ファンタジーkanon


 ※一応祐一は全員とのハッピーエンドを迎えています
 ※祐一は香里一筋です
 ※栞は2年生に進級しています。
 ※あゆが何故か3年生として、真琴も2年生として編入されています
 ※舞台はkanonnですが、剣と魔法の世界でもあります
 ※北川は一応出ますが、扱いは酷いです
 ※なお、久瀬・斎藤はもっと扱いが酷いです
 ※オリジナルキャラも出たりします
 ※基本的にはギャグです
 ※技・魔法等の名称等は・・・あらかじめ、ご了承下さい
 ※設定等は事情により変更する場合があります
 ※ネタバレの恐れがあるので、なるべく全キャラクリア後お読みください
 ※なお、この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません


第一話:転校生がやって来た・前編


キーンコーンカーンコーン…

俺は今…教室にある自分の席で予鈴を聞いていた。

「珍しいわね、名雪がこんな早くから居るなんて。」

まったくだ…

「う〜…酷いよ香里。ねえ、祐一からもなんか言ってよ。」
「…ん、ああ、本当に珍しいな。」
「う〜…祐一も香里も、極悪人だよ!」
「「だって…真実だろ(じゃない)」」
「う〜…」

そう唸って名雪は俯いてしまう。
しかし…
本当に久しぶりだ。
もしかして…3年生になってから初めてじゃないか?
こんなに余裕が持てたのは。

「うぐぅ…名雪さん、まだいじけてる。」
「あゆ、気にするな。」
「うぐぅ…」
「あゆも余裕を持って登校できて嬉しいだろ?」
「うん。」
 
 俺の問いかけにあゆは元気一杯に応える。
その時に名雪が『あゆちゃんまで…酷いよ』と呟いたのだが、誰も聞いていなかった。

「席につけー!」
「あ…石橋が来たわ。」

石橋が教室に入ってきて、香里が自分の席に戻る。
香里の席は俺の隣で、俺の前にはあゆが、そのあゆの隣は名雪・・・となっている。

「あー…今日は転校生を紹介する。」

石橋の言葉に教室中がザワめく。
…今はまだ4月の下旬…そんな時期に転校生とは、珍しいな。

「ちなみに男だぞ。」

そして教室中に男子共のため息が漏れる。

「よし、入れ。」

石橋に催促されて教室に入ってきたのは…
髪の長い少年だった。

「今日よりこのクラスの一員となる『真田 優』君だ。」
「……真田 優です、よろしく。」
「席は…美坂の後ろでいいかな。」

そう言って石橋は香里の後ろを指差す。
他に場所は無いな。
俺達のクラスは横6列、縦5列なのだが窓側に2列…
つまり俺に香里や、あゆ・名雪のいる列は4列までしかない…ということだ。

 
HR後…

「俺は相沢 祐一、よろしくな。真田君」
「相沢…君か、よろしく。」

早速自己紹介をしていた。

「祐一でいいぞ。」
「なら私も、優、でいい。」

…私?
へぇ…男で、しかもこの年齢で一人称が『私』とは、珍しいな。

「私は美坂 香里よ。香里でいいわ。」
「私は水瀬 名雪、よろしくね優君。」
「…ボク、月宮 あゆ。」
「ええ、よろしくお願いします。香里さんに名雪さん、あゆさん。」

…同い年に『さん』付けか。
律儀…というよりは礼儀正しいんだな。

「教科書、まだ無いだろ?俺のを貸してやるよ。」
「え…いいのかい?」
「ああ、俺は香里に見せてもらうから。」
「ええ。祐一には私のを見せるから。」
「有難う。」

1つ1つの言葉使いもキチンとしている。
育ちが良いのか、親は厳しかったのか…
それとも生まれつきこうなのか…

「それにしても、随分と丁寧よね、言葉使いが。…祐一も見習ったら?」
「…五月蝿い。」
「あはは…やっぱり、変ですよね、こうゆうのって…」
「でも大事よ。」

俺と香里と優、3人でそんなやり取りをしていると教師が教室に入ってきた。
こいつ…結構気があうかもな…
何せ、この学校に来てからとゆうもの…男で知り合いといったら北川くらい。
うむ、貴重な男友達となりそうだ。


「おい、名雪!起きろ!」
「うにゅ〜…」

瞬く間に昼となり、俺は相変わらず寝ている名雪をお越しにかかる。

「…大変そうですね。」
「いつものことよ。」
「…私に、任せてくれます?」
「「え?」」

優の以外な発言に、俺と香里は声が重なる。

「…大丈夫?名雪は、ちょっとやそっとじゃ起きないわよ。」
「大丈夫です、任せてください。」

香里の忠告に優は自身有り気に応えた。
そして次の瞬間、優は目を閉じて何やら呟きはじめた。

「…朱鳥の叫び 汝 その眠り妨げる 声とならん!バードソング!!」

優の掌に朱い文字が浮かび、周囲に奇妙な音が響いた。
微かに聞こえる鳥の叫び声…何かをしていれば、聞き逃してしまうような、小さな音だった。

「…うにゅ?」
「「「あ!」」」

途端に名雪が目を覚ました。
あまりの速さに、俺や香里・あゆは思わず驚きの声をあげる。
は…早い!

