ファンタジーKanon


                         
第4話:神風会
 
 

…今度は逃げられそうにないな。

「祐一、この2人はあたしと舞さんに任せて。祐一は名雪をお願い。」

そう言って香里と舞が俺の前に出た。

「…大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ。」

…俺はその場を香里と舞に任せ、俺は後ろの連中を見る。
後ろの連中はすでに、優と美汐がその間合いに捕らえていた。
あの2人なら、心配はないだろう。

「…頼んだぞ。香里、舞!!」
「ええ。」
「判った。」

俺のその言葉を合図に…再び戦闘が開始された。

「行くわよ舞さん!」
「…先手必勝…」

香里と舞が同時に飛び出した。
柴田と渡部はその速さに驚き、初期動作が遅れていた。

「獅子戦孔!」

そこに香里の放った闘気の塊が柴田を襲う。
直撃を受けた柴田は吹き飛び、地面に転がり込んだ。
そこへ舞が剣を構え…

「…夢幻…」

ザザザザザザザザザ…(一部省略)…ザザザザザザザシュ!!!!!

容赦の無い連続斬りを柴田に叩きこんだ。
…あれで生きていたら、不死身としか言い様がないな。
 

「断空剣!!!」

後ろ側では優が竜巻をつくり一気に剣を斬り上げていた。
黒服共は竜巻の風に吹き飛ばされるのと同時に斬り刻まれていた。

「鎧袖一触!!!」

美汐は薙刀・天桜を頭上で回転させ、光の渦を作る。
光りに渦は次々と黒服共を飲みこみ、遥か上空へと吹き飛ばして行く。
あれだけ空高く吹き飛ばされれば、いくら強靭な鎧でも砕けるだろう…
優と美汐は安心だと思い、再び香里と舞の方を見ようと思った…

ピシャァーーーン!!!

「きゃああ!!」
「…く!」

突如背後に激しい閃光がし、香里と舞の悲鳴が聞こえた。

「香里!舞!!」
「「香里さん!!舞さん!!」」

俺の背後では渡部が巨大な雷を放っていた。

「大丈夫か!?」
「え…ええ、ちょっと油断しみたい。」
「…大丈夫。」

俺はほっと内心、胸をなでおろした。
何とか大丈夫なようだ…だが、今目の前にいる渡部という奴はかなりの強者らしい。
しかも、奴の持っている剣自体が強力な雷を帯びている。
奴の持っている剣を見て、黒服共を全員倒してきた美汐が呟いた。

「あれは…AF(アーティファクト)…?」
「…美汐、何だそのAFと言うのは…」
「…一言で言ってしまえば『魔導道具』と言ったところでしょうか。とにかく、恐るべき力を秘めている道具です。」
「な、なるほど…」

…となると、その恐るべき力を秘めているAFを相手にしなければならない…というわけか。
辛いな…名雪を背負っていると。

「遊びの時間は終わりだ!死ね!!!雷光剣!!!!」

渡部がAF・雷光剣を掲げる…
凄まじい雷が次々と放たれた。

「逃げろ!」

向かってくる雷に、俺達は四方八方に逃げた。
…直撃を受ければ、間違い無く『死』だろう…
恐い…それが今の正直な感想だった…
舞と一緒に夜の学校で魔物と戦った時にも、もちろん恐怖はあった。
だが…今回はそれ以上だった。

