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 Pia・キャロットへようこそ!!2 2018MIX・SPECIAL \






 PRESENTED BY じろ〜






 耕治たちが駅で騒いでいる頃、シンジはいつも通り朝のランニングをしていたがその表情は冴えなかった。

 「とほほ〜、父さんも母さんも困ったことしてくれたよなぁ・・・」

 ぼやきながらもペースは変わらずいつもと同じ時間に公園にたどり着くと、ストレッチを始める。

 「それにマユミも助けてくれないしなぁ〜、なんか父さんたちと一緒で楽しんでいるみたいだし・・・」

 ふと、周りを見るとこれまたマスコミの皆さんがシンジを見ていたがどこかおどおどして目を反らした。

 「?」

 シンジは変だなと感じたけど再び家に向かって走り出し、公園を後にした。

 彼は知らなかった・・・一人のカメラマンが行方不明なことを。

 まあ、それはさておきシンジが家に戻ると口をあんぐりと開けて絶句してしまった。

 「あら、おかえりシンジ♪ 朝食できているわよ」

 いつもの様に、にこやかに振る舞うユイの言葉が更にシンジの心に衝撃を与える。

 「おはようございます、シンジ君」と、ユイとお揃いのエプロンをしたマユミがトーストを差し出す。

 「おはようシンジ! なに口あけてぼけっとしているの?」と、アスカが紅茶を一口飲んで見つめる。

 「おはよう碇君」と、ほんのり頬を赤くして微笑むレイ。

 「おっはよう、シンジ♪ 霧島マナはシンジの為に朝五時に起きてここに来ました♪」と、敬礼してニカッと笑うマナ。

 と、ここまではまだシンジにとっても何とか心を平静に保つことができたかもしれなかった。

 「あ、あの、おはようシンジ君、朝からお邪魔しちゃってごめんなさい」と、顔を真っ赤にしてしどろもどろのマヤ。

 ・・・まあここまでは良しとしたなら、冷静に戻る時間が早かったかもしれない。

 「おはよう、シンジ君・・・あ、ユイさんコーヒーもう一杯頂けますか?」と、ユイにマグカップを渡すリツコ。

 「おっはよう〜シンちゃん♪ あ〜朝からやっぱこれよね〜♪」と、ゲンドウのいる前で朝からぐびぐびえびちゅのミサト。

 マヤさんはともかく、なぜここにこの二人が・・・ま、まさかっ!?

 ・・・結構失礼な考えだと気が付かないシンジだった(笑)

