「OK〜!」

 「それじゃ潤、ゆっくりしていってくれ」

 「耕治も仕事がんばってね!」

 「おう」

 耕治が倉庫整理に戻るのを見送ってから潤は留美に向かって手招きをして顔を寄せてから小声で話し出した。

 「今日は留美さんに良い話を持ってきたんだけど・・・」

 「何、良い話って?」

 「その様子だと知らないみたいだから、持ってきた甲斐が有ったわ」

 そう言って潤は大きなバッグから新聞を取り出すとウインクしてから留美に手渡した。

 「なにこれ?」

 「いいから読んで見て、留美さんにとって良い事が書いてあるから」

 「うん」

 ガサガサと大きく新聞を広げると、そこには奇跡とも呼べる事が書いて在ったので留美は思わず自分の

 ほっぺたを抓るとその痛みに現実だと認識した。

 「どう留美さん? 良いことでしょ♪」

 「潤君・・・留美感激だよ〜!!」

 「ちょ、ちょっと留美さん・・・」

 そう叫ぶと潤の手を取って立ち上がりそのまま踊り出しながらくるくる回り始めて、その喜びを体中で表現した。

 「あ〜ん! 嬉しいよ〜これで迷わず耕治君と幸せになれるよ〜♪」

 「あ、あの、留美さんっ、ちょっと恥ずかしいから・・・」

 ついでにあまりの嬉しさに店内に居ることも忘れてしまったのか、潤の頬にキスしまくる留美だった。

 その様子を見ていたお客さんは美女二人のダンスにしばし心惹かれてみんな注目していた。






 「ごめんね潤君、だって本当に嬉しくて留美も〜大感激しちゃったからつい・・・」

 「はいはい、でも留美さんて全然変わってないんだから・・・ふふっ」

 「えへへ〜、でも耕治君もそこが良いって言ってくれるんだ〜♪」

 「ふ〜ん、やっぱり耕治も相変わらず優しいんだね」

 「うん、でも潤君まさかこれだけのために来た訳じゃ無いよね?」

 「実はこっちに引っ越ししたので挨拶がてらに覗きに来たの」

 「え〜そうなんだ、でも仕事は大丈夫なの?」

 「うん、この街でも活動してみたくてね、それに・・・」

 「それに?」

 潤は一端黙り込むと頬を赤く染めてから再び話し始めた。

 「耕治の側に居たいから・・・ね♪」

 「え〜!! ま、まさか潤君も耕治君の事好きだったの?」

 こくん。

 「本当は諦めようと思ったの、でもなかなか出来なくてそしたらこの事が発表されていても立ってもいられなくて

 取り合えずこの街に来ることにしたの・・・」

 「そうだったんだ・・・」

 留美は潤の熱い思いを聞いて自分も心の中にしまい込もうとした耕治への思いを燃やし始めた。

 瞳を潤ませてしばしぼーっとしている乙女達の所に、耕治から聞かされたあずさが上機嫌でこちらの方に

 足取りも軽く歩いてきた。

 「お久しぶりね、潤君♪」

 「こんにちはあずささん、そちらも元気そうで」

 「もっちろん♪」

 今日は朝から頬が緩みっぱなしのあずさは幸せ一杯だった・・・が、それは今まさに消え去りそして驚愕の表情を

 浮かべる事になろうとは予想だにしなかった。

 「あれ留美さん、新聞を広げて何をしているんですか?」

 テーブルの上に置かれた新聞を見ている留美の壊れかけた様な笑顔にあずさはちょっと引きながら聞いてみた。

 「えへへ〜♪ これはねぇ・・・あん! 留美どうしよう〜やっぱり式は教会がいいなぁ・・・」

 「はぁ?」

 耕治に相手にされなくなってとうとう壊れてしまったのかと勘違いしたあずさに、潤は顔に手を当てていやんいやん

 している留美を放っておいて新聞の記事を指さして教えてあげた。

 「えっとなになに・・・・・・な、な、何よこれ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

 あずさは大きな声で叫ぶと大きく見開いた目で新聞を掴み上げると食い入るように読み漁った。

 次第に新聞を持つ手がわなわなと震えだしその指先は白くなるほど力がこもっていった、そして読み終わったのか

 新聞を掴んだまま夢の中に行っちゃっている留美とニコニコしている潤をジト目で睨んだ。

 「まさか・・・潤君これって冗談じゃないのね?」

 「本当の事です、あ、もちろん私も留美さんと同じなのでこれからよろしく、あずささん♪」

 「そ、そんな〜・・・」

 が〜んとした表情で呆然としたあずさはその場に崩れ落ちて座り込んでしまった。

 そんなあずさに潤はトドメを刺す様にさらりと告げた。

 「後ね、耕治を好きな人がまだまだいるからきっとこれから賑やかになると思うよ、がんばってねあずささん♪」