「ふはははは!!死ね!!!死ね!!!!」

渡部の持つ雷光剣からは休むまもなく、次々と雷が放たれている。
…くそ、何とかして奴の雷光剣を奪えれば…
 そんな事を思ったとき、ふと優が俺の側に駆け寄ってきた。
 
「祐一君。」
「ん…何だ、優。」
「祐一君の土系の魔法で…奴の雷、遮断出来ないかな。」
「…そうか…その手が…」

なるほど…ね。

「優、名雪を頼む。」
「判った、名雪さんは私が預った。」
「…香里、美汐、舞…チャンスは1回だ!」
「わかったわ。」
「…判りました。」
「…わかった。」

3人に合図を送り、俺は呪文の詠唱を始める。

「無駄だ!!!」

渡部の雷が俺に向かってくる…
そこで……

「ストーンウォール!!!!」

俺の目の前に、巨大な石の壁が姿を表す。
石の壁は渡部の雷を、何も無かったかのように防ぎきった。

「何…雷光剣が!?」

雷光剣の雷を防がれ、隙の出来た渡部に美汐が駆け寄った。

「いきます、疾風迅雷!!!」

美汐の持つ薙刀・天桜の刃が一気に渡部を切り裂きその手から雷光剣を手放させる。
そして美汐は更に香里顔負けの雷を追い討ちとして放った。

「く…」

渡部は雷光剣を拾おうとするが…

「…させない。」

そこを舞に阻まれる。

「秘奥義・魔神降臨左掌(まじんこうりんさしょう)!!!」

…その瞬間、舞の身体が闇に包まれる。
そして…

ゾク…

俺の体中に寒気が走る。
…かつて、夜の学校で嫌というほど味わったあの感じと同じ…
舞は…5体の、かつて魔物と言っていた存在のうち1体を…呼び出した。
目には見えないが…渡部の側に、凄まじい『気』の塊が確かに存在している。

「な…何だと……」

渡部自身も、その凶悪さよ巨大さに…目を見開いている。

「てゃあああああああ!!!!!!!!!」

舞の雄叫びが響き…
『気』の塊は渡部に襲いかかった…

「く…くああああ…っ…!!!」

渡部は必死にシールドを張る…が、それでも現在生き長らえているのが精一杯といった所だろう。
このままいけば渡部を倒せる…それは決定的。
だが…この状態で苦しいのは渡部だけではない、舞もまた…苦しい状況にある。

「…く……」

このままいけば…舞の身も危なかった。

「香里…」
「…ええ。」
「舞、もうやめて…後は俺達に任せろ!」

俺の言葉に、舞は横目でこちらを見る。
そして、軽く頷き…

「…く…」

舞は片膝をついた。
すかさず美汐が舞に駆け寄った。
渡部は…まだ身動きがとれない状況…
チャンスは…今!

「香里…!」
「こっちはいいわよ。」

俺は2振りの刀を持ち、駆け出した。
俺の後ろでは香里が魔力を集中させている。

「祐一、いくわよ!!」

香里が魔力を解放する。
雷が俺の刀に当たり、帯電する。

「「ボルティックス・セイバー!!!」」

俺と香里の協力技…
雷を帯びた2筋の刃は…勢い良く、振り下ろされた……
 
 
 

「…くー…」

帰り道…相変わらず名雪は優の背中で眠っていた。

「本当にどうしょうもない娘ね、名雪は。」
「まぁ…名雪さんらしい、と言えば名雪さんらしいですが…」

流石の美汐も苦笑いを浮かべている。
…俺達はあの時…
確かに…渡部に攻撃を当てた…ハズだった。
ところが…
 
 
 

「…な…」
「う、嘘…」

俺の香里の協力技は…確かに命中したハズだった。
だが…地面に、渡部の姿は無かった。

「…当てた、感触はあった…」
「じゃあ…どうして…いないの?」

渡部は忽然とその姿を消していた。

「祐一さん…柴田もいないです。」

先程…香里と舞が即効で倒した、柴田も消えていた。
…何処に…
そう思って俺達は周囲を見渡していた。

「…あ!」

ふと、優が叫んだ。
上空の一点を指差している。
その指差している方向には…

「…誰だ…?」

男が1人、空中に浮いていた。
その手には柴田と渡部の2人が担がれている。

「…俺が桐生だ、相沢 祐一。」
「お前が…」

声は聞いたが、実際見るのは始めてだった。
そうか…奴が桐生か…
俺達はとっさに身構える…が…

「いや、今はやめておこう。」
「…?」
「君達の戦力を甘く見過ぎていた。それにこれ以上ここで戦うのはマズいしな。」

確かに…いくらここが町外れとはいえ、これ以上騒げば人目につくだろう。

「…改めて、君達と戦いたい。…ほれ。」

そう言って桐生は紙を1枚、こちらに向かって投げてきた。

「…?」
「その紙に記されている場所に来たまえ…。まあ、来なくてもよいが、その時は町の住人も巻き添えをくらうだろうね。」
「…何だと?」
「こちらも出来れば穏便に事を運びたいのだよ。…では…」