 そんなシンジの思考を読みとったミサトはニヤニヤしてシンジを見上げた。

 「あ〜あたしは違うから、ただの野次馬だから〜♪」

 「ほっ・・・」

 「な〜によシンちゃん、今のため息は?」

 「い、いえ・・・その、なんて言うか・・・」

 「ふっ・・・解るぞシンジ、その気持ちがな・・・私も葛城くんが娘になるのは遠慮したいな」

 「ぐっ、それはどうもすいませんねぇ〜・・・ぐびぐび」

 「あら? あなたってそんな常識感があったのですか?」

 「そうですね、私もそう思います」

 「ユ、ユイ、あ、赤木博士・・・」

 おもむろにゲンドウを見てにっこりと微笑むが、その表情はとてつもなく怖いと思うシンジだった。

 なにしろユイもリツコもゲンドウが今まで自分と母親の赤木ナオコに何をしてきたのかすべて知っているのである。

 「ねえシンちゃん? あたし親子丼食べたいなぁ〜♪」

 「あ、私もお願いできるかしら?」

 「ぐっ・・・葛城くん、赤木博士、朝からそういう物は・・・」

 「だって〜シンちゃんの作る親子丼って美味しいんですよ♪ 碇司令・・・ニヤリ」

 「そうですよ、家事が全く出来ないミサトのために一年近くも料理を作ってましたし・・・ニヤリ」

 「ちょっとリツコ、人の揚げ足とらないでよね?」

 「そう? だって未だに食べられる物、出来ないんでしょう?」

 「失礼ねぇ〜あたしだってご飯ぐらい作れるわよ!」

 「ホント、加持くん?」

 「ああ、少なくてもご飯とみそ汁と目玉焼きが出来るようになったぞ」

 「凄いやミサトさん! 今どうしているのか心配だったんですけど、それだけ出来れば立派ですよ!」

 「そうね、確かに進化したわねミサト・・・良かったわ、加持くんも死なずにすみそうで・・・」

 「なんとな〜くバカにされていると感じるのは気のせいかしら?」

 「そんなこと無いです、僕本当に嬉しくって・・・」

 「ありがとうシンちゃん、でもそんなにあたしの事心配してくれたんだ〜」

 ミサトは優しい目でシンジを見つめるとそっと顔を近づけると、その耳元で優しく囁いた。

 「どうする? あの時の続きする?」

 「ええっ!?」

 真っ赤になって大きな声を出したシンジにみんなが注目してしまい、慌てて口を押さえるが後の祭りである。

 「あの時の続きって何、碇くん?」

 「あ、綾波・・・聞こえたの?」

 こくん。

 頷きながらもその瞳は愛しいシンジの顔から離れることはなく、真剣な表情で見つめ続けていた。

 「ちょっとシンジ! あの時の続きって・・・」

 「えっ、いや・・・その・・・あはは〜」

 「もうシンちゃんったら〜隠すこと無いじゃない♪」

 「ミ、ミサトさ・・・むぐっ!?」

 言いながら引き寄せたシンジを自慢のバストにぎゅ〜っと押しつけて嬉しそうに微笑む。

 「やっぱり初めては経験豊富なお姉さんに任せてみない?」

 もしこれが二人きりで言われたのであればシンジもぼーっとしたかもしれないが、言うべき時と場所間違えると

 どうなるか・・・それは今まさに起きようとしていた。

 ここのところ息もぴったりと合っている三人はすっと立ち上がると、目の前のミサトにポジトロンライフルも

 真っ青の視線を浴びせる。

 「シンジを放しなさいよ、ミサト!」

 「使徒発見、碇君の安全を最優先に撲滅作戦を開始します」

 「あたしたちを前にそんな事するなんて・・・いっぺん死にます?」

 「や、やぁねぇ〜冗談に決まっているでしょ?」

 さすがに身の危険を感じたのかミサトはしぶしぶと名残惜しそうに自分の胸からシンジを放してイスに座り直した。

 「ふうっ、死ぬかと思ったよ・・・」

 「大丈夫ですか、シンジ君?」

 「う、うん・・・」

 マユミが心配そうにシンジの顔を見つめると苦笑いで答える。

 でもどうせならもう少し早くミサトさんから助けてほしかったなぁと、シンジは心の片隅で思っていた。