「ん〜…もうお昼?」
「う…うん、そうだよ。」
「…凄いな優、今の何だ?俺にも教えてほしいぜ。」
「そうね、それがあれば…祐一も毎朝名雪を起こす苦労が減るわね。」
「…え?起こす…?毎朝…??」
 
香里の言葉に優が少なからず動揺していた。

「あ、勘違いしちゃ駄目よ。祐一と名雪は従兄妹で、祐一は名雪の家に居候してるのよ。」
「そ。ちなみにあゆも居候。」
「…うん、ボクは親戚でもないけど…家族だから。」

俺達の言葉を聞いて優が納得、という表情をする。

「あ、そうなんですか…判りました。」
「…そういえば、優はお昼どうするんだ?」
「あ…一応、今日はコンビニでオニギリを買ってきました。」
「そう…か。あゆや名雪は?」
「ボクは名雪さんとお弁当だよ。」
「うん、そうだよ。祐一は…香里に作ってきてもらったの?」
「ええ、そうよ。今日は私が祐一のお弁当を作ったのよ。」
「今から学食行っても席はないだろうし…今日は教室で食うか。」

そうして俺達は机を並べ、各自昼食をとることになった。
しばらくして話の話題は先程優が名雪を起こすのに使った術についてとなった。

「あれは『朱鳥(しゅちょう)術』の1つです。」
「…朱鳥術?」
「朱鳥って…朱雀の事ね、きっと。聞いた事があるわ、四神を守護とした術があるのは。」
「四神って確か朱雀・玄武・白虎・蒼龍…だよね?」

とあゆが言った。
…以外だな、あゆがこういうのを知っているとは。

「以外だな…」
「…以前に秋子さんの持っている本にのってたんだよ。」
「へぇーえ…」
「…優君は、以前居た町で憶えたの?」
「いえ、友人からです。」
「…てことは、憶え様と思えば俺も覚えられるワケだ。」
「そうなりますね。私…は、あまり術は詳しくはないんですけど、教えられますよ。」
「ありがと、じゃあそのお礼に俺が幾つか魔法、教えるよ。」
「…へぇ…この町では魔法って呼んでいるんだ。」
「そうなるな、俺は一応…土系の魔法が得意だ。」
「土…『信』ですね。」
「…しん?」
「五行と五常ね。」

香里が言うには…
万物を組成する五種の元素『木火土金水』の称を『五行』と言い、
そして人が常に身に備うべき五つの大事『仁義礼智信』を『五常』と言う。
『五常』は『五行』通じて、木は仁、火は礼、土は信、金は義、水は智をそれぞる司どる…とか。

 仁:人に本来備わっている思いやりの心で、すべての道徳の根本となるもの。
 礼:社会の秩序を保ち人間相互の交際のため、人の守るべき道。
 信:人を信じ、人を騙さない、嘘をつかない心で、信頼の証。
 義:人として守るべき正しい道。
 智:物事の善悪や道理を判分する能力。

「へーえ…じゃあ祐一、変だよ。」
「…何でだ?名雪。」
「だって祐一、すぐ嘘つくもん。」
「………」

…名雪…

「そういやあそうね。」
「うん。」

香里…
あゆまでも…
俺…そんなに信用ないのか?

「そうなんですか?」
「誤解だ。」
「…そうですよね。」

そんな事をしている内にチャイムが鳴り、また退屈な午後の授業が始まった。


「祐一、放課後だよ。」
「ああ、そうだな。」

あっという間に、放課後…
いつも通り、名雪がくる。
流石に…俺は今日寝なかったな、名雪は寝ていたけど。

「そういやあ…珍しいわね、今日祐一寝なかったでしょ?」

香里…
俺って、いつもそんなに寝ていますか?

「祐一って…いつもそんなに寝ているのですか?」
「そうよ優くん。寝ているのは名雪だけじゃないのよ。」
「へぇ…春眠は暁を覚えず、ですね。」
「…それはちがうわ。」

俺は違うぞ。
名雪だけだ!!

「…雪降ってる日も、寝ていたじゃない。」
「何!?どうして俺の考えている事が!?」
「…声に出てましたよ。」
「ぐはあっ!!」
 
いい加減にどうかしないとな、この癖。
いつか命取りなりそ。

「所で祐一、これからどうするの?」
「いや…特に予定はない。香里は?」
「私もないのよ、だからどうしようかって…」

一応3年生となった俺達なので、受験生なのだが…4月下旬から根詰める奴はいないだろ。

「なら…この町、案内してくれます?」

そんな時に優の提案は、わりと嬉しかった。
暇つぶしができたしな。

「いいね〜、今日は私も部活ないから行くよ。」
「ボクも。」

名雪とあゆも一緒に行きたいらしい。
まあ、とくにこれといいって断る理由もないしな。

「あゆは部活やってないだろ?」
「…うぐぅ。」
「名雪さんは…何部に入ってるんですか?」
「私?陸上部だよ。」

意外…という顔。
まあ無理もない、普段のんびりとしている名雪が陸上部に入っている…
誰もが言うまで気がつかないだろう。
…名雪が着いてくるとなると、行く場所は1つだな。

「…優、この名雪は¥880で幸せになれるんだ。」
「……¥880でですか?」
「「そう(よ。)」」

俺と香里の声が重なる。
その横ではあゆが頷いている。

「う〜…何か酷いこと言ってない?」
「言ってないぞ。」
「言ってないわよ。」
「う〜…やっぱり酷いこと言っているよ。」

 すねている名雪はおいといて、俺達は教室を出ることにした。

 

つづく。



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 あとがき
 突然の新シリーズです。
 第1話から前編・・・と、申し訳御座いません。
 今回では今1つ、祐一と香里がラブラブではない・・・ので、次回からは・・・!
 


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