そう言い残し、桐生は夜の闇に姿を消した。
…紙には地図が書かれてあった。

「祐一、何?それ。」
「…地図、みたいだけど…」
「…本当ね、まあ…一旦帰りましょう。」
「そうだな…」
 
 
 

…と、今に至る。
そうだ…そういえば…

「香里…」
「ん?何、祐一。」
「…何で雷光剣、持ってるんだ?」
「え?これ?ああ…放置されてたから…つい…」

…香里の背中には、先程の戦いで渡部がし様していたAF・雷光剣が担がれていた。
しかし…放置されていたからつい…って…

「いいじゃない、別に。」
「まぁ…悪い、とは言わないが…」
「ならいいじゃない。」

…ま、いいか。
そうしている内に俺達は水瀬家へと着く。
…ん?
家の前に誰か…って、秋子さん!?

「秋子さん!」
「あら…祐一さん、名雪を…助けてくれたんですね。」
「い…いや、それよりも、どうして外に…」
「え、ええ…」

それは言われなくても判っている。
心配してくれて、たまらず外に出たのだろう。

「寒い中、待っていて下さって有難うございます。」
「…そうですね。」
 
 
 

「「「すー…」
「あ、お帰りなさいです。」

家の中で起きていたのは佐祐理さんだけだった。
あゆ・真琴・栞の3人はリビングのソファーで寝入っていた。

「舞、お帰り。」
「…ただいま。」
「さ、立ち話もなんですから、お茶でも…」
 
 そう言って秋子さんは台所へと移動してゆく。
ふと、時計を見てみる。
時刻はすでに深夜の2時を回っていた。

「あ、佐祐理も手伝います。祐一さん達は、待っていてくださいね。」

佐祐理さんは秋子さんを追いかけて台所へと移動してゆく。
さて…俺達は、と…

「祐一、栞達…部屋に運んでおく?」
「…そうだな。優、名雪を…」
「判りました。」

そう言って優は一足早く、名雪を背負ったまま2階へとあがっていった。

「では、私は真琴を…」
「あたしは栞ね。」
「…で、必然的に俺はあゆか…」

俺はあゆを抱えると階段を上って行く。
その後ろでは、美汐が真琴を背負い、香里が栞を抱きかかえていた。
あゆと真琴を2人の部屋へと運び、栞は名雪の部屋に運び込む。

「さて…1階に戻りましょうか。」
「そうね。」

香里と美汐が1階へと降りる。
俺は荷物を自分の部屋に奥と、2人の後を追った。
ちなみに優も一緒だ。
ん…あれ?
舞は……
 
 