 そんな自分の息子のもてもてぶりにニコニコしながら、ユイは楽しそうに本題に入った。

 「それでどうするのシンジ?」

 「どうするって・・・何を?」

 「シンジ、いったい何のためにりっちゃんやマヤちゃんがこんなに朝早く来たと思っているの?」

 「あのユイさん、私はマヤの付き添いで来ただけですから・・・」

 「ほら、りっちゃんもシンジの言葉を待っているのよ?」

 「あ、あの、ユイさん、だから私は・・・」

 「大丈夫よりっちゃん、うちの人よりシンジはちゃんとしているからね」

 自分の話を全然聞いてないのか話を進めるユイに苦笑いを浮かべるリツコだが、イヤと言うより困ったって感じの

 表情から案外満更でもないらしい。

 「ぐっ・・・」

 一方のゲンドウは自業自得なので何も言えずにコーヒーをすすって平然のふりをしていた。

 「アスカちゃんたちはどうかしら?」

 「ミサトじゃないなら良いです」

 「問題ないです」

 「は〜い♪」

 「ちょっとあんたたち! その態度の違いはどういう事よ?」

 「「「別に」」」

 「ぐぬっ・・・」

 一言で返されたミサトはゲンドウと同じく唸って、怒りをぶつけるようにご飯をかっくらった。

 「ほらほらシンジ、早く答えてっ♪」

 「そ、そんなこと言われても・・・」

 ユイにずい〜っと迫られて視線を逸らしたシンジは、ふとリツコとマヤに目が合う。

 リツコは苦笑いだけどちょっとだけ頬が赤くなっていたけど、マヤは耳まで真っ赤になり更に期待に瞳を潤ませている

 ところからシンジの言葉に期待しているのは明白なる事実らしい・・・。

 「先輩、一緒に幸せになりましょう!」

 「ちょ、ちょっとマヤ、私は付き添いじゃなかったの?」

 「ええっ、先輩ってシンジくんの事嫌いなんですか?」

 「そ、そんなこと無いけど・・・それにこんなおばさんじゃ迷惑よ」

 「先輩はおばさんじゃないですよ! ね、シンジくん?」

 「えっ、あ、はい、その・・・綺麗だと思いますけど・・・」

 マヤにつられてつい口走った言葉は、リツコの顔を赤くさせるには十分すぎる発言だった

 「シ、シンジくん?」

 「あっ・・・えっと、そうだ! 僕バイトに行かなくちゃ・・・」

 リツコの視線から逃げるようにいきなり立ち上がったシンジは、部屋を飛び出してそのまま家を出ていってしまった。

 「あ、シンジくんっ」

 「ちょっとシンジ! あたしを置いて行くんじゃないわよっ」

 「碇君待って・・・」

 「あ〜ん、シンジィ〜」

 我先にと慌てて席を立つ少女たちは、愛しい彼を追いかけるためにばたばたと用意を始めた。

 「シンジったら照れちゃって・・・ホントにもうっなんて可愛いの〜♪」

 小躍りしているユイを横目に、酔っぱらっているミサトはリツコに絡んでいた。

 「ふ〜ん、リツコってそうだったんだ、全然気がつかなかったわぁ・・・にやり」

 「ミサト・・・人の話聞いてた?」

 「もちろん聞いてたわよん、良かったわぁ〜これで売れ残る事無くなったってことでしょう♪」

 「さあ、先輩! 今から選んで見に行きましょう♪」

 「どこに行くの、マヤ?」

 「もちろんあれです! 決まっているじゃないですか〜♪」

 そう言って自分の鞄からかなりの量のパンフレットを朝食が終わったテーブルの上に並べられた。

 「おお〜さすがマヤ、準備良いわね〜♪」

 「はい、もちろんです!」

 我先にと手を出したミサトは手に取ったカタログをめくりながら目に留まった写真を加持に指さして見せた。

 「あ、これなんてどうかな、加持?」

 「うん、良いんじゃないか・・・葛城に似合っていると思うぞ」

 「えへへ〜、やっぱしぃ〜♪」

 「私はこれなんか良いと思うんですけど・・・」

 「お〜マヤにぴったりじゃない!」

 「ふむ、マヤちゃんに似合ってるかな・・・」

 マヤが指さした物を見つめるミサトはうんうんとうなずきながらそっちも良いなぁと思ってたりした。