 漫画で言ったらきっとあずさの頭の上には100tと書いた重りが載っているのが見えたかなと潤は

 微笑みながら心の中で思っていた。






 同時刻。

 碇家のリビングで午後のお茶をしていた主婦、碇ユイはTVから流れてくる映像に微笑むと立ち上がって寝室に

 歩いていった。

 「あなた?」

 頭から布団をかぶって今日はNERVをずる休みしているゲンドウにユイが優しく声を掛けると、布団の中から

 怯えたように彼女を見つめる髭おやぢのそのそ起き出した。

 「そろそろ起きましょう、あなた」

 「・・・うむ」

 ゲンドウはとぼとぼと肩を落としてユイの後を着いてダイニングのテーブルに座ると、用意してあったお味噌汁を

 暖めながら先ほどの放送について話し出した。

 「ちょっと前にテレビで放送していたことですが・・・」

 ビクッ。

 借りてきたネコ以下のおとなしさで座っていたゲンドウの肩が、ユイの一言に体中が痙攣していた。

 ユイはお味噌汁をよそうと、優しい瞳で微笑んで見つめながらお椀をゲンドウに差し出して言う。

 「あなた、今回は良い事しましたね、あれならシンジに選ばれなかった女の子達も喜ぶでしょう」

 「ユイ?」

 「シンジの方は私から言って置きますから元気をだして下さい」

 「ユイ〜!!」

 「あらあら、全く可愛いんだからあなたって・・・」

 涙を滝のように流しながらユイの胸で泣いているゲンドウの背中を軽く叩くと、赤ちゃんをあやすように

 いつまでも抱きしめてあげた。

 暫くして落ち着いたのか自信に満ち溢れたゲンドウは、ユイの用意した食事を全部平らげると、満足げに

 食後のお茶を飲みながら復活を果たしていた。

 「あなた、元気でました?」

 「ふっ・・・迷惑掛けたなユイ、問題ない」

 「本当ですか?」

 顔を覗き込むようにユイが笑顔で聞いてくると、いきなりゲンドウはユイを抱き上げると寝室に向かって走り出した。

 そして器用に足でドアを開けると、そのままベッドの上にユイを下ろすと自分もその上に覆い被さった。

 「ふっ・・・今からその証拠を見せよう」

 「あら? それじゃがんばって見せて下さい♪」

 空にはまだ太陽がさんさんと照っているのに、二人は久しぶりの逢瀬に燃えて寝室に籠もりっぱなしで、

 夕飯の用意をし忘れたのに気づいたのはシンジが帰って来た時だった。

 ちなみにシンジが帰ってきてゲンドウの顔を見た瞬間、彼は部屋に閉じこもって「逃げちゃだめだ」などと

 お経のように繰り返していたほどの恐怖を味わった。

 しかしゲンドウがサングラスを外し頬を赤く染めて微笑みを浮かべながらシンジを出迎えた事は、シンジの心に

 深い傷を負わせたが、そんな事もすっ飛んでしまう事が彼を待っていた。

 そして二人の男は自分たちの平穏が、今日を持って終わりを告げようなどとは夢にも思っていなかった、今までの

 騒ぎはホンの子供だましに思えるほどのお祭りが迫っていた事に・・・。

 その男達、碇シンジと前田耕治。

 彼らは翌日それを目の当たりにする、人生最高のお祭りを・・・。







 神楽坂潤が持ってきた物と碇ユイが見ていた物は次の通りだった。






 「度重なる世界異変により人口が激減した事により特に男性と女性の人口比率が2:8になってしまった事に

 政府は特別措置として一夫一妻制を廃止して一夫多妻制を導入することになりました。

 それに伴い世界を救った英雄、碇シンジ君をその第一番目にしたいと満場一致で議会は承認しました。

 なお、NERV総司令碇ゲンドウ氏他、推薦が多数あったPia・キャロット第三新東京市店店長、前田耕治君も

 合わせて二番目として承認されました。

 なおこの法律は現時刻から有効になりますので詳しくは各市町村の窓口にて詳しく説明を致します。」






 お祭りの前夜は静かに過ぎていった・・・。






 To Be Continue


 遅れに遅れてカウンターはもう45.000近く・・・。

 意味無い記念SSになりました(笑)

 さあ、とうとう男の浪漫が始まろうとしていますが、あずさはどうするのか?

 そしてマユミは?

 ゲンドウの思惑通り事が進み始めているこの街で、お祭りは盛り上がって進む・・・。

 そして浪漫と言えばあの男が妻の尻に敷かれてやって来る。

 次回、ぴあきゃろ2 2018M・S第7弾!

 「決戦!第三新東京市」前編

 次回もサービスサービス♪


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