「…遅い。」

…舞は先に台所でお茶を飲んでいた。
とりあえず、俺もお茶を飲んで一息いれることにした。

「…ふぅ。」

相変わらず秋子さんのいれるお茶は美味しい。
佐祐理さんは何やらお菓子のような物を用意している。

「しっかし…こんな時間じゃ、明日は寝坊しそうね。」
「そうですね…」

香里と美汐が呟いた。
確かに、明日は休日でも日曜でもないので学校がある。
…結構地獄かもしれない。

「大丈夫です、皆さんのご両親には連絡を入れておきましたし、学校の方も、しばらく休校…としておきましたから。」
「…手回しがいいですね。」

流石は秋子さんだ…
しかも、休校とは…これからの事を、ちゃんと予測しておいてくれたのだろう…
あ、そうだ忘れていた。

「秋子さん、この地図…何処らへんのか判りますか?」
「どれですか?祐一さん。」

俺は廃工場で桐生から受け取った紙を秋子さんに渡した。

「ええと…ちょっと、待っていてくれますか?」
「ええ。」

そう言って秋子さんは自分の部屋へと向かった。
…地図でも置いてあるのかな…
ふと、そんなことを思ってしまう。

しばらくして秋子さんが戻ってくる。
その手には日本地図があった。

「…この紙に書かれていた場所は、ここです…」

テーブルに広げられた日本地図。
そこの一点を、秋子さんは指差した。

「…青森県?」
「……」

秋子さんが指差した場所…
それは青森県の『恐山』のある当たりだった。

「あまり知られてはいませんが、この当たり一体には樹海が存在しています。」
「…樹海?」
「へぇ…」
「恐らく、この樹海に神風会の…アジトがあるのでしょう。」

そう言うと、秋子さんは1つのファイルを取り出した。

「…これは、倉田さんのお父さんの協力によって調べてもらった神風会の資料です。」
「お父様も…神風会の事は詳しくは知らなかったみたいです…」

へ?え…なるほどね。
ともかく、俺達は秋子さんと佐祐理さんが用意してくれた『報告書』を見ることにした。

そもそも『神風会』というのは代議士・綾小路 隆英という男の、いわゆる支援団体らしい。
綾小路 隆英は青森県の県議会議員だそうだ。
それで青森県にアジトがあるのも頷ける。
恐山付近にある樹海、これら一帯は綾小路 隆英の私有地でもあるらしく、その為に地図にも詳しい事は載っていないとか。
それと、先月倒産した?久瀬総合薬品は神風会とも繋がりがあったとか…
神風会は孤児を引き取って養育している事で近年、かなり注目されているらしい。
…もしかしたら、さっき戦った柴田・渡部、それに桐生ももしかしたら神風会に育てられたのかもしれない。
そして、これはあくまでの噂だが、神風会は裏で生態実験を行っているとの情報もある。
動植物を使った遺伝子操作はもちろん、人間の遺伝子にまでも手を加えているらしい。

「…へぇ、相当ヤバイ集団だな。」
「思い出したわ、綾小路 隆英といえば、2年前に何処かの孤児院に多額の寄付をしたことで表彰されてたわ…何でも、自分は昔孤児で幼い頃に綾小路家の養子になったからで…」
「…なるほど、表向きは自分の経験した辛さを、他の子達に味合わせたくないから…か。」
「ですが、裏では生態実験…ですか。」

…折角助かったと思ったら、再び地獄…か。

「でも…事実という証拠は無いんです。お父様も…怪しいとは睨んでいたようですけど…」
「…汚い奴ほど用意周到。」
「なるほど…元生徒会長を思い出すな…」
「…はちみつくまさん。」

…絶対に、神風会の真意を付き止めてやるぜ。

「…生態実験、という事は…私や祐一君の魂も実験の一貫…ですかね。」
「…さあ?」
「でも、よりによって何で祐一と優君なのよ。」

…絶対に、絶対にな…
綾小路 隆英か…
その名前、よぉーく脳裏に刻んでおくぜ!

 

つづく。
 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき

瞬:ふぅ…
ル:?
瞬:相変わらず駄文だね、僕には元ネタがわかってしまったよ。
ル:……
瞬:ま、いいけどね。さて…
ル:登場人物の設定編、第2回!
瞬:今回は主人公、相沢君の麗しき彼女・美坂 香里さんです。
香里:どうも。

美坂 香里
年齢:17歳
性別:女
身長:164cm
体重:48kg
3サイズ:B84W55H82
学年:3年
装備:メリケンサック(愛用の品)
   AF・雷光剣
得意系統術:雷系
その他:祐一の恋人。
    相当強いが、祐一と秋子さんの謎ジャムは大の苦手。

香里:…ちょっとこれだけ?
瞬:あえて少なくした方が、かおりんファンの希望通りかと…
香里:つまり、後は自分たちのお好み…って事?
瞬:まあ…そうなるね。
ル:それと、本来のkanonの時と少し異なる点があるの、気づいてた!?
瞬:まあ…さらに発育した…って事かな。
香里:…やあね(////)
ル:…何想像してるんですか?
瞬:ま、あえて聞かない事にしましょう。
ル:…では次回でお会いしましょう。
香里:感想・苦情なんかはドシドシ、送ってもいいわよ。……もうっ、祐一ったら…(////)
 


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