 「ホントですか? あ、これなんて先輩に合っていると思うんですけど・・・」

 「どれどれ〜・・・ふんふん、ばっちり似合っていると思うわよん♪」

 「どうだい、りっちゃん?」

 「ど、どうって言われても私は・・・」

 「もう〜どうしてそう素直にならないのかしらねぇ〜・・・」

 ため息をついて親友の顔をじ〜っと見つめるミサトの耳に、この家の主の夫婦の会話が聞こえた。

 「あら? これなんて良いわね、ねえあなた?」

 「ふっ、君は何でも似合うからな・・・」

 その時、碇夫婦の会話を聞いたミサトたちは頭の中でゲンドウの白いタキシード姿を浮かべてしまい、

 皆口元を押さえて両肩をふるわせて笑いに耐えていた。






 「お、おはようございます」

 家から走りっぱなしで息が上がったシンジだが、ロッカールームに入ると着替えていた耕治にちゃんと挨拶をした。

 「おはようシンジくん、今日はずいぶんと早いね?」

 「いえ、その何となく早く来たかったので・・・はははっ」

 「ま、キャロットとしては大助かりだけどね」

 早速着替えて耕治と一緒にフロアにやってきたシンジだが、そこに見慣れないウェイトレスたちが集まっていた。

 「あれ、耕治さんあの人たちは?」

 「そうだ、時間も有るから先に紹介しておこうか・・・」

 二人が近寄っていくと気が付いた一人がみんなに声を掛けると、みんながこっちを向いた。

 「おはよう、みんなよく似合っているね♪」

 「あったり前でしょう、何言ってるのよ?」

 「良かったですねユキちゃん、ダイエットしていて・・・ね?」

 「ちょっと紀子! どうしてあんたはそぺらぺらと・・・」

 「そうなの?」

 「あ、や、その・・・いいでしょ、もうっ!」

 「ふふっ、ユキちゃん顔真っ赤だよ〜♪」

 「と、ともみまで・・・はぁ〜」

 最近離れていたともみたちだったが、やはり一緒にいるのが一番だと耕治は笑いながら思っていた。

 「まあまあ三人とも、それより紹介しておくよ・・・こっちは三号店の期待新人、碇シンジくんだ」

 「初めまして、碇シンジです」

 「それで、まずはこの二人はともみちゃん親友で新塚ユキちゃんと志摩紀子ちゃん」

 「よろしく・・・」

 「こんにちは、これからよろしくね」

 「あ、こちらこそよろしくお願いします」

 「春恵さんはもう知っているよね?」

 「はい」

 「改めてよろしくお願いしますね」

 「こちらこそよろしくお願いします」

 「かおるもいるよ〜」」

 「あ、ごめん・・・こんにちわ、かおるちゃん」

 「こんにちわだよ〜、シンジお兄ちゃん」

 「それで・・・何しているの美樹子さん?」

 耕治が怪訝な視線を向けたその先に、シンジも釣られて顔を向けるとそこで一心不乱にスケッチブックに

 がりがりと描き込んでいる美樹子の姿があった。

 「もうっ、耕治くんって意地悪なんだから〜っ」

 「はぁ?」

 「こんな美少年がいるなんて一言も言わなかったじゃない!」

 「ま、まさかっ・・・!?」

 慌てたように美樹子に近づいた耕治はその大きなスケッチブックを強引に取り上げた。

 「ちょ、ちょっと耕治くん、返してよ!」

 「あ・・・」

 「何が描いてあるんですか?」

 気になって覗き込んだシンジの目に入ったのは、耕治とシンジ二人見つめ合っているラフ画だった。

 「こ、これって・・・!?」

 「美樹子さん、あんたって人は・・・」

 「なっ、なによ、良いじゃない! 私が何を描いたって・・・」

 すかさず開き直る美樹子にはぁ〜とため息を付いている間に、スケッチブックを取り替えされてしまった。

 「ふぅ、まあ見ての通りこいつは漫画家の篠原美樹子だ」

 「なによ、その紹介の仕方は?」

 「あ、あははっ・・・初めまして、碇シンジです」

 「よろしくね、シンジくん♪」

 シンジに挨拶しながらも美樹子の手はスケッチブックの上を止まらないでひたすら描きまくっていた。

 「と、まあ彼女は漫画家だからここの仕事はしないんだけどね・・・」

 「それにしても、みんな綺麗な人たちですね・・・」

 何気なく呟いたシンジの言葉に、皆顔を赤くしていたがユキと紀子は顔を突き合わせてひそひそ話していた。

 「・・・なんか耕治さんそっくりだわ、この人・・・」

 「そうですね、さりげなく女の子をその気にさせる所なんてうり二つです」

 「こらこらそこっ、変なこと話していないの!」

 「だってねぇ・・・」

 「あながち嘘じゃないと思いますけど?」

 「ええ、よく似ています」

 「にてる〜」

 「ああ、春恵さんにかおるちゃんまでそんなことを・・・、はぁ〜」

 「?」

 耕治が頭を押さえて肩をがくっと落としている様子を不思議そうな顔で見ていたシンジだが、次は自分がそうなる番

 だと全然気づいていなかった。

 「シンジーっ!」

 「碇君」

 「シンジぃ〜!」

 力一杯叫びなが奥の方からフロアに飛び込んできたのは、置いてけぼりにされたアスカたち一行だった。

 「はぁはぁ・・・み、みなさん早いですね・・・はぁ」

 そんな中でも息を切らせてやや遅れてきたのはもちろんマユミであるが、こう言う所がまたマユミらしさを醸し出している

 と言っても差し支えはないが、今はそれどころじゃなかった。

 「だ、大丈夫、マユミ?」

 「え、ええ、ちょっと息が切れましたけど・・・はい」

 膝をに手をついて俯いていた顔を上げてにこっと笑うマユミに、周りの状況を忘れてシンジはぼーっと見とれてしまった。

 「こ、このバカシンジ! このあたしを無視するなんていい度胸してるじゃない!」

 「アスカ」

 「何よ?」

 「碇君はバカじゃない」

 「あ、あんたねぇ〜話の論点が違うでしょ!」

 「碇君はバカじゃない・・・」

 「あーっ、もうっ、きーっ!」

 レイのぼけなのかマジなのか解らない突っ込みに、地団駄を踏んだアスカの頭からオーバーヒート寸前のように頭から湯気が

 立ち上るのをフロアにいたみんなが目の前で見ることができてしまった。

 しかしそんな二人をほったらかしにしてマナは一人シンジの胸に飛び込んだ。

 「シンジぃ、いくら何でも置いていくなんて酷くない?」

 「ご、ごめんマナ、別に悪気があったんじゃ無いんだけど・・・その・・・」

 「どうしようっかなぁ〜・・・ふふん」

 「お、怒っているよね?」

 「うん、でも一つだけ言うこと聞いてくれたら許しちゃう♪」

 「お願いって?」

 「キ・ス」

 「え、ええ〜っ!?」

 「シンジぃ、ん〜♪」

 ぐきっ。

 「いたたたたたーっ!?」

 「あんた何一人で抜け駆けしようとしているのよ!」

 「碇君に変なことしないで!」

 シンジの唇まであと1センチと言う所でアスカに頭を鷲掴みされ、レイに襟首を引っ張られたマナの首が

 変な音を立てて上に向いた。

 「アスカ、レイ、あなたたちちょっと暴力的すぎるわよ?」

 「ふん! 相手に合わせただけよ!」

 「A・Tフィールドで飛ばされたい?」

 「むうう〜っ」

 「ぬうう〜っ」

 「・・・・・・」

 目の前で繰り広げられる少女たちの戦いを見ていた耕治以下一同は、呆然と見ているしかなかったが

 いち早く気がついたユキは隣の紀子に話しかけた。

 「ここまでそっくりだと期待の新人どころか耕治さん二世じゃない?」

 「ユキちゃんの意見に賛成ですね」

 「そこそこっ、勝手に決めつけるんじゃない」

 「だってねぇ〜」

 「そうですね」

 「だから〜っ!」

 「ま、前田さん、落ち着いてください」

 「おちつけ〜」

 「はぁ・・・」

 今度こそがっくりと肩を落とした耕治を、心配そうに見つめる春恵の横でかおるはその頭をぽんぽんと叩いて笑っていた。

 「にぎやかですね〜」

 「あ、そ、そうだね・・・ははっ」

 のんきに言うマユミの言葉にシンジもちょっとけ肩を落として力無く相づちを打った。






 場が落ち着いたところで改めて自己紹介をしたところで、シンジはあずさがいないことに気がついた。

 「あの、耕治さん?」

 「ん、なんだいシンジ君?」

 「あずささんは今日お休みですか?」

 「あ、あずさね・・・う、うん・・・」

 「?」

 「そう言えば美奈さんも居ないようですけど・・・」

 「あ、そうだね・・・」

 マユミも気がついたようにシンジに合わせて言うと、耕治はどことなく照れて頭に手を当てて笑っていた。

 「来るわけ無いじゃん、ねえ耕治さん?」

 「もう、ユキちゃんてば素直に羨ましいって言えないんですから・・・」

 「ち、違うわよ、紀子!」

 「え〜違うのユキちゃん・・・」

 「ああっともみ、そんな目であたしを見ないでよ〜」

 さすがのユキもともみだけには昔から弱く、大抵自分から折れるしかなかった。

 「ははっ、僕からちゃんと話すよ・・・実は今あずさと美奈ちゃんは病院に行ってるんだ」

 「病院ってどこか悪いんですか?」

 「いや悪いって言うんじゃないんだけどね・・・」

 「?」

 鈍感なシンジが首を捻っている横で、マユミは赤くなってあっと小さく声を出したけど慌てて口を隠した。

 「マユミ?」

 「もうシンジはお子ちゃまなんだから〜」

 「なるほどなるほど、うんうん」

 「私解らない・・・」

 マユミに続いてアスカもマナも解ったようだが、シンジ同様レイは見当もつかなかった。

 ふと周りを見回すとレイとかおる以外みんな顔が赤いのでますます困惑するシンジだったが、マユミがおずおずと

 恥ずかしそうに小さな声で教えてあげた。

 「あのシンジ君・・・きっとあずさん赤ちゃんが・・・」

 「あ・・・」

 「赤ちゃん・・・」

 ようやく理解ができたのか、シンジに合わせてレイも同時に赤くなって俯いてしまう。

 みんな黙り込んでしまい静かになったフロアに、足音ともに美奈が明るい笑顔でやってきた。

 「遅くなりました〜」

 「ご苦労様、美奈ちゃん」

 目の前にやってきた美奈の頭を耕治は何回も優しく撫でて微笑み掛けてあげた。

 「えへへ〜」

 「あ〜ん、美奈さんいいなぁ〜」

 「はいはい、それよりも聞くことがあるんでしょう?」

 「そうですね、何しろユキちゃんが一番気にしていますからっ♪」

 「紀子! あんたってさっきからほんとにもう・・・」

 拳を握ってふるふると肩をふるわすユキをニコニコして微笑んでいる紀子に任せて、耕治は美奈にあずさの事を

 聞いてみることにした。

 「それでどうだった、美奈ちゃん?」

 「はい、今三ヶ月だそうです・・・えへへ、おめでとう耕治お兄ちゃん♪」

 「うん、これでますますがんばるぞーっ!」

 自分の子供のできたことに心の底から嬉しそうに喜ぶ耕治に対して、みんなが思い思いのお祝いの言葉を掛けた。

 「おめでとう、お兄さん♪」

 「おめでとうございます、耕治さん♪」

 「と、とりあえずおめでとうって言ってあげるわ」

 「おめでとうございます、前田さん」

 「おめでと〜こうじおにいちゃん♪」

 「おめでとう耕治君、これでまたネタができたわ〜♪」

 「あ、あの、おめでとうございます、耕治さん」

 「おめでとうございます、よかったですね前田さん」

 「ふ〜んやっぱりやることはやってるのねぇ〜」

 「いいなぁ〜、あたしもシンジの子供欲しいなぁ〜」

 ただそんな中でただ一人、レイは少しだけ俯いたまま何かを思案しているようだった。

 「どうしたの綾波?」

 「碇君・・・」

 目が潤んで青ざめた顔が辛そうに歪んでいるレイを見て、何かただ事じゃないと感じたシンジは

 顔を近づけてみんなに聞こえないような小さな声で話しかけた。

 「どうしたの、体の調子悪いの?」

 ふるふる。

 「違うの・・・私、不安なの・・・」

 「どうして?」

 「私普通の人じゃないから・・・私、赤ちゃん欲しくても駄目かもしれないから・・・」

 自分にしか聞こえないレイの小さい声と震えながらの告白に、シンジは忘れかけていた事を思い出した。

 でも、考えるより先にシンジは力強くレイの細い体をぎゅっと抱きしめてあげる。

 そしてそのレイの耳元で、シンジは小さな子供に諭すように優しく囁いてあげる。

 「大丈夫だよ、きっと綾波にも赤ちゃんができるから・・・ね」

 「碇君・・・くっ」

 「大丈夫だよ、綾波・・・」

 「ひっく・・・」

 泣き出したレイの頭を自分の胸に抱きしめて、ぽんぽんと赤ちゃんをあやすように優しく背中をたたいてあげる。

 近寄りがたい雰囲気を纏っている二人を離れたところから見ているみんなも、口を出せずに静かに見守っていた。

 「ま、今回は見逃してあげるわ・・・」

 「うん・・・」

 アスカもマナもレイの事をそれなりに知っているので嫉妬心よりも守ってあげたい気持ちの方が強かった。

 そしてマユミもただ微笑みを浮かべて優しい目で二人を見つめていた。

 しばらくして落ち着いたのかシンジから離れたレイは、耕治の前に来ると自分にできる最高の微笑みでお祝いの

 言葉を贈った。

 「あの・・・おめでとうございます」

 「ありがとうレイちゃん」

 レイの笑顔を見てようやくみんなの緊張が解けた時、ピア・キャロットの開店時間に時計の針が動いた。






 「ありがとうございました♪」

 今日最後のお客さんを入り口で送り出した留美は、扉の札をひっくり返して”くろーず”にしてから店内に戻った。

 「はぁ〜今日も大入りだったねぇ〜」

 「お疲れさま留美さん」

 「耕治くんも大変だったね、ご苦労様でした♪」

 「全然、このぐらい何ともないって♪」

 「さっすが耕治くんだね、それで・・・あのね留美、耕治くんにお願いがあるんだけど・・・」

 「なにかな?」

 「留美もね・・・あ、あずさちゃんみたいにね・・・あうっ、やっぱり恥ずかしいよ〜」

 耳まで真っ赤になってポニーテールをふりふりする留美を見て、耕治は言わんとしていることが解ったので

 苦笑いをして見つめていた。

 「そうだね・・・でも、この話は今度ゆっくりしようね?」

 「あ、う、うん・・・」

 「それじゃ悪いんだけど、今日はみんなと先に帰っていてくれるかな?」

 「えっ、どうしたの耕治くん?」

 「ちょっとね・・・」

 ちゅっ。

 「こ、耕治く〜ん・・・えへへ〜♪」

 「気をつけてね、潤にもよろしくなっ」

 「うん」

 耕治にキスされてご機嫌の留美は天にも昇る気持ちでスキップしながらロッカールームの方に消えていった。

 「さてと・・・」

 フロアを見回した後、電気を消したから事務所に戻るとそこにシンジの姿があった。

 「すまない、待たせたね」

 「いえ、こちらこそ相談に乗って貰っちゃってすいません」

 「いいさ、なんと言ってもほかに同じ立場になった人はいないからね・・・」

 耕治はコーヒーを入れたマグカップをシンジに手渡して、自分もイスに腰を下ろした。

 「さあ、まずはシンジ君の気持ちから教えてくれるかな?」

 「はい」






 この日、シンジは一足先に人生を決めた耕治に自分の思いそして考えた事を相談した。






 To Be Continue



 お待たせしました、またまた遅れてしまいましたが第九話です。

 少しラストはしりあすっぽくしましたがいかがだったでしょうか?

 次回はピア・キャロット初の本格的戦闘シーンがはいるかもしれません(笑)

 さあ、シンジ君! 君の愛する人を守るためににげちゃだめだ!

 ・・・ラブストーリーですからね(^^;

 ではまた